真実【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
57 / 76

57話 諦め

しおりを挟む

翌朝、チスンはひどい頭痛で目が覚めた。

寝ている2人を起こさないように着替えると、マネージャーに連絡して迎えに来てもらって家を出た。


「チスンさん、頭痛いんですか⁈」

「うん…だからクミに気付かれないように急いで出て来た」

「薬は?」

「飲んだけど、効き目がなくなってきてる…」

「どうします?今日は撮影出来そうですか?」

「うん…少し休めば大丈夫」

「わかりました。それと私、これから日本に行きます。今夜の最終便でこっちに戻って来ますので、チスンさんを今から現場に送ったら空港に向かいますね」

「え…日本に何しに?」

「チスンさんの病気に詳しい人がいるので、ちょっと会いに行って来ます。私は諦めていませんから」

「…マネージャー、ありがとう。でも無理しないで。俺も色々当たったけど、ここまで進行してるからもう厳しいみたいだよ」

「ただ今回は凄腕と呼ばれている医者に直接会って来ますので、まだ分かりませんが大丈夫のような気がするんです」

「直接会うのなら、今日中に返事はわかるんだね」

「はい。夜にでも連絡します」


チスンは期待するしかなかった。


この日のドラマ撮影は何事もなく順調に終わった。


チスンはタクシーでマンションに帰り、3人で食事をしているとマネージャーから電話が入った。
別の部屋で電話を取った。


「もしもし、マネージャー」

「はい、お疲れ様です」

「どうだった?」

「…それが」

「…無理だったんだね?」

「すみません…」

「謝らないでよ。俺の為にわざわざ日本まで行ってくれてありがとう」

「今日お会いした方にも、手術出来る病院を探してもらうように頼んでますので」

「…マネージャー、もういいよ。俺の為に時間使わないで。もういいから」

「嫌です。もういいとか言わないで下さい」

「…明日は自分の車で現場に行くから、迎えはいいからね」

「え…」

「たまには自分の車にも乗ってあげないと!」


電話を切った瞬間、チスンはその場に座り込んだ。


しばらくしてチスンは気持ちを切り替え、リビングに戻った。


「仕事の電話?」

「うん…ジスン、久しぶりに一緒にお風呂入ろうか」

「うん♡」

「えっ、チスンもう食べないの?」

「ごめん。残しちゃったね。もうお腹いっぱい…」


チスンは食欲も徐々になくなってきていた。


チスンとジスンは湯船に浸かって話す。


「ジスン、大きくなったら何になりたい?」

「んーとねー、パパのお嫁さん‼︎」

「アハハ…パパのお嫁さんかー」

「アタシが大きくなっても、ずーっとパパといるんだもん」


ジスン…


「ママもいるでしょ?」

「うん…パパもママもずっと一緒にいる」

「ジスン、ママを守ってやるんだよ。困らせたりしたらダメだよ」

「うん」

「ジスンはいい子だから、パパは心配してないけど。もしママが辛くて苦しんでいることがあれば、ジスンが支えてあげてね。ジスンが笑っていればママも元気になれるから」

「うん。でもパパは?パパはママを支えないの?」

「…もしパパがお仕事で帰って来られない日があった時だよ」

「そっか。うん、わかった!パパがいない時はジスンがママを支える!」

「ジスン!本当にジスンはいい子だねー!」



この日の夜、久美子とジスンが眠っている横で、チスンは悩みに悩んである決断をした。



翌朝、チスンは久しぶりに自分の車で撮影現場に向かい、途中でホンユに連絡をして夕方会う約束をしていた。



撮影が終わり、チスンはホンユとの待ち合わせ場所へ向かった。








しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25) 「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」 ◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20) 「京都案内しようか?今どこ?」 再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。 「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」 「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」

エモパレ ―感情が見えるぽっちゃりな私が、オジさま副局長を無自覚なまま搦め捕るまで―

久乃亜
恋愛
前世の記憶を持つぽっちゃり看板娘ハルネは、 人の「感情の色」が視える魔眼『エモパレ』と、持ち前の経営手腕で、実家の香房を切り盛りしていた。 そんなある日、とある事件から、 オジさま――第二調査局副局長、通称「鬼のヴァルグレイ」に命を救われ、 ハルネの理想のオジさま像に、一瞬で恋に落ちる。 けれど、彼がハルネに告げたのは、愛の言葉ではなく ――理不尽な『営業停止』の通告だった!? 納得いかないハルネは、自らの足と異能で犯人を追い詰めることを決意する。 冷徹で無表情な彼だが、なぜかハルネに同行し、過保護なまでに手伝ってくれて……? 「人生2週目」のポジティブぽっちゃり娘と、不器用な冷徹最強騎士が織りなす、 お仕事×捜査×じれじれの初恋溺愛ファンタジー! ※ 第1部(1~3章)完結済み。 毎日投稿中

課長のケーキは甘い包囲網

花里 美佐
恋愛
田崎すみれ 二十二歳 料亭の娘だが、自分は料理が全くできない負い目がある。            えくぼの見える笑顔が可愛い、ケーキが大好きな女子。 × 沢島 誠司 三十三歳 洋菓子メーカー人事総務課長。笑わない鬼課長だった。             実は四年前まで商品開発担当パティシエだった。 大好きな洋菓子メーカーに就職したすみれ。 面接官だった彼が上司となった。 しかも、彼は面接に来る前からすみれを知っていた。 彼女のいつも買うケーキは、彼にとって重要な意味を持っていたからだ。 心に傷を持つヒーローとコンプレックス持ちのヒロインの恋(。・ω・。)ノ♡

一億円の花嫁

藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。 父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。 もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。 「きっと、素晴らしい旅になる」 ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが…… 幸か不幸か!? 思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。 ※エブリスタさまにも掲載

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

恋は襟を正してから-鬼上司の不器用な愛-

プリオネ
恋愛
 せっかくホワイト企業に転職したのに、配属先は「漆黒」と噂される第一営業所だった芦尾梨子。待ち受けていたのは、大勢の前で怒鳴りつけてくるような鬼上司、獄谷衿。だが梨子には、前職で培ったパワハラ耐性と、ある"処世術"があった。2つの武器を手に、梨子は彼の厳しい指導にもたくましく食らいついていった。  ある日、梨子は獄谷に叱責された直後に彼自身のミスに気付く。助け舟を出すも、まさかのダブルミスで恥の上塗りをさせてしまう。責任を感じる梨子だったが、獄谷は意外な反応を見せた。そしてそれを境に、彼の態度が柔らかくなり始める。その不器用すぎるアプローチに、梨子も次第に惹かれていくのであった──。  恋心を隠してるけど全部滲み出ちゃってる系鬼上司と、全部気付いてるけど部下として接する新入社員が織りなす、じれじれオフィスラブ。

溺愛ダーリンと逆シークレットベビー

吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。 立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。 優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?

処理中です...