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第2章
65話 クズはクズ
しおりを挟む翌日、秘書は取引先の件で黒川専務と会っていた。
「どういう事?買収しない上に取引先まで返すって」
「それが実は…柳本グループは柳本社長の会社じゃなく柳本社長の奥さんの会社だったんです」
「えっ⁈それ本当か⁈」
「はい。だから買収できなくて」
「…知らなかった」
「もっと早くわかっていれば、社長も会長とあんな約束しなかったのに…」
「約束って?」
「買収できなかったら離婚しないって会長と約束されてるんです」
「え…じゃあもう柳本の奥さんとは…」
「いいえ。プライド捨てて会長に再度お願いするみたいです」
「でも会長はもう聞いてくれないだろ」
「そう思います。その時は社長…会社辞める覚悟です」
「えっ⁈嘘だろ…そこまでして…」
「僕もどうしたらいいか…」
「今すぐ地曽田グループに戻りたいけど…柳本社長は何か裏がありそうで探りたいんだ」
「でも社長がもう何もしなくていいと黒川専務に伝えるように言われたんですが」
「柳本社長の奥さんの会社だとわかった以上、会社には非がないようにする。あくまで個人的に柳本社長が許せないだけだから」
「わかりました。僕も柳本社長のことは許せませんので個人的な調査は続けるつもりです」
「何かわかった事はあるのか?」
「多分…女がいます」
「マジか…とことんクズだな」
「ですね。あ…それと取引先の件ですが、今日で元々柳本グループの取引先はうちとの取引きを止めました。かなり皆さんご立腹でしたが…なので後はそちらでよろしくお願いします」
「柳本社長の喜ぶ姿思い浮かべるとあまり気が乗らないけど社長の指示なら…わかったよ」
「ありがとうございます。ではそろそろ会社に戻りますね。また何かありましたら連絡します」
「ああ。社長を頼むぞ」
2人はそれぞれの会社に戻った。
全ての会社と再取引きをした専務は、裕二に報告をしに行った。
「全部戻ってきたのかっ⁈」
「…はい」
「そうか…わかった」
専務が出て行くと裕二は立ち上がり両手を上げた。
「ヒャッホ~ッッ」
地曽田の野郎、とうとうスミの会社だという事を知ったんだなっ‼︎
これで地曽田は離婚できず、スミが戻って来るのは時間の問題だな…
今まで以上にコキ使ってやる‼︎
覚えてろよ!
ハハハハハ…いい気味だ!!
ドアの外にいた専務は裕二の高笑いが聞こえ悔しくてたまらなかった。
ご機嫌な裕二はふとアキのことを思い出した。
そういえばアキ元気かな~久々に…
でもあの女…結局は俺を金として見てたんだ…
いや、でも久々にアキとヤリて~な~
裕二は思い切ってアキに電話をかけた。
「もしもし?」
「あっ…アキ!久しぶり」
「え?どちら様ですか?」
「はっ?俺だよ!裕二!」
「…あっ…」
「何?俺の番号消したの⁈」
「…うん」
「ひでーなー。元気だった?久しぶり会わない?」
「私…」
「え?アキも久しぶりに俺に抱かれたいだろ?」
「私、結婚したから」
「え⁈アキ結婚したの⁈」
「だからもう電話しないで」
「でもそれとこれとは別じゃん。会お~よ。久しぶりにアキと燃えたいな~」
「…相変わらず…クズね」
そう言ってアキは電話を切った。
「おいっ!アキ⁈アキ‼︎」
ったく何だよ‼︎ゲス女!!
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