ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第4章  まさかの奇跡…

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  あんなに知らせないで、と頼んでいたというのに、
やはりこのまま、黙っておくには忍びない…
久志はそう判断したらしく、灯里には無断で、彼女の母親と
連絡を取っていたのだ。
「やっぱり…何と言っても、初めての孫だしね」
いくら昔に何かあったとしても、全く無視するのはよくない、
と考えたようだった。
そのことは、それから数日後に、突然彼女のところにもたらされる。
そこで、小さな嵐が起きるのだが、その話はまた後程。


「ね、ちょっと、困ったことがあるの!」
 いつものように、アリサが仕事帰りに顔をのぞかせると、
待ちかねたように、灯里は彼女に訴える。
「どうしたの?何かいるものでもある?」
本当言うと、今日は疲れていたけれど、そのことはおくびにも出さず、
灯里の顔を見つめた。
「違う、違う、そうじゃなくってぇ~」
じれたように、灯里は眉間にしわを寄せる。
「じゃあ なに?夫婦喧嘩?
 それとも、お姑さん?
 外野の私には、立ち入れない問題があるんだけど…」
大体、独り身の私に、見せつけないでよ、と言いながら
部屋の中に入って行く。
「だから、ちがうちがう」
 アリサにまとわりつくようにして、灯里はじれったそうに
話しかける。
「じゃあ、何よぉ~」
ピタリと立ち止まると、カバンを持ったまま、アリサは突然
灯里を振り向いた。
「あの、もしかして…
 久志さんが、帰って来ないとか?」
そう言えば…まだよね?と部屋の奥を
のぞき込もうとしている。

「あっ、まだよ!
 今日は少し、遅くなるみたい…」
真顔になって返事をする灯里に、
「じゃあ、問題なしね!」
そう言うと…とにかく中へ入らせてよ、と
洗面所で手を洗うと、キッチンへと向かった。
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