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63話 思い通りになった裕二
しおりを挟む裕二は病院に運ばれた。
手術が終わり麻酔から目が覚めると由希がいた。
「裕二っ、大丈夫⁈私が誰だかわかる⁈」
「由希…」
「よかった‼︎心配したんだからね」
「ごめん…」
「傷が深くなくてよかった。まさかシュンがあなたを刺すなんて…一体何があったの⁈」
「あ…あいつは俺のことが気に食わないんだろ…」
「でも…あの人がこんな事するなんて、よっぽどの事よ。シュンなら捕まったから安心して」
「ああ…」
これで邪魔者は消えたぜ…
シュンが裕二を刺したように見せかけて、シュンを刑務所に送るつもりだった。
裕二は計画通りにいき、ご満悦だった。
その頃、シュンは取り調べを受けていた。
「地曽田グループの取締役がどうしてこんな事したんだ?動機は?」
「、、、、」
「何か話さないとわからないだろ」
シュンは裕二に嵌められたとわかり、怒りを通り越して力が抜けていた。
「おいっ‼︎」
「自分はやってないって言ってるじゃないですか」
「通用すると思うか?認めろ‼︎」
シュンは信じてもらえず何も話す気になれなかった。
「明日こそ認めさせるからな」
そしてシュンは牢に入れられた。
最後に見た裕二の笑った顔を思い出したシュンは嵌められた悔しさと怒りでコンクリートの壁を血が出るまで何度も殴った。
裕二の目が覚めたという連絡が来ると刑事は裕二のいる病院に行った。
「失礼します」
「あ…刑事さんですか?」
「はい。少し岡田さんと話したいんですが」
「由希、ちょっと外してくれる?」
「わかったわ」
由希が出て行くと刑事は裕二の近くに来た。
「大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫です。もう少し刑事さんが来るのが遅かったら私…殺されてたかも知れません」
「一体何があったんですか?地曽田は自分はやってないの一点張りで…」
「…そうですか」
「岡田さんは最近まで入ってましたよね…刑務所に…」
「…はい」
「調べたところ保釈金払って出て来てますね。結構な罪でしたが…」
すると裕二は涙を流した。
「刑事さん…私は地曽田社長に妻を奪われたんです…」
「え…」
「あんなに妻を愛して尽くして来たのに横取りされる方の気持ちわかりますか?だから気が動転してつい行き過ぎた事をやってしまいましたが…人を殺してはいません」
「じゃあ何で地曽田はあなたを刺したんですか?あなたの方が地曽田を恨んでるはずですよね?」
「そう思いますよね…でも私は今SS社の娘と婚約してるし次期社長ですよ。おそらく前妻の会社が潰れそうになっているのが私の会社のせいだと思ってるから気に食わないんでしょう」
「それだけで?」
「これ聞いて下さい」
裕二は携帯を取り出し録音を聞かせた。
『ああ…今までの事を思い出すと殺したいくらいだよ‼︎』
「これは?」
「地曽田社長が少し前に私に向かって言った言葉です」
「今までの事って?」
「実は1度だけ前妻が地曽田社長と不倫してること知って暴力を振るってしまった事があるんです…それを根に持ってるみたいで…」
刑事は考え込んでいた。
「初めから私を殺すつもりだったと思います。あいつ…いや地曽田社長はしつこいし何するかわからない人です。刑を厳しくして下さい」
「それは私が決める事ではありません。話はよくわかりました」
「はい。宜しくお願いします」
「退院されたら1度署に来てもらう事になると思います」
「わかりました」
「それと先程の録音、データを移してもいいですか?」
「どうぞどうぞ」
刑事は録音データを移すと病室を出て行った。
地曽田が刑務所…いい気味だぜ…
これで地曽田グループも終わりだな…
一石二鳥だぜ…
裕二は笑いが止まらなかった。
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