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68話 さよならチスン
しおりを挟むそれから2日後、いつも通りホンユが様子を見に来て、お昼前に帰って行った。
その後、久美子は1通の手紙を持ってジスンとバスに乗り、海に行った。
「うわーっ!海だー!」
「ジスンは海に来るの、2回目だね」
「うん。前にパパと行ったよね。楽しかったな~」
「そうだね…」
ジスンは砂浜を走り回った。
久美子は岸辺に座り、海を眺めていた。
チスン…
私とジスンを見てくれている?
今日はね…お別れに来たよ。
ジスンと、もうすぐ生まれてくる子と3人で前向いて行くよ。
チスン…
今まで本当にありがとう。
いつか私もそっちへ行くから、待っててね。
それまで、さようなら
久美子はチスンへの感謝の気持ちを綴った手紙を海に流した。
もう私、泣かないからね…
(えっっ…⁇)
久美子は後ろを振り向いた。
チスンがいるような感じがしたのだ。
いるはずない…
チスン、近くで見守ってくれてるんだね…
海を後にした帰り、ジスンを連れて久しぶりに店長に会いに美容室に行った。
「クミちゃんっ‼︎ジスンも‼︎」
「店長!お久しぶりです‼︎」
「お姉ちゃーん‼︎」
「本当に久しぶりー。お腹も大きくなってー!」
「もう、いつ生まれてもいい位です」
「そうなのー?えっ?今日は?」
「ジスンと海に行って来たんですが、久しぶりに店長に会いたくなって、寄りました!」
「そうだったんだ!嬉しい!まぁ座って!」
「はいっ」
「ジスンも一段と可愛くなっちゃって~」
「ヘヘヘッ」
「幸せそうだね!」
「まっ、まぁ…」
「チスンさんは?今日、仕事?」
「そ、それは…」
「パパはお仕事で遠いとこに行ってるよ」
「そ、そうなの?もうすぐ子供生まれるのに?近いうちに帰って来るんでしょ?」
「パパ、忙しくてまだ帰って来ないみたい」
「えーっ⁈チスンさんは家庭を優先する人だと思ってた」
「ジスン、ちょっとあっちで本読んでおいで」
「はぁーい」
「クミちゃん?」
「店長…実は、チスンはもういないんです」
「え?いないって…どういうこと?」
「チスンはガンで余命宣告されてて、私とジスンから去って行きました。悲しませたくなかったんだと思います」
「う、嘘でしょ…余命宣告って…」
「長くて1年って言われてて、もうすぐ1年経つから…」
「し…信じられない。連絡もないの⁈」
「…はい。だから今日、海に行ってチスンとお別れして来ました」
「で、でもテレビでニュースにもならないし…あのチスンだよっ。何があったらニュースになるでしょ⁈」
「チスンは誰にも知られないように、遠くへ行ったんだと思います」
「そ、そんな…」
「私はもう大丈夫です。ジスンと生まれてくる子と3人で幸せになります」
「1人で大丈夫?」
「大丈夫です」
「生活…苦しくならない?」
「チスンが残してくれてたから、多分一生暮らせますよ」
「そっか…でも、そんなことになってたなんて…クミちゃん、辛かったね…」
「もう断ち切りましたから!それに店長の顔見てもっと元気になりました」
「クミちゃん…」
「じゃ、そろそろ帰りますね」
「クミちゃん、いつでも連絡してね。いつでも力になるし、協力するから」
「店長…ありがとうございます!」
久美子とジスンは店長と別れ、マンションに帰った。
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