ダンナ様はエスパー?

daisysacky

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第9章   やっぱり、あなたは…?

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「今日ねぇ~緒方さんが来たの」
 久志をうかがうように言うと
「あっ、そうなの?」
まるで…何も知らなかった、という顔をした。
(あら?気付いていたんじゃあないの?)
確か…緒方さんに、「よろしく」と言った…と聞いていたけれど、
どうも様子がおかしい。
(内緒にしてたの?)
ちょっと調子が狂う。

「あの人、いい人だよね」
だが久志は、真新しい顔をして、にこやかにそう言う。
「えぇ、そうね」
慎重に、知っていることがバレないようにと、久志の様子をうかがっていると
「えっ?それとも、何かあった?」
逆に心配する素振りをした。

 不自然な様子は、何もない…
緒方さんの言うことを、丸々信じたわけではないけれど、
だけど何となく食い違いが、気になる。
「いい人だから、困ったことがあったら、相談したらいいよ」
だが久志は笑顔を崩さずに、そう付け加えるので、
「そうね」
灯里はあえて、それ以上追及するのをやめた。

「あっ、お義母さんから、電話があったわよ」
思いだしたように、灯里が続けると
「えっ、何か言われた?」
いきなり振り返ると、心配そうに灯里を見つめる。
やはり…灯里のことが、気になるのは確かだ。
「えっ、特に何も…
 無理しないでね、と言われた」
素直に答えると
「そう?」
何か考え込む仕草をした。
 灯里が思っているよりも、久志は灯里のことを、気にかけているようだ。
「何か言われたら…すぐにボクに言って!
 ちゃんと釘をさしておくから」
何か誤解しているようだ…
「大丈夫よ」
久志さん…心配し過ぎ、と灯里は思うけれど…
「とにかく、君は余計なことを、心配しなくていい。
 お腹の赤ちゃんに、さわるよ」
灯里が持っていた荷物を、すかさず奪った。
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