真実【完結】

真凛 桃

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57話 諦め

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翌朝、チスンはひどい頭痛で目が覚めた。

寝ている2人を起こさないように着替えると、マネージャーに連絡して迎えに来てもらって家を出た。


「チスンさん、頭痛いんですか⁈」

「うん…だからクミに気付かれないように急いで出て来た」

「薬は?」

「飲んだけど、効き目がなくなってきてる…」

「どうします?今日は撮影出来そうですか?」

「うん…少し休めば大丈夫」

「わかりました。それと私、これから日本に行きます。今夜の最終便でこっちに戻って来ますので、チスンさんを今から現場に送ったら空港に向かいますね」

「え…日本に何しに?」

「チスンさんの病気に詳しい人がいるので、ちょっと会いに行って来ます。私は諦めていませんから」

「…マネージャー、ありがとう。でも無理しないで。俺も色々当たったけど、ここまで進行してるからもう厳しいみたいだよ」

「ただ今回は凄腕と呼ばれている医者に直接会って来ますので、まだ分かりませんが大丈夫のような気がするんです」

「直接会うのなら、今日中に返事はわかるんだね」

「はい。夜にでも連絡します」


チスンは期待するしかなかった。


この日のドラマ撮影は何事もなく順調に終わった。


チスンはタクシーでマンションに帰り、3人で食事をしているとマネージャーから電話が入った。
別の部屋で電話を取った。


「もしもし、マネージャー」

「はい、お疲れ様です」

「どうだった?」

「…それが」

「…無理だったんだね?」

「すみません…」

「謝らないでよ。俺の為にわざわざ日本まで行ってくれてありがとう」

「今日お会いした方にも、手術出来る病院を探してもらうように頼んでますので」

「…マネージャー、もういいよ。俺の為に時間使わないで。もういいから」

「嫌です。もういいとか言わないで下さい」

「…明日は自分の車で現場に行くから、迎えはいいからね」

「え…」

「たまには自分の車にも乗ってあげないと!」


電話を切った瞬間、チスンはその場に座り込んだ。


しばらくしてチスンは気持ちを切り替え、リビングに戻った。


「仕事の電話?」

「うん…ジスン、久しぶりに一緒にお風呂入ろうか」

「うん♡」

「えっ、チスンもう食べないの?」

「ごめん。残しちゃったね。もうお腹いっぱい…」


チスンは食欲も徐々になくなってきていた。


チスンとジスンは湯船に浸かって話す。


「ジスン、大きくなったら何になりたい?」

「んーとねー、パパのお嫁さん‼︎」

「アハハ…パパのお嫁さんかー」

「アタシが大きくなっても、ずーっとパパといるんだもん」


ジスン…


「ママもいるでしょ?」

「うん…パパもママもずっと一緒にいる」

「ジスン、ママを守ってやるんだよ。困らせたりしたらダメだよ」

「うん」

「ジスンはいい子だから、パパは心配してないけど。もしママが辛くて苦しんでいることがあれば、ジスンが支えてあげてね。ジスンが笑っていればママも元気になれるから」

「うん。でもパパは?パパはママを支えないの?」

「…もしパパがお仕事で帰って来られない日があった時だよ」

「そっか。うん、わかった!パパがいない時はジスンがママを支える!」

「ジスン!本当にジスンはいい子だねー!」



この日の夜、久美子とジスンが眠っている横で、チスンは悩みに悩んである決断をした。



翌朝、チスンは久しぶりに自分の車で撮影現場に向かい、途中でホンユに連絡をして夕方会う約束をしていた。



撮影が終わり、チスンはホンユとの待ち合わせ場所へ向かった。








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