ビリーと私のオーストラリアDiary

Kaede

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新しい生活

引越し前夜②

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「私の最悪の腹痛は、カナダに行った時かな。由緒あるホテルでのアフタヌーンティーに、ホストファミリーの息子さんとクリスが連れて行ってくれる事になってすごく楽しみにしてたんだけど、その日は、ほら、で朝からお腹が痛くて。でも、ずっと我慢していて、みんなでホテルに行ったんだけど、サンドイッチとかケーキが出てきた瞬間にもう我慢出来なくなって、私は無言で席を立ち上がってトイレに走ったの。でも、ほら、初めての所だからすぐにトイレが見つからなくてーー」
「チビった?」ノエルが笑った。
「ノエル!カエをいじめないで。」ビリーは怒って、また咳き込んだ。
私はビリーの背中をさすってあげながら「それはなかったけど、トイレがすごい行列でーーほら、女の人ってなぜか長いからーー本当にギリギリセーフっていう感じで。なかなかトイレから出られなくて、冷や汗かいて気持ち悪くて。。分かる?」って言った。
みんな笑って頷いて、ビリーは「病院に行った?」って笑いながら聞いた。
「行くはずないでしょ!時間はかかったけどだよ。でも、楽しみにしてたケーキとサンドイッチ台無しで、本当にチョコレート一つしか食べられなかったのがショックで、今でも悔しい。」
「ーー女の子だな。」ライルが笑って言った。
「うん。男なら方に話の重点を置くからね。」アダムが頷いた。
「カエがだなんて知らなかった。やばいな、そんな所まで気を配らないといけないなんて知らなかった。」ビリーが言って、みんなが笑って私は「ビリー!」って怒って背中を叩いた。
「じゃあ俺?」ライルは話し始めた。「結論から言うと、大学生の時に盲腸になった。」って。
「マジで?」アダムが言った。
「うん。ちょうどクラリッサーーノエルには言ったか忘れたけど俺の彼女だよーーとデートの約束をしてた日で、なんか朝から腹が痛いと思ってたんだけど、まあ、時々誰でもあると思うから、タイミングの悪い腹痛だと思って出かけたんだ。確かクラリッサと出会って半年を祝うためにキャンベラ郊外のリゾートホテルに予約をしてて。」
「ーータイミング悪かったね。」ビリーが言った。
「本当に。でも、運転してるあたりからだんだん右の脇腹が猛烈に痛くなってきて、冷や汗も出てきて吐き気がして車を止めて何回かに駆け込んだ。でも、俺は当時、盲腸っていう知識がなくてーーそういうのがある事は知ってたけど、まさか自分がなるとは思わなかった。で、クラリッサにも腹痛のことは恥ずかしくて言わないで、「多分食あたりじゃないかな?」って言ってて。」
「ヤバいな、それは。」アダムは言った。
「うん、そうなんだよね。で、もう痛みを隠し通せなくなった時、クラリッサはすぐに盲腸を疑って俺の腹を触ってーー「すぐに病院に行かなきゃ!」って言って、チェックインして10分くらいでホテルを出てーー」
「剃られた?」ノエルが笑いながら聞いた。
「ノエル、もう、そういう時代は終わりかけてるんだよ。」ビリーが笑って言った。
「そうそう。」ライルは頷いて「ヤバいな、どうしようと思ったけど、なんていうの?までは剃られなくて、安心した矢先に管つっこまれてーー、ああ、もう恥ずかしいな。」って言った。
アダムは大笑いして、「大丈夫、俺もビリーも経験済みだよ。」って言った。
「それで、まあ、内視鏡手術受けて一件落着。クラリッサにも怒られるし、恥ずかしいし最悪だったな。」ライルはため息をついた。
「アダムはいつ管つっこまれたの?」ノエルが聞いた。
「それ、今聞く?」アダムは笑って咳払いをして、お父さんの事故の件をすごく簡潔にノエルに話した。
「ーーそうだったのか、知らなかった。」ノエルは言った。
「うん、その時だよ。ちょっと頭とかも打ってたし、動けなくて、何日間か。今なら見慣れてるし何とも思わないけど、だったからね。当時は人生最大の屈辱だった。」アダムは笑った。そして「屈辱つながりで話すよ。俺は普段はあまり腹痛ってないんだけど、ちょうど大学を卒業して病院で働き始めて何週間か経った時便になった。ほら、結構ナイーブだからーー」
ここでビリーが咳き込みながら笑い出して「あの話?」って言った。
「そうだよ。」アダムは恥ずかしそうに笑って頷いた。
「なんか、展開が読めたな。」ライルが笑って言った。
「新生活の緊張感でストレスになってたんだと思う。当直とかもあって、規則正しい生活ができないことへの慣れも必要だったし。それで、4日くらい出なくてーーついに腹が痛くなった。で、同僚に探されるくらいトイレに篭って頑張ったんだけど出なくて。ーーで、自分で腹を触ってみても固くてーー」
「やだ、気持ち悪い。」私は笑いながら言った。
アダムは頷いてーー「やべえな、って思って焦った。今思えばそこで下剤飲めば良かったんだけど、なぜか薬っていう選択肢が頭に思い浮かばなくて、ビリーに「ちょっとーー浣腸してくれない?」って言ってーー」
みんなが大笑いした。「うわ、やばいな、こいつら。」ノエルが言った。「で、ビリーはやったの?」
「まあね、求められればやるのが医者の役目だよ、ノエル。練習にもなると思ったし。」ビリーは頷いた。
「その後速攻でトイレに駆け込んでーーまあ、後は想像の通り。その日はほとんどトイレにいて、で呼び出しまでされた。カエじゃないけど最後はもう、ね。」アダムは笑った。
「あの時は俺が「アダムは腹痛でトイレに篭ってる」って報告したんだよ。みんなが「それで個室がずっと使えないのか!」って言ってた。」ビリーが言った。
「酷い話だな、みんな。」ノエルが笑った。
「俺はーー」ビリーはまた少し咳き込んで「ああ、ごめん。ーー俺の人生最初の食中毒はアダムと一緒に住み始めて半年くらい経った時だった。ほら、ミートボールだよ。」
「ああ、マジか。俺も恥かくじゃん!」アダムが笑った。
「アダムには変な物をたくさん食べさせられてきたけど、あのミートボールはーー見た目は完璧でそれに騙されたっていうかーー。」ビリーは咳き込んで「あの日は、アダムがバイトに行く前に、お母さんがよく作ったミートボールのトマト煮みたいなのを作るって言って作ってて。」って言った。
「ただ、思ったより時間がかかって、俺は、まさかビリーが食べると思わなくてミートボールの外側だけ焼いて鍋に入れて出かけたんだ。」アダムが言った。
「で、俺はもうそれが出来あがったものだと思ってした。一応、温めはしたけど、まさか中が生だとは思わないから。ソースと一緒に食べたから、全然気が付かなくて。アダムが帰ってきて「ビリー、まさかこれ食べた?」って聞かれて、「うん。」って言ったら、「まだ生だったのに!!」って怒鳴られて。」ビリーが笑いながら言った。「次の日の明け方から、もう最高の腹痛と吐き気でのたうち回ってた。トイレに行こうにも動けなくてアダムに引っ張っていってもらって、もう状態になっても腹痛が治らなくてーー。その後も何回か食中毒になったけど、血まで出たのはあの時だけだった。」
「それってプリンの前?」私は聞いた。
「うん、そうだよ。」ビリーは頷いた。
「何回食中毒なってるの?」ライルが笑った。
「ーー五回くらい?」ビリーがアダムに聞いた。
「うん。しかも全部被害者はビリーで、原因は俺の食べ物。ビリーが俺に聞かないで勝手に食べるから。。」アダムが言って、ライルとノエルも笑った。
「さあ、ラストはノエルだよ。」ビリーが言った。
「俺、あまり腹痛になったことってないんだよね。」ノエルが言った。
「あー、そう?ほら、あの時は?カンボジア。」ビリーが真面目な顔で言った。ふとアダムとライルを見ると2人とも笑いを堪えている感じだった。
「ああ。」ノエルは笑って「恥ずかしいな。ーーでも、まあいいか。昔、家族でカンボジアに行ったんだよ。俺は15歳くらいだったかな。東南アジア周遊で、前の日までタイにいたから、実際はどこで食あたりになったのかは分からず仕舞いだけど、バンコクで屋台のジュースを買って飲んで、あれが原因じゃないかと今でも思ってる。とにかく、アンコールワットに行った時に腹が痛くなって、やばい!って思って。でも、トイレをなかなか探せなかったし、親も楽しそうなのにトイレ探しに時間を割かせるのも悪いかなって思って我慢してたんだけど、我慢出来なくなって。その時、確かビリーと妹と3人で、親が見終わるのを待ってたんだよ。で、「これは無理だ!」って思って、他の観光客から死角になる所まで全力で走った。でもーー途中で。」って言った。
「うわー、汚いな。」アダムが言って、ライルと笑った。
「やだ、ノエル!キモい。」私もかなり笑った。
「で、草むらにしたの?」ライルが聞いた。
ノエルはちょっと赤くなって「うん。」って頷いた。そして、「そして、親が。その後も一日中下痢気味で、参ったな、あの時は。チビったパンツで一日中観光した。妹には臭いって言われるし。」って言った。
「ーーノエル、省いてない?」ビリーが聞いた。
ノエルはビリーを見てふと笑って「ああ、そうだよ、省いたよ。俺はその、ほら、草むらのをビリーがやったって親に言った。それで、ビリーが代わりに怒られて。ああ、恥ずかしいな、本当に。兄として最低な事をした。分かってる。全てをビリーのせいにして、1人だけ下痢してる恥ずかしさを隠そうと思った。」って言った。
「人間として最低だよね。」ビリーはまた咳き込んで言った。
「酷い兄だな、本当に。」アダムも頷いた。
ノエルはちょっと考えて「ーーちょっと待って。なんでライルはって知ってるの?ーーおい、まさか、これも俺に恥をかかせるためのーー?」ノエルが言った。
ライルは飲んでいたジャスミンティーを吹きかけて、「やばい、ごめん。」って笑った。
「バレたか。」アダムは大笑いした。
「ーーそうだよ。もうみんなは知ってたけど、わざわざ喋らせて恥をかいてもらった。」ビリーは笑った。
「じゃあ最初からーー「初体験」なんて喋るつもりはなかった?」ノエルが聞いた。
「当たり前じゃん。そんなの知りたくないし。」ビリーはそう言ってまた激しく咳き込んで、私はまた背中をさすってあげた。
「ーー車の中の会話から嘘?」ノエルはアダムに聞いた。
「まあね。」アダムは頷いた。
「くそ、二回目だぞ!この共が!ビリー、お前は最低だよ。」ノエルは悔しがった。
ビリーは無視して「ああ、じゃあ、ライル、明日は家の方によろしく。アダムも。一応こっちのメンバーが集まってから行くから、して待ってて。」って言った。
アダムは「その言い方ーー」って笑って、「じゃあ、ノエル。帰るから。また明日。」って言って、ライルも頷いて「じゃあ、またね。」って二人は帰った。
「じゃあ、ノエル、俺たちも寝るから。」ビリーは言った。
ノエルは頷きながら「ビリーもカエも覚悟してろ、いつか4まとめて大恥かかせてやるから。」って笑って言った。
「おやすみ、ノエル。」私も言った。まさかノエルがもう頭の中で復讐プランを立てているとは思わずに。
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