真実【完結】

真凛 桃

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38話 すれ違う気持ち

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約束の日曜日、美容室に久美子とジスンを迎えに行ったチスンは、2人を車に乗せて自宅に向かった。


「本当にチスンの家に行くんだね」

「うちがいいんでしょ?」

「うん!!」


チスンのマンションに着きリビングに入ると、部屋中に可愛らしい飾り付けがしてあり、ジスンがはしゃぎまくる。


「これ全部1人でやったの⁈」

「うん。これぐらいしか出来なかったけど」

「チスン、ありがとう!」

テーブルにはたくさんの料理が並べてあった。

「うわー、おいしそー」

「本当に美味しそうだねー。よかったね、ジスン」

「うん!お腹空いたー」

「食べよっか。あ、その前に…」

チスンはケーキを取り出し、ロウソクに火をつけた。

「わーい、ケーキだー!」

「チスン、ケーキまで準備してくれたの?」

「少し早いけど…ジスン、願い事をしながらロウソクの火を消すんだよ」

「願い事?」

「そう。こうなりたいとか、欲しい物とか何でもいいよ」

ジスンは声に出して言った。


「お兄ちゃんがアタシのパパになって、毎日一緒にいられますように」

「ジスン…」

「これがアタシの願い事‼︎」


チスンの目から涙が溢れていた。


「お兄ちゃんどうしたの⁈」

チスンは慌てて顔を隠した。


「何か目に入ったみたい…ちょっと顔洗ってくる。あと着替えてくるよ」


チスンは嬉しさと切なさが込み上げて涙が出てきたのだ。


「ジスン、そんなにお兄ちゃんのことが好き?」

「うん。大好き!」

「でもね、お兄ちゃんはパパじゃないのよ。困らせたらダメ」

「…だってぇ」

そこにチスンが笑顔で戻ってきた。


食事を終え、チスンはジスンにプレゼントを渡す。

プレゼントはパジャマだった。


「かっわいいー!ジスンよかったね」

「うん!お兄ちゃんありがとう‼︎」

「何がいいか分からなかったから、とりあえず今日着て寝るパジャマにした」

「今日?着て寝るって⁇」

「泊まって行って」

「え…」

「やった~!お兄ちゃんと寝れるーっ」

「ジスン、一緒にお風呂入ろっか」

「うん!!」

チスンはジスンを連れて浴室へ行った。


お風呂上がりに着たジスンのパジャマ姿を見て、久美子は思わず笑顔になる。


「クミも入っておいでよ」

チスンはスウェットの上下を久美子に渡した。

「…うん」


久美子は湯船に浸かり、色々考えていた。


私…
何やってるんだろ…
いったい何がしたいの…?

これじゃチスンのこと忘れられなくなる…



3人は前回と同じようにベッドに入った。

ジスンは直ぐに寝てしまったが、チスンと久美子はなかなか寝付けなかった。 


「ちょっと飲もっか」

「うん」  

2人はソファーに座りビールを飲む。


「今日は本当にありがとう」

「こちらこそ。無理言ったのに来てくれてありがとう」

「そんな…」

「クミ。今も好きだよ、クミのこと!」

「えっ」

「だから幸せになって欲しい。もちろんジスンにも。例えホンユの子でもね」


せめて、クミがホンユと結婚するまで…
俺に出来ることをさせて欲しい…


チスンは心の中で思う。


久美子はグッと涙を堪えた。


「今になって言えるけど、あの時はお互い自分を責めてばかりで…相手に迷惑かけたくないって気持ちが強すぎたよね」

「…うん。そうだね」

「だから別れたんだよね?これからは自分を責めずに後悔しないようにね」


確かにそうだった…
チスンと私は自分より相手優先だった…

迷惑かけたくない気持ちが強すぎて…
結果こうなって…
後悔して…

久美子は改めて思った。


「ホンユとは俺たちみたいになって欲しくないから」


久美子はとうとう涙を流してしまった。


「クミ、どうした⁈」

「何だか…自分が嫌になって…」

「嫌になったって?」

「…本当、自分に腹が立つ…」


涙を流す久美子に、チスンは優しくキスをした。


「ホンユには内緒だよ」


久しぶりのキスに2人はドキドキが止まらなかった。



久美子はチスンの言う通り、後悔しないようにしようと強く心に誓った。






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