ビリーと私のオーストラリアDiary

Kaede

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深まる秋

作戦の計画

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ビリーののチャンスは想定外に早くやってきた。
金曜日にノエルから連絡がきて、月曜日に急遽メルボルンに出張に行くっていう連絡が来たから。
ビリーはこの連絡に焦って、アダムも巻き込んだ。「こういう時は参加人数が多い方がいいんだよ。」って言って。

私は金曜日の午後で翻訳の仕事を終えて、ライルにメールした。
「オフィスに行くのって土曜日とかでもいいの?」って。
ライルからはすぐに返信が来た。「ランチにしない?12時に。クラリッサが明日は仕事だからちょうど良かった。」っていうメッセージと共にエリザベス・ストリートにあるハンバーガー店のHPへのリンクが送られてきた。
私は土曜日、またお気に入りのチョコレート屋さんでライルにチョコレートを買ってお店に向かった。
その日のライルは休日だからか、ジーンズに薄手のセーターを着ていた。
私が行くと「ここのお店はシュルームバーガーが有名で、カエにも食べさせたくて勝手に注文しちゃった。」って言った。
「わあ、美味しそう、ありがとう。」私は言った。
それからライルはハンバーガーを一口食べて、「ビリーとは仲直りした?」って聞いた。
「うん、おかげさまで。これ、良かったらクラリッサと食べて。いろいろ迷惑かけたからーー。」私はそう言ってチョコレートを渡した。
「嬉しいな、ありがとう。クラリッサも喜ぶよ。カエは?体調はどう?」ライルは聞いた。
「帰ってからね、罰ゲームで検査と3日間の点滴をしたの。それでかなり良くなった。」私は言った。
ライルは笑いながら「ビリーも、やるな。」って言った。
「すっごく意地悪だったんだから!ビリーがやってくれればいいのに、見習いの看護師の子の練習台にされちゃって。見て!この腕!」私は着ていたカットソーの両腕を捲ってアザを見せた。
ライルは爆笑していて「いや、ごめん、笑うところじゃないんだけど、ビリーはこんな事するんだ?本当笑える。」って言った。
「気をつけて、サラッと嫌味を言ったり、軽くいじめるのが結構好きだから。」私はそう言ってハンバーガーを食べた。「美味しい!」
そして、その時、私のスマホが鳴って、私はビリーからのSMSを見た。
「今日、アダムを連れて帰る。5時過ぎかな。作戦会議だよ!夕食は何か買っていくから。」って。
私がちょっと笑ったら、ライルは「ビリー?」って聞いた。
「うん。今度はお兄さんーーノエルねーーに罰ゲームするんだって。ちょっと恥をかかせたいって。」
私はビリーの人形事件の話と昨日のライアンの話をした。
ライルはまた笑って「ああ、面白そう。想像するだけで笑える。」って言った。
「ライルも参加する?ビリーが「人数が多い方がいい」って言ってたよ。が嫌じゃなければ。決行の日は月曜日の夜で、今夜が作戦会議なの。」
「いいの?なんか邪魔じゃない?」ライルは言った。
「大丈夫だよ。ビリー達も喜ぶ。ビリーのお兄さんもいい人だから。」私はそう言ってビリーに返信した。「ライルも参加したいって!」って。
ビリーからはすぐに「了解!」って返事が来た。
「クラリッサが再来週の金曜日が休みで、その時にディナーはどうかって。」
「ああ、うん。楽しみ。確かビリーもその日お休みじゃなかったかな?じゃあ、一応その予定で。」
「うん。レストランは俺たちが予約しておく。せっかくだからちょっと洒落たフレンチとかもいいかなって思って。」
「高いでしょ?」私は言った。
「ああ、でも、クラリッサが俺の誕生日祝いもしてくれるって言ってて。カエ達が迷惑じゃなければだけど。」
「迷惑はずないじゃない!クラリッサに会えるのも楽しみ!」私は言った。「それで、翻訳はどうだった?」
「完璧だよ。田中さんも喜んでた。仕事も早いし、とても上手く書けてるって。」ライルは言った。
「良かった。」
「今日5時くらいに家に来れる?夕食はビリー達が買ってくると思うから。」私は言った。
「うん。分かった。」

ビリー達は言っていた通り5時過ぎには帰って来て、その後ライルもビールを買って来てくれた。
「ライル、いろいろ迷惑かけてごめん。」ビリーは言った。
「そんなことないよ。ビリーもーー大変だったね。心配したでしょ?」ライルは言った。
「本当に。痛めつけられた上に逃げられて参った。ーーで、今回の話は聞いた?」
「うん、全部聞いたよ。」ライルは笑った。
「まず、ゆっくり食べながら話そうよ。中華料理買って来た。」アダムが言った。
私はお皿を出した。ビリー達はもうビールを開けていて、「カエと俺は半分ずつ飲もうか?」って私とビリーは一瓶をコップに半分ずつ注いで飲んだ。
「この間、俺たちは3人で秘密を話すゲームをしたんだ。」アダムが話した。「今回もその作戦で行こうって言ってる。ネタもネタだから、気まずいだろうし、俺たち4人は本当の事は言わなくてもいい。もちろん、喋りたかったら事実を喋ってもいいけど、それはどっちだっていい。ただ、嘘なら真実味がある話をするんだ。テーマは「初体験」で。これはそれぞれが月曜の夜までに考えておくこと。で、ノエルにも参加させて喋らせる。カエも恥ずかしいだろうけど何でもいいから話して。」
「ノエルは本当の事を喋るかな?」私は言った。
「絶対喋ると思う。案外、嘘はつかないっていうか、真面目なところは真面目だから。」ビリーは言った。
「それで、最後にビリーに喋らせる。ノエルが「絶対嘘だ」って思う話を。それで、その時に本当のことを言うんだ。どう?」アダムは聞いた。
「いいね。ーーすごいな。策士だな、アダムは。」ライルは言った。
「この前のカエのも相当だった。老後に俺たちは一緒に探偵事務所やろうって言ってる。」アダムが言ってみんなが笑った。
「こういう悪巧みだけはやたら張り切るよね。」ビリーは言った。
「まあね。昔から嫌いじゃないから。ーー試しに4人でやってみる?暴露大会。テーマはーーー単純に「黒歴史」とかどう?短くていいよ。つまらない話で構わないし。」アダムは言った。
「アダムはこの前話した以上の黒歴史があるの?最悪だな。ライル、アダムはこの前、初恋の女の子の持ち物を隠していじめた話をしたんだよ。」ビリーとライルは笑った。
「マジで?いじめっ子だったなんて全然想像つかないな。」ライルは言った。
「まあね。人にはいろんな歴史があるんだよ。ノエルの黒歴史は初体験が40代のオバさんだった事だろうからーー俺たちもお互いの黒歴史を知っておこう。」アダムは笑いながら言った。「じゃあ、ビリーから?」
「あー、何だろう?ほら、生きてきたからあまりないんだけどーー」アダムはここで「嘘つき!」って言ってみんなが笑った。「日本に旅行に行った時、京都で湯豆腐を食べに行った。店名は、忘れちゃった。でも、屋根がこう、屋根裏部屋みたいに低くなってる部屋がある古い日本家屋みたいなお店だった。それで、食べ終わって、屋根が低くなっていることを忘れてて勢いよく立ったら梁に頭をぶつけた。「ゴンッ」っていうすごい音がして、同じ部屋で食事をしていた人全員が俺を見てーー痛いのも痛かったけど、とにかく視線がーー哀れみと笑いが入り混じった感じで恥ずかしすぎた。終わり。」
「じゃあ、俺もたいした話はできないけどーー」ライルは喋り始めた。「クラリッサと初めてデートした時、大学生で、恥ずかしいけど女性と出かけた経験があまりなかったから朝からすごく緊張してた。一緒に映画を見て、ちょっとオシャレなイタリアンレストランに行く事になっていた。それで、ほら、初めてのデートだから、「何を着て行こうか」とか「汗臭くないか」とかいろいろ気にするよね?」ーー「ああ、分かる。」ってアダムとビリーは頷いたーー「それで、そういう事に気をとられていて、ほら、ファスナーを閉めるのを忘れてた。」私たちは笑い出した。「で、映画館では暗いしバレなかったけど、その後にレストランでトイレから戻った時、クラリッサが「ライル、ってこっそり教えてくれてーーカエ、ごめんね、下品な話でーー、真っ赤になった。クラリッサがそれ以上触れなかったからなんとか耐えたけど、からかわれたりしたら多分恥ずかしすぎて別れてた。」
「ああ、優しそうだからね。」アダムは頷いた。
「知ってる?クラリッサのこと。」ライルは聞いた。
「今年に入って交通事故起こした時にちょっと手当してもらったんだよ。」アダムが言った。
「ああ、なるほどね。」ライルは頷いた。
「ライルは日本に行った事ある?」アダムは聞いた。
「うん、カエには話したけど横浜でホームステイしたころがある。」ライルが言った。
「へえー、そうなんだ?」ビリーが聞いて、ライルが頷いた。
「じゃあ話は簡単だな。」アダムが言った。「俺の黒歴史はあの日本のトイレだよ。水がでるやつ。」私は話の先が見えて笑い始めた。「マヌケな話で恥ずかしいけど、便器が温かいのはまだいいとして、初めて日本旅行をした時、あのトイレの横にあるボタンに興味がでた。分かる?」ビリーとライルは笑いながら頷いた。「でも、日本語も読めないし、絵が書いてあってもよく分からなかったけど適当に押したらーーまあ、汚い話だからあとはご想像にお任せするけど、とにかくお湯がとんでもない所から出て来てーーしかもどこで止めるのかも分からなくてパニックになった。終わり。」アダムは笑った。「今度日本に行ったらカエに使い方聞かないと。」
「やだ、アダム!」私は笑った。
「俺はカエのご両親の家で覚えたよ。」ビリーはちょっと誇らしげに言った。
「使った?」アダムは聞いた。
「うん。恐る恐る、ね。なんかーー微妙だったけど。」ビリーは言った。
「俺もホームステイ先でホストマザーに教えてもらった。使わなかったけど。」ライルは言った。
「恥ずかしいな、私はーー小学校の時にクラスにちょっといじめられてる子がいた。ちょっと病気持ちだったのかな、てんかんとか?詳しくは知らないけど、体が弱いっていう話だった。人懐っこくていい子だったの。でも、ある日、友達にその子の家にピンポンダッシュしようって誘われてーービリー、失望しないでねーー、何回かやった。チャイムを鳴らして自転車で逃げたの。」
「うわ、カエはだったのか。まあ、あの逃亡センスを見れば納得だけど。」ビリーは笑いながら言った。ライルとアダムは爆笑してた。
「ドン引きした?」私は聞いた。
「ーー大丈夫だよ。俺は何を知っても引いたりしないから。」ビリーは私の肩を抱いた。
「ーーーまあ、こんな感じだよ、ライル。月曜日は嘘と真実が入り混じった恥の晒し合いになるから覚悟して来てね。」アダムが言ってみんなが笑った。「ノエルは何時に来る?」
「サウスバンクのホテルで会議があって帰りに乗せてくれないかって言ってた。ライルは何時に来れる?」ビリーが言った。
「5時過ぎには来れる。夕食は俺が何か買ってくるよ。」ライルが言った。
その後アダムとライルは帰って、私は後片付けをした。
ビリーはキッチンのカウンターに掴まって立ちながら「カエがそんなことをしてたなんて信じられないな。」って笑った。
「まあね。今考えると恥ずかしくてたまらないけど。」私はそう言ってカウンターを回り込むとビリーとキスをした。そして、ビリーが「ベッドに行こうか」って言ってーーそれからまたセックスをした。
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