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19話 会いたくなかった
しおりを挟むパーティー当日、スミと秘書は会場へ向かった。
中へ入ると大勢の人が招待されていた。
「すごい人ですねっ。何か緊張してきました」
「大丈夫よ。中田秘書は何も話さず私の横に居ればいいから」
「はい…それにしても社長、綺麗ですねっ」
「もう。いいから行くわよ」
「はいっ」
会場のスタッフが2人にシャンパンを渡した。
「あ…ありがとうございますっ」
「酔わない程度で飲んでよ」
「わかってますっ」
2人が飲んでいると中年の男性がスミの前に現れた。
「どうも」
「どうも。こんにちは」
男性はスミのことを上から下までじっくりと見ていた。
「失礼ですが、どちらの会社ですか?」
「柳本グループです」
「柳本グループ…さん…?私は大石グループの取締役をしています」
2人は名刺の交換をした。
「まだ若いのに取締役されてるんですね。よろしくお願いします。ではまた」
「こちらこそよろしくお願いします」
話を終えると大石社長は他のところに挨拶しに行った。
「何かあの人、いやらしい目で社長を見てました…」
秘書は不機嫌そうにしていた。
「あの人とか言わないの。大石グループは結構有名なのよ」
「そうなんですか…」
「それより、うちの会社知らなかったみたい…まだまだね…」
「知ってる人は知ってますよっ!ところで1番知られてる会社ってどこですか?」
「それは…」
「それは?」
「…地曽田グループってとこよ」
「あっ、聞いた事あります。1番大きな会社って事ですねっ。今日会えますかね?」
「あそこは大手だから、このパーティーには来てないわよ」
「そうなんですね…」
スミは中小企業のパーティーだから出席していたのだ。
「社長っ。何か食べます?僕取って来ますよ」
「じゃあ…何か適当にお願い」
「はいっ。あ、ここに居て下さいよ」
「うん」
スミは色々な会社の役員たちを見渡していた。
それにしてもすごい人…
同業社ってこんなにたくさんあるのね…
すると後ろ姿の男性が目に止まった。
えっ…シ…シュン?
スミは自然とその人の方へ近寄って行った。
シュンが居るはずない…
その時、酔った年配の男性がスミの腕を掴んだ。
「えっ⁈」
「美人だなぁ。どこの奥さん?」
「あ…あの…一応…経営者です」
「そうなのか⁈どこの会社?ここを出て静かなとこで飲もうや」
「やめて下さい。離して下さい」
「いいじゃないか」
スミの声を聞いて後ろ姿の男性が振り返った。
スミだとわかって驚きを隠せない様子の男性はシュンだったのだ。
するとシュンはスミに絡んでいる年配の男性の腕を振り解いた。
「地曽田社長!」
「シュン⁈」
「岡山社長、相変わらず酒癖悪いですね。こういう場でみっともないですよ」
「あっ…ああ」
「女性の方、嫌がってるでしょ。離して下さい」
シュン…
スミはシュンの顔を見れなかった。
「す…すまなかった。飲み過ぎたよ」
岡山社長は我に返りその場を離れた。
シュンとスミは時が止まったかのようにその場に立ちすくんでいた。
「ス…スミ…」
え…
すると秘書がスミの元へ駆け寄って来た。
「社長っ‼︎探したんですよっ。勝手に居なくならないで下さいっ」
「あっ…ごめん」
「行きましょっ。たくさん料理盛りましたよ~」
「うっ…うん」
秘書がスミの手を引こうとすると慌ててスミは秘書の手を振り払った。
「すっ…すみませんっ」
「いいから行こ」
「はっ…はい」
スミはその場から逃げるように離れて行った。
シュンはただ黙ってスミの後ろ姿を目で追っていた。
あの子が…専務が話していた秘書か…
そっか…
シュンは笑みをこぼしその場を離れた。
「美味しいですねっ」
「、、、、」
「社長っ?どうしたんですか?さっきから変ですよっ」
「中田秘書…帰るわよ」
「えっ⁈ど、どうして?」
「いいから」
訳もわからずスミに連れられ会場を出ると秘書は車に乗った。
「本当に帰るんですね?」
「うん…早く車出して」
「はい…」
家に帰るとスミは自分の部屋に閉じこもった。
やっぱりシュンだった…
何であの場にいたの…?
会いたくなかった…
結局またシュンが私を助けてくれたね…
再びシュンとの記憶が蘇り、スミは何とも言えない気分になっていた。
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