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入学編
第47話 迎撃
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◇ ◇ ◇
「――先輩! 委員長に伝えました!」
侵入者と対峙している風紀委員の先輩に向かって後輩が叫ぶ。
「了解!」
前に出て念話でやり取りをしていた後輩を守りながら戦っていた先輩は、背を向けたまま返事をする。
「まずはこいつらを片付けるぞ!」
「はい!」
返事をした後輩は前進して先輩の隣に並ぶ。
二人は足止めに残っている者たちを一刻も早く片付けて、学園内に侵入した連中を追い掛けたかった。
「石飛礫!」
「泡瀑!」
後輩が先輩の隣に並んだタイミングで、砂地獄の拘束に囚われている者の中から二種類の魔法が飛んできた。魔法に紛れて猟銃を発砲しており、銃弾が交ざっている。
足元の自由は奪われているが、上半身は身動き可能だ。
魔法師なら問題なく魔法を行使できるし、非魔法師は猟銃を扱える。
――『石飛礫』は地属性の第一位階魔法であり、石礫を放つ攻撃魔法だ。
――『泡瀑』は水属性の第一位階魔法で、泡を爆発させる攻撃魔法である。
風紀委員の二人目掛けて精確に飛んできた魔法に対し――
「土壁!」
先輩が魔法を行使して眼前に土の壁を出現させると、二人は土壁に身を隠す。
石飛礫が土壁に直撃するがびくともしない。相手と先輩では練度が違う。
石飛礫よりも速度の遅い泡瀑が、遅れて土壁に直撃して爆発する。意図して時間差を狙い魔法を選択したのかもしれない。
結果、土壁に罅が入った。それでも崩壊はしない。
攻撃が止んだ一瞬の隙に、後輩は土壁から飛び出して射線を確保する。
そして――
「烈風斬!」
魔法を放った!
――『烈風斬』は風属性の第二位階魔法であり、大きな風の刃を放って対象を切り裂く攻撃魔法だ。
烈風斬は侵入者目掛けて飛んでいき、砂地獄の拘束に拘束されている前方の三人を切り裂く。
「ぐはっ」
切り裂かれた三人は血を流しながら地に伏す。
その結果、全身を砂地獄の拘束に絡め取られてしまう。完全に身動きを封じた。
どうやら倒れた三人は非魔法師だったようで、魔法から身を守る手段を持っていなかった。
「石の大砲!」
先輩は土壁を解除すると別の魔法を行使する。
――『石の大砲』は地属性の第三位階魔法であり、大砲の如く岩石を放つ攻撃魔法だ。
「氷壁!」
敵の魔法師の一人が魔法を行使し、石の大砲の射線上に氷の壁を出現させる。
そして石の大砲が氷壁に直撃し、衝撃が辺りに轟いて粉塵が舞う。
石の大砲の威力に氷壁は耐え切れず崩れていく。
氷の壁を破った石の大砲は敵中に直撃したが、氷壁により威力を減衰させられていた。
粉塵が収まると、そこには更に四人の敵が地に倒れ伏していた。そうなるともう完全に砂地獄の拘束の餌食だ。
しかし、まだ八人の敵が残っている。倒れているのは全て非魔法師だ。
もし石の大砲が本来の威力を発揮していれば、敵の魔法師にもダメージを与えられていたかもしれない。
「チッ」
敵中から舌打ちの音が聞こえてきた。
苦戦を強いられているからか、苛立ちを隠しきれていない。
「落雷!」
間髪入れず後輩が魔法を放つ。
――『落雷』は雷属性の第三位階魔法であり、対象に雷を落とす攻撃魔法だ。
「――っ! 氷弾!」
敵の魔法師の一人が反射的に魔法を行使した。
日の沈んだ暗い状況の中、上空から垂直に落ちる落雷の明かりで周囲が一瞬照らされる。
「ぐわぁあああ」
落雷が直撃した魔法師は焼け焦げになり地に伏す。
だが、彼が最後に放った魔法――氷弾が後輩目掛けて向かっていく。
「――っ!? あぶねっ」
後輩は左側へジャンプして間一髪のところで躱したが、氷弾が頬を掠った。
僅かながらも後輩に掠り傷を負わせた魔法――『氷弾』は、氷属性の第一位階魔法であり、氷の弾を放つ攻撃魔法だ。
「気を抜くな!」
先輩から後輩に対して激が飛ぶ。
魔法は簡単に人の命を奪う。一歩回避が遅れていたら顔を潰されていた可能性がある。術者の実力次第ではあるが、それでも戦闘中は一瞬たりとも気を抜いてはならない。
「――睡眠!」
その時、風紀委員の二人の前方――敵の背後――から魔法名を叫ぶ声が辺り一帯に響く。
その魔法は目に見える物ではなく、派手さはないが確実に標的に届いていた。
何故なら、標的にされた意識のある残りの侵入者が全員眠りについていくからだ。
「――先輩! 委員長に伝えました!」
侵入者と対峙している風紀委員の先輩に向かって後輩が叫ぶ。
「了解!」
前に出て念話でやり取りをしていた後輩を守りながら戦っていた先輩は、背を向けたまま返事をする。
「まずはこいつらを片付けるぞ!」
「はい!」
返事をした後輩は前進して先輩の隣に並ぶ。
二人は足止めに残っている者たちを一刻も早く片付けて、学園内に侵入した連中を追い掛けたかった。
「石飛礫!」
「泡瀑!」
後輩が先輩の隣に並んだタイミングで、砂地獄の拘束に囚われている者の中から二種類の魔法が飛んできた。魔法に紛れて猟銃を発砲しており、銃弾が交ざっている。
足元の自由は奪われているが、上半身は身動き可能だ。
魔法師なら問題なく魔法を行使できるし、非魔法師は猟銃を扱える。
――『石飛礫』は地属性の第一位階魔法であり、石礫を放つ攻撃魔法だ。
――『泡瀑』は水属性の第一位階魔法で、泡を爆発させる攻撃魔法である。
風紀委員の二人目掛けて精確に飛んできた魔法に対し――
「土壁!」
先輩が魔法を行使して眼前に土の壁を出現させると、二人は土壁に身を隠す。
石飛礫が土壁に直撃するがびくともしない。相手と先輩では練度が違う。
石飛礫よりも速度の遅い泡瀑が、遅れて土壁に直撃して爆発する。意図して時間差を狙い魔法を選択したのかもしれない。
結果、土壁に罅が入った。それでも崩壊はしない。
攻撃が止んだ一瞬の隙に、後輩は土壁から飛び出して射線を確保する。
そして――
「烈風斬!」
魔法を放った!
――『烈風斬』は風属性の第二位階魔法であり、大きな風の刃を放って対象を切り裂く攻撃魔法だ。
烈風斬は侵入者目掛けて飛んでいき、砂地獄の拘束に拘束されている前方の三人を切り裂く。
「ぐはっ」
切り裂かれた三人は血を流しながら地に伏す。
その結果、全身を砂地獄の拘束に絡め取られてしまう。完全に身動きを封じた。
どうやら倒れた三人は非魔法師だったようで、魔法から身を守る手段を持っていなかった。
「石の大砲!」
先輩は土壁を解除すると別の魔法を行使する。
――『石の大砲』は地属性の第三位階魔法であり、大砲の如く岩石を放つ攻撃魔法だ。
「氷壁!」
敵の魔法師の一人が魔法を行使し、石の大砲の射線上に氷の壁を出現させる。
そして石の大砲が氷壁に直撃し、衝撃が辺りに轟いて粉塵が舞う。
石の大砲の威力に氷壁は耐え切れず崩れていく。
氷の壁を破った石の大砲は敵中に直撃したが、氷壁により威力を減衰させられていた。
粉塵が収まると、そこには更に四人の敵が地に倒れ伏していた。そうなるともう完全に砂地獄の拘束の餌食だ。
しかし、まだ八人の敵が残っている。倒れているのは全て非魔法師だ。
もし石の大砲が本来の威力を発揮していれば、敵の魔法師にもダメージを与えられていたかもしれない。
「チッ」
敵中から舌打ちの音が聞こえてきた。
苦戦を強いられているからか、苛立ちを隠しきれていない。
「落雷!」
間髪入れず後輩が魔法を放つ。
――『落雷』は雷属性の第三位階魔法であり、対象に雷を落とす攻撃魔法だ。
「――っ! 氷弾!」
敵の魔法師の一人が反射的に魔法を行使した。
日の沈んだ暗い状況の中、上空から垂直に落ちる落雷の明かりで周囲が一瞬照らされる。
「ぐわぁあああ」
落雷が直撃した魔法師は焼け焦げになり地に伏す。
だが、彼が最後に放った魔法――氷弾が後輩目掛けて向かっていく。
「――っ!? あぶねっ」
後輩は左側へジャンプして間一髪のところで躱したが、氷弾が頬を掠った。
僅かながらも後輩に掠り傷を負わせた魔法――『氷弾』は、氷属性の第一位階魔法であり、氷の弾を放つ攻撃魔法だ。
「気を抜くな!」
先輩から後輩に対して激が飛ぶ。
魔法は簡単に人の命を奪う。一歩回避が遅れていたら顔を潰されていた可能性がある。術者の実力次第ではあるが、それでも戦闘中は一瞬たりとも気を抜いてはならない。
「――睡眠!」
その時、風紀委員の二人の前方――敵の背後――から魔法名を叫ぶ声が辺り一帯に響く。
その魔法は目に見える物ではなく、派手さはないが確実に標的に届いていた。
何故なら、標的にされた意識のある残りの侵入者が全員眠りについていくからだ。
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