368 / 462
第10章 捨てる神あれば拾う神あり
44
しおりを挟む
「あのね」
陶子さんは、急に声をひそめる。
「なぁに?」
ドキドキしながら、灯里は陶子さんを見つめる。
「私…久志さんに、あなたのこと、頼まれたのよねぇ」
フフッと小声でささやく。
まただ!
灯里はそう思う。
いつも久志が先周りをして、手回しをするのだ。
「久志さんって、ホント、よく気が付くのよねぇ」
そう言うけれど
「そうかなぁ~そんなことは全然ないよ」
久志は相変わらず、いつもの調子で言うのだ。
「あの人ね、人の事…よく見ているよね」
ある日、陶子さんが灯里に教えてくれた。
「そうですかぁ?」
それは自分でも、気付いていなかったので、意外に
感じていた。
「よく見ていたら、すぐにわかるわよ!
あの人…単によく、気がつくだけなのかもしれない」
久志のことを、口さがない人たちは、
エスパーだ、千里眼だ、と周りにヤイヤイ言っているけれど…
実は単に、よく見ているからだ、と言われてしまうと、
確かにそうなのかもしれない。
灯里はしみじみと思う。
「でも…来て欲しいのは、本当よ!
あの人がいると…安心するのよねぇ」
陶子さんが、微笑みながら言う。
「あっ、それは私も!」
思わず灯里はうなづく。
まさか陶子さんも、同じように感じているなんて…
これは嬉しい驚きだった。
「だってね!誰も気付いていないのに…
久志くんだけは、必ず気付いて、守ってくれるんだもんねぇ」
陶子さんの言葉に…久志本人はいつもそうなんだろうなぁ~
灯里はしみじみと、そう思う。
「あの人は…みんなに優しい人ですねぇ」
自分だけに、優しいわけじゃないんだ・・・
灯里は少し寂しさを感じる。
陶子さんは、急に声をひそめる。
「なぁに?」
ドキドキしながら、灯里は陶子さんを見つめる。
「私…久志さんに、あなたのこと、頼まれたのよねぇ」
フフッと小声でささやく。
まただ!
灯里はそう思う。
いつも久志が先周りをして、手回しをするのだ。
「久志さんって、ホント、よく気が付くのよねぇ」
そう言うけれど
「そうかなぁ~そんなことは全然ないよ」
久志は相変わらず、いつもの調子で言うのだ。
「あの人ね、人の事…よく見ているよね」
ある日、陶子さんが灯里に教えてくれた。
「そうですかぁ?」
それは自分でも、気付いていなかったので、意外に
感じていた。
「よく見ていたら、すぐにわかるわよ!
あの人…単によく、気がつくだけなのかもしれない」
久志のことを、口さがない人たちは、
エスパーだ、千里眼だ、と周りにヤイヤイ言っているけれど…
実は単に、よく見ているからだ、と言われてしまうと、
確かにそうなのかもしれない。
灯里はしみじみと思う。
「でも…来て欲しいのは、本当よ!
あの人がいると…安心するのよねぇ」
陶子さんが、微笑みながら言う。
「あっ、それは私も!」
思わず灯里はうなづく。
まさか陶子さんも、同じように感じているなんて…
これは嬉しい驚きだった。
「だってね!誰も気付いていないのに…
久志くんだけは、必ず気付いて、守ってくれるんだもんねぇ」
陶子さんの言葉に…久志本人はいつもそうなんだろうなぁ~
灯里はしみじみと、そう思う。
「あの人は…みんなに優しい人ですねぇ」
自分だけに、優しいわけじゃないんだ・・・
灯里は少し寂しさを感じる。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
潮に閉じ込めたきみの後悔を拭いたい
葉方萌生
ライト文芸
淡路島で暮らす28歳の城島朝香は、友人からの情報で元恋人で俳優の天ヶ瀬翔が島に戻ってきたことを知る。
絶妙にすれ違いながら、再び近づいていく二人だったが、翔はとある秘密を抱えていた。
過去の後悔を拭いたい。
誰しもが抱える悩みにそっと寄り添える恋愛ファンタジーです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる