Pure love 〜純粋な恋愛〜【完結】

真凛 桃

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最終話 始まり

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1ヵ月後、陸はスーツケースを持って宮崎へ行った。
日南のホテルに着いてチェックインした後、和の働くカフェに向かった。

20時過ぎ、カフェの近くで待っていると和がお店から出て来た。

和は陸に気付いて立ち止まった。


「和…」

「えっ?どうして…何してるんですか?」

「ちょっと時間くれないか?話がしたい…」

「迷惑だって言ったはずです‼︎帰って下さい」

「いいから来い‼︎」

「ちょっと…離して下さいっ」


陸は和の手を強く掴み砂浜へ行った。

和は陸の手を振り払った。


「大体…何やってるんですか⁈こんな所まで来て‼︎」

「お前とやり直したいんだ。一緒に東京帰ろう」

「ムリです!」

「何でだよ」

「僕はここに移住するって決めたんです。だから僕のことなんか忘れて仕事に専念して下さいっ」

「会社は辞めた」

「…え」

「もう辞めたからいいんだ」


辞めた…?
陸さん…何言ってんだ…


「だから」

「嘘でしょ?嘘ですよね?」

「何でいちいち嘘つかなくゃいけないんだよ。先月いっぱいで辞めたからもうお前は気にしなくていい!」

「、、、、」

「和…だから一緒に戻ろう。オレ仕事探すし金のことなら心配しなくていい。貯金もそこそこあるし…仕事が決まるまでそれで…」

「バカじゃないですかっっ?」

「は?」

「せっかく役職ついたのに辞めたなんて。本当呆れます」

「オレたちの為だよ‼︎」

「オレたちの為?それで僕が喜ぶとでも思ったんですか⁈」

「おいっ!和っ」


僕がどんな思いで陸さんから離れたか…


「僕の気持ちは無視なんですか?」

「だって…お前も今でもオレのこと」
 
「え、何言ってるんですか?僕はもうあなたのことなんて好きじゃないし」


コイツ…何でそんな嘘を…


「本当にこうして来られると迷惑なんです」

「じゃあこれ何だよ‼︎」


陸は和の襟をめくりネックレスを握った。


「えっ」

「この前つけてたの見えたけど、ずっとつけてるんだな。オレのこと忘れられないんだろ?今でも好きだからネックレスつけてるんだよな⁈」

「こっ…これはたまたまです。好きじゃありません」

「嘘つけっ‼︎」

「本当ですっ。そっ…そういえば、これあなたからもらった物でしたね。忘れてました。捨てます」


和はネックレスを外して投げ捨てた。


「おっ…お前っ」

「すみません。勘違いさせてしまって。じゃ帰ります。あなたも早く東京に戻って下さい」

「おい!ちょっと待てよ‼︎」

「まだ何か」

「本当にもう東京には戻らないんだな?」

「はい」

「ずっとここにいるんだな?」

「はい‼︎」

「わかった…」

「じゃあ…」


陸は和のことを引き留めず、しばらく砂浜に座り込んで星空を見つめていた。


そっか…和は…
東京に戻らずにずっとここに住み続けるのか…
それにしてもアイツ…ネックレスどこに投げたんだっ⁈


陸は暗闇の中、砂浜を探しまわった。


翌朝、陸は東京に戻り仕事帰りの安井をマンションに呼んだ。
陸は一通り昨日のことを安井に話した。


「じゃフラれて帰ってきたってことか」

「オレは諦めないけどね」

「マジかよ。あんまりしつこかったらストーカーだぞっ」

「わかってるよ。だけどアイツ…本心を言ってるように思えないんだ。ネックレスつけてたのだってたまたまとか言うし」

「まぁ…そうだけど。じゃあまた会いに行くのか」

「うん」

「そっか。それよりさっきから気になってたんだけど…そこの詰み上げたダンボール何?」

「あ…これ?必要な荷物を入れてるんだよ」

「…ん?」

「ここ…引き払うんだ」

「引き払うって。ここ出て引っ越すのか?」

「…うん」

「あの…まさかとは思うけど…どこに引っ越すつもり?」

「宮崎…」

「うわ…マジかよ‼︎」

「アイツは東京に戻らないって言うし…あっちに移住するってだから」

「だからってヨリが戻った訳でもないのに。やめとけっ!」

「でもさ~今日色々と調べたけど…この広さのマンションだとあっちではここの家賃の半分なんだぜ。まぁちょっと交通の便とか悪いから仕方ないけど。車が必要だから持って行かないとなっ…ってことは…ここから車で行った方がいいな。うわ…何時間くらいかかるんだっ?」

「お前…本気か」

「本気だよ。バカだろ?プライドも何もない。本当何やってんだろうな…オレ」

「本当だよ。昔はプライドの固まりだったのに…ヨリ戻る確信ないのによくそこまでできるよな?」

「アイツのこと信じてるから」

「信じてるからって…」

「たとえヨリ戻せなくても…オレがとった行動は後悔しない」

「…佐田がそこまで言うなら別にいいけど。仕事はどうするんだ?こっちより仕事探すの大変なんじゃないか?まぁ職種選ばなければあるだろうけど」

「職種は…変わらずアパレル系するよ」

「そうなのかっ…まぁ経験あるからいいとは思うけど…厳しいと思うよ」

「わかってる。雇われるつもりはない」

「え?」

「自分で会社を立ち上げるよ」

「マジかっ⁈おっ…お前本気でそんなこと言ってんのか⁈大変だぞ!金だって…」

「金なら貯金があるから大丈夫。1から1人で立ち上げるのは簡単なことじゃないことは十分わかってる。だけどやってみせるよ。和に自信持って堂々と会う為にも…」

「本っ当…お前って奴は…スゲーよ」

「スゴくないよ」

「でも日南かぁ。雰囲気的にすごくいいとこだし好きだけど…会社を立ち上げるとなると大変だろうな」

「安井…日南に行ったことあるのか?」

「ああ。母の実家だからよく知ってる」

「マジで?それ早く言えよって」

「ごめんごめん。あっちに知り合いの不動産屋いるから…事務所と住むとこはオレに任かせてよ」

「本当かっ?マジ助かるっ…安井!ありがとうっ」


陸は思わず安井に抱きついた。


「うわーっ!離れろって…オレはそっちの気ないからっ」

「はいはい…わかりました」

「いつから日南に行く予定だ?」

「来月中には…行こうと思ってる」

「じゃ、それまでに不動産屋の知り合いに物件探してもらっとくよ」


そして新しく住むマンションと事務所の物件が決まった。
2週間後、陸は車で15時間かけて日南に行った。


住み始めて1ヶ月後の夕方、事務所にいると安井が突然やって来た。


「安井っ?うわっ!びっくりしたー」

「よっ」

「どっ…どうしたんだ?こんなとこまで来て!仕事はっ?!」

「会社が早めに盆休みに入ったからさ。こっちに墓参りついでに寄ってみた」

「あっ…盆休みかっ」

「つーか…何もないし。デスクとパソコンだけかよ」

「あ…ほとんどに営業に回ってるからな」

「てか…大丈夫か?顔死んでるゾ…」

「…あ…そっかぁ?」

「あんまり寝てないんだろ」

「まぁな…営業回るにしても距離が離れてるから帰りつくのが遅くなってさ…」

「だろうな。で…今日は営業に行かず何してたの?」

「効率よくしようと思って電話でアポ取ってた」

「なるほど…取れないだろ?」

「ああ。やっぱ顔見えないから電話でアポ取るのは難しいわ。明日からまた営業回るよ」

「大変だろうけどそっちの方がいいかもな」

「いつまでこっちにいるの?」

「今日は叔母の家に泊まって明日帰るよ」

「そっか。本当はこれからでも飲みに行きたいけどちょっと調子悪くてな。また次に来た時でも行こう」

「調子悪いって…どうした?」

「ここ最近…胃が痛くて…大したことないから」

「薬はあるか?あまり酷かったらちゃんと病院行けよ」

「うん」

「あ…ところで大村の働いてるカフェって海沿いのTカフェか?」

「えっ…そうだけど何で知ってるの?」

「言っただろ。オレ日南詳しいから。ただ聞いてみただけだから気にすんな」

「ああ…」

「こっちに引っ越してから全然会いに行ってないのか?」

「うん。まず会社が軌道に乗らないと行けない…」

「そっか…佐田、体に気をつけろよ」

「…うん」

「元気じゃないと仕事出来ないぞ!」

「わかってる」

「何か助けて欲しいことあったら言えよ」

「ありがと」

「じゃ行くよ。次は年末にこっち来る予定だからまた来るよ。その時はお前の家に泊まらせろよ」

「わかった。その時までには取引先も増やして会社らしくしとくよ。今日は来てくれてありがとう」

「あまり無理すんなよな!」


そして陸の事務所を出た安井はタクシーを捨い、そのまま和の働くカフェに向かった。

カフェに着くと安井は中へ入って行った。


「いらっしゃいま…せ…えっ?安井さんっ…」

「よう!久しぶり」

「どっ…どうして…」

「お前に会いに来た」

「え…」

「何時まで?」

「…20時ですが」

「あと1時間ちょっとか。ここで待ってるからアイスコーヒーちょうだい」

「えっ…は…はいっ」


20時過ぎて和の仕事が終わると2人は近くの居酒屋に行った。


「元気だったか?」

「…はい」

「オレが突然来たから驚いただろ」

「…はい」

「もしかして佐田から頼まれてオレがお前を説得しに来たとでも思ってるか?」

「いいえ。陸さんはそんな人じゃありませんので」

「アイツのことよくわかってるんだな」

「でも…どうしてこんなとこまで来られたんですか?」

「あー…オレの母親の実家が日南でさ。墓参りに来たんだよ」

「そうだったんですね」

「それと…佐田にも会いにな」

「え?」

「佐田…今どこにいると思う?」

「どこって…東京じゃないんですか?」

「ここから車で15分のとこだよ」

「えっ?どういうことですか⁈」

「アイツ、東京のマンション引き払ってこっちに越してきたんだよ」

「えっ…じょ…冗談でしょっ…」

「本当だよ。1ヵ月前からね」


和は驚きすぎて言葉が出なかった。


「お前…こっちに移住するんだろ?」

「…は…い」

「だからだよ」

「だからって…そんなっ」

「それだけお前のこと好きなんだよ」

「でも…僕はもう陸さんのことなんて…」

「お前…それ本音か?」

「…っていうか僕がどんな思いで陸さんと別れたか…陸さんの為に僕は…」

「お前っ‼︎いい加減にしろよっ!」


えっ…


「佐田はどうなるんだよ‼︎お前が会社のこと気にしてるからって…アイツは会社まで辞めて全て捨ててこんなとこまで来て」

「それは…陸さんには僕のことで仕事を失って欲しくなかったし…僕だけ辞めても付き合い続ければまたどこで見られるかわからないし。だから僕は…」

「ふーん。勝手だな」

「それに…僕には両親はもういないけど陸さんはちゃんと家族がいるし…いずれは別れないといけなかったんです」

「それはお前が思ったことだろ。佐田の気持ちは無視かよ」

「それは…」

「まぁ…そんなことはいいけどまだお前…佐田のこと好きなんだろ?」

「、、、、」

「黙ってるってことはそうなんだな」

「…そんなんじゃ…」

「アイツ…1ヵ月前からこっちに住んでるのにどうしてお前に会いに来ないと思う?」

「それは…前に僕がもう来ないで下さいって言ったからです…か」

「違う。今の状態ではお前に自信持って会えないからだ」

「…自信?」

「アイツ自分で会社立ち上げたんだ」

「えっっ⁈陸さんがっ?」

「ああ…軌道に乗るまでお前に会いに行くのを我慢してる」

「何の…会社…ですか?」

「またアパレル系だよ」

「そう…ですか」

「今日事務所に行ってきたけど全部1人でやってるし大変そうだったよ。胃も悪くしてる…」

「えっ…胃を悪くしてるんですかっ⁈」

「何だよ…心配か?」

「まぁ…」

「大村…素直になれよ。前はすごい素直で可愛かったのに…あの頃の大村はどこ行った?」

「自分でもよくわからないんです」

「いいじゃないかそれで。ただハッキリしてるのはお互い好き合ってるってこと」

「、、、、」

「2人がよければ周りのことなんか気にしなくていいんじゃないの?何か言ってきたりお前らに偏見もつ奴とか無視しとけ。お前は気にしすぎなんだよ。まぁ…それだけ佐田のこと思ってなんだろうけどな」

「あの…僕どうしたら…」

「待つしかないんじゃねーの?どっちにしろ会社が安定しないとお前に会いに来ないから」

「…ですよね」

「もう一度聞く。佐田のことまだ好きなんだろ?」

「、、、、」

「大村っ…ハイは⁈」

「…ハイ」

「よーし。いい子だ」

「あの…陸さんどこに住んでるんですか?」

「それは…教えない。勝手に教えたら怒られるしな。それに今日だってオレがお前に会いに来たこと知らないし」

「そうですか」

「でも…会社だけ教えてやる。RK社だ」

「RK…?」

「陸のRと和のKだろう。アイツもわかりやすいよ」

「、、、、」

「ネットで掲載されてるけど…行ったりするなよ」

「行きませんよ。ただ…協力できることは影ながらしたいです」

「マジか?」

「はい。カフェの常連さんでアパレル会社してる人がいるんですが顔広そうだし…」

「めっちゃいいじゃん。それで少しでも早く会社が軌道に乗って1日でも早く会いに来てくれたらいいな」


2時間ほど経ち2人は店を出て別れた。


まさか…
何もかも捨てて陸さんがこっちに来てたなんて…
全然知らなかった…
そこまで僕の為に思い切った行動とってくれたのに…僕は…

陸さんごめんなさい…


陸の会社が動き始めたのは1週間後からだった。
話を聞きたいという大手の業者からの1本の電話から始まり、それから取引先もスムーズに増えていった。
陸はあまりの嬉しさに安井に連絡した。


「もしもし安井っ」

「おお。どうした?声が明るいけど」

「宮崎市内のCN社って知ってるか?」

「知ってるよ。アパレルでも大手だからな」

「そこと取引きしたんだよっ」

「マジか⁈」

「もう…びっくりだよ。向こうから連絡きてさぁ。そのおかげで取引先も増えて軌道に乗ってきたよ」

「スゴいなっ!」


安井は和の協力だとすぐにわかった。


「1年は覚悟してたけど…まさか3ヶ月ちょっとでここまでなるとは思わなかった」

「本当だな」

「安井…ありがとう」

「オレは何も…」

「いいや…色々と…ありがとな」


何だ…その意味深な言い方…


「安井さぁ…この前こっち来た時まっすぐ叔母さんの家に帰った?」

「えっ…うっ…うん。どうして…?」

「ううん…ただ聞いてみただけっ」

「それよりさぁ…これで大村に会いに行けるな。いつ会いに行くの?今日?明日?」

「まだ自分の力で頑張らないと。自分が納得したら会いに行くよ」

「自分の力…?どっ…どういうこと?」

「まぁ…そういうこと。じゃこれから営業行くから切るよ」

「あっ…うん」


佐田…もしかしてオレが大村のとこに行ったこと気づいたのか…?
それでオレが陸の会社のこと話して大村が手助けしたこと…
カフェの常連って言ってたし…バレたのかっっ??


ビンゴだった。
常連の人が口を滑らせて和のことを話したのだった。
陸は嬉しかったが自分の力では何も出来てないことが許せず、しばらくは忙しいにも関わらず空いた時間には営業に回りハードな日々を送っていた。


更に1ヵ月後、陸は頑張った甲斐もあり新規の取引先がかなり増えていた。


そしてこの日、和に会いに行こうと決めた陸はカフェに行った。


20時過ぎに従業員が出て来て陸に気付いた。


「あっ…店長の知り合いの方ですよね?前に来られましたよね?」

「あ…はい。この前はどうも」

「店長、ここにはいませんよ」

「えっ…どうして」

「海にいます。そのうち戻ってくると思いますけど。1日おきくらいに20時前になると海に行かれてます」

「何で海なんか…」

「何かを失くしたみたいで…探しに行ってます。よっぽど大事な物なんでしょうね」


まさかっ…


「そこの海?だよね?」

「はい」

「わかった。ありがとう」


陸はこの前の海へ走って行った。
すると暗い中、携帯のライトを照らしながら歩いている和がいた。

陸は立ち止まり、しばらく和を見ていた。


こんな真っ暗な中…何やってんだよ…アイツ…
探しても見つかるはずないのに…


胸が苦しくなってきた陸は和の方へ向かって行った。


「和っ!」

「えっっ」

「お前…何やってんだ?」

「陸さんっっ⁈」

「探してるの…これだろ?」


陸はネックレスを和に渡した。


「どっ…どうして陸さんが…」

「誰かさんがオレの前でこのネックレスここで投げ捨てたからな~あの後探したんだよ」

「陸さん…」

「え?」


和の目から涙が溢れ出していた。


「陸さん…ごめんなさい…本当に…ごめんなさい」

「もういいから泣くな」


陸は和を抱きしめた。


「もう…2度と離さないからな」

「はい…」

「何があろうと離さないぞ」

「はい。何があろうと離れません」

「和…」


一気に力が抜けた陸はその場に座りこんだ。


「陸さんっ?どうしたんですかっ?」

「安心したのと疲れで力が一気に抜けた…」

「大丈夫ですかっ⁈」

「大丈夫じゃない。オレん家何もないからお前の家に連れて行け」

「えっ…ぼ…僕の家ですかっ。じゃタクシー呼びます」


そしてタクシーで和が住むマンションに向かった。


「あっ、運転手さんっ…ここです」


タクシーを降りマンションを見上げると陸は思わず立ち止まった。


「ここです」


うっ…嘘だろ…


「行きましょ」

「うっ…うん。何階だ?」

「5階です」

「そっ…そっか」

「何号室?」

「502ですけど」

「わかった。後で行くっ」

「えっ、どこ行くんですかっ」

「いいから部屋で待ってろ」


15分後、和の家に陸が入ってきた。


「ええっ…その格好…」

「部屋着に着替えてきた」

「どっ、どこで⁈」

「和…スゴいこと教えてやろうか」

「なっ、何ですか?」

「オレの住んでるとこ…このマンションの701号」

「えっ⁈うっ…嘘でしょっ⁈」

「本当‼︎オレも驚いたよ。まさか同じマンションだったなんてっ‼︎」

「スッ…スゲー!」

「マジでスゴいよ。前のマンションも一緒だったし…こういうことってあるんだな」

「びっくりしすぎて震えが止まらないんですけど」


すると和の震える手を陸は優しく握った。


「落ち着いた?」

「…はい」

「何か…全てが嬉しい」

「僕もです」

「やっとお前とゆっくり話せる…」

「陸さんに辛く当たってすみませんでした」

「本当だよ…結構傷ついたんだからなー」

「…すみません」

「でも…信じてたから。お前が言ってたこと本音じゃないって…だろ?」

「はい。こっちへ来てからもずっと陸さんのこと忘れられませんでした…」

「和…これからは深く考えるな。オレを悲しませるな」

「はい…」

「オレも和を悲しませないから!」

「陸さん…」

「それと仕事の件…ありがとな」

「えっ?」

「CN社だよ。お前が話してくれたんだろ」

「あっ…バレてたんですね…」

「うん。お前が手助けしてくれたってわかった時…嬉しい反面、自分が情けなく思えて。もっと早くお前に会いに行きたかったけど…どうしても自分の力で何とかしたかったから…少し時間がかかった」

「そう…でしたか…何か余計なことしてごめんなさい」

「ううん…助かったよ。お前の助けがなかったらここまで軌道に乗ってないだろうし…オレも空回りしてたと思う。ありがとう」

「いいえっ…」

「おかげで嬉しいことに1人じゃ大変になってしまってさ…人を雇おうと思ってる」

「そうなんですかっ」

「本当は和を誘いたいけど…お前…店長だもんな」

「やりますっ‼︎陸さんの下で働かせて下さい‼︎」

「えっ、本当にっ?でもカフェはいいの?」

「店長代理でしたので。元々の店長はもうすぐ戻ってくるので大丈夫ですっ」

「えっ…じゃ…オレと一緒に…」

「陸さんの会社で頑張りますっ‼︎」

「マジかよっ!和っ…スッゲー嬉しいっ‼︎」

「僕もまた陸さんと働けて嬉しいですっ‼︎」


陸は嬉しさのあまり和の髪の毛をクシャクシャにした。


「んも~やめて下さいよぉ~」

「オレ…今日にここに泊まるっ」

「いいですよっ」

「てゆーか、一緒に住みたいっ」

「えっ」

「今度はオレがここに引っ越す。どうせオレの部屋には何もないし…」

「陸さん…」

「ダメ?」

「いいえっ。もちろんOKですっっ!」

「和~!オレたちはずっと一緒だからなっ」

「はいっ!!」

「好きだよっ…和!」

「僕もですっ!」



そして2人はここからまた始まった…











               ~完~







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