ダンナ様はエスパー？

第4章 まさかの奇跡…

２

「はい…」
　灯里はしかたなく、消え入りそうなくらい、かすかな声で
返事をする。
どうやらすぐ側で、誰かがすわっているようだ、
少し落ち着いて、ようやく周りを見回して…
おそらくこれが、救急車である、と確信した。

「あっ」
身体を動かそうとすると…
「動かないで！」
すかさず救急隊員さんに、止められた。
（えっ？）

　なんでここに？…と思うけれど、おそらくは、驚いたお姑さんが
呼んだのだ…と、灯里はようやく理解する…
灯里はおとなしく、傍についている人を見ると…
やはりそれは、お姑さんだった。
「あなたねぇ」
いきなり彼女の手を握る。
「あなた…いきなり倒れたのよ。覚えていない？」
そう言うので、やはりそうだったのか、と灯里はようやく
思い出していた。
「お義母さん、すみません」
横になったまま、声をかけると…
「ホント、あなた…私がいて、よかったわねぇ」
にこやかにそう言う…
「はぁ…」
あいまいにうなづきつつも、確かにもしも1人だったら…
救急車なんて、呼べなかったかもしれないな、
そう灯里は思い直した。
「久志にも、連絡したわ。
　そのうち来るでしょう」
そう言うけれど…また病院に搬送されてはいないようだ。
灯里は久志に、申し訳ない思いで一杯になった。












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