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82話 父の死
しおりを挟むスミは早速シュンに電話をかけた。
「もしもしスミ?」
「専務だったんだね」
「うん。専務だと安心でしょ」
「うん!ありがとう!」
「専務と今後のこと打ち合わせしないとね。あ…専務じゃなくて黒川社長か」
「うん」
「うちもしっかりサポートするから」
「シュン…ありがとう」
「じゃ、今から会議だから」
「あの…今日何時頃終わる?」
「今日は19時には終わるよ。会う?」
「うん。久しぶりに外食しよ。ご馳走させてっ」
「わかった」
「じゃあお店決めてメール送るね」
18時半になり、シュンが机の上を片付けていると岸田秘書が入って来た。
「社長!今日飲みに行きません?」
「あっ…ごめん。今日はちょっと」
「デートですか?」
「まぁ…」
「いいですね~」
「今度、黒川社長と3人で飲みに行こう」
「是非っ‼︎いつにします⁈」
その時シュンの携帯が鳴った。
継母からの連絡だった。
「…はい」
「もしもしシュンッ!今すぐ中央病院に来てっ!お父さんが…」
えっ…
シュンの顔は真っ青になった。
「社長っ⁈どうしたんですかっ⁈」
「ごっ…ごめん、戸締りしといて」
そう言うとシュンは走って会社を飛び出して行った。
車を飛ばし病院に着いたシュンは急いで病室に向かった。
中に入ると継母と担当医が見守る中、父親は酸素マスクをしてベッドに横たわっていた。
「シュン…」
「父さんっ‼︎父さんっ‼︎」
シュンは父親の手を握った。
「どういう事だよっ!いつから病院に⁈」
「昨日から…」
「どうして教えてくれなかったんだ」
「ごめんなさい。落ち着いてたんだけど今さっき急変して…」
「そんなっ…」
「心筋梗塞です。血圧も低下してるので…今日が山場かと…」
「えっ…嘘だろ…」
シュンは頭の中が真っ白になった。
するとシュンの手を握っている父親の手が動いた。
「父さんっ‼︎」
「シュ…」
「先生…マスク外していいですか?」
「…いいですよ」
シュンは父親の口から酸素マスクを外した。
「シュ…シュン…」
「何っ?父さんっ…」
「私の…机の…2番目……」
「机の2番目…?え…何?」
するとシュンを見る父親の目から涙が流れていた。
「父さ…ん」
「私の…願い…聞いて…くれ…る…か」
「何っ?」
「お前に…幸せになって…欲しい…」
シュンの目から涙が流れた。
「父さん…」
父親は最後の力を振り絞りシュンの手をギュッと握った。
そして父親の呼吸が途絶えた。
「父さんっ‼︎父さんダメだっ‼︎起きてよっ‼︎父さんっ!!」
担当医は死亡確認をした。
「19時50分、死亡確認とさせて頂きます」
「あなたっ‼︎イヤーッ!」
泣きじゃくる継母の横でシュンは父親を抱きしめていた。
「父さん…今まで…今まで…ありがとう…」
シュンはしばらく父親を抱きしめたまま離れなかった。
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