ビリーと私のオーストラリアDiary

Kaede

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引っ越し準備と仲間

ライルの引越し

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金曜日は小雨が降って風が強い一日だった。メルボルンの一番寒い時期と言ってもいいかもしれない7月の下旬。これからの嵐を予感させるような天気。
ビリーは遅番で朝に時間があったせいか朝から
前の晩はジェイミーの家から帰ったのが10時近くで、その後仕事をしてから寝たせいかなかなかこの朝は起きられなくてーー天気のせいもあったかもしれないーー、「あと10分ーー」って言う私にビリーは「起こしてあげようか?」って言って。左肘で身体を支えながら私の下着の中に右手を入れるとゆっくりと刺激し始めて、私が目を開けると上から覗き込んでいた。
「朝からしたいの?」私は聞いた。
。」
ビリーはそう言うとキスをしてきて、私は自分でパジャマを脱いで、ビリーのパンツも下ろしてーー「ビリー、時間がーー」、ビリーは「分かってる。」って言ってすぐに挿入してきてーー右手は今度は私の右胸の上にあって。強弱をつけて腰を振りながら、乳首を刺激されると「んんー」って大きな声が何度も出て、下腹部が何回も痙攣して。ビリーは「カエは最高だよ。」って言ってくれた。
それから遅れそうになりながらもシャワーを浴びていつも通り学校に行ってから、午後はバイトに行った。
「すっごい風!」私は語学学校に着いた途端に言った。
「カエすごい髪になってるよ!」ってターニャに笑われて、鏡を見たら髪は風でボサボサで、自分で言うのもアレだけど山姥みたいな姿だった。
「カエ、昨日はありがとう。」ジェイミーが言った。
「ううん、楽しかったよ。リンのお料理も全部美味しかったし。毎日手料理食べてるの?」私は聞いた。
「ああ、ほとんどはね。手料理が一番の節約になるし。」ジェイミーが言った。
「いいな、俺も料理上手な奥さんが欲しいな。昔は美人ならいいやと思ってたけど、歳をとってくると食生活って大事だと思わない?」ケビンが言った。
「そんな歳でもないくせに。」ジェイミーが笑った。
「それにしても昨日は楽しかったな。暴露大会、アダムから話を聞いてやってみたけど我ながら名案だった。今度授業でやろうかな?」スティーブンが言った。
「ビリーとアダムがいる時じゃないと面白くないと思う。あの2人は何?喋らせたらすごいよね。思わず聞き入っちゃうっていうか。」ケビンが言った。
「カエも相当だよ。ーー似たもの同士なんだと思う。」ジェイミーが言った。
「カエは、昨日アダムが言っていた何回かの暴露大会全てに参加した?」スティーブンが聞いた。
「うん、そうなの。ビリー達と、私と、あと私の翻訳の仕事の方の人と4人かな。」私は笑いながら言った。
「へえ。今度本当に「初体験」でやってみたいな。」ケビンが言った。
「そのテーマは嫌だな。センシティブな内容じゃない?」スティーブンが苦笑いした。
「そのテーマを嫌がるのは「遅かった」人たちだな。ってことはビリーも遅かったのかな。あの顔ではありえない気がするけど。どうなの?カエ?」ジェイミーは私に聞いた。
「うーん・・・どうかな。」私は適当にごまかした。
ここで午後の授業の開始時刻になったから良かった。こういうなゲームは楽しいけれど一、二回で終わらせておくのが吉っていう感じ。黙っておくとエスカレートしていって、傷つく人が出てしまうから。
その日は帰ってからメニューの翻訳の仕事を終わらせてライルに送信して、それからパワーポイントで来週の授業のための資料作りをした。気がついたら夜7時。それから急いで夕食の準備をした。
ビリーは夕食を食べた後に「引越しまで後1ヶ月だから本当にやり始めないと。」って言って私がやり残した本棚の上の段とか、部屋にいくらか置いていた仕事関係の資料とかそういうのをゴミ袋に入れたり段ボールに入れたりしていたけど、ほぼ片手での作業は本当に効率が悪くてあまり進んでいないように見えた。
「今日はリハビリ行った?」私は捨てる資料を破る手伝いをしながら聞いた。
「夕方に行った。今日はリアムが優しくて、俺が痛がってるの見たら手のマッサージだけにして帰してくれて。しかもチョコレートまでくれた。荷物運ぶの手伝おうか?って言ってくれたから、工事が終わったら本とかの箱を運んでもらおうかな。」
「うん、いいんじゃない?本はだいたい詰め終わったから。ーーあと1ヶ月か。楽しみだね?」私は言った。
「うん。でも準備の出来てなさに焦ってきてる。自力でやりたかったけど、だめだな、休みの時に誰かに手伝ってもらわないとこの手じゃ何もできない。」ビリーは首を振ってため息をついた。
「私も頑張るけどーーこの際甘えようよ?アダムとかーーライルも明日が終わったらいつでも手伝うって言ってたし。」
「本当?じゃあ明日頼んでこようかな。アダムは8月になったら休みの日は来て手伝ってくれるって言ってた。」ビリーは言った。
「じゃあ、またご飯作ってあげなきゃ!」私は言った。

ライルの引越しの日は快晴だった。気温は低いけれど日差しが強くて、前の日あんなに強かった風はピタッと止まっていて。
私たちは朝9時に出発して、ライルが教えてくれた住所に向かった。ライルの引越し先は細い路地に面した2階建の新しいアパートで、私たちは近くの駐車場に車を止めて歩いて行った。ビリーは「どうせたいした手伝いは出来ないから。」って言って、普通にチノパンとラルフローレンの青いストライプのシャツを着ていて、私が言うのもなんだけど、引越しには似合わないカッコ良さだった。しかもロクに働けないお詫びにって、ワインを一本用意していて。
「そういえば今日はライルのお父さんも手伝いに来るんだってよ。」私はアパートへ向かう路地でビリーに言った。
「ああ、そうなの?良かったね、そんな関係になって。会うのが楽しみだな。」ビリーは言った。
アパートに着くとちょうどライルが玄関先でダンボールを潰しているところで、私たちを見ると「クラリッサ!ビリー達が来たよ。」ってクラリッサを呼んでくれてーー私たちには「来てくれてありがとう。」って笑顔でハグをしてくれた。
「ビリー、指は大丈夫?」ライルはビリーの左手を見ながら言った。
「あー、もう最悪。なんとか持ち堪えてるって感じかな。これ、引越し祝い。」ビリーは笑ってライルにワインを渡した。
「わざわざごめん。ありがとう。」ライルは言った。
クラリッサも「ビリー、カエ、来てくれてありがとう。」って喜んでくれた。
「この前はありがとう。情けない姿を見せてごめんね。」ビリーはクラリッサに言った。
クラリッサは首を振って「そんなことないの。ライルから話は聞いたけど、本当に、無理しないで大事にしてね。」って言った。
「アダムは来た?」ビリーが聞いた。
「まだだよ。もう来てる人を一応紹介するから、入って。」ライルは言った。
ライルはそれから手伝いにきていた同僚の30代くらいの男性3人を紹介してくれて、クラリッサのお父さんのドニーも紹介してくれた。そしてーー「この人が俺の継父だよーージミー。ジミー、俺の友達のビリー。ほら、俺にーー」って言った。
ジミーはビール腹がかわいい小太りの男性で、愛想のいい笑顔で「ああ、君か。」ってビリーに言った。
「息子との仲を修復できたのは君のおかげだよ。ありがとう。」ジミーは言った。
ビリーは笑顔で首を振って「俺の力なんてほんの1%くらいなものでーーライルのおかげだよ。ライルに良心があって、お父さんとの関係を良くしたいっていう意志があったから。ーーでも、そう言ってもらえると役に立てたみたいで嬉しいな。」って言った。
ライルは笑って「ビリー、片手でも出来る作業を用意してたから来て!」ってリビングの本棚の前に連れて行った。床から天井近くまで高さのある大きな棚でーーライルは私に話していた通り、本を並べるのをビリーにお願いした。
「一応ABC順に箱に入ってるから、ただ並べるだけでいいから。」って。
それから私をキッチンに連れて行って、「クラリッサを手伝ってくれる?」って言った。
アダムが来たのはその時で、「ごめん、寝坊して遅くなった。」って例のミッキーマウスのトレーナー、ーーしかも私はこの時初めて見たけど色褪せたミッキーが一体じゃなくて描いてる究極のダサさーーにジーンズを履いて着た。一瞬、私とライルとクラリッサは固まってそのトレーナーを見てーーみんなで笑った。
「やだ、そのトレーナー!」私は笑いながら言った。
だよ。」アダムは笑ってライルに「ノエルのだよ、俺じゃなくって。」って言った。
ライルはそれで更に笑ってクラリッサに「ビリーのお兄さんのだよ。」って教えてあげた。
「ほら、汚れてもいいやつと思って、この前別な友達の引越しがあった時にビリーに借りてーー」ここでアダムはビリーに手を上げて挨拶したーー「それでーー多分もう1回、ビリー達の引越しで見ることになるから覚悟してて。ったく、ビリーは引越しなのにレストランにでも行くような格好で来て、俺との落差がーー」って文句を言った。
「アダムは何着てても似合うよ。」私は笑って言った。
「ありがとう、カエ。無理に励まさなくても大丈夫だよ。」アダムは言った。
「アダムには引越しトラックが来たら荷物を運んでもらうかな。それまでその辺の箱を開けてくれると嬉しいな。ーーその前にちょっとみんなを紹介するよ。」ライルは言ってアダムを連れて行った。
私はそれからしばらくクラリッサとキッチン用品の片付けをした。お皿を食器棚に入れたり、フライパンを箱から出したり。
「カエ達もあと1ヶ月で引越しでしょ?準備はどう?ビリーがあの手じゃ大変でしょ?」クラリッサが聞いた。
「うん、あまり進んでなくって、ビリーも焦ってきてる。ほら、アダムとかには手伝ってって言いながらも、やっぱり自分でやるのが責任だとも思ってるみたいでーー自力でやりたいけどやれないのが悔しいんだと思う。」私は本を並べているビリーを見つめながら言った。
「なるほどね。でも、ライルも手伝いに行くって言ってるよ。あまり気にしないで頼んで欲しいな。」クラリッサは言った。
「うん、多分、今日頼むんじゃないかな?そんな事言ってたから。ごめんね、せっかく一緒に住み始めるのにライルを奪っちゃって。」私は笑った。
「ううん、そんなことない。ビリーもだと思うけど、私も夜勤とかあるから案外休みも合わない事も多いし、お互いの生活が変わらないようにしようって言ってるから。」クラリッサは言った。
お昼にはクラリッサのお父さんが、クラリッサのお母さんが作ったサンドイッチを持ってきてくれていて、私たちはみんなでそれを食べた。もうベッドとか大きな家具も引越しトラックが持ってきていて、部屋の中は梱包材とかで相当グチャグチャだったけどーー働いた後のご飯は美味しかった。
アダムとライルは本の話をしながら一緒に本棚を見ていて、ビリーの口数が少ないのが気になったけど、朝は元気そうだったしって思って特に気にもしなかった。ちょっと鼻をかんだりもしていたけど、埃のせいだとに思ってた。この日が終わる頃にはとんでもない勘違いだったって思うんだけど。
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