ココロのファインダー

ちはやれいめい

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4 ココロおどる景色

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 マイ先パイは、机の下から古びたカバンを取り出した。

「はい、これ! 写真部で代々使われているデジカメ! 人数がおおかったときはふたりで一つみたいな使い方してたらしいけど、いまはあたしたちだけだからひとり一台。ぜいたくだねぇ」

 そう言って差し出されたのは――ちょっと大きめで、黒くて、がっしりしたデジカメだった。
 角にはすこしキズがあって、ところどころコーティングもはげている。
 何年も前から使われているのがわかる。

「……これ、見るからに古いけれど使えるんですか?」

「ふふん、ちゃんと動くよ? おさがりだけど、まだまだ使える!」

 マイ先パイはバッテリーをセットしてくれる。スイッチを入れると、ピピッと音がなった。

「はい、アヤメさんのカメラ! これがシャッターで、こっちがズーム。かんたんでしょ? さあ、さっそく行こっか!」

「えっ、どこに?」

 わたしの返事をまたずに、マイ先パイは部室を出た。

 カメラを持ったまま、わたしは引っぱられて学校の中を歩く。


「で、でも。なにをとるのが正しいんですか? わたし、カメラもったことないし……」

 マイ先パイはぴたっと足を止めて、ふり返った。
 そしてにっこり笑って言う。

「写真をとるのにルールなんて、ないよ」

「え……?」

「ココロがおどったら、それがシャッターチャンス!」

 ぐっとおやゆびを立てて言いきったマイ先パイは、なんだかカッコイイ。

 げんかんでくつをはきかえて、マイ先パイは、くるりとまわって立ち止まった。

「何をとればいいかわからなかったらね、この景色、好きだなーとか、ほかの人にも見てほしいなーって、思うものをとればいいんだよ」
「好きだと、思うもの……」

 わたしもくつをはきかえて、げんかんまえの広場に出た。
 うえこみのチューリップに、カメラをかまえてみた。
 赤や黄色、白。いろんな色が並んでいる。

 まだ手がなじまないし、どこをどう見ればいいかもわからない。
 ほんのりやさしいかおりがするチューリップをじっと見つめる。

 同じ色のチューリップでも、ひとつひとつ花びらの形やかさなりぐあいは少しずつちがっていて、かわいらしい。

 わたし、いつも本の世界にとじこもって、こんなふうにじっくり花を見たことなんてなかったな。
 マイ先パイにいわれるまで、すぐ目の前にある花だんすら見ようとしなかった。

 もったいないことしてたな。


「じゃあ、ためしに一枚。とってみなよ」

 マイ先パイにうながされて、わたしはそっとシャッターを押した。

 いろんな色のチューリップ。それが、わたしがはじめてとった写真。




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