ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第4章  まさかの奇跡…

   44

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「オムレツにする?
 卵は食べられる?」
 冷蔵庫に頭を突っ込むようにして、アリサが聞く。
「ありがとう」
弱々しい声で、灯里は声をかける。
アリサは仕事帰りで、毎日忙しいというのに、本当に申し訳ない…
そう思いつつ、アリサの方を向く。
「ケンカをしてるわけじゃないの。
 むしろケンカしたことがないの」
「あら、のろけ?」
「そうじゃなくてね」と言うと、はぁとため息をつき、
「ケンカにならないの。
 こっちが、怒っていても、相手にしないのよ。
 だって、あっちの方が大人だから、ケンカにならないのよ」
何だか悔しいなぁと、灯里はそう思う。
「アリサも、そうよね?」
灯里は、キッチンに立つ彼女を、まぶしいものを見るような目付きで
じぃっと見た。

「そうなの?」
 独身の自分には、夫婦の機微というものが、今一つ理解が出来ない。
灯里のダンナさんの久志は…
とても辺りがやわらかくて、優しそうに見える。
まるで、クッションか、クマのプーさんに出て来る、ぬいぐるみみたい…
あの人を見ると、なぜだかアリサはいつも思うのだ。
でも…実際のところは、よく考えましょ、と言われても、
特に変化もなく、それが余計に奇妙な感じがするのだ。
でも、実際の所は、よくわからないのだ。
もしかしたら、久志さんも…灯里には、違う顔を見せているのかもしれない。 
 

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