Pure love 〜純粋な恋愛〜【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
36 / 45

36 和の決意

しおりを挟む

この日の夜、和は眠れなかった。


「陸さん…起きてます?」

「ん?どした?」

「明後日の土曜…どこか行きません?」

「いいよ。どこ行く?」

「僕がプラン立てときます」

「わかった。ありがとう」

「陸さん…」

「ん?」

「いいえ、何でもありません」

「何だよ。ほら…もう寝るぞ」


陸は和を抱きしめた。


「1人の時は寒かったけど…2人で同じ布団に入ると暖かいな」

「…そうですね」

「おやすみ…和」


陸は和の頬にキスをした。


「…おやすみなさい」


陸さんにこれ以上迷惑かけたくない…
その為に…僕が出来ることをしないと…


和は眠っている陸を見ながら心の中でそう思った。


翌日、陸は朝から外回りだった。

和が会社に着くと広川が和のとこへやって来た。


「お前、今日ずっと内勤かよ」

「…はい」

「よく来れるな。恥ずかしくないのかよ」

「おい、広川どけっ!」

「何だよ安井っ」

「いいかげんにしろ」

「お前っ、こいつのカタ持つのかよっ」

「うるさいっ、あっち行けっ」

「わかったよ。あー、ムカつく!」

「大村、大丈夫か?」

「安井さん…どうして」

「朝一、佐田から電話あってさ…自分は今日会社に戻れないから大村のこと頼むって言われた」

「あ…」

「今日はオレも内動だから安心しろ。昼はどこか食べに行くか?」

「あのっ…安井さん…ちょっと聞きたいことがあるんですが」

「何だ?」


周りを見るとみんな白い目で和を見ていた。


「あっ…いや…お昼に話します」


そして昼、2人は近くの定食屋に行った。


「お前とこうして2人でランチするの初めてだな」

「そうですね」

「ところで聞きたいことって何だ?」

「あの…部長って今日本社に行ってるみたいですけ戻って来られるんですかね?」

「戻ってくると思うけど遅いだろうな。どうして?」

「あっ…いや…ちょっと聞きたいことあって」

「部長も来週の役職会議のことで今忙しいからな~本社行ってるのも会議のことでだろうし…多分戻ってくるの21時過ぎるんじゃねーの?」

「そうですか。あのっ…部長がいない時いつも会社に最後までいるの誰ですか?」

「オレがいる時は…オレだけど?」

「本当ですか?よかったっ」

「え?よかったって何だよ」

「あのっ…今日僕、部長を待ってるので残っててもいいですか?」

「え、別いいけど…部長何時に戻るかわからないぞ」

「大丈夫ですっ。僕、溜まってる仕事もあるし1人で会社にいます」


そうして和はみんな帰った後1人で会社に残っていた。


あっ…陸さんに連絡しないと…


「あ、もしもし陸さん」

「もしもし和…もう家か?オレもうちょっとで着くから」

「あの…僕ちょっと今日用事があって遅くなります」

「え…そうなの?用って…?」

「ちょっと…学生の時の友達と会って…飲みに行ってきます」


仕事が溜まって会社にいるって言ったら…
陸さんは手伝いに来るはず…


「そっか、わかった」

「遅くなるかもしれないので先に寝てて下さい」

「…うん。わかった」

「じゃ…」 

「あっ…和っ!明日オレたち…その…デート…するんだよな」

「はいっ」

「わかったっ‼︎楽しみにしてるよ。じゃ…あんまり飲みすぎんなよ」

「はい」


陸さん..嘘ついてごめんなさい…


電話を切った後、和は自分のやるべきことを始めていた。
刻々と時間は過ぎていき時計を見ると23時をまわっていた。


えっ…もう23時か…
部長遅いな…本当に戻ってくるのかな…


するとドアが開き、部長が戻って来た。


「大村っ?」

「お疲れ様です」

「電気ついてるから誰かと思ったら…まだいたのか⁈」

「はい…部長を待ってました」

「オレを?何で?」

「ちょっとお話しがありまして」

「話って何だ?」

「来週、役職会議があるんですよね?」

「ああ」

「佐田先輩、役職つきそうですか?」

「多分…難しいと思う」

「それは…自分が関係してますよね?」

「…ああ。本社にもお前たちの噂が広がってて社長の耳にも入ってた。今日それで遅くなったんだが」

「佐田先輩は何も悪くありません。僕が一方的に…あの写メだって…佐田先輩は嫌がってたのに僕が無理失理手を握ったんです」 

「え、そうなのか?」

「はい。僕が一方的に好きなだけで付き合ったりなんかしてませんので」

「えっ…でも佐田はお前と付き合ってるって認めたって広川が言ってたぞ」

「それは…佐田先輩優しいから僕を傷付けないように言ったんだと思います。本当に付き合ってません」

「だが…」

「部長っ…これ」


和は退職届を部長に渡した。


「受理して下さい‼︎」

「おっ…お前っ」

「僕が辞めたら佐田先輩、役職つけますよね?もう先輩にも会社にも迷惑かけたくないんです」

「お前はそれでいいのか?」

「はい。もう決めましたので」

「でもなぁ…」

「疑いが晴れて僕がいなくなれば会社も元通りになると思います。今、佐田先輩も周りから白い目で見られてるし…何も悪くない佐田先輩が可哀想です」

「それもそうだけど」

「残りの仕事は全部終わらせてますので急で申し訳ないんですが今日付けで辞めさせて下さい」

「、、、、」

「佐田先輩やみんなに迷惑かけてしまったのでクビにしたって伝えてもらっていいです。社長にも全て僕のせいだったとお伝え下さい」

「お前は本当にそれでいいのか?」

「はい」

「そうか…」

「お願いします‼︎」

「…わかった」


これでいいんだ…
これで…









しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

龍の無垢、狼の執心~跡取り美少年は侠客の愛を知らない〜

中岡 始
BL
「辰巳会の次期跡取りは、俺の息子――辰巳悠真や」 大阪を拠点とする巨大極道組織・辰巳会。その跡取りとして名を告げられたのは、一見するとただの天然ボンボンにしか見えない、超絶美貌の若き御曹司だった。 しかも、現役大学生である。 「え、あの子で大丈夫なんか……?」 幹部たちの不安をよそに、悠真は「ふわふわ天然」な言動を繰り返しながらも、確実に辰巳会を掌握していく。 ――誰もが気づかないうちに。 専属護衛として選ばれたのは、寡黙な武闘派No.1・久我陣。 「命に代えても、お守りします」 そう誓った陣だったが、悠真の"ただの跡取り"とは思えない鋭さに次第に気づき始める。 そして辰巳会の跡目争いが激化する中、敵対組織・六波羅会が悠真の命を狙い、抗争の火種が燻り始める―― 「僕、舐められるの得意やねん」 敵の思惑をすべて見透かし、逆に追い詰める悠真の冷徹な手腕。 その圧倒的な"跡取り"としての覚醒を、誰よりも近くで見届けた陣は、次第に自分の心が揺れ動くのを感じていた。 それは忠誠か、それとも―― そして、悠真自身もまた「陣の存在が自分にとって何なのか」を考え始める。 「僕、陣さんおらんと困る。それって、好きってことちゃう?」 最強の天然跡取り × 一途な忠誠心を貫く武闘派護衛。 極道の世界で交差する、戦いと策謀、そして"特別"な感情。 これは、跡取りが"覚醒"し、そして"恋を知る"物語。

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

【完結】口遊むのはいつもブルージー 〜双子の兄に惚れている後輩から、弟の俺が迫られています〜

星寝むぎ
BL
お気に入りやハートを押してくださって本当にありがとうございます! 心から嬉しいです( ; ; ) ――ただ幸せを願うことが美しい愛なら、これはみっともない恋だ―― “隠しごとありの年下イケメン攻め×双子の兄に劣等感を持つ年上受け” 音楽が好きで、SNSにひっそりと歌ってみた動画を投稿している桃輔。ある日、新入生から唐突な告白を受ける。学校説明会の時に一目惚れされたらしいが、出席した覚えはない。なるほど双子の兄のことか。人違いだと一蹴したが、その新入生・瀬名はめげずに毎日桃輔の元へやってくる。 イタズラ心で兄のことを隠した桃輔は、次第に瀬名と過ごす時間が楽しくなっていく――

義兄が溺愛してきます

ゆう
BL
桜木恋(16)は交通事故に遭う。 その翌日からだ。 義兄である桜木翔(17)が過保護になったのは。 翔は恋に好意を寄せているのだった。 本人はその事を知るよしもない。 その様子を見ていた友人の凛から告白され、戸惑う恋。 成り行きで惚れさせる宣言をした凛と一週間付き合う(仮)になった。 翔は色々と思う所があり、距離を置こうと彼女(偽)をつくる。 すれ違う思いは交わるのか─────。

旦那様と僕

三冬月マヨ
BL
旦那様と奉公人(の、つもり)の、のんびりとした話。 縁側で日向ぼっこしながらお茶を飲む感じで、のほほんとして頂けたら幸いです。 本編完結済。 『向日葵の庭で』は、残酷と云うか、覚悟が必要かな? と思いまして注意喚起の為『※』を付けています。

処理中です...