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67話 倒産
しおりを挟む翌日の午後、柳本グループに行っていた専務が青ざめた顔で戻って来た。
「専務っ!どうしたんですか⁈今日はこっちには戻って来られないはずじゃ…」
「SS社が…SS社が…」
「SS社がどうしたんですか⁈」
「柳本グループの株を全て買い取った。会社ごと買収されたんだ!」
「えっ⁈そっ…そんな‼︎」
「今うちは信用ないから…どうする事も出来ない。クソー!岡田の奴‼︎」
「一体…どうしたら…」
「そのうち…うちもやられるかも…」
「社長に知らせないと‼︎あっ…でも次の面会は来週か…」
「とにかく早く証拠を掴んで社長を釈放させる!会社の信用を取り戻さないと‼︎」
「自分に任せて下さい。来週月曜日に岡田と飲みに行きます。あいつを酔い潰して証拠を見つけます」
「えっ…どうやって⁈」
「スミさんを襲った男の連絡先が入ってるはずなので…あいつの携帯から見つけ出します」
「お前…1人で大丈夫か?」
「大丈夫です。会社の事スミさんはまだ知らないんですよね?」
「ああ。でも会長が連絡してるかも知れない」
それから1時間後、地曽田グループにスミの母親が来た。
「会長っ」
「…お久しぶりです」
「スミは…スミはどこに居るの⁈」
「それは…」
「電話にも出ないし、どこに居るか知ってるんでしょ⁈」
「…すみません。言えません」
「どうして⁈会社が倒産したのよ‼︎知ってるでしょ?地曽田さんに任せたのが間違いだった。殺人未遂までして…もうスミを戻して!」
「社長はやってないんです‼︎岡田に嵌められたんです‼︎」
「え⁈何ですって⁈」
「スミさんは岡田の手下に暴行されて…」
「えっ…スミが…⁈スミは大丈夫なの⁈」
「顔だけを集中して殴られてます…」
「顔を…」
スミの母親はショックでその場に崩れ落ちた。
「今思えば…地曽田社長を怒らせる為にわざと顔に傷をつけたんだと思います。そして自分の会社に地曽田社長が来るように仕向けた…」
「酷い…酷すぎるわ…」
「岡田の計画的な仕業です。必ず証拠を掴んで社長の潔白を晴らします」
「柳本グループが買収された事を地曽田社長が知ったらかなりショックを受けるはずです。釈放されたら必ず取り戻しにかかると思います。社長はそんな人なんです。だから…今はスミさんのことも会社の事も耐えて下さい」
「スミさんのことも僕たちが守りますので今はスミさんをそっとしてあげて下さい」
話を聞いたスミの母親は何も言わず帰って行った。
「大丈夫ですかね…」
「俺がちょくちょく様子を見に行く事にするよ」
「はい…自分は明日、スミさんの所に行って来ます。ろくに食事してない感じですので何か買って行きます」
「そうだな。お前も岡田と会う時は気をつけろよ」
「はい。何とか僕らで頑張らないとですね」
「そうだな」
専務は内心、柳本グループを守り切れなかった自分を責めていた。
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