プラグマ2 〜永続的な愛〜【完結】

真凛 桃

文字の大きさ
17 / 110

17話 忘れないと…

しおりを挟む

それから5日間は専務がスミの運転手となった。
6日後の朝、スミが家を出ると秘書が待っていた。


「社長、おはようございます」

「おはよう…」

「休んでご迷惑をおかけしました」

「いいのよ。少しは落ち着いた?」

「はい。今日からまた頑張ります」

「無理しなくていいからね」

「大丈夫ですっ」


この子…元気に振る舞ってるけど…
本当は寂しいはず…
お父さんもいなかったなんて…


スミは秘書を見る目が変わった。


会社に着いて社長室に入り、スミが脱いだコートをハンガーに掛けようとすると秘書がコートを取った。


「あ…ありがとう」

「あっ…」


秘書はスミの背後に回るとブラウスの襟に触れた。


「えっ?」


コンコン…


「失礼します」


突然専務が入って来た。
2人の姿を見た専務は慌てて下を向いた。


「襟がめくれてますよ」

「あっ…ありがとう」


襟を直してあげると秘書はスミから離れた。


「専務、どうしましたか?」

「あの…えっと…あれ?何だったかな…」

「え?」

「すみません。何の用だったか忘れました…思い出したらまた改めます」


そう言うと専務は出て行った。


「何か誤解されちゃいましたかね…」

「大丈夫よ」



そしてこの日、専務は久しぶりにシュンと飲む約束をしていた。
仕事を終えた専務は地曽田家に行った。


「会長はいらっしゃるんですか?」

「隣の家にいるよ」

「ご挨拶した方がいいですよね」

「いいよ。食事中だろうし」

「…そうですか」

「ウイスキーでいい?」

「はい」

「はい、どうぞ」

「いただきます」


しばらく2人は静かに飲んだ。


「あの社長、色々と手助けして下さってありがとうございました」

「俺はそんな…」

「いえ、社長のおかげです。会社も順調に上向きに行ってますし」

「それはよかった」

「…社長も頑張っています」

「そっか…」

「あの本のおかげだって言ってましたよ。毎日繰り返し読んでるみたいです」

「…そっか」

「社長…失礼なこと聞いていいですか?」

「何?」

「ずっと1人でいるつもりですか?」

「、、、、」

「社長?」

「うん…女は作らない」

「それは…まだ…」

「…そうだよ」


専務は深く息を吐いた。


「どうやったら忘れられるんだろ…」

「それは…新たな恋愛しか…」

「それしかないよね…でも好きにならないと付き合えない…」

「あの…今うちの会社に秘書の男の子がいるんですが…」

「へぇー」

「スミさんといい感じかも知れません」

「…え」


はっきりした事ではないが、専務はシュンの為に思ったことを口に出すとシュンの顔色が変わった。


「そ…そうなんだ…」

「多分ですが…」

「若いの?」

「スミさんより10歳下です」

「10歳下?マジか…」

「心配するような人じゃありません。素直でいい子です」

「…そう」


シュンは平気なフリをしていたが内心ショックを受けていた。


「だから社長も…」

「よかったよ。いい人が現れたなら。俺はスミが幸せならそれでいいし…」

「社長…」

「さぁ、飲もう!」

「はっ…はい」
 

長年シュンを見て来た専務は無理に笑っているシュンに気付いていた。


それからスミの話は一切せず、たわいもない話をして2時間が経ち専務は帰って行った。


シュンはしばらく1人でソファーに座りスミのことを考えていた。


もう…忘れないとな…








しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁

瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。 彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。

Emerald

藍沢咲良
恋愛
教師という仕事に嫌気が差した結城美咲(ゆうき みさき)は、叔母の住む自然豊かな郊外で時々アルバイトをして生活していた。 叔母の勧めで再び教員業に戻ってみようと人材バンクに登録すると、すぐに話が来る。 自分にとっては完全に新しい場所。 しかし仕事は一度投げ出した教員業。嫌だと言っても他に出来る仕事は無い。 仕方無しに仕事復帰をする美咲。仕事帰りにカフェに寄るとそこには…。 〜main cast〜 結城美咲(Yuki Misaki) 黒瀬 悠(Kurose Haruka) ※作中の地名、団体名は架空のものです。 ※この作品はエブリスタ、小説家になろうでも連載されています。 ※素敵な表紙をポリン先生に描いて頂きました。 ポリン先生の作品はこちら↓ https://manga.line.me/indies/product/detail?id=8911 https://www.comico.jp/challenge/comic/33031

【完】瓶底メガネの聖女様

らんか
恋愛
伯爵家の娘なのに、実母亡き後、後妻とその娘がやってきてから虐げられて育ったオリビア。 傷つけられ、生死の淵に立ったその時に、前世の記憶が蘇り、それと同時に魔力が発現した。 実家から事実上追い出された形で、家を出たオリビアは、偶然出会った人達の助けを借りて、今まで奪われ続けた、自分の大切なもの取り戻そうと奮闘する。 そんな自分にいつも寄り添ってくれるのは……。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】

iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。 小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

~春の国~片足の不自由な王妃様

クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。 春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。 街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。 それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。 しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。 花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??

二度目の初恋は、穏やかな伯爵と

柴田はつみ
恋愛
交通事故に遭い、気がつけば18歳のアランと出会う前の自分に戻っていた伯爵令嬢リーシャン。 冷酷で傲慢な伯爵アランとの不和な結婚生活を経験した彼女は、今度こそ彼とは関わらないと固く誓う。しかし運命のいたずらか、リーシャンは再びアランと出会ってしまう。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

処理中です...