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79話 弱った父
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翌朝、シュンはスミを家に送った。
スミが車を降りるとシュンも降りてきた。
「ありがとう。また連絡するね」
「ちょっとだけお母さんに会わせて」
「えっ…どうして」
「直接、謝りたいから」
「そんな…いいのに」
「いいから」
2人でリビングに行くと母親が驚いた様子で立っていた。
「おっ…お母さん…ただいま」
「スミッ‼︎」
母親はスミを抱きしめた。
「ごめんね。心配かけて」
「そうよ…本当に心配したんだから」
「…お母さん」
「地曽田さん…」
シュンは深く頭を下げた。
「会社の事…申し訳ありませんでした。全て僕の責任です」
「…頭を上げなさい」
「必ず取り戻しますので」
「ちょっと座りなさい」
「…はい」
「あなたも飛んだ目にあったわね。大変だったでしょ。事件の日って…あなたがうちに来た日だったけど、あの後SS社に行ったのね…」
「えっ…そうだったの?」
「…うん」
「スミの件があったから…あなたが本当にやったのかと思ったけど違って安心したわ。裕二さんの自作自演だったなんて…本当とんでもない男よね」
「しばらくは出て来れないと思います」
「よかったわ。あの時はスミが襲われたって聞いて地曽田さんに任せたけど、もうその必要はないわね。スミはもう家に戻って来たって事よね?」
「そうだよ」
「地曽田さん、スミがお世話になりました」
「そんな…お世話だなんて」
「あなたの会社も大変だろうから頑張ってね」
「…はい。柳本グループのことも何とかしますので」
「…お元気で」
「お母さんっ…」
「…では…失礼します」
シュンはスミの実家を後にし会社へ向かった。
「お母さん!あの言い方は何?」
「あなたたちはもう別れてるのよ」
「、、、、」
今、お母さんに話しても納得してもらえない…
シュンの言う通り会社が安定するまでは言えない…
スミはシュンとの事を言うのを我慢した。
この日の夜、シュンは父親に会いに実家へ行った。
玄関を開けると継母が驚いた様子でシュンを見た。
「シュ…シュン⁈」
「父さんは?」
「部屋よ。シュン…大変だったわね」
シュンは話しかける継母を無視して父親の部屋へ行った。
父親はベッドに寝ていた。
「父さん」
「シュン…シュンなのか」
「うん。父さん大丈夫なの?」
「それよりシュン…大変だったな。裁判に行けなくてすまない」
「そんな事はいいよ。父さん、心配かけてごめん」
「でもよかったよ。お前が人を刺したりするはずないし…無罪が証明されてよかった…」
「体調崩したの…俺のせいでしょ?」
「何言ってる。ただの風邪だよ」
「本当に?風邪なんか滅多にひかなかったのに」
「年を感じるよ。それより…戻って来たのか?」
「…ごめん。戻らない」
「ずっとホテルに住むつもりか…」
「…しばらくは」
「…そうか。会社は?大変だろ」
「うん。今から立て直して行くから。絶対に潰さないから安心して」
父親はシュンの手を握った。
「…父さん」
「無理するんじゃないぞ。お前は私のたった1人の大事な息子だ。頑張り過ぎるとこがあるから少しは体に気を遣え」
「…うん」
「父さんはお前が幸せな事が1番だから」
「父さん…どうしたんだよ」
「本当の事を言っただけだ。お前とはなかなか会えないからな」
「仕事が落ち着いたらちょくちょく顔出すよ。だから父さんも早く良くなって」
「…ああ」
「じゃ…そろそろ行くよ」
「シュン」
「え?」
「後悔のないように生きなさい」
「…うん」
いつもと様子が違うと思ったシュンは父親を抱きしめ、帰って行った。
スミが車を降りるとシュンも降りてきた。
「ありがとう。また連絡するね」
「ちょっとだけお母さんに会わせて」
「えっ…どうして」
「直接、謝りたいから」
「そんな…いいのに」
「いいから」
2人でリビングに行くと母親が驚いた様子で立っていた。
「おっ…お母さん…ただいま」
「スミッ‼︎」
母親はスミを抱きしめた。
「ごめんね。心配かけて」
「そうよ…本当に心配したんだから」
「…お母さん」
「地曽田さん…」
シュンは深く頭を下げた。
「会社の事…申し訳ありませんでした。全て僕の責任です」
「…頭を上げなさい」
「必ず取り戻しますので」
「ちょっと座りなさい」
「…はい」
「あなたも飛んだ目にあったわね。大変だったでしょ。事件の日って…あなたがうちに来た日だったけど、あの後SS社に行ったのね…」
「えっ…そうだったの?」
「…うん」
「スミの件があったから…あなたが本当にやったのかと思ったけど違って安心したわ。裕二さんの自作自演だったなんて…本当とんでもない男よね」
「しばらくは出て来れないと思います」
「よかったわ。あの時はスミが襲われたって聞いて地曽田さんに任せたけど、もうその必要はないわね。スミはもう家に戻って来たって事よね?」
「そうだよ」
「地曽田さん、スミがお世話になりました」
「そんな…お世話だなんて」
「あなたの会社も大変だろうから頑張ってね」
「…はい。柳本グループのことも何とかしますので」
「…お元気で」
「お母さんっ…」
「…では…失礼します」
シュンはスミの実家を後にし会社へ向かった。
「お母さん!あの言い方は何?」
「あなたたちはもう別れてるのよ」
「、、、、」
今、お母さんに話しても納得してもらえない…
シュンの言う通り会社が安定するまでは言えない…
スミはシュンとの事を言うのを我慢した。
この日の夜、シュンは父親に会いに実家へ行った。
玄関を開けると継母が驚いた様子でシュンを見た。
「シュ…シュン⁈」
「父さんは?」
「部屋よ。シュン…大変だったわね」
シュンは話しかける継母を無視して父親の部屋へ行った。
父親はベッドに寝ていた。
「父さん」
「シュン…シュンなのか」
「うん。父さん大丈夫なの?」
「それよりシュン…大変だったな。裁判に行けなくてすまない」
「そんな事はいいよ。父さん、心配かけてごめん」
「でもよかったよ。お前が人を刺したりするはずないし…無罪が証明されてよかった…」
「体調崩したの…俺のせいでしょ?」
「何言ってる。ただの風邪だよ」
「本当に?風邪なんか滅多にひかなかったのに」
「年を感じるよ。それより…戻って来たのか?」
「…ごめん。戻らない」
「ずっとホテルに住むつもりか…」
「…しばらくは」
「…そうか。会社は?大変だろ」
「うん。今から立て直して行くから。絶対に潰さないから安心して」
父親はシュンの手を握った。
「…父さん」
「無理するんじゃないぞ。お前は私のたった1人の大事な息子だ。頑張り過ぎるとこがあるから少しは体に気を遣え」
「…うん」
「父さんはお前が幸せな事が1番だから」
「父さん…どうしたんだよ」
「本当の事を言っただけだ。お前とはなかなか会えないからな」
「仕事が落ち着いたらちょくちょく顔出すよ。だから父さんも早く良くなって」
「…ああ」
「じゃ…そろそろ行くよ」
「シュン」
「え?」
「後悔のないように生きなさい」
「…うん」
いつもと様子が違うと思ったシュンは父親を抱きしめ、帰って行った。
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