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第1章
1話 お婆さんとの出会い
しおりを挟む2024年12月24日 19:15
街中はクリスマスイブで賑わっていた。
マリは仕事が終わり、1人寂しく帰っていた。
マリは韓国語の講師をしている。
韓国俳優のテグを好きになってから韓国に興味が湧き、必死で韓国語を勉強して講師にまでなったのだ。
テグの事が好き過ぎて、恋人も作らなくなっていた。
市内で1人暮らしをしているマリは、仕事場から歩いて帰れる距離の所に住んでいた。
今日はクリスマスイブかぁ…
チキンでも買って帰ろうかな…
マリはスーパーへ行きチキンとビールを買った。
スーパーを出ると、両手に荷物を持ったお婆さんに目が入った。
1人かな…
重そうにしてるけど大丈夫かな…
するとお婆さんが転びそうになり、マリはとっさにお婆さんの元へ駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
「えっ、ええ」
「歩いて帰られるんですか?」
「バスに乗って帰りますよ」
マリはお婆さんが持っている荷物を手に取った。
「…え?」
「お持ちします。一緒に行きましょう」
「でも…」
「大丈夫ですから。バス停まで行きましょ」
「ありがとう…」
2人はバス停まで歩き、しばらく待つとバスが来た。
「ありがとうねぇ。助かりましたよ」
「私も乗りますっ」
「え…」
マリも一緒にバスに乗った。
「お婆さん、こっちに座って下さい」
「ありがとう」
「どこで降りるんですか?」
「◯◯町だよ」
「◯◯町?そ、そうなんですね」
ちょっと遠い町だった。
「あなたは?どこに住んでるの?」
「…◯◯です」
「◯◯って⁈歩いて帰れたじゃないかい」
「…アハハ」
この子ったら私の為に…
何ていい子なの…
「あなた、お名前は?」
「マリです」
「マリ…いい名前だねぇ」
「ありがとうございます」
「それは?」
「あっ、これですか…チキンとビールです。今日はクリスマスイブなので帰って食べようと思って…」
「そうなのかい…チキンも冷めただろうに…何だか悪かったねぇ。恋人と約束してないのかい?」
「悪いだなんて…私が勝手にした事ですし。恋人は居ませんから…」
「そ、そうなのかい…」
話しているうち、あっという間に◯◯町に着き2人はバスを降りた。
「マリさん、もう家まで近いからここでいいですよ」
「家の前までお持ちします」
「マリさんはまたここから戻らないといけないっていうのに悪いねぇ…」
5分ほど歩くとお婆さんの家に着いた。
「本当にありがとう。助かったよ」
「いいえ…じゃ、私はこれで」
「ちょっと待って」
「え?」
「マリさんは、もし叶うとしたらどんな願い事をしたいかい?」
「えーっ、急になんですかぁ…」
「私はマリさんの人間性に感動したから、あなたの願い事を叶えてあげたくて…」
「アハハ、お婆さんが?」
「いいから何でも言ってごらん」
「まぁ100%叶わない事なんですけど…テグの彼女になりたいです。これが1番の叶わない願いです」
「テグって⁈」
「韓国の俳優さんです」
「あぁ、よくドラマの主演をしているテグ?」
「そうです!お婆さん知ってるんですね!」
「ドラマはよく見てるからねぇ。へぇー、マリさんはテグの事が好きなんだねぇ」
「はい。大好きです」
「わかった。本当は30日間だけど特別に90日間叶えてあげよう」
「え?何をですか?」
「90日間、テグの彼女として楽しんで来なさい」
「え?アハハ…お婆さんって面白いですね」
「この事は絶対に言わない事。言ったら相手に災難が起きるからね。90日過ぎると自分以外の人は90日間の記憶は無くなるし、それぞれ元の場所に戻るから。でも…本気になればなるほど後が辛くなるから、いい夢を見てると思って90日間楽しんで来なさい」
「お婆さん?一体何を言ってるんですか?」
「手を貸してごらん」
「えっ、は、はい…」
お婆さんはマリの手に自分の手を重ねた。
「目を瞑って」
マリが目を閉じると、青い光と共にすごい力で何かに引き込まれていった。
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