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緑望惑堂ハイギエネ、霊蛇が隠すは真理の儀仗編
忘却の八人2
しおりを挟む「ん~、ツカサ君教えて欲しい? 欲しいぃ? しょうがないなぁ~」
「ギャッ」
や、やめろ、横からキスしてくるな。何を考えてるんだお前はっ。
さっきまで真面目な話をしてたじゃないか。なのに、なんでいきなり……おいやめろ、俺の頬に吸い付くな!!
「小汚い吸血生物に吸われてますね。害獣除けの花を差し上げましょうかツカサ君」
「おいテメェいい度胸だな血抜きして乾燥眼鏡にしてやろうかコラ」
「やめんか! と、ともかく詳細っ! さっきの名前の聞き覚えの正体は!?」
自分が有利な状況となるとスグに好き勝手してきやがって……。
い、今はそんな場合じゃないんだ絶対に流されないぞ、っていうかアドニスもロクもいるんだから絶対に変なことはさせないんだからな!
話の腰は絶対に折らせないぞという気合を込めて睨むと、ブラックは渋々と言った様子でさっきの続きを話し出した。
「まあツカサ君は聞いたことがあって当然だけど……リーザン・トルテスフィアってのは、アタラクシア遺跡にあった【女賢者の日記】の作者だよ。ホラ、【グリモア】の事を書いてたヤツ……」
そう言われて、一瞬考える。
アタラクシアで見た日記…………ああ、そうだ。確かにそんな日記を見たな!
あの日記のお蔭で俺達は文明神アスカーが遺した【ロールプレイングゲーム】とか言う胸糞悪い本の存在を知ることが出来たんだったな。
日記を見つけた時は「乙女の日記を読むなんて!」と抵抗したっけ……結局読んだけど、もうだいぶん前の話のように思える。あれから色々旅したもんな俺達。
確かに言われてみればそうだけど……なんか他にピンと来たような感じがあったんだけどな。気のせいだったんだろうか?
まあともかく、彼女の素性が少し判明したような気がする。
「つまり……その女賢者って人が“忘却の八人”の一人で、【エスクレプ】の人達の為に遺して行ったのが学院の地下にあるダンジョンの【ハイギエネ】ってことか……」
「日記を読んだのなら彼女の正体なども分かったのでは? やはり【グリモア】だったのでしょうか」
アドニスがブラックに問いかける。
確かにそこは気になるよな。実際はどうだったんだろうと俺の肩に顎を乗せているブラックの顔を見やると、相手は難しげに顔を歪めた。
「うーん……。そこなんだが、用心深かったのかそれともそういうクセがあったのか、仲間の名前を書いてないし、どうも数冊あるうちの一冊だったみたいでな。性格とか行動はそれなりに書いてあるが、素性がハッキリする内容は無かったんだ」
「なるほど……確かに、既に見知ったものなら詳しい事など書きませんよね。日記は基本的に自分だけが見返すものですから」
そうだよな。
俺だって仮に日記をつけていたとしたら、今更ブラックの基本情報とか過去なんて書いたりしないだろうし、特別な事が無ければ身内や仲間の事なんてこと細かく書く事は無いはずだ。何十冊目の日記だとしたら尚更。
洞察力が高いブラックでも読み解けないのも無理は無いよな。
日記なんて、誰に見せるワケでもないから心のままに書くだけだし……ちゃんと人に理解して貰える文章ですらないかも知れない。
忘備録みたいに書いている人なら別だけど、個人的な記録なら適当に書いちゃうという俺みたいなタイプもいるしな。
しかもそのリーザンさんの日記には人の名前が殆ど出ないってんだから、これじゃ登場人物は把握できても詳しい素性が分かるはずもない。
「まあ一応手掛かりみたいなのは無くもないんだけど、いかんせん旅の途中でのクソどうでもいい話が多くてな……。今僕達が必要としている情報と紐付けない限りは、僕も情報を引き出せそうにない」
「情報かぁ……。グリモアっぽい描写とか、ハイギエネに関することとかは?」
「どっちも無いね。あの“悪趣味な本”の情報以外は、ワリと長い旅程だったのかその時のしょうもない女どものやりとりとか、代表とかいう気障なオスの行動とかが満載の恋する乙女丸出しの内容だったし」
「お、おぉ……」
俺が日記を見られたわけじゃないのに、なんか凄く恥ずかしくなってきた。
日記ってこうなるのが怖いから気軽に始められないんだよな……いや、俺は三日坊主なのでそもそもが飽きてしまうが、それでも続けたとしたらどうしても愚痴や妄想が満載になるだろうし……それをいつか誰かに見られたらと思うと、あまりの恥ずかしさで死んでしまう……。
リーザンさんはもうこの世界に居ないだろうけど、どう考えても彼女も今この場所に居たら頭を抱えていただろう。
ごめん、ごめんよリーザンさん。
「しかし、その賢者と言う称号が自称ではないのなら……学術院の方に何か記録が残っているかもしれませんね」
俺が心の中で謝罪していると、アドニスが別の角度から話を切り出す。
賢者なら記録が残ってるって、どういうことだろう。
俺の疑問に満ちた瞳に気付いたのか、相手は続けて説明してくれた。
「もし彼女が生きていた時代に学術院が存在したのなら、講師として勧誘するために各地の“賢人”についての調査があったはずです。であれば、その“忘却の八人”の功績を知った調査員が記録していても不思議ではないでしょう」
「なるほど、当時賑わってた【エスクレプ】の港での出来事なら、いくら北端の話でも色々な所に広がってるはずだもんな。学術院ならリーザンさんの事が分かるかも! それに、学術院なら記録とか大事に保管してそうだし……!」
と、手をポンと叩いた俺の背後で、ブラックが何故か息を吐いた。
「ハァ……。今は女賢者の事なんてどうでもいいだろ。それより地下にあるダンジョンに入って知識を得るかどうかって話じゃないのか?」
御尤もな話だが、なんだかブラックは学術院の話をしたく無いような風にも思える。
まあ……学術院が在る国――ベランデルン帝国は、ブラックが生まれた“導きの鍵の一族”の本拠地だし、ブラックは自分の一族も国も嫌悪してるからなぁ……。
しかも、奴隷制もライクネス王国より酷い感じだし、悪人だらけの街もあるし、何より俺のような黒髪が嫌悪され見下されるレベルで嫌われている国なのだ。
ライクネス王国ではちょっと珍しいくらいだし、他の国でも珍しいと言われるものの嫌悪までは行かないのに……ともかく、色々きな臭い国なんだよな。
それに、俺にとってもちょっと色々な記憶があり過ぎる土地だし……。
まあ、ブラックがそのことを連想して嫌がるのも無理はないだろう。
リーザンさんの事は一旦置いて、今は“謎かけ”の手掛かりを探すのが先決だ。
「うん、材料の最後の一つを揃えるのが重要だもんな。でも、ダンジョンに入らなくても“謎かけ”さえ解いてしまえばいいんじゃないか?」
「それはそうですが、材料が少なくて色々試す余裕もありませんからねえ。それに、私としても人為的に作られたダンジョンというものに興味がありますし」
「お前なあ……」
研究者気質がここで爆発しちゃったか。
でもまあ確かに「人が創ったものに因るダンジョン」てのは気になるかも。
もしかしたら、ヒントだけじゃなくていい感じのお宝とかあったりして。
そういうのを期待しても良いよな。やっぱ冒険者だからなあっ。
どうせ俺は学院に居てもすることが無いし、ダンジョンに潜ると言うのもちょうどいいかもしれない。とはいえ、ブラック達が「いいよ」って言うかどうかだが……。
そんなことを思いつつ、合否はいかにとブラックの横顔をチラ見すると。
「ケッ、どーせアレだろ。四六時中質問攻めにされてそろそろ鬱陶しくなってきたから、人の居ない場所に出来るだけ潜りたいとかだろお前は」
「………………」
あっ。ブラックの悪口に珍しくアドニスが微笑みながら黙っている。
これは正解のヤツだ。目の所に影が掛かってて怖いけど間違いなく正解だ。
こ、こいつ、講師になったは良いけど二日でもう飽きてきやがったな。
いやアレか、部屋から出たらもう四六時中質問攻めにされるから嫌になったのか。まあそりゃそうだよな、アドニスは元々自由気ままにしてたワケだし。
それが質問責めで拘束されるようになったら、まあ嫌気も差すよな。
妖精は気まぐれとは言うけど、普段はそんなところを見せないくせに案外お父さんの気質はしっかり持ってるよなアドニスって。
そんな俺の考えを肯定するかのように、微笑んだままアドニスは口を開く。
「いやですねえ、私だってそれなりに後輩を導くつもりではありますよ? ただ、とても程度が低いうえに学士でも実証出来るような下らない無価値の些末な問題ばかりをぶつけられて半日過ごすのは、時間の無駄の様な気がしてきましてね」
「一応精鋭みたいなもんだぞここの薬師どもは」
「教本に書いてある事すら応用して考えられない未熟者が精鋭というのなら、ツカサ君は今頃薬師の神になってますかねえ」
おい、俺を褒めているようで馬鹿にした発言はやめろ。
でもアドニスからするとそんなに程度が低いのか?
俺からするとかなり高度に思えたんだけど……。
っていうか、何を話してるのか専門用語ばかりでチンプンカンプンだったのだが。
「…………薬師の本分は、人命救護です。人の為になる研究であると本人が信じているのならまあ面白味もありますが、金や権威のために目が曇った人族の研究には教える意欲が全く湧きませんよ。ただ“分からないから玄人に教わりたい”というならまだしも、彼らのほとんどは楽がしたいだけですからね」
「そりゃ最初から分かってたことだろ」
確かに、最初に説明された所からしてちょっと……薬と言うか美術的な価値だとかそんなものが重要な薬を作ってるみたいな感じだったもんな。
まあ、アドニスがそれを忘れていたハズはないだろうけど。
……それでも多分、薬師として真っ当な子が多いと思ってたのかな。
そういう所は真面目だし、結構理想家っていうか人の善意に関して信じようとする所はあるからな、アドニスって。
イヤミで性格が捻じ曲がってるけど、根は「まさに正義の薬師」なのだ。
だから、多少期待はしてたけど……って感じなんだろうな。
そう思うとちょっと可哀相かも知れない。
人の善意がそこにはあると期待して裏切られた時って、ショックだけどそれ以上に悲しかったり喪失感を抱いたりするんだよな。世の中ってそんなものなのかって。
理想家のアドニスにとっては、これはショックと言わざるを得ないだろう。
顔には出さないけど、実は結構落ち込んでたり怒ってたりするのかな。
大人ってそういうの隠そうとしちゃうもんなあ……。
だったら、ちょっとくらい逃げたっていいんじゃなかろうか。
どの道、講師をやりながら協力するんならストレスは溜まり続けるだろうし、だったらダンジョンで発散して貰うのが良いかも知れない。
その過程でヒントが手に入れば万々歳だしな!
よーし、ここはアドニスの精神安定の為に俺が一肌脱ぐか!
「まあまあ、良いじゃんダンジョン! こんな珍しいダンジョンなんだし、良い素材とか、もしかしたら情報だけじゃ無くて【女賢者】さんの残した珍しい曜具とか見つかったりもするかもしんないよ!? 【空白の国】と同じようなモンなんだから、お宝ザクザクの可能性も捨てきれないじゃん!」
「キュキュー!」
これはブラックにとっても良い感じのストレス発散にもなるんじゃないか。
そう思い、声高らかに明るく勧誘してみると。
「曜具……。確かに、そこが未開拓の【空白の国】だと考えると、まだ知らない何かが在ったりするかも……」
やっぱりお宝は人の心を動かすな。
最初は渋っていたブラックも、この世界における失われた文明の遺産がある遺跡――【空白の国】と似たようなものだと言うと、冒険者心が騒ぎ始めたようだ。
うむうむそうだろう。
冒険者たるもの、やっぱオタカラと聞いては黙っていられないよなっ。
ロクちゃんも俺の援護射撃をするように、きゅーきゅーと嬉しそうに飛び回ってくれているし……これはもう、決まったようなものだろう。
「よーし、じゃあとりあえず一回入ってみようぜ! 俺、ダンジョンに入る前に回復薬とか作ってくるわっ」
今からダンジョンに入るんだから、用意する者はいっぱいあるよな。
早速揃えようとブラックの膝からピョンと降りた俺に、何故だかブラックとアドニスは同じような顔で苦笑した。
「まったく……君には敵いませんねえ」
「ツカサ君たらもう、可愛すぎるんだからぁ……」
なんでそんな事を言われるのかは分からないが、まあ二人が鬱々とした気持ちを緩めてくれたんなら良いか。
願わくば、学院の地下にあるダンジョンも、憂鬱な気分を吹き飛ばしてくれる素敵な場所だと良いんだが……って、それはそれでおかしいか。
まあ、モンスターがあふれ出てくることも無かったダンジョンだと言うから、それほど危険な事は無いと思うけど、準備だけはしっかりしなくちゃな。
まずは……この露出が多い弟子服からいつもの服に着替えよう。
そう思いドアを開けた俺に、また背後から二人分の小さな苦笑が聞こえた。
→
※思いっきり寝落ちして昼になりました_| ̄|○
めちゃめちゃ雨に降られた…
みなさんも急な雨にはお気を付けください(;ω;)
修正はもうちょっと待ってね…!スンマセン
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