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40話 再出発
しおりを挟むこの日、久美子とジスンはチスンの家に泊まった。
チスンを真ん中にして3人で並んで寝た。
翌朝、久美子が目を覚ますと隣にジスンは寝ているが、チスンの姿がなかった。
リビングに行くと、スーツに着替えを済ませたチスンがいた。
「クミ、おはよう」
「おはよう。仕事?」
「うん。話があるみたいだから、ちょっと事務所に行って来るね」
「わかった。私、今日は休むから」
「うん。そこまで遅くならないと思うから部屋の中は自由に使って。今後のことは帰ってから話そう」
チスンはそう言うと、久美子のおでこにキスをして仕事に出掛けた。
久美子は店長に電話をかけた。
「もしもし、店長。おはようございます」
「おはよう。クミちゃん、どうしたの?」
「今日、休ませてもらいたいんですが…」
「どうしたの?体調悪いの?」
「いえ…実は今、チスンのマンションにいるんです」
「チスンさんの⁈え?どうして⁈」
「昨日、全て話しました。ジスンのことも…」
「そ、そうなの⁈」
「チスンは知ってました…」
「え⁈知ってたの⁈」
「ホンユさんから、チスンは全て知ってるって聞いて…居ても立ってもいられなくなったから、チスンに会いに行ったんです」
「それで⁈」
「チスンとやり直すことにしました。詳しいことはまた明日話します」
「わかった!今日はそんなに予約入ってないし、こっちは大丈夫だから」
「すみません。店長、ありがとうございます」
お昼過ぎ、久美子はジスンを連れて買い物に行った。
家に着替えを取りに帰り、チスンの部屋で夕食の準備をして帰りを待っていると、18時過ぎにチスンが帰って来た。
「おかえり‼︎」
「パパー!おかえりなさい」
「…ただいま♡」
ジスンはチスンに飛びついた。
夕食を終え、ジスンが寝静まった頃チスンと久美子はリビングでくつろいでいた。
「ジスンの部屋、作らないとね!」
「ここにいていいの?」
「もちろんだよ。必要な物は明日にでも取りに行こう」
「ありがとう」
「それから今日事務所に行ったら監督が来てて、ドラマが決まった。来週から撮影に入るよ」
「本当⁈チスンはもちろん主演だよね?」
「そうだけど。あまりクミに観て欲しくないかも…」
「どうして?」
「…不倫のドラマだから…」
「え…」
「こういう系統のドラマは引き受けたくなかったけど、監督から頭下げられて…でもベッドシーンはないってことだから」
「そ、そっか。過激なシーンは無いってことね?」
「…はい」
「キスは…ある、よね?」
「…うん。でも軽くするから」
「相手は?」
「クミは知らないと思う…」
「そう…まぁ正直に話してくれたし、仕事だから仕方ないよね。うん、わかった。私は観ないけど」
「ありがとう。ドラマの撮影が終わったら落ち着くから、お互いの親に会いに行って結婚しよう」
「うん♡」
翌日、チスンが店までジスンを迎えに来てくれたので久美子は店長と飲みに行った。
「今日は忙しくてゆっくり話す時間がなかったですが、昨日は急に休ませてもらって…ありがとうございました」
「いいのよ。それにしてもよかったね!」
「はい‼︎」
「ジスンのこと、ホンユさんがチスンさんに話したの?」
「いいえ…チスンはDNA鑑定したみたいです」
「そこまでしたの⁈何か感じてたんだろうね。でもホンユさんはチスンさんが気付いてるって知ってたんだ?黙ってたんだね…」
「はい…私、ホンユさんにはハッキリ断りました」
「…そっかぁ。まぁでもこれで本当の親子で一緒にいられるんだね!結婚は?するんでしょ?」
「はい。チスンのドラマ撮影が入るので、それが終わったら」
「チスンさん、ドラマ決まったんだね!あ~これでやっとクミちゃんも幸せになれるね!よかった‼︎」
店長は自分のことのように喜んでくれた。
2人はしばらく飲んで帰った。
「ただいまー」
「おかえり」
「ジスンは?」
「さっき寝たよ」
「チスン、今日はジスン迎えに来てくれてありがとう」
「うん。楽しく飲めた?」
「うん!私、シャワー浴びて来るね」
「はーい」
シャワーを浴び終えた久美子は、チスンと飲み直す。
「ドラマ撮影のことだけど、2ヶ月位で終わると思うから」
「2ヶ月?もっとかかると思ってた」
「今回は長くないドラマだから」
「そっか」
「終わったらまず、クミの実家に行こう。いいかな?」
「うん!ジスンにも会わせたいし」
「ジスン、会わせたことないの?」
「うん…日本には帰ってないから」
「そっか。俺がちゃんと説明するからね。帰国したら俺の実家に行って、直ぐに記者会見する」
「記者会見?…そっか、チスンは有名人だもんね」
「2ヶ月後は忙しくなるなー」
「前にチスンのご両親に会ったことあるけど…大丈夫かなぁ」
「ホンユがクミを彼女って言ったから?」
「知ってたの?」
「うん…大丈夫。事情はきちんと説明するし、分かってくれるよ」
「だといいけど…」
「式は…」
「式は急がず、いつか出来たら挙げよう」
「…そうだね」
「あ~いよいよチスンと夫婦になるのかぁ♡」
「とりあえず撮影が終わってからだな~」
そう言うとチスンは、ジスンが眠っているのを確認しに行った。
「クミ!寝室に行こう♡」
2人は3年ぶりに愛し合った。
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