ダンナ様はエスパー？

第4章 まさかの奇跡…

４３

（きっと、ストレスなのよね？
　今、普通の身体じゃないし…）
　アリサは疲れた体をなだめるようにして、灯里のエプロンを
身に着ける。
晩御飯は…まだ、出来ていないようだ。
灯里は今、ツワリがひどいため、食べ物のニオイがダメなのだ。
どうせ、ろくなものを食べてはいないのだろう…
そうアリサは見当をつける。

「冷蔵庫を見るよ」
一応、断りを入れると
「あっ、ありがとう」
やや体をふらつかせて入って来る。
貧血なのだろうか？
「いい、いい、ちゃっちゃとやるから！
　何か食べられるものある？」
とにかく座っててよ、と灯里の方を向いた。
　だが、どうも様子がおかしい…
灯里は彼女の声が聞こえない様子で、放心状態だ。
「ね、大丈夫？気持ち悪いの？
　洗面器、取ってこようか？」
疲れたなんて、言ってられない。
親友のピンチだ。
すると「大丈夫よぉ～」
何だか頼りない声を出す。
これは、大丈夫なんかじゃないな、とアリサはため息をついた。

　一体　何があったのだろう？
まさか診察の結果が、あまり思わしくないのか？
急に心配になってきた…
何しろアリサにとっては、未知の領域だ。
ストンとカウンターの側の椅子に腰かけると、アリサの顔を見上げた。
「ね、ホントに大丈夫？」
今にも救急車を呼びそうな顔つきで、心配そうに聞くので
「大丈夫、大丈夫！
　今日は割と、調子がいい方なのよ」
ごめんねぇ～と言いながら、にっこりと笑った。
「なんだ、そうなの？」
目に見えて、ホッとした顔をするので、灯里は本当はあまり食欲は
ないけれど…
「何かチャーハンとか、簡単なものなら、食べられそうな気がする」
と付け足した。