真実【完結】

真凛 桃

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20話 予想外の失敗

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土曜日。
とうとうその日がやってきた。

時刻は14時。
開始時間は15時だ。

公園の周りにはファンクラブの応募を落選した人たちで溢れかえっていた。
サイン会をする長テーブルの後ろに車を停めて、車内でチスンとマネージャーは待機していた。


「30分前になると10名は1列に並びます。言われた通り、パクジヘは1番最後の10番にしました」

「ナイフは色紙の下に置いてくれた?」

「はい。置きました」

「俺が刺されて周りがパクジヘを取り押さえたら、マネージャーはすぐ警察に電話してくれ」

「救急車は?」

「上手くかわして軽く刺されるから大丈夫」

「本当に…大丈夫ですか?」

チスンはシャツのボタンを開き、厚く巻いたサラシをマネージャーに見せた。

「万が一の為、厚く巻いた。よっぽど強く刺されない限り大丈夫だから」

「わかりました」

 
30分前になり、10人が並び始めた。

マネージャーとチスンはクルマの中から様子を見ていた。
2人は1番後ろに並ぶ女を見る。


「パクジヘ…いますね」

「…うん」

平気な顔をしているパクジヘの姿を見て、チスンは怒りが込み上げてきた。

「チスンさん…大丈夫ですか?」

「…うん」



15時になり、チスンとマネージャーは車から降りるとテーブルの前に立った。

チスンの登場で、ファンはキャーキャー騒ぎ出した。


チスンは順番に1人ずつ会話をしながら、握手とサインをする。

パクジヘの為に集めた9人のファンを利用する形になって申し訳ないと、心の中で謝っていた。

とうとうパクジヘの順番が回ってきた。
チスンは必死で怒りを抑え、笑顔を作った。


「今日は数多くの応募の中から当選され、おめでとうございます」

「はい。すごく幸せです」

チスンは周りに聞こえないよう小声でパクジヘに話しかけた。

「僕のこと、そんなに好きなんですか?」

「もちろんです」

チスンは会話で誘導していく。

「ファンの方はみんなそう言います」

「私はみんなと違います」

「みんなと違うとは?」

「誰にも負けないくらい、私が1番チスンを愛しています」

「アハハ…僕のことあまり知らないのに」

「いいえ。私、誰よりもチスンを理解しています」

「誰よりも?」

「はい」

「僕の彼女よりも…ですか?」

「え…?」


パクジヘが興奮状態になってきているのが分かり、チスンは色紙の下からナイフを取り出すと握手をするふりをしながらパクジヘにナイフを渡した。

「え⁈こ、これは…?」

「僕のこと本当に好きなら証拠を見せて下さい」

「ど、どういうことですか⁈」

「そのナイフで僕を刺したら信じます」

「なっ何言ってるんですか‼︎」

「本気です…」

「そ、そんな…」

「パクジヘさん…僕の好きな女性のタイプ知ってますか?」

「は、はい。自分をちゃんと持っていて、思いやりがある人ですよね」

「それは前の話です。今は僕の言うことを何でも聞いてくれる人です」

「…何でも…?」

「刺せないんですね。僕の彼女なら…」

「イヤーッ!!!」



え…


パクジヘは思い切りチスンの胸を刺し、チスンはかわす間もなくその場に倒れた。


「チスンさん!!」

マネージャーの叫び声で周りは大騒ぎになり、パクジヘは取り押さえられた。

マネージャーは救急車を呼び、チスンの胸から流れ出す血を必死で押さえた。



チスンは意識がないまま救急車で病院に運ばれた。



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