異世界日帰り漫遊記!

御結頂戴

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遠日幻望ユグドラシル、崩壊兆す瀑流の寇盗編

  殺してやりたいほどに2*

 
 
「ひっ……!! や゛だっ、ぁ゛っ、ぐっ、ゴホッ」
「咳がうっせえから喋んな。あと声が半端に汚ねぇんだよテメェは。メスならメスらしく、媚びた甘い声の一つも出せ」

 腕も動かせないし、急所である股間をしっかり握られていてはバタバタさせる足で相手のスネを蹴る事すらも出来ない。
 というかそもそも、その……粗野って言うか野蛮すぎる口調が怖すぎる。

 殺す殺すとは言われていたけど、メスブタだの声が汚いだの、もうこっちを貶す言葉のバリエーションが豊富過ぎる。こういう人は危ない。どう考えても喧嘩っ早くて、その喧嘩に負けた事が無くて遠慮が無くなってるヒトなのだ。

 そんな人にヘタに逆らったら、キンタマを握りつぶされるかもしれない。
 メスだのなんだのと言ってもこの人オスにも悪態ついてたし、俺だって一応体は男なんだ。いくらメス認定されていたとしても、この世界ではオスと間違えられる程度には男だし……充分嫌いの範疇に入りそうだもんな俺。

 いやもうメスとかオスとか自分でも混乱してきたが、ともかくヤバい。

 しかし大人しくしていても、このままじゃもっとヤバい事になるよ。
 見ず知らずの人にえっ、ぇ……っ、えっちとか、されるんじゃ……っ。

「っ……ぅ゛……ぃ、い゛や゛……っ」
「だから取って食いやしねえっつってんだろうが。俺だってどこのクソオスどもとも知れねえ精液が残ってるケツなんて触りたかねえっての。……俺が欲しいのは、お前の中に在る純粋な“水の曜気”だけだ」
「っ……? ぅう……?」

 それが、俺の足の間に手を突っ込んで股間を覆ってる事と何の関係が。
 一瞬訳が分からなくて固まってしまったが、相手は何かに気が付いたのか「あぁ」と声を漏らし、面倒臭そうな溜息を吐いた。

「お前ら曜術が使えないメスでもな、人族である以上は必ず体の中に曜気が流れてんだよ。教会では希望を持たせないために、そんな風には教えなかったろうが……ともかく、血液と同じように流れてるモンではある。……だから、要はその液体を直接搾ればいい」
「ぇ……つ、つまり……」
「お前の精液を寄越せってこった。気持ち良くすりゃそのぶん血液より効率的に曜気がノるからな。丁度濃厚な水の曜気が欲しかったんだ。女より搾りやすい男の体ならおあつらえむきだな。……男のケツなんて興味ねえから黙ってヤられてろ」
「う゛……」

 そういうことか。
 だとしたらやっぱりこの人は曜術師、しかも水属性の曜術師なんだ。

 冒険者かどうかはわからないけど……このガタイの良さからして、医師と言う事はないはず。あと人の家から鉱石を盗むことも無かっただろう。

 ということは、何らかの後ろ暗い事をする稼業の人……ってことで……。

 ……そんな人に、曜気を吸われて良いんだろうか。つーか搾ってどうするの。曜術に使うのか? でも、体液に含まれる曜気ってその人個人の気が混じってて、純粋な自然の気とは異なるんだよな?

 それを求めて獣人が人族の体液から曜気を舐めとって食事をするのはもう知ってるけど……そういう摂取の仕方って、ヒトでも可能なのか?
 というか体液から曜気を分離できたりするものなんだろうか。他人に曜気を渡せるのは【黒曜の使者】だけしか出来ないって話なのに……。

 ――いや、もしかしたら水の曜術師なら、そういうことが出来るのかも?

 水の曜術師は、水が流れる体内の流れを診ることが出来る。だったら、その流れに含まれる水の曜気だけなら判別するのも簡単なはずだ。
 もしかしたら水の曜気だけを分離する能力がある人なのかもしれない。だから、人の体の中にあるまとまった量の体液を欲しがったってことなのか……。

 っていや待て。精液って事はこの人、お、俺の体を触るってこと?
 いやいやいや水ならそこらへん掘ったら出てくるでしょ、なのになんで人由来の水を使おうとするの、よりによって俺を搾ろうとすんのお!?

「運が悪かったと思って、俺の鬱憤に付き合うんだな」
「んぅ゛っ……!?」

 あ、あっ、手が、動いてる。
 いつもの下着じゃ無くてストレッチ生地みたいな薄くて貼り付く生地のせいで、手の感触や熱が直接伝わって来るみたいで怖い、体がぞわぞわする。

 ブラックと似ている手のはずなのに、ブラックの手みたいに体が動かない。
 せ、精液だけっていうんだからくれてやれと思うのに、でも、どうしても知らない男に急所を触られてるんだと思うと、体が震えてしまって。

「……チッ。娼姫のくせに強引なオスのあしらい方も知らねえのかよ。これだから場末のメスブタは……。手間かけさせやがって」
「ひっ!?」

 俺を拘束していない方の男の手が、ヘソのあたりに手をやる。
 思わず息を呑んでしまったが、しかし相手は驚く俺を余所に手を移動させ、指を俺の腰布へと伸ばした。途端、パチンと音が鳴る。
 何の音だ、と気付く前に、腰からずるりとだいぶん大きめの布がずり落ちた。

 あ、あああっ、や、ヤバ、これ、腰布落された……っ。
 ってことは俺今あの恥ずかしいぱんつしか、砦が無い……!?

 熱くなっていた両足全体に港の冷えた空気が昇ってきて、思わず鳥肌が立つ。
 でも、相手は止まってくれない。俺の腰布を落として何をするかと思ったら、なんと俺の最後の砦に無遠慮に手を入れると、下腹部にぴたりと手を当てたのだ。

「取り除くのが面倒臭せぇからやりたくねえんだが、仕方ねえ」
「やっ、ぁ゛っ、いや、やめっ……――~~~ッ゛!?」

 あ゛、あぁっ、待っ……な、なにこれ、変、変だ。
 声が震える。出て来なくなる。それだけじゃ無くて、へ、ヘソの下、ギリギリ急所には触れない下腹部の所に当てられた手から、なんかっ、ぅ゛……やっ、な、なにこれっ、ぞわぞわするの、が、入って、くる……っ!?

 いっ……いやだ……!
 これなんか変だ。お腹の奥が擽られてる感覚がする。皮膚のすぐ下がもぞもぞしているみたいで足が勝手に動いてしまう。違う、これ、俺の感覚じゃないっ、違うのに、か……体が、勝手に変になる……っ、熱くなって、そんなつもり、ないのに、段々お腹の奥と、股間の感覚が、掻き混ぜられるみたいになって熱く……っ。

「やっと正直な体になりやがったか。……ったく、手間かけさせやがって」

 ブラックの声とは違う、だけど低くて少し粗野な声が、息と共に頬に少しかかる。
 たったのそれだけなのに、またお腹がおかしくなって体が動いてしまって。

 ち……違う。違うのに。
 そんなつもりない。こんなのいやだ。逃げなきゃ、絶対イヤなことになる。そうなる前に逃げなきゃダメなのに、体が思うとおりに動いてくれない。

 ずっと抱えられていたせいでみぞおちが苦しくて、足が正座をした後みたいに鈍いじんじんとした痺れを感じてきて、もう足すら満足に動かせない。
 なのに、さっきよりもずっと体が熱くなって、汗が噴き出してくる。

 嫌なはずなのに、さっきだって全然そんな風に感じなかったはずなのに……急に体が……恥ずかしい場所に触れている大きな手の感触に、ざわつきはじめて。

「っ、やっ……ぁ、あぁ……っ!? や、だ……っなに……なに、これぇ……っ」

 急激な自分の変化に恥ずかしさと恐怖を覚えてつい怯えた声が出るが、いつもと違って顔は全く血の気が引く事も無く、むしろカッと熱くなっていく。
 おかしい、変だよこんなの。俺の体なのに言う事を聞いてくれない。

 段々と怖くなってきて震えるが、男はそんな俺の姿をずっと見ていたのか、背後で軽くせせら笑うような声を漏らした。

「ハハッ……なんだお前、思った以上に簡単だな。それとも、よっぽどオスの曜気に食われやすいのか? もうチンコも熱で蒸れてんじゃねえかよ」
「ひう゛ぅっ!?」

 パンツから手を抜かれ、再び股間に手が押し当てられる。
 けど、さっきとは違って。

 押し当てられたら、もうそれだけで体がいつもみたいに敏感になって、勝手にビクッと反応してしまう。さっきまで怖くて全然動かなかったはずなのに。
 なのに、なんで。どうして。
 この人が何かしたのか……!?

 そうでもないと、こんな状況でこんな風になるはずなんてないのに……っ。

「なるほどなぁ……男メスってのは、男の尊厳もクソもねえこんな小せえ子供みたいなチンコしか持ってないわけだ?」

 手が、もぞもぞとパンツの中の俺のモノだけを包み込み始める。
 その大きな指の動きに思わず足がぎゅっと閉じたが、相手は俺の太腿の圧力など関係ないとでも言うように、今度は人差し指だけで、つぅっと俺のモノの輪郭をパンツ越しに何度も辿り始めた。

「あ゛っ、ぁふっ、う゛っぃ、いあ゛っ! な、なぞ、らな、ぃ、で……っ」

 い、いやっ、やだ、やめて、それやめて……っ、ただでさえ体がおかしいのに、そこを何度もなぞられたら取り返しがつかなくなる。
 こんな、知らない乱暴なオッサンに触られてるだけなのに、ヘンになった体のせいで、反応してしまう。違うのに、怖いはずなのに、なのに……っ。

「はっ……さっきまで震えてたくせに、もう勃ちあがりかけてきたぜ。この程度で勃起し始めるなんて、元から随分と男に弄られるのが好きみてえだな」
「ち、がっ……違、ぅ……ちがうぅ……っ」
「なにが違う。指一本でもう濡らしてんだろうがこの淫乱が。やらしいメス下着が汗と我慢汁吸って透けて来てんだよ。おらっ、見ろよ淫乱」
「っ……!?」

 言われた瞬間、両足首が何かに捕まれて勝手に浮き上がる。
 まるで誰かもう一人目の前にいるかのように、俺の体はその「両足首を掴む何か」に従って体を曲げ、空中で体を軽く“くの字”に折り曲げる形になった。

 おかしい。これも水の曜術の力なのか。怖い。怖いけど、もう、体が動かない。
 完全に固定されて、俺の足が暗闇の中で軽く開かれた。

 「視ろ」と強引に言われて、暗闇の薄明りの中で息を乱しながら嫌々ながらも自分の股間を見てみると――――。

「やっ……いっ、いやっやだっ、なんで透けて……っ!? み、見な゛いでっ、ゲホッ、う゛っ、ぅうっ、や゛らっ、こんなの見せないでくれ……っ!」

 さっきまでストレッチ生地の黒いブルマみたいだったパンツが、透けている。
 よりにもよって俺のモノのところだけ、湿っている場所だけがくっきり浮き上がって、薄明りの下でも分かるくらいに肌色になってしまっていたのだ。

 でも、生地が伸びている影だけはしっかり残っていて、俺のモノが強引に半勃ちの状態にさせられたのを強調している。

 自分一人で触る時にはなんてことない状態のはずなのに、外の、しかも見知らぬ男に開脚させられて見られているというのが耐え切れなかった。
 怖いはずなのに、こんなことにならないはずなのに、なのに、俺は指一つで簡単に相手にこんな恥ずかしい姿を見られて……っ。

「何が見るな、だよ。テメェで恥ずかしい下着をつけといて命令してんじゃねえぞメス穴が。それとも、もう欲しくて我慢出来ねえってのか?」

 酷い事を言いながら、男は反応し始めてしまっている俺のモノの先端を、執拗に指の腹でつんつんとつつき始める。
 敏感な部分だから触れられたら反応してしまうのは当然とはいえ、しかし今の異常に敏感になっている俺の体では、当然以上の反応になってしまって。

 我慢しようと思うのに、お腹に力を入れて反応しないように頑張ろうとするのに、指で弄ばれるようにつつかれたら声が我慢できない。いつもだったらこんな風じゃないのに、指でつつかれたら宙に浮かされた腰が勝手に動いて、尻が逃げようと無意識に揺れてしまう。

 恥ずかしい。
 ただでさえ、路地裏で変な格好になって足を開かされてるのに。暗がりで知らない男に、こんな……こんなヤなことされてるのに……っ!

「ひっ、ぅ゛っ、うう゛っ! つ、つつく、なっ……、そこやめ……っ」
「はははっ! 流石はこのチビを下着の上からなぞっただけでおっ勃たてる淫乱だ。オスに媚びるメスだけあって、オスの誘い方だけは一丁前じゃねえか。……早くナマで触って欲しいと思ってんだろ。このあばずれが」
「ち、が……っ、ちが、ぅ、違うぅ……っ」

 そんなこと思ってない。そんなのアンタの勝手な妄想だ。
 アンタこそ人の話も聞かないで俺を弄り回してる変態じゃないか。

 思い切りそう詰ってやりたかったけど、もうお腹と股間に蓄積され始めた“いつも”の感覚が俺をまともに喋らせようとしてくれない。
 このままだと、本当にヤバい。俺、そんなんじゃないのに。淫乱じゃないのに、知らない人の手で勃ってしまう。こんなの本当にイヤなのに、なのに……なんで俺の体は、ブラックとする時みたいにこんなに熱く……。

「違わねえだろメスブタさんよ。こんなガキみてえな体しといて、三人ものチンポ咥えこんでよがってたんだろうが。……あのクソ忌々しいメスガキみてえに、普段は清楚ヅラして……俺と似たようなオスに発情してたんだろうがよ……!」

 オッサンの声が、喋るうちにどんどんなにか怖い色を帯びていく。
 怒っているような声、なんてものじゃない。まるで、誰かを心底に汲んでいるような怨みと憎しみがこもった唸りの様な声音で、俺を苛んでくる。

 なんで。メスガキって、どういうこと。
 俺、そのメスガキに似てるって事なのか。
 だからアンタにこんな酷い事言われまくってるの?

 そんなの酷いよ。俺、アンタに何もしてない。いや、まあ、変な物を追っかけて来たけど、でもそれだってアンタが人の物を盗むからじゃないか。
 俺は淫乱でもメスブタでもないし、メスガキなんかに似てるわけがない。

 憎らしかったら殴ればいいじゃないか。そのほうが俺にとってはずっとましだ。なのに、なんで。なんでこんな……こんな風に、ずっと、俺を焦らすみたいに、布の上から執拗に先っぽだけ優しく撫でまわしてくるんだよ……っ。

 もう、それやだ。やめて、そこだけ触るのやめてよ。そんなことされたら苦しいって、アンタも男ならわかってるはずだろ。それなのに、口調は乱暴で、変な術で俺を空中で恥ずかしい格好にしているくせに、指だけずっと撫でるみたいに……っ、して……俺の、股間、ずっと弄ってて。

 憎くて仕方ないのか、精液が欲しいだけなのかはっきりしてくれ。
 頼むから、もう、解放して。
 たのむから……終わってくれってばぁ……っ。

「苦しいか? ……はは、ははははっ! こんなクソど田舎で四六時中メスを抱けもせず駆けずり回ってイライラしてたが最っ高の気分だ……! おい、もう精液だけじゃ足りねえな。売女なら売女なりにもっと楽しませろよ」
「ひっ!?」

 急に背後のオッサンが笑い出したかと思ったら、ぐい、っと、パンツが引かれる。
 何をされるのかと思ったら、引っ張られて浮いた布地が圧力で肌に食い込み――何故か、途中から力を失った。

 どうして。
 そう思った瞬間、肌に張り付いていた布が一気に下へ落ちていく感覚がする。

「あっ……やっ、あ゛……!? な、なんでっ、やだっ、俺の下着が……!?」

 掠れた声で必死に訴えるが、もう何も下半身に戻ってこない。
 何をされたか分からないけど、このオッサンがパンツまで剥いじまったんだ。
 そうなったらもう、俺の股間を隠すものなんてなにもない。気付いた途端に、宙で大きく開かれていた足の間に冷たい空気が貼り付いてきた気がして、俺は自分がどれほど発熱していたのかを知り、その温度差に思わず内股になってしまった。

 だけど、その足すらもう閉じる事は出来ない。

「オスのチンポ咥えるのが仕事の肉穴に下着なんているのかよ、初耳だな。お前も、アイツも、下着で淫乱の本性を隠して人を騙すのか? 男メスってのは、そんな風に清楚ぶってオスに媚びるのが常套手段なんだな。ハハッ、勉強になったわ。……これで、本番の時は……アイツを遠慮なく壊して殺せる……」

 怒ってる。背後の声から殺意を確かに感じる。
 だけど、この人の声にはそれだけじゃない荒い息も混じっていて、怖い。もう何十回も聞いたような……興奮した男の、荒い息が、確かに混ざってるんだ。

 人に殺意を向けているのに、怒っているのに、興奮してるってどういうこと。
 知らない、そんな怖いの知らない。怖いよ。やだ、もうやめてよ。

 怒ってるのなら謝るから、なんでもするから、殴りたいなら体を差し出すから。
 だから、俺の体に変な事しないで。恥ずかしい格好で、こんなことしないで。嫌なのに、ブラックやクロウとするえっちなことみたいな感覚を思い出させるの、やめてよ。

 お願いだから。頼むから、もう許してよ……っ。
 怖いのに体だけ反応してるなんておかしい、最初はそうじゃ無かったのに、こんなの、アンタが何かしたに違いないのに。なのに、もう今はよく分からないんだ。

 俺……俺っ、淫乱、じゃない。ちがう。違うのに。
 こんなのやだ……っ、もう……やだぁ……っ!

「ひ、ぐっ……ぅ、く……うぅ……っ」

 もう、自分の体も相手の真意も解らなさすぎて、混乱で涙が出てくる。
 泣いても解決しないって分かってるのに、それでも頭は泣いた方が早く冷静になると思っているのか、どんどん涙があふれてきて。
 こんなの、情けない以外の何物でもないのに。俺を捕まえてるオッサンは、絶対にこんなことで俺を離したりしてくれないのに……。

「泣いてんのか」
「っ、ぐ……な゛ぃて……なんて……っ」
「…………」

 腕を捕らわれたまま涙を拭う事も出来ずに、無様に泣きっ面を見せるしかない。
 逆効果だって分かってるのに、止められない。もう頭も体も限界だった。

 だけど――――

「……ハァ」

 背後で、溜息が聞こえたと思ったら――急に両足を宙に浮かせる拘束が解けて、足が自由落下する。だけど地面に落ちる事は無く、俺の背中はオッサンの体に押し付けられたまま、ぐいっと後ろへ引かれた。

 何をするのかと思ったら……お尻に、布越しの硬い感触が伝わってくる。
 一瞬何が起こったのか分からなかったが、どうやら男がどこかに座ったらしい。俺は、その膝の上に乗った形になったのだ。

「あ……」

 どういう風の吹き回しだろう。
 ぽかんとして涙を振るい落とすように目を瞬かせる俺に、オッサンは更に近くなった低い声で唸るような言葉を漏らした。

「…………悪かったよ。お前にゃ関係ない話だった。……声は全く似てねえが、お前の体つきや曜気に似てるヤツがいてな……まあ、八つ当たりが過ぎた」
「…………」
「お前の精液が必要なのは本当だし、金も払う。だから大人しく触られてろ」

 いいな、と子供を諭す大人の様な事を言われて、俺は頷く。
 こんな状況で命令されたって頷くしかないし、強姦まがいの事をやってる犯罪者が何を言ってんだよと思わなくもないが……もう、終わらせてくれるなら何でもいい。

 体がおかしくて、気が狂いそうになる。
 快楽で狂うんじゃなくて、自分の体と心が全く違う反応をすることを理性がハッキリ残っている時にやられると、否定したいのに否定できずどうしようもなくなるんだ。

 それが、怖い。
 どうしようもなく怖くて、叫び出したくて、たまらなくなる。

 ブラックに触れられてる時なら、まだ理解も許容も出来たけど。でも、この人は赤の他人だ。本来なら、触られたって体がすぐ熱くなるような関係じゃないんだ。
 なのにこんな風になるなんて……本当に、呪いにでもかかったみたいで。

 俺が本当に「メス」になっちゃったからなんじゃないかと思うと、怖くて。

 だから、男のプライドも何もなくなっちゃって、泣いてしまったけど……このオッサンは、そんな俺を見て許してくれた……んだよな……?
 体が楽になる姿勢にしてくれたし、足の拘束も解いてくれたから許してるはず。
 だったら、なんで殺意丸出しで八つ当たりしてたんだよ。もうよくわかんないよ。

 解放してくれるならもういい。
 早く、終わりたい。こんなのもうたくさんだよ。

 帰って、ブラックの所にはやく戻りたくて、仕方が無かった。

「お……おとなしぐ、する、から……」

 座らされた固い膝の上で、相手のローブをぐっと握る。
 了承の意志表示をした俺に、何故か背後の男はグッと言葉に詰まったようだったが、俺を更に深く抱きこむと、無意識に閉じていた俺の両足を再び軽く開かせた。

「……良い子だ。こっからは仕事だ、気持ち良くなることだけに集中してろ。もう好き勝手に焦らしゃしねえからよ。……その代わり、ある程度は容赦なく搾らせて貰うぞ。メスの曜気は純粋だが量が少ないからな」
「っ……? う、うん゛……」

 ある程度って、どこまでだろう。でも聞いたって同じだろうな。知っても知らなくても、恐らく二回は確実にやらされる。だって、オッサンがそう言ってたし。
 ……何か犯罪に使われそうな気がしてイヤだけど……今は、仕方ない。

 俺の了承をしっかり聞き取ってから、男は再び俺の股間に手を伸ばしてきた。

「本当に小さいな。似たような成人済みの男メスを知らなけりゃ、まだ十二も行かない子供に見える。これで射精できるんだから、不思議なもんだ」

 再び冷静に戻った声が、すぐ後ろから聞こえる。
 深く抱きかかえられてるせいで、相手の顔が近いんだ。ローブ越しに重くて熱い息がかかるのが分かって、また体がおかしくなってくる。

 違う。この人、ブラックでもクロウでもないのに。
 分かってるはずなのに、体がぞくぞくして、お……おちんちんを、皮が厚い指が包み込む感触に、甘い感覚が根元からびりびりと腰に伝わってきて。

「~~~っ!! ひっ……ぁ……やっ、ゆっくり、したら……っ」
「すまんな、お前の純粋な体液が欲しいんだ。蜜が出るまで我慢してくれ……って、言うほど難くねえなこりゃ……ははっ、もっと気持ち良くしてやるよ……」

 み、見られてる。指で軽く包まれて扱かれただけなのにもう先走りで濡れて来たのを、しっかり見られてるんだ。
 なんでこの世界の人達は暗い所でもしっかり物が見えちゃうんだよ。

 恥ずかしい、恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい。
 見ないで、大人しくしてるから恥ずかしい事言わないでよお……っ!

「んっ、ん、ぅうっく……ぅ、ふ……ぁ……くっ、ぅ……うう……」
「もう完全に勃起したな。それでもこんだけとは……ああ、いい。余計な事を考える前に、楽にしてやるからな」
「ひぐっ!? い゛っ、いぎなっ、あ゛っ強っ、やらっやらそれ激しいのやっ、あ゛っあぁああ……!!」

 今まで散々突かれていじめられていたせいで、お腹の奥にはすぐには治まらない量の快楽が蓄積していたらしい。
 俺は少し激しく扱かれただけなのに、もう声を抑えられずイッてしまった……。

 う、ううう……いくらなんでも、さすがに早漏……っ。

「やっぱ量がちょっと少ないな。もっとやるぞ」
「うぇえっ!? や、待ってまだイッたばっかっあ゛、あぁああ! ひっ、やらそれやあっぐりぐりしないでぇ!!」
「チッ……そう腰にクる声で騒ぐなよ、別料金発生してもしらねえぞ。お前は大人しく子供チンポ差し出してろ」
「ん゛ん~~~っ!! う゛っあ゛、や、やら゛やらやぁ゛っあ゛っ、あ゛――!!」

 先端やその裏を親指でぐりぐりと弄り回されながら、激しく扱かれる。
 もう、いやな水音がねちゃねちゃ響いてて、耳まで恥ずかしいのに体は痺れて動けなくて、俺は自分を抱きかかえているオッサンのローブを知らずのうちにギュウッと手で握りながら体を反らしてびくびくと震えていた。

 今さっき射精したのに、すぐに触られて続けて体がバカになったのか、つらさすらも感じず俺は体の熱が一気に外へ放出される感覚に痙攣する。
 も……もう、なんか腰が、おかしい。がくがくして、止まらない。

 おちんちんも痙攣してるみたいで、こんな全身が引き攣る感覚は初めてだった。

 や……やば、これ、やば、ぃ……頭、おかしくなる……っ。

「…………他のオスの曜気で満たされた後なら、ここまでが限界か」
「っ、は、はひゅ……っ、は、ぅ……ぐ……っ」
「ああ、よしよし。少量でも充分使える曜気だ。お前にゃ感謝するぜ」

 そう言いながら、男は何故か俺を一度ぎゅっと抱きしめてくる。
 ……痛い。ブラックやクロウと違う、本気で手加減のない、乱暴な抱き締め方だ。
 俺を覆うほどの長身だけど、やっぱりこの人はブラック達と違う。なのに、何で俺の体は未だに腰がビクついて動けないんだろう。

 もう、頭がぼうっとして、もっといろいろ考えなきゃいけないはずなのに、考えようと頑張る度に、また頭がぼやけていく。

「…………悪かったよ。金貨二枚やるから、この金でもっと良い服買え」

 そう言いながら、男は俺を抱えて何かの台……いや、たぶん、木箱……木箱の上に寝かせると、目の前に何かを置いて路地から去って行った。

「……ぅう……」

 ……なんだっけ。
 あれ、そういえば俺……最初、あの人の声、誰かに似てると思った、ような……。

「…………もう゛、わかんない……」

 何かを盗んだ奴を特定するつもりだったのに、俺は何をしてるんだろう。

 ぼんやりそんな意識が浮かんだが、痙攣した体を抑えるのに精いっぱいで、俺は暗がりの先に見える月光に照らされた路地をずっと見つめていた。











※深夜とか言って寝落ちしてお昼なんとか更新です_| ̄|○

 第二部のどっかでも言うてましたが
 第一部でかつてアンケとったときに「本編でブラック以外に挿れさせんといて!」の声が多かったので、基本的にピンチになっても挿入はされないよ!
 なので引き続き安心してご覧ください。

 
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