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遺跡村ティーヴァ、白鏐の賢者と炎禍の業編
11.暇で仕方がない時、恋人達は生産的になるという1
しおりを挟むさきほどから、非常に居心地の悪い雰囲気になっている。
首筋には定期的に息が掛かるし、上半身は浅黒い腕にがっしり捕まっていて腕すらも動かせない。その上、胡坐をかいた逞しい足の間に座らされて、地面とは違う固い筋肉の感触に非常に尻の居心地が悪いわけでして……。
「く……クロウ……あの、この格好はちょっと……」
「ん? ただツカサを乗せているだけだぞ。何もおかしな事など無いだろう」
俺はおかしいと思うよクロウさん。
だって、大の男が人前で男の胡坐の上に座らされてるとかナシでしょ。そりゃ俺は何度かこういう風に座らされる事があったけどさ……でも人前でってのは駄目でしょさすがに。しかも……と、友達のマグナの前でこんな。
「ブラック、頼むからどうにかしてくれよぉ……」
頼みの綱の相手に視線で縋るが、ブラックは肩を竦めて眉を上げるだけで。
「ご褒美」とは言え俺的には羞恥プレイすぎてもう勘弁して欲しい。今はマグナが曜具にかかりっきりだから良いとしても、これで今こっちを振り向かれ
「…………お前達、何をしてるんだ?」
ああああ気付かれてしまったああああ!!
う、う、うううう、お、落ち着け、落ちつけ俺、こういう時は下手に騒ぐな、冷静に、冷静にマグナに返答するんだ……!
「……き、き、気にしないで、研究を続けて下さい……!」
「いや、凄く気になって集中できないんだが」
そらそうだよね、ゴメン本当にゴメンよマグナ。
でも俺にはどうする事も出来ないんだ。頼むからこっち見ないで。
「ううう……友達だと思うならこっち見ないでぇえ……」
両手で顔を隠してメソメソする俺に構わず、マグナはブラックに対して何やら不満げな声で問いかけ始めた。
「お前が凄く嫌がってるのは解ったが、なんなんだこの中年共……というか、そこのブラシだかタワシだかしらん赤い中年は注意しないのか」
「僕の名前覚える気全然ねーなテメェー」
「うるさい、お前確かツカサの恋人か何かだっただろうが。それなのに、他人に触らせて良いのか? それともお前が甲斐性無しということなのか?」
「お前ごときに一目で理解される関係なら、僕もこんな駄熊に好きにさせとらんわい!! 部外者は黙って好きなモン作ってろい!」
半ギレ気味なせいか、ブラックの言葉が微妙に江戸っ子になってる気が。
しかしマグナも反論の言葉が考えつかなかったのか、ブラックの言葉にツッコミを入れる事も無く、不承不承といった様子で「あまり騒ぐなよ」と呟き、再び俺達に背を向けてしまった。
見ないでくれと言ったのは俺だが、そうすんなり引き下がられるとあの、待って。
出来れば俺の安寧の為にもう少し粘ってくれた方が……。
「ツカサ……良かったな、騒がなければ良いらしいぞ」
「ひうっ」
俺が慌てていると言うのに、クロウは何を思ったか俺の項を食んできた。
唇に挟まれただけなので痛くは無かったが、そのついでにちろりと舌先で舐められて、思わず声を漏らしてしまう。
だけど何とか堪えて、俺は小声でクロウに注意した。
「ちょ……も、触るだけって……っ」
「舌で触っている。触る場所も触る部位も指定は無かっただろう?」
「ぅ……うぅうう……」
そりゃそうだけど。そうですけど。
でも、マグナが居るのにこんな事……っ。
「ハァ……ツカサは相変わらず美味くて良い匂いだな……」
「っ……ん…………っ!」
首の付け根に有る骨の部分から、髪の毛の生え際まで舌で舐め上げられる。思わず身じろぐが、体は動けない。下半身だけ動かすとクロウの股間に尻の谷間が当たってしまって、俺はそれにびくりと体を震わせてしまった。
そんな俺に息だけで軽く笑って、クロウは更に俺を苛んでくる。
首から舌が離れたと思ったら、今度は耳の外側の輪郭をなぞるようにして、耳朶から耳のてっぺんまで舌を尖らせて舐め上げ始めたのだ。
「っ……ぅ……ん、ん……っ! ぅ……っ」
声が出ないように必死で我慢するけど、でも、熱い吐息と抱き締められている熱、それにとても微細でくすぐったい刺激が俺の背筋をぞわぞわさせて来て、唇を噛んでいないと声が出てしまいそうだった。
なのに、クロウはまるで飴でも舐めるかのように少しざらついた舌で舐めて、耳をかぷりと噛んでくる。柔く噛まれているが、それでもクロウの顎の力を考えると噛み千切られやしないかと少しの恐れが湧いて来て、体が反ってしまう。
ぞくぞくして、怖さと熱さが体に染み込んできて、耐え切れない。
せめて臀部に当たるものに触れる事だけは回避しようと思い、腹を突きだして腰を浮かしたような格好になると……すかさず、ブラックがシャツの上から俺の腹を軽く撫でて来た。
「っ!?」
「ふふ、もう我慢出来なくなったの? ツカサ君たらほんとえっちなんだから……」
耳を舐められ、孔の中に舌を入れられて思わず肩を竦めて震える俺に、ブラックは心底楽しそうに笑いながら突き出た俺の腹の穴を指で押し込む。
急な侵入に思わず声が出そうになって歯で噛み殺すが、ブラックの責めはそれだけじゃ終わらなかった。
「あれぇ、おかしいなぁ。腰と一緒にココまで突き出ちゃってるけど?」
下卑た笑い声を漏らしながら、大きな掌が……無防備になっていた股間にするりと差し込まれ、熱くなって膨らみかけた所を軽く擦って……
「っぁ……っ! っ、ぅ、~~~~~ッ!!」
声が、出そうになる。
ズボンの上からなのに、下着だってあるのに、腰を突き出して布を軽く押し上げる部分は、柔く擦られただけで下腹部をじんとさせてしまっていて。
だけどその感覚に溺れてしまえば、マグナにこんな恥ずかしい事をしていると気付かれてしまう。それだけはどうしても嫌で、俺は腰を戻そうとした。
でも、俺の足の間にきっちりと手を差し込んだブラックは、俺が逃げようとする事すら許してくれなくて。
「んっ、ぅっ、う、んっ、んんっぅ、ぅうぅ……っ!」
かしゅかしゅと固い布を擦る音が聞こえて、会陰から急所にかけて大きな手が擦り上げて来る。指先が先端に当たるのすら辛いのに、引き抜く寸前まで手を抜かれて、そこからまた股間の奥までずっと擦り込まれると我慢できず、俺は足をぎゅっと閉じ「嫌だ」と何度も首を振った。
クロウの荒い息と耳をいじめる舌だけでも体がぞくぞくしてるのに、こんなの耐えられない。自分から腰を突きだした格好のままで、マグナの背中を見ながらこんな事をしているなんて、恥ずかしくてたまらなかった。
だけど、そうやって嫌がる俺にブラックはずっとイタズラして来て。
もう、やだ。腰が震えてる。擦られてるせいで嫌でも興奮して、このままだとまた下着を汚してしまいそうなくらい、熱くなっていて……。
だめだ。このままじゃ、もう、どうしようもない。
こんな風にあおられて我慢出来るほど、俺は理性が強くなかった。
「もっ……おね、がぃ……っ」
「ん?」
情けないほどか細い俺の声に、声質の違う低い二人の声が重なる。
その音にすら体を震わせながら、俺は小さな声で再び懇願した。
「せ、めて……ひとの……いない、ところで……っ」
お願いだから。
泣きそうな声で頼むと、ブラックは俺の背後にいるクロウに視線を合わせるように一度顔を上げると、軽く頷いて俺にニヤリと笑って来た。
「だったら……ちょうど面白い所をみつけたから、そこにいこうか?」
「ふぇ……」
「面白い場所?」
「まあ行ってみればわかるよ。さ、行こうか」
そう言うと、ブラックは俺の股間からわざと勢いよく手を引き抜く。
あまりに強い刺激に思わず腰が波打った俺をクロウが抱き留めて、そのまま抱えると難なく立ち上がった。こうなるともうどうしようもない。
荷物のように小脇に抱えられて部屋を連れ出され、ブラックの案内のもとどこぞへ連行されていく。マグナの居る部屋から大通りへと出て、今度は広場と反対方向へ。
そう言えばこっちは探索した事が無かったなと考えていると、ブラックはある廃墟の店へと入った。どうやら品物を売る店のようだったが、ここは他とは違いタイルのような欠片がそこかしこに散らばっている。
よく見ると、壁にもタイルが残っていた。
……うーん……壁がタイル張りの店っていうと……肉屋か魚屋か……?
しかし何故こんな所に連れて来られたのだろうと思っていると、ブラックは店の奥にある通路へと俺とクロウを案内した。
その奥には、扉が付けられていただろう朽ちた入口が有って。
一体何の場所なのかと入口を潜ると、そこは……妙な場所だった。
「え…………なに、ここ……」
だいたい二部屋分の少し広い空間には、幾つかの石の台が並んでいる。
周囲には何かの器具を掛ける金具や大きな冷蔵庫のような箱があって、天井からは何本もの鎖が垂れ下がっていた。
だけど、なんというか……なんか、いやな、よかんが……。
「さ、ツカサ君。駄熊が喜ぶご褒美……今からつくろっか?」
…………あの、ブラックさん。
その手に持ってる蜂蜜……一体何に使うんです……?
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