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2話 2人の接近
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翌日、久美子が部屋を片付けていると、携帯が鳴る。
電話はスジンからだった。
「も、もしもし?」
「もしもし、スジンだけど…昨日はどうも」
「あ、はい」
「明日から仕事なんだよね?今夜は何してる?」
「え…家にいますけど」
「食事行かない?早く帰すから」
「…はい。いいですよ」
「じゃ、19時に○○駅のすぐ近くにある○○レストランに来てくれる?」
「わかりました」
「もし、場所が分からなかったら電話してね」
約束の時間に久美子が店に着くと、スジンが待っていた。
「場所、すぐに分かった?」
「はい。分かりました」
ワインを頼み、スジンは水を注文した。
「スジンさんは飲まないんですか?」
「あ、うん。車だし…帰りは送るから」
「えっっ、じゃ私も飲みません」
「いいから‼︎」
「え、でも…」
「久美ちゃん、いい子だね。なんていうか気ィ使いっていうか…好きだよ、そういう子」
「……え…」
「さぁ食べよう」
スジンは、一目会ったその日から久美子に惹かれていたのだ。
「久美ちゃんは、どのくらい彼氏いないの?」
「彼氏ですかー…えーっと…3年くらいいません」
「3年⁈結構長いね。彼氏欲しくないの?」
「いい人がいれば付き合いたいけど。私自身が好きにならないとダメなんで…」
「女性は、愛される方がいいと思うけどなー」
「お互いがそうであれば一番ですね」
「そうだね」
「スジンさんはチスンさんと仲が良いって言ってたけど、同じ事務所なんですか?」
「…うん。そんなに好き?チスンのこと」
「はっ、はい♡」
「あいつ、真面目過ぎるし、仕事一筋で女には興味ないヤツだよ」
「へぇ…そうなんですね」
「過激なファンもいるしね」
「はぁ…」
2時間ほど経ち、スジンの車で送ってもらうことになった。
「家、どこ?」
「えっと、○○町です」
「○○町のどこ?番地言って、ナビに入れるから」
「あ、はい…2-5-10です」
「2-5-10っと。30分くらいで着くね」
しばらく車を走らせ、家の近くまで来た。
「あっ、そこです‼︎」
「そこ⁈分かった」
家の前に車を停めた。
「結構、年季の入ったとこに住んでるね」
「フフ、安かったんです。古いですけど意外と落ち着きますよ」
「そっか…」
「今日はご馳走さまでした」
「また、誘っていい?」
「はい。もちろん」
「本当⁈じゃまた近いうちに」
「はい。おやすみなさい。お気をつけて」
「おやすみー」
翌朝、久美子の携帯が鳴る。
ホンユからの着信だった。
「も、もしもし」
「あ、ホンユです!朝早くから申し訳ない」
「はい。おはようございます」
「おはよう!今日から仕事だったよね?」
「はい。そうですが」
「予約、必要?」
「えっ、予約ですか⁈」
「うん。早速今日、行きたいんだけど」
「私、今日からなので、どうかな…」
「ハハハ、そうだよね。夕方ちょっと寄ってみるから。場所教えてー」
「でも、今日の今日は無理かも知れないですよ」
「無理でもいいよ。とりあえず行く」
「じゃあ、メールでお店の住所送っておきますね」
その後、久美子は出勤し、早速店長に予約状況を確認した。
「今日はもういっぱいだよー」
「そうですか…」
「何で?」
「いえ、聞いてみただけです」
久美子は予約出来ないことを、ホンユにメールで伝えた。
返事は来なかったが、仕事が終わって店を出ると、ホンユが店の前にいた。
「ホ、ホンユさん⁈どうして?」
「お疲れ!とりあえず行くって言ったろ」
「そうでしたけど…」
「ね、今から飲みに行かない?」
「い…今からですか?」
「うん。そのためにタクシーで来たよ。どこかこの辺で行こうよー。あ、個室があるとこでね」
「わかりました‼︎」
(一昨日から飲み続けだなぁ…しかも有名人と…)
2人は少し歩いたところで店を見つけて入った。
飲み物と料理が来たタイミングで、ホンユが話し始めた。
「久美さんはどのくらい彼氏いないの?」
「…3年くらいいません」
「3年か‼︎彼氏欲しくないの?」
昨夜、スジンからも同じことを聞かれたのを思い出し、笑いが込み上げた。
「どうしたの?」
「いえ、実は昨日スジンさんと食事に行ったんですが…同じこと聞かれたので…」
「え…そうなの?スジンさんと食事したんだ?」
「はい…」
「ふーん」
ホンユが不機嫌そうな顔をする。
「ホンユさん?どうかしました?」
「ううん。それで、楽しかった?」
「え?まぁ…。ホンユさんとスジンさんはよく飲みに行くんですか?」
「そうだねー、家が近いのもあるし、前に一度共演してからは仲良くさせてもらってるよ。事務所は違うけどね」
「そうなんですね」
「そういえば、何度かスジンさんがチスンを連れて来て、一緒に飲んだことあるよ」
「えーっ!チスンさんお酒強いんですか?」
「強いよ」
「へぇー。会ってみたいなぁ~」
「…そんなに好き?」
「は、はい!」
「チスンは女性には興味ないよ。それに昔、過激なファンから度が過ぎることされてトラウマになってるみたい」
「そうなんですか…可哀想…私は遠くから見てるだけで十分だし、陰ながら応援します」
「うん、その方がいい。ところで久美さんは、どんな人が好みなの?」
「そうですねぇ…何事にも一生懸命で、正直で、うわべだけじゃなく心から優しい人がいいですね」
(まさにチスンのことだな…)
ホンユは心の中でそう思った。
「明日も仕事だよね?そろそろ出ようか」
「はい」
お店を出ると、2人は大通りまで歩く。
「思ったんですけど、こんなふうに私と一緒にいて大丈夫なんですか?」
「え?何で?」
「だって有名人だし、私なんかと一緒にいるところ見られたら勘違いされますよ」
「大丈夫だよ。昼間は変装するけど、夜は案外バレないよ」
「そうですか…?」
「久美さんって優しいね。また食事付き合ってくれる?」
「はっ、はい」
ホンユは久美子を軽く抱きしめると、タクシーを拾い帰って行った。
(なっ、何だったの…今の…)
電話はスジンからだった。
「も、もしもし?」
「もしもし、スジンだけど…昨日はどうも」
「あ、はい」
「明日から仕事なんだよね?今夜は何してる?」
「え…家にいますけど」
「食事行かない?早く帰すから」
「…はい。いいですよ」
「じゃ、19時に○○駅のすぐ近くにある○○レストランに来てくれる?」
「わかりました」
「もし、場所が分からなかったら電話してね」
約束の時間に久美子が店に着くと、スジンが待っていた。
「場所、すぐに分かった?」
「はい。分かりました」
ワインを頼み、スジンは水を注文した。
「スジンさんは飲まないんですか?」
「あ、うん。車だし…帰りは送るから」
「えっっ、じゃ私も飲みません」
「いいから‼︎」
「え、でも…」
「久美ちゃん、いい子だね。なんていうか気ィ使いっていうか…好きだよ、そういう子」
「……え…」
「さぁ食べよう」
スジンは、一目会ったその日から久美子に惹かれていたのだ。
「久美ちゃんは、どのくらい彼氏いないの?」
「彼氏ですかー…えーっと…3年くらいいません」
「3年⁈結構長いね。彼氏欲しくないの?」
「いい人がいれば付き合いたいけど。私自身が好きにならないとダメなんで…」
「女性は、愛される方がいいと思うけどなー」
「お互いがそうであれば一番ですね」
「そうだね」
「スジンさんはチスンさんと仲が良いって言ってたけど、同じ事務所なんですか?」
「…うん。そんなに好き?チスンのこと」
「はっ、はい♡」
「あいつ、真面目過ぎるし、仕事一筋で女には興味ないヤツだよ」
「へぇ…そうなんですね」
「過激なファンもいるしね」
「はぁ…」
2時間ほど経ち、スジンの車で送ってもらうことになった。
「家、どこ?」
「えっと、○○町です」
「○○町のどこ?番地言って、ナビに入れるから」
「あ、はい…2-5-10です」
「2-5-10っと。30分くらいで着くね」
しばらく車を走らせ、家の近くまで来た。
「あっ、そこです‼︎」
「そこ⁈分かった」
家の前に車を停めた。
「結構、年季の入ったとこに住んでるね」
「フフ、安かったんです。古いですけど意外と落ち着きますよ」
「そっか…」
「今日はご馳走さまでした」
「また、誘っていい?」
「はい。もちろん」
「本当⁈じゃまた近いうちに」
「はい。おやすみなさい。お気をつけて」
「おやすみー」
翌朝、久美子の携帯が鳴る。
ホンユからの着信だった。
「も、もしもし」
「あ、ホンユです!朝早くから申し訳ない」
「はい。おはようございます」
「おはよう!今日から仕事だったよね?」
「はい。そうですが」
「予約、必要?」
「えっ、予約ですか⁈」
「うん。早速今日、行きたいんだけど」
「私、今日からなので、どうかな…」
「ハハハ、そうだよね。夕方ちょっと寄ってみるから。場所教えてー」
「でも、今日の今日は無理かも知れないですよ」
「無理でもいいよ。とりあえず行く」
「じゃあ、メールでお店の住所送っておきますね」
その後、久美子は出勤し、早速店長に予約状況を確認した。
「今日はもういっぱいだよー」
「そうですか…」
「何で?」
「いえ、聞いてみただけです」
久美子は予約出来ないことを、ホンユにメールで伝えた。
返事は来なかったが、仕事が終わって店を出ると、ホンユが店の前にいた。
「ホ、ホンユさん⁈どうして?」
「お疲れ!とりあえず行くって言ったろ」
「そうでしたけど…」
「ね、今から飲みに行かない?」
「い…今からですか?」
「うん。そのためにタクシーで来たよ。どこかこの辺で行こうよー。あ、個室があるとこでね」
「わかりました‼︎」
(一昨日から飲み続けだなぁ…しかも有名人と…)
2人は少し歩いたところで店を見つけて入った。
飲み物と料理が来たタイミングで、ホンユが話し始めた。
「久美さんはどのくらい彼氏いないの?」
「…3年くらいいません」
「3年か‼︎彼氏欲しくないの?」
昨夜、スジンからも同じことを聞かれたのを思い出し、笑いが込み上げた。
「どうしたの?」
「いえ、実は昨日スジンさんと食事に行ったんですが…同じこと聞かれたので…」
「え…そうなの?スジンさんと食事したんだ?」
「はい…」
「ふーん」
ホンユが不機嫌そうな顔をする。
「ホンユさん?どうかしました?」
「ううん。それで、楽しかった?」
「え?まぁ…。ホンユさんとスジンさんはよく飲みに行くんですか?」
「そうだねー、家が近いのもあるし、前に一度共演してからは仲良くさせてもらってるよ。事務所は違うけどね」
「そうなんですね」
「そういえば、何度かスジンさんがチスンを連れて来て、一緒に飲んだことあるよ」
「えーっ!チスンさんお酒強いんですか?」
「強いよ」
「へぇー。会ってみたいなぁ~」
「…そんなに好き?」
「は、はい!」
「チスンは女性には興味ないよ。それに昔、過激なファンから度が過ぎることされてトラウマになってるみたい」
「そうなんですか…可哀想…私は遠くから見てるだけで十分だし、陰ながら応援します」
「うん、その方がいい。ところで久美さんは、どんな人が好みなの?」
「そうですねぇ…何事にも一生懸命で、正直で、うわべだけじゃなく心から優しい人がいいですね」
(まさにチスンのことだな…)
ホンユは心の中でそう思った。
「明日も仕事だよね?そろそろ出ようか」
「はい」
お店を出ると、2人は大通りまで歩く。
「思ったんですけど、こんなふうに私と一緒にいて大丈夫なんですか?」
「え?何で?」
「だって有名人だし、私なんかと一緒にいるところ見られたら勘違いされますよ」
「大丈夫だよ。昼間は変装するけど、夜は案外バレないよ」
「そうですか…?」
「久美さんって優しいね。また食事付き合ってくれる?」
「はっ、はい」
ホンユは久美子を軽く抱きしめると、タクシーを拾い帰って行った。
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