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キンセンカ(橙)
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パソコンを起動し自分は長塚さんに質問をした。「どんな時期の写真が見たいの?」すると長塚さんは「じゃあ冬景色かな?」と悩みながら答えた感じだった。冬のデータは3つあるのだがどれから見せようか「長塚さんはどれから見たい?」とSDカードの入ったケースを渡すと一番最初のSDカードを取って「これから見たいな」と期待したような目でこっちを見る。「ちょっと待ってて」と言いSDカードを読み込んでいると早く早くと言わんばかりにこっちを見つめていてとても待ち遠しく待っていたのかと分かる程だった。読み込みファイルを開くと最初に出てきた写真は自分が初めて1人だけで撮りに行った写真だった。この写真を撮りに行ったのは今から約2年前くらいに雪景色を取りに行きたく交通費などのお金は貯金から出して1人で山に登りに行った時の写真だった。山とは言ったものの途中まで電車とバスを使って行きそれから1時間くらい登るくらいの山。カバンの中には三脚や一眼レフカメラ カイロなどを入れて準備万端だった。山に登ると雲が下にあるくらいに高く景色がよかったが最初の方は酸素が少ない事に慣れす20分くらい撮る事が出来なかったが少しずつ慣れてきて撮れるようにはなった。見えた景色は雲が無くなると見える限り純白の雪に埋め尽くされていた。熊や鹿などの動物もいて動いているのがわかる程に澄んだ空気で綺麗だった。写真を見せると「この写真すごく綺麗な景色だね」と長塚さんは褒めてくれたがその目はどこか寂しく悲しいように見えた。何となく分かったが多分雪景色を見た事が無いのかと思った。そのあとは3時間くらい写真を見てその時の思い出や覚えていることを話しているとSDカードは3枚目になっていた。あっという間に日が沈むくらいの時間になっていた。帰るのは寂しいがずっといても悪いと思い「今日はこのくらいで帰るよ。ずっといても悪い気がするし」と話すとすぐに「うんそうだね…」と何か言いたげだったが気にしなかった。帰る準備しながらふと思い出した事がある。この病室に入った時に泣いていた事を話してなかった。長塚さんが笑っていたから気が抜けていて全く考えに無かった。「なぜ泣いていたのか理由は知りたいが長塚さんから無理には聞きたくないしかといって「なぜ泣いていたのか」と質問して気づいたらどうしよう。」と考えていたら帰る準備が終わっていた。帰ろうと立つ時に長塚さんが自分の手を掴んで「また来てくれる?」と心配そうなそんな目で見て来た。また来る気でいたから自分が考えていた事が馬鹿馬鹿しくなって笑ってしまった。長塚さんはびっくりした顔をしていて「また来るに決まってるじゃん」と言うと長塚さんはほっとした顔をした。長塚さんが自分の手を握ってる事を気づくとすぐに手を離してうつむくと「急に手を握ってごめん」と今にでも湯気が出そうな勢いで耳が赤くなっている。このままではオーバーヒートしそうだったがなんで話せばいいのだろうか。冷静に考えると女子と手を繋いだのは初めてで考えれば考えるほどこっちも耳が赤くなりそうだった。「これからは時間がある日は来るようにしていい?」と質問したが本当の所は緊張しそうだったから早く話題を変えたかった。まだ赤くなってる耳のまま「もちろん」とその後なにか聞こえなかったがなにか言ってた気がした。「じゃあまた」と言い「来るのを待ってるよ」とどこにでもある会話を最後に病室から出た。バス停で待っているとふと今日の事を思い出すと最初に思い出したのは長塚さんの笑顔だった。家に帰るとすぐに空いてる日を探した。
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