1 / 102
第1章
1話 結婚記念日
しおりを挟む2月14日
この日はスミと裕二の3回目の結婚記念日だった。
特に食事に行く約束はしていないが、1年目と2年目の時はスミの手料理とケーキを用意して2人で祝っていたので、今年もスミは手の込んだ料理を作って裕二の帰りを待っていた。
夫の裕二は会社の社長をしている。
普段は20時には帰宅するが、今夜は22時を過ぎても連絡がなかった。
スミは裕二に電話した。
「もしもし、裕二?」
「あっ、もしもしスミ」
「今どこ?」
「えっ、い、今?まだ会社だけど」
「えっ?会社?」
「ちょっと部下がやらかして。今日は遅くなりそう」
「遅くなるって、何時位?」
「んー、日付変わりそうだから先に寝てて」
「えっ、だって今日は…」
裕二は電話を切った。
え…
もしかして今日が結婚記念日ってこと忘れてるの?
昨年までは急いで帰って来てくれたし、花束もくれてたのに…
ガッカリしたスミは並べていたお皿を片付けた。
そんな事も知らずに裕二は、自分の秘書のアキとホテルに居た。
「奥さん?」
「うん」
「何だって?」
「帰りが遅いから、どこに居るのだって」
「それで会社だって言ってたのね。もしかして今日はバレンタインだから何か用意してたんじゃない?」
「俺はアキからのだけで充分だよ」
「本当~?私だけを愛してる?」
「当たり前だろっ」
「じゃあ今日は朝まで一緒に居て」
「それは無理だよ。帰らなきゃ」
「えーっ」
「明日また会社で会えるだろ」
「そうだけど、会社ではイチャイチャ出来ないし」
「じゃ、もう1回イチャイチャしよう」
「キャハハッ」
2人は再びベッドに潜り込んだ。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
21
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる