もう同じ事は繰り返さない!

とあ

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私は忘れないうちにと、夢の内容を大雑把にノートに書き記す。そのノートを引き出しにしまい、朝の支度を始める。

今日は中学校の入学式。そして夢の始まりの自分は中学生だった。ということはこれからが勝負だ。


校長先生の長い話を聞き流しながら思考に耽る。
中学校で私が回避すべきことは彼氏に振られることと、部活で避けられることと、成績が悪くて高校に落ちること。

まずは、彼氏。名前は神谷裕太。顔がどうとかは正直私にはよくわからないけど、不細工ではないらしい。イケイケではないけど女子とも仲良くできる系男子だ。
振られるのがダメならこっちから振ればいい。こんなことを思うのは酷いかもしれないけど、そもそも表面的な付き合い方しかしてない。付き合い始めたのが小5だから交際期間が長いだけで、あまり話したりしたこともない。それにいずれ振られるとわかっている相手なんて怖すぎる。出来るだけ早く縁を切っておこう。

次に、部活。
まだどの部活に入るかも決めていない現時点では選択肢が多すぎるけれど。前回の私は走るのが好きだからという理由で陸上部に入った。でも結局、友達ができなくて女子部員に避けられる状況に耐えられるほど陸上を好きになれなかった。だけど今回は、誰がどの部活に入るのか、だいたいわかっている。あと、前回は部活の見学に行かなかったから、今回はちゃんと色んな部活を見て、それから決めよう。

最後に、成績。
これに関してはちゃんと勉強するしかないだろう。宿題をちゃんとして、授業を真面目に受けていれば、成績はそこまで下がらないはず。前回のあまり勉強していなかった私でも、500点中400点は取れていたから。3年生の最後の方は危うかったけど。

そこまで考えたところで、ちょうど入学式の閉式を告げる挨拶が聞こえた。このあとは、体育館から各自教室に移動し、クラスメイトと担任の先生との対面がある。学校の玄関口に張り出されていたクラス名簿によると、私は1組だ。これもちゃんと前回と同じ。

教室に入り、座席表を見て自分の席につく。席は五十音順の出席番号で、私は藤田なので後ろの方だ。2回目とはいえ、新しいクラスにはワクワクする。今回はちゃんと友達作ろう。

担任の先生も前回と同じで、田端久美子先生。切れ長な目が印象的で綺麗な若い女の先生だ。生徒と結構仲が良くて、確か女子からは久美ちゃんとか久美先生って呼ばれてた。私にも普通に話しかけてくれるいい先生だと覚えてる。今日は式だからか、ロングの茶髪が後ろで結ばれている。何回見ても美しいなぁ。

席順で自己紹介が始まった。先生の提案で、各自、名前と出身小学校、好きな給食、特技か趣味を言うことになった。
好きな給食はあるけど、特技か趣味って何言おう。特技は思い当たらないし、趣味は漫画かゲーム?漫画でいいか。

「最初に先生が自己紹介するね。今日からこのクラスの担任をする、田端久美子です。担当教科は理科です。先生の好きな給食は肉じゃがで、趣味は映画鑑賞です。これから1年、よろしくお願いします。」

パチパチパチパチ

私の順番が回ってきたので席を立つ。自己紹介って凄く緊張する。上がり症気味な私には辛い。でも一瞬だけだと自分に言い聞かせ、なるべくクラスメイトを見ないように先生の方を見ながら言う。
「東小出身の藤田美咲です。好きな給食はシチューで、特技は無いけど、趣味は漫画を読むことです。よろしくお願いします。」

パチパチパチ

ふぅ~緊張した~
私が座ると、後ろの席の子が立って自己紹介を始める。

「南小出身、古川莉佳です。好きな給食は唐揚げです。特技は5歳からやってる水泳です。よろしくお願いします。」

パチパチパチ
友達作るなら近くの席の子が定番だよね。後で話しかけてみようかな。

みんなの自己紹介が終わると、先生が教材を配っていく。結構な数があって重そう。

「時間割表も手元に届きましたか?足りない人は手を挙げてください。……みんな大丈夫ですね。今日はこれで終わりです。明日は新入生歓迎会と学年集会があります。朝は教室で待っていてください。
それでは、気を付けて帰ってください。
起立、気をつけ。さようなら。
また明日ね。」

先生の合図に合わせて挨拶をし、帰宅の準備をする。
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