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64話 悪い知らせ
しおりを挟む18時を過ぎてもシュンと連絡が取れない事を岸田秘書と専務は心配していた。
その時、警察から電話があり対応した岸田秘書は見る見るうちに顔色が変わった。
電話を切った岸田秘書はその場に座り込んだ。
「どうした⁈」
「社長が…社長が…」
「社長が…どうしたんだって⁈」
「岡田裕二を刺して殺人未遂で捕まったって…」
「えっ…社長が⁈嘘だろ…」
「と…とりあえず署に行きましょう」
「そうだな」
2人は急いで警察署に向かった。
そこにはシュンの父親も呼ばれていた。
「会長っ…」
「専務、シュンが…私の息子が…」
「会長…とりあえず話を聞きましょう」
刑事に案内された個室に入った。
「シュンが本当に刺したんですか⁈」
「はい」
「岡田は…大丈夫なんですか?」
「傷もそこまで深くなかったので大丈夫です」
「社長はそんな事する人じゃありません。何かの間違いじゃ…」
「そうだ。岡田が何かしたに違いない‼︎」
「私たちも見たんです。地曽田がナイフを持って立っていたのを」
「…そんな」
「シュンに会わせてくれ‼︎」
「今は無理です。またこちらから連絡いたしますので」
「岡田はどこだ⁈どこの病院にいる⁈」
「会長…今日は帰りましょう。送りますので」
3人は警察署を出るとシュンの父親を家まで送り、岸田秘書と専務はシュンが泊まっているホテルに行った。
「どうしてこのホテルに?」
「スミさんに教えないと」
「え…ここに柳本社長がいるのか?」
「はい。社長がこっそり教えてくれたんです」
2人は部屋の前に行きドアをノックした。
シュン…
シュンが帰って来たと思ったスミはドアを開けた。
えっ…
「岸田さん…専務も…」
「えっ⁈スミさん、どうしたんですか⁈」
「その顔…」
スミの腫れ上がった顔を見た2人は驚きを隠せなかった。
「あっ…」
スミは慌てて顔を隠した。
「ちょっとお邪魔しますね」
岸田秘書と専務は部屋の中に入って行った。
「あの…どうしたんですか?シュンは?」
「それが…」
「何かあったんですか⁈」
「刑務所です…」
「…え?」
「社長は岡田を刺して…捕まりました…」
「…う…嘘でしょ…」
「岡田は生きてるので未遂ですが…」
「シュンがそんな事するはずないっ‼︎シュンがそんな事…」
スミは泣き叫んだ。
「スミさん…その顔もしかして岡田に殴られたんですか?」
「、、、、」
「それを知って社長は…」
「…知らない男からやられました。裕二の指示で…」
「だから…社長はあいつを!」
岸田秘書と専務は納得していた。
「だから裕二とは会って欲しくなかったのに…」
「岡田がまた社長を怒らせるような事を言ったに違いありません。だから我慢出来なくなって…」
「どうして私なんかの為にシュンが…」
「スミさん…」
「私…シュンに会いに行きます」
「今はまだ無理です。面会出来るようになったら連れて行きますので」
「とりあえずスミさんはここから離れないで下さい。会社も私が守りますので」
「また来ますが1人で大丈夫ですか?」
「、、、、」
「スミさん?」
「…はい」
「では行きますね」
岸田秘書と専務は部屋を出て行った。
スミは放心状態だった。
「スミさん…大丈夫ですかね?」
「大丈夫じゃないだろ」
「そうですよね」
「あれは酷い殴られ方してるよ。想像しただけで腹が立つ」
「腹が立つどころか岡田に殺意が湧きます。だから社長のしたこと納得出来るし僕なら殺してますね」
「…だよな。そんな事があったなんて知ってたら…社長の代わりに俺が岡田を始末するべきだった」
「納得出来ません。岡田は同情されて社長は刑務所だなんて…」
「ああ。とりあえず面会を待つしかない。明日ニュースに出るだろうから会社の株も大幅に下がるだろうな」
「社長の為にも会社を守らないと。今取り組んでいる事も中断だけは避けないと…」
「ああ。守って行こう。地曽田グループも柳本グループも」
そして翌日、今回の事件でニュースは持ちきりだった。
地曽田グループは朝から電話が鳴りっぱなしで玄関前にはマスコミが殺到していた。
スミは顔の腫れを治そうと病院へ行っていた。
ホテルに戻ると母親から電話がかかって来た。
「…もしもし」
「スミ!大丈夫⁈」
「え…」
「今ニュースで…地曽田さんが…」
慌ててテレビをつけるとニュースが流れていた。
「何でこんな事に⁈」
大手の会社なだけあってシュンの顔が写されていた。
シュン…
「スミ!今すぐ帰って来なさい」
「…私のせいなの…」
「え?」
私の為にシュンは…
「何言ってるの⁈早く帰って来なさい‼︎」
「お母さん…ごめん」
「え?」
スミは電話を切った。
その後も母親からの電話が鳴り続いていたが一切出なかった。
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