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出会うまで編
4.丸呑みプレイする気でしょ!エロ漫画みたいに!!*
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「ウソでしょおおおお」
俺は逃げる間もなく、触手に囚われて中空高く引き上げられた。
やだ高い所怖い。おじちゃん降ろして。
なんて冗談言っている場合でもなく、本当にマジでヤバい。
触手から何とかして脱出しようとするが、肉のように弾力があって細かな毛の生えたそれは、隙間なく俺に張り付いていてとてもじゃないが逃げ出せない。
触手ってぬめってて濡れてるものだと思ってたんだけど、快楽堕ち用の触手じゃないものはもっと現実的な要素を持っていたようだ。
これは完全に獲物を捕らえる為の……殺すためのもの。
その触手に絡みつかれて手も足も出ない状態で、運動能力ゼロの俺がどうして脱出できるでしょうか。
「うっ、ぐ……これホント、ヤバ……」
触手は動く生物の捕え方を心得ていて、手も足も折り曲げた状態で拘束されている。こうされると、力を出すのが難しい。その上持ち上げられているから、肘鉄や膝での攻撃も不安定になって威力が出なかった。
まあ、俺くらいになると、捕えられた時点でもう手も足も出なかったんですけどね! 死にたい! いや嘘です死にたくない!
ついでに触手プレイならやっぱり女の子が良い!
魔法少女が触手プレイされてるのが見たい!
「ごらんの有様だよ!!!」って言いたい!
「で、でも、俺は男だし……嬲られることもなく死ぬのか……」
普通エロ漫画じゃ男なんてすぐツボにポイですよねー。解ってますぅー。
ああ、これで俺の人生も終わりか。でも人助け……いやヘビ助けして死んだんなら、俺ってちょっとは格好良く人生終れたのかな。
「ううう……グッバイ俺の人生……」
もうダメだ。さよならお父様お母様。
目をつぶって、俺は来たる感覚に備えようとした。
――――が、触手は何故か予想外の事をし出したのだ。
……なんだか、腰のあたりがむず痒い。てか、なんかシャツがもぞもぞする。
まさかと思って目を開けて、俺はその光景に青ざめざるを得なかった。
「え、え……? ちょっとまって……なにこれ……」
うっすらと柔らかい毛が生えた肉厚な触手が、俺のシャツの中に潜り込んでいる。じっとりとした感触は人の肌にも思えるが、でもその冷たさは完全に異質なものだ。まるで、毛の生えた魚肉ソーセージ。
そんなソーセージが、うねうねと動きながら、俺の肌をまさぐっている。
それだけじゃない、手持無沙汰の他の触手が、俺の腰辺りを執拗に撫でまわしていたのだ。
……おいおいおいおい!
俺は女じゃないっつーの!
童貞より先にケツの処女が散るなんて嫌すぎる。っていうか、処女とかいう概念持ちたくないんですけどね俺男なんで!!
なんとか必死に抜け出そうとしてみるが、やっぱり手足は動かない。それどころか抵抗が煩わしいとでも言うように、触手は俺の足をぐいっと開かせて来る。
大股開きとかシャレにならない。このまま股裂きとかやられたらどうしよう。
思わず青ざめて硬直した俺に、触手は勢い付いたのか、ズボンのベルトを無理矢理引きちぎってズボンの中に侵入しようとして来た。その間にも俺の素肌に張り付いていた触手は、胸のあたりを探るように動いている。
大きいくせに動きが細かくて、そのせいで柔らかな毛が乳首に当たってくすぐったい。何だか嫌な予感がして身を捩るが、肩が僅かに動くだけで、触手に雁字搦めにされた俺の体は自分の意思ではもう動かせなくなっていた。
「っ……や、め……!」
触手が下着の上から俺の股間を確かめる。おいそこお前の触手じゃねーから。似て非なる物だから。触るな、お願いだから触らないで!
頑張って脳内でお願いしてみるが、触手にテレパシーが通じてりゃ最初から戦わなくてもいいわけで。
懇願する俺に構わず、触手は乳首や股倉を無遠慮に嬲り続けた。
脳みそのない植物のやる事だから乱暴だとばっかり思ってたのに、実際触手は俺の反応を感じ取っているようで、俺が嫌がれば優しく触れ抵抗すれば諌めるように強く俺を戒める。
下着のゴムが植物には掴みがたいのか、中身にまでは触れてこないけど、でも、そうやってうねうね触られてると流石に変な気持ちになって来てしまう。
気持ち悪いと思っていた胸への攻撃も、むず痒くて思わず太腿を擦り合わせてしまう程に気味の悪い感覚になっていた。
アカン、これは。
「っ……やば……これ……マジ快楽堕ち……」
俺は乳首を弄る趣味なんてないのに、これからクセになったらどうしてくれる。いや、っていうか、そんな機会今後あるのか。俺食われるんでは。
「あああ嫌だぁああああ」
二次元ならいいけど、現実はダメだ。ていうか自分が丸呑み消化プレイなんて絶対嫌だ。でもどうする事も出来ないし、どうしよう。
このままじゃ、俺、エロ漫画みたいにトロトロにされて最後は死……。
「うぇっ……やだ……ぜってえやだぁ……」
自分の声が情けなさすぎて涙が出てくる。
その雫は触手の腕に絡め取られて、俺はぐりっと頬を触手の先端で拭われた。ああ、水を求めている。そういえば触手ってエロ漫画じゃ水分を求めて体をまさぐる生物だったな……。
それでも俺は涙を我慢できなくて、泣く事しか出来なかった。
くそう、俺死んじゃうんだ。
こんな化け物に弄ばれて、恋人も出来ないまま、バッドエンドのエロ漫画みたいに呑まれて溶けて死んじゃうんだ……。
こんな世界、ハナから望んじゃいなかったのに――!
「恨むよ神様……!」
破れかぶれで、叫んだ声。
――――その声に被って、ある鳴き声が森に響いた。
「キューッ!」
途端、ガクンと触手全体から何かの力が抜けた感覚が伝わる。
乱暴に地面に落とされたが、俺は絡まっていた触手のおかげで怪我を負わずに済んだ。しかし、一体何が起こったのか解らない。
いや、まずは脱出だ。さっさと触手から逃れなければ。
俺はなんとかして手足を拘束していた触手から逃れると、シャツとズボンに入り込んだ重い触手を必死にどかした。
と、そこへ、カサカサと何かが這い寄ってくる。
「キュー」
振り返ると、そこにはこちらを見上げる空色の目をしたさっきの青大将がいた。
説明が遅れたが、青大将っていうのは緑色っぽい大きな蛇のことで、この蛇はかなり大人しい性格をしている。
都会の住宅街には全く出てこないんだけど、俺は昔田舎に住んでたからばーちゃんに教えて貰った事が有るんだ。でも、空色の目をした青大将っていうのはいなかったなあ……。
やっぱりここって、異世界なんだ。
まあ、蛇が鳴くなんて、あり得ないしな。
「どうした、お前」
呼びかけると、青大将はある方向を見た。
そこには、白い液体に塗れた木の枝が転がっている。
うわっ、周囲一面真っ白け。なにこれ季節外れの大雪状態じゃん。
これってまさか、この植物の消化液なんだろうか?
「もしかしてお前……俺の刺した木の枝を引っこ抜いて、こいつを倒してくれたのか?」
よく見れば、青大将の体に僅かに白い液体が付着している。慌てて葉っぱで拭いてやると、青大将は嬉しそうに目を細めた。
「キュイ、キュイ!」
「そっかあ、俺に恩返ししてくれたんだな、ありがとな」
ううっ、やっぱり可愛い。
言葉が通じてるのかは解らないけど、こうして感情丸出しにされると爬虫類も可愛いモンなんだな……。
思わずひんやりした頭を撫でてやると、青大将は嬉しいのかニコニコして尻尾を振りまくる。
「もう触手なんかに捕まるんじゃないぞ?」
「キュィー」
それは俺にも言える事なんだけど、この際どうでもいい。
俺は助かった。そして、恩を感じるほどに知能の高い動物に出会う事が出来たのだ。これは大きな収穫だ。
蛇と心が通じ合ったのだから、もしかしたらこの世界の動物は全て人間の感情を敏感に感じ取れるのかもしれない。だったら望みはあるぞ!
ヤバそうじゃない動物を見たら話しかけるんだ。そしたら、相手は俺を憐れんで助けてくれるかも。情けないけどこの際背に腹は代えられない。
生きるためには、なんだってやらなきゃ。
俺を見上げる小さな蛇を撫でながら、俺は新たな可能性に胸を膨らませた。
「よっし……怖かったけどいつまでもビクビクしてちゃダメだよな! これくらいで怯えてたんじゃ、この世界ではやってけない……とにかく、前進あるのみだ!」
丸呑みプレイから逃れられたんだから、俺はわりと幸運なはず。
その幸運で森を脱出して、何が何でも生き延びてやる!
→
俺は逃げる間もなく、触手に囚われて中空高く引き上げられた。
やだ高い所怖い。おじちゃん降ろして。
なんて冗談言っている場合でもなく、本当にマジでヤバい。
触手から何とかして脱出しようとするが、肉のように弾力があって細かな毛の生えたそれは、隙間なく俺に張り付いていてとてもじゃないが逃げ出せない。
触手ってぬめってて濡れてるものだと思ってたんだけど、快楽堕ち用の触手じゃないものはもっと現実的な要素を持っていたようだ。
これは完全に獲物を捕らえる為の……殺すためのもの。
その触手に絡みつかれて手も足も出ない状態で、運動能力ゼロの俺がどうして脱出できるでしょうか。
「うっ、ぐ……これホント、ヤバ……」
触手は動く生物の捕え方を心得ていて、手も足も折り曲げた状態で拘束されている。こうされると、力を出すのが難しい。その上持ち上げられているから、肘鉄や膝での攻撃も不安定になって威力が出なかった。
まあ、俺くらいになると、捕えられた時点でもう手も足も出なかったんですけどね! 死にたい! いや嘘です死にたくない!
ついでに触手プレイならやっぱり女の子が良い!
魔法少女が触手プレイされてるのが見たい!
「ごらんの有様だよ!!!」って言いたい!
「で、でも、俺は男だし……嬲られることもなく死ぬのか……」
普通エロ漫画じゃ男なんてすぐツボにポイですよねー。解ってますぅー。
ああ、これで俺の人生も終わりか。でも人助け……いやヘビ助けして死んだんなら、俺ってちょっとは格好良く人生終れたのかな。
「ううう……グッバイ俺の人生……」
もうダメだ。さよならお父様お母様。
目をつぶって、俺は来たる感覚に備えようとした。
――――が、触手は何故か予想外の事をし出したのだ。
……なんだか、腰のあたりがむず痒い。てか、なんかシャツがもぞもぞする。
まさかと思って目を開けて、俺はその光景に青ざめざるを得なかった。
「え、え……? ちょっとまって……なにこれ……」
うっすらと柔らかい毛が生えた肉厚な触手が、俺のシャツの中に潜り込んでいる。じっとりとした感触は人の肌にも思えるが、でもその冷たさは完全に異質なものだ。まるで、毛の生えた魚肉ソーセージ。
そんなソーセージが、うねうねと動きながら、俺の肌をまさぐっている。
それだけじゃない、手持無沙汰の他の触手が、俺の腰辺りを執拗に撫でまわしていたのだ。
……おいおいおいおい!
俺は女じゃないっつーの!
童貞より先にケツの処女が散るなんて嫌すぎる。っていうか、処女とかいう概念持ちたくないんですけどね俺男なんで!!
なんとか必死に抜け出そうとしてみるが、やっぱり手足は動かない。それどころか抵抗が煩わしいとでも言うように、触手は俺の足をぐいっと開かせて来る。
大股開きとかシャレにならない。このまま股裂きとかやられたらどうしよう。
思わず青ざめて硬直した俺に、触手は勢い付いたのか、ズボンのベルトを無理矢理引きちぎってズボンの中に侵入しようとして来た。その間にも俺の素肌に張り付いていた触手は、胸のあたりを探るように動いている。
大きいくせに動きが細かくて、そのせいで柔らかな毛が乳首に当たってくすぐったい。何だか嫌な予感がして身を捩るが、肩が僅かに動くだけで、触手に雁字搦めにされた俺の体は自分の意思ではもう動かせなくなっていた。
「っ……や、め……!」
触手が下着の上から俺の股間を確かめる。おいそこお前の触手じゃねーから。似て非なる物だから。触るな、お願いだから触らないで!
頑張って脳内でお願いしてみるが、触手にテレパシーが通じてりゃ最初から戦わなくてもいいわけで。
懇願する俺に構わず、触手は乳首や股倉を無遠慮に嬲り続けた。
脳みそのない植物のやる事だから乱暴だとばっかり思ってたのに、実際触手は俺の反応を感じ取っているようで、俺が嫌がれば優しく触れ抵抗すれば諌めるように強く俺を戒める。
下着のゴムが植物には掴みがたいのか、中身にまでは触れてこないけど、でも、そうやってうねうね触られてると流石に変な気持ちになって来てしまう。
気持ち悪いと思っていた胸への攻撃も、むず痒くて思わず太腿を擦り合わせてしまう程に気味の悪い感覚になっていた。
アカン、これは。
「っ……やば……これ……マジ快楽堕ち……」
俺は乳首を弄る趣味なんてないのに、これからクセになったらどうしてくれる。いや、っていうか、そんな機会今後あるのか。俺食われるんでは。
「あああ嫌だぁああああ」
二次元ならいいけど、現実はダメだ。ていうか自分が丸呑み消化プレイなんて絶対嫌だ。でもどうする事も出来ないし、どうしよう。
このままじゃ、俺、エロ漫画みたいにトロトロにされて最後は死……。
「うぇっ……やだ……ぜってえやだぁ……」
自分の声が情けなさすぎて涙が出てくる。
その雫は触手の腕に絡め取られて、俺はぐりっと頬を触手の先端で拭われた。ああ、水を求めている。そういえば触手ってエロ漫画じゃ水分を求めて体をまさぐる生物だったな……。
それでも俺は涙を我慢できなくて、泣く事しか出来なかった。
くそう、俺死んじゃうんだ。
こんな化け物に弄ばれて、恋人も出来ないまま、バッドエンドのエロ漫画みたいに呑まれて溶けて死んじゃうんだ……。
こんな世界、ハナから望んじゃいなかったのに――!
「恨むよ神様……!」
破れかぶれで、叫んだ声。
――――その声に被って、ある鳴き声が森に響いた。
「キューッ!」
途端、ガクンと触手全体から何かの力が抜けた感覚が伝わる。
乱暴に地面に落とされたが、俺は絡まっていた触手のおかげで怪我を負わずに済んだ。しかし、一体何が起こったのか解らない。
いや、まずは脱出だ。さっさと触手から逃れなければ。
俺はなんとかして手足を拘束していた触手から逃れると、シャツとズボンに入り込んだ重い触手を必死にどかした。
と、そこへ、カサカサと何かが這い寄ってくる。
「キュー」
振り返ると、そこにはこちらを見上げる空色の目をしたさっきの青大将がいた。
説明が遅れたが、青大将っていうのは緑色っぽい大きな蛇のことで、この蛇はかなり大人しい性格をしている。
都会の住宅街には全く出てこないんだけど、俺は昔田舎に住んでたからばーちゃんに教えて貰った事が有るんだ。でも、空色の目をした青大将っていうのはいなかったなあ……。
やっぱりここって、異世界なんだ。
まあ、蛇が鳴くなんて、あり得ないしな。
「どうした、お前」
呼びかけると、青大将はある方向を見た。
そこには、白い液体に塗れた木の枝が転がっている。
うわっ、周囲一面真っ白け。なにこれ季節外れの大雪状態じゃん。
これってまさか、この植物の消化液なんだろうか?
「もしかしてお前……俺の刺した木の枝を引っこ抜いて、こいつを倒してくれたのか?」
よく見れば、青大将の体に僅かに白い液体が付着している。慌てて葉っぱで拭いてやると、青大将は嬉しそうに目を細めた。
「キュイ、キュイ!」
「そっかあ、俺に恩返ししてくれたんだな、ありがとな」
ううっ、やっぱり可愛い。
言葉が通じてるのかは解らないけど、こうして感情丸出しにされると爬虫類も可愛いモンなんだな……。
思わずひんやりした頭を撫でてやると、青大将は嬉しいのかニコニコして尻尾を振りまくる。
「もう触手なんかに捕まるんじゃないぞ?」
「キュィー」
それは俺にも言える事なんだけど、この際どうでもいい。
俺は助かった。そして、恩を感じるほどに知能の高い動物に出会う事が出来たのだ。これは大きな収穫だ。
蛇と心が通じ合ったのだから、もしかしたらこの世界の動物は全て人間の感情を敏感に感じ取れるのかもしれない。だったら望みはあるぞ!
ヤバそうじゃない動物を見たら話しかけるんだ。そしたら、相手は俺を憐れんで助けてくれるかも。情けないけどこの際背に腹は代えられない。
生きるためには、なんだってやらなきゃ。
俺を見上げる小さな蛇を撫でながら、俺は新たな可能性に胸を膨らませた。
「よっし……怖かったけどいつまでもビクビクしてちゃダメだよな! これくらいで怯えてたんじゃ、この世界ではやってけない……とにかく、前進あるのみだ!」
丸呑みプレイから逃れられたんだから、俺はわりと幸運なはず。
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