異世界日帰り漫遊記!

御結頂戴

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遠日幻望ユグドラシル、崩壊兆す瀑流の寇盗編

29.バレなきゃ良いんだよ、バレなきゃ

 
 
「じゃあ、ずっとここに居るのもなんだし文字含めて覚えるからちょっと待ってて」
「お、おうっ。頼む!」

 俺がそう言うなり、ブラックは手記を表紙からもう一度じっくりと読み始める。仕草は普通に見えるけど、しかしこの行動は俺には計り知れないほどのものなのである。
 なんたって……こうして本を読むだけで、ブラックは全部記憶しちまうんだからな。

 ……しかも、ちょっと待っててとは言うが恐らく一時間もかからないはず。

 改めて思うけど、ブラックの超記憶能力は凄いよなぁ……。
 こういう時はふざけずに真面目に本を読んでるし、それに…………真剣に、本を暗記している横顔とかは、か、格好いい、し……。

 …………い、今のはナシっ、なしなし俺は何も考えてません!!

 とっ、ともかく、ブラックが全部記憶してくれている間は、静かにしておこう。
 ぐっと口を一文字に引き締めて神妙な面持ちで待っていると、三十分もしない内に記録を読み終えたらしいブラックは、フウと息を吐いて顔を挙げた。

 結構な分厚さの紙束だったんだが、アンタ前より読むの早くなってません?

 オッサンになってもまだのびしろがあるのか、と恐れおののく俺を余所に、ブラックは記録の紙束を丁寧に台座に戻した。こういう所もなんか無意識に丁寧なんだよなあコイツ。
 まあ、そういうところも悪くないと思うけど……。ゴホンゴホン。

「ん? 惚れ直した? 僕に惚れ直しちゃったのツカサ君?」
「違うっての!! も、もう良いんだよな? じゃあ上に戻るぞ!」

 ドヤ顔で俺に近付いてくるブラックから距離を取っていると、アドニスが軽く手を挙げた。

「あ、でしたら私は残りますので、先に帰っていて下さい。折角ですから、どのような成果物があるのか見ておきたいので」
「一人で大丈夫?」
「ええ。折角ガラスケースを開ける権利を頂いた事ですし、どうせならここにある成果物を色々読んでおこうかと」

 そう言いながら、【魔女の薬の研究記録】のガラスケースを置き直すアドニスに、ブラックが嫌そうな顔をしながら目を細めた。

「どう考えても慰謝料や報酬にしては過分なんじゃないのか」
「私に権利を渡した時点で、学院長もこうなることは覚悟の上でしょう。それに【回春薬】が今から齎すであろう利益に比べたら、私に情報提供をする程度の損害なんてゴミカスのようなものですよ。では、何かあったら呼びに来てください」

 そう言いながら、アドニスはさっき目を付けていたのだろう書物の成果物の方へ歩いて行ってしまった。いや歩いてというか、ちょっとスキップしてた気がする。ルンルンだったような気がするんだが、もしかしてアドニスってばはしゃいでいるんだろうか。
 まあ、薬師としても結構研究熱心だもんなアドニス……。

「ツカサ君、あんな変態薬師ほっといてさっさと帰ろう」
「お、お前なあ……まあでも邪魔するのも悪いか」

 一応ブラックの言葉を嗜めた、が正直変態と言われると否定できない。
 というかアドニスも案外口悪いよな。ゴミカスて。

 まあしかし上機嫌なんだからもうツッコミで水を差す事も無いか、と思いつつ、俺達は上階へと戻り、とりあえずロクショウ達が待つ部屋に帰る事にした。

 今回は起こったコトがコトなので、無暗に守護獣を連れ歩いていると不安になる人もいると思って、残念だけどロクショウ達にはお留守番を続行して貰ってたんだよな。
 でも何度も待たせるのも悪かったから、リオルとペコリア達には帰って貰っているのだ。
 なので、部屋で待っているのはロクショウだけで……ああロク、一人にさせちゃってごめんよ、今帰ってお留守番偉いで賞の表彰式をしてあげるからね……!

「ねえツカサ君ってなんでロクショウ君に対して多少気持ち悪い考え方になるの」
「き、気持ち悪いってなんだよ失礼だな! ていうか心を読むなって!!」

 もうまた無駄に察しの良いマネを。
 どうせ心を読むんならロクショウの可愛さと偉さに同意してほしいんだが?

 そんな事を思いつつ、俺に割り当てられた職員寮の客室のドアを開く。と、部屋の中からすぐにロクちゃんがキャッキャと喜ぶ声が聞こえてきた。
 どうしたのだろうと歩を進めると、そこには。

「キュー!」
「お久しぶりです、ツカサさん」
「えっ……エネさん!?」

 そう。椅子に座り、テーブルの上でヘソ天してお腹をこしょこしょされ喜んでいるヘビトカゲ史上一番可愛いロクちゃんをあやしている人物……――それは、何を隠そうエネさんだったのだ。いや、さっき思い浮かべてたけどこんなに早く再会するとは思わなかったぞ。

 ああでも何だか懐かしいとすら思えるな。
 ローブに隠されていても突出してしまう豊かで豊満なバストに、普段はローブに隠されているがフードを外すと綺麗な金髪とほとんど表情が崩れない、怜悧でクールな美貌。そしてその完璧な美貌に花を添えるエルフの長い耳が、いつ見ても素晴らしい。

 これで毒舌なんだからもう本当に属性てんこ盛りなんだよなあ。

「おい耳長乳袋、なに不法侵入してんだ」
「学院の方に案内して貰っただけですが? 流石は低能人族の下の下に位置する汚泥ですね、考え方が犯罪を犯す方向にしか働かないなんて」
「あ゛? 触らすメスもいねえ無駄乳女なんぞ不審者でしかないんだが?」
「こらブラック!!」

 そういうのは俺にも刺さるからやめろ。アッチに帰った時にその暴言思い出して俺も傷付くからやめろ。触られなくたって慎ましく生きてるんだぞ俺の息子もエネさんのおっぱいも。

 まったくモテる奴はこれだからと睨みつつもテーブルに近付くと、金髪毒舌巨乳美女の名を欲しいままにするエネさんは冷静な表情で俺の方を見た。

「王都の騎士団にツカサさん達に関連する連絡が入った時点で、私達【世界協定】にも何かしらの知らせが入りますから。それにしても、御無事でなによりです」
「えへへ……そ、それで……シアンさんの体調はどうですか?」

 残った椅子に座りつつ訊くと、エネさんは少し目を伏せる。
 よほど悪いんだろうかと身構えてしまったが、そうではないらしい。

「シアン様は……最初よりは持ち直して元気に振る舞っていらっしゃいます。ですが、我々部下から仰ぎ見るお姿は、やはり無理をして明るく振る舞っているようにも見えて……バカ息子に非常に殺意が湧、いやシアン様が心配で仕方ありません」
「そう、ですよね……」
「いやコイツ今殺意が湧くって言いかけたぞ。何考えてんだこの乳袋女」

 そうだよな……いつも傍に居る側近のエネさんからすれば、今のシアンさんは健全な状態とは言えないだろう。やっぱり、明るく振る舞って無理をしているみたいだ。
 なのに、あのセレストのオッサンは本当にもう……っ。

「シアンさんの【世界協定】での立場は、どうですか……?」
「未だ危機に曝されています。……通常であれば、身内に危険思想を持つ者がいた場合、慣例により職権剥奪も在り得るのですが……何分、神族は人族の法律や慣例とは異なる存在であり、生きている時間の感覚が違いますので、その部分に焦点を当ててシアン様の味方をして下さる方々により、首の皮一枚で繋がっている状況です」
「まあ、こんなこと前代未聞だしな。そもそも、人族の事に口を出してくる神族なんてシアンの派閥くらいなもんだろうし、神族はそもそも秘密主義で下等だと思ってる人族に対しては語りたがらないヤツも多いし」

 眉間にしわを寄せつつ、ブラックが言葉を継ぐ。
 やっぱり、今回の事はイレギュラーが多すぎて色々ごたついているみたいだ。でも、そのおかげでシアンさんの処遇については現在議論が停滞しているっぽい。

 「味方をしてくれる人達」っていうのは……たぶん、アコール卿国の王様……国主卿や、俺達に好意的に接してくれた側の人達なんだろうな。

 それにたぶん、神族という存在に【世界協定】に居て欲しい人達も協力してくれているんだと思う。あれだけの大きな組織だし、何だかんだ「神族が幹部に居る」って、凄く珍しい事で、エルフ神族達と繋がることが出来る唯一の架け橋だしな。

 きっと、そういう面もあってシアンさんの処遇は未だに宙に浮いているんだろう。

 でも、いくら味方をするといっても出来る事には限界があるし……「神族」という特異性を以ってしても、庇い切れないことはあろうだろう。

 大人が作る組織というモノは、大体厳しいルールを順守することが絶対なのだ。人族なら既に職を失っているというレベルなんだし……事が深刻になればなるほど、きっと国主卿達も庇う事が難しくなるに違いない。

 やっぱり、これ以上セレストが蛮行を行わないように捕まえないと……。

「……ツカサさん、事件の大まかな内容は把握していますが……そんな表情をなさると言う事は、やはり今回の一件にも【アルスノートリア】が……?」

 問いかけてくるエネさんの声は、いつもと違って少し緊張している。
 ……やはり、大切なシアンさんに関する事を聞くのは、エネさんでも怖いのだろう。

 だが、伝えなければ対策も練ることが出来ない。
 俺とブラックは覚悟を決めると、今までの事を洗いざらい話すことにした。

 ――――まず、俺がこちらの世界に帰ってきてからのこと。

 【イデラゴエリ】の遺跡で、遠い昔に存在し悲劇的な最期を迎えた【七人の黒曜の使者】の話を知った事、その次に【モンペルク】で「ヌエさん」という謎の人物と出会い、一方で異形のモンスターと対峙しそのことを報告した後、ひょんな用事から【ヘカテクライオ】へと北進した結果、そこで【幸福の魔女】と出会い、そして一般人に紛れていた【翠華】と遭遇し、魔女であるフェリーチアさんに助けて貰った事。

 そして、【翠華】が使った「魂を抜き出す薬」が「魔女の薬かも知れない」という手掛かりをフェリーチア……チアさんに教えて貰った俺達は、この【ハイギエネ薬神院】がある古い港街【エスクレプ】に辿り着き、アドニスやロサードと今の今まで【魔女の薬の研究記録】を閲覧するために、【回春薬】作りの手伝いをしたり講師をしたりしていたことを話した。

 途中、ちょっと端折った部分もあるけど、大事な部分は伝えたつもりだ。

 特に……ここ、薬神院こと【薬学院】で起こった、一連の事件は細かく。

 …………セレストと邂逅した部分についてはあんまり話したくは無かったけど、この話の中で一番のミソはその部分だから、どうしようもない。

 恐らくはセレストも【アルスノートリア】だろうと目星を付けている以上、エネさんに話さないワケにはいかなかった。
 そんな俺達の話を、エネさんは真剣な眼差しで聴いていたが――やはり先日のセレストが起こした一件に関しては我慢できなかったようで、急に表情を明確に怒りに染めると、俺が視認できない速さで拳を振り上げた。

 瞬間、目の前の机がへこんで粉々になっ……えっ。

 待て、待って待て待て。全然何も分からなかったんだが、もしかしてエネさんたらセレストに怒るあまりテーブルに拳を叩きつけたの?
 叩きつけた結果、テーブルがぺちゃんこになって粉々になったの?

 こ、こわい。ロクショウが俺の肩に停まっててくれてよかった。

「なるほど、ご説明ありがとうございました……。すみません、あまりにも怒りの感情が抑えきれなくてテーブルを壊してしまいましたが、弁償するのでご安心を」
「いやツカサ君が驚いてるのそこじゃねえから」
「と、とりあえずお茶でも飲んで落ち着きましょうよ。ねっ」

 このままだとエネさんが激怒するばかりだと思い、俺は慌てて席を立ち急いで麦茶を人数分温めると、据わった目をしている今にも殺意が溢れだしそうなエネさんにカップを渡した。
 すると、エネさんは怒りで作法も何も関係なくなっているのか、いつもの静かにお茶を嗜む感じではなく、男らしくズズッとお茶を啜る。なんならもう足も開いていて、どこぞの強い武将みたいな座り方だ。

 しかしお茶を飲んだことで少しは落ち着いたみたいで、カップから口を離したエネさんは、いつもの冷静な顔に戻っていた。いや、なんだかバツの悪そうな感じを含んでいて、正直ちょっと可愛いなと思ってしまったが、それはともかく。

「他はともかく……セレストのことは、やっぱり報告しなきゃいけない……ん、ですよね」

 だとすれば、とても気が重くなる。
 これでまたシアンさんが一歩辞職に追い込まれることになるからだ。

 そんなの俺達は望んじゃいない。だけど、こういうことは正直に離さなきゃいけないのだ。例え隠そうとしたって、これだけ派手にやられたんじゃどうしようもない。
 本当に、もう……っ、なんであのオッサンはこんなことばっかりするんだよ……!

 シアンさんが【世界協定】からいなくなったら、困るのは俺達だけじゃない。付き従っているエネさんのような「少し事情があるエルフ達」や、シアンさんに雇われて諜報活動をしている獣人や魔族達、それに懇意にしている人達だって困ってしまうだろう。
 色んな人に迷惑がかかることになるってのに……っ。

 くそっ、公明正大ってのは時々どうしようもないほど憎らしくなるな。
 理不尽な事を考えつつ憤ってしまったが、そんな俺を見つめるエネさんは……軽く口を開くと、俺が思っても見ないとんでもない事を言い出した。

「報告は勿論行いますが、極刑希望バカ息子と言う義理は無いかと」
「え……」
「ツカサさんが見立てた所によれば、アレは【藍瑞のアルスノートリア】なのでしょう? で、あれば、そう報告すれば良いだけです。施設を破壊したのも、礎である世界樹を切り倒す切っ掛けを作ったのも、アルスノートリア。それで良いのではないでしょうか」

 えっ……セレストがやったんじゃなくて、あ、アルスノートリアのせい……に……?
 エネさんの爆弾発言に、ブラックも「ほう」と感心したような声を漏らす。

「なるほど、あの場に居たのは事情を知らないヤツと僕達だけだし、他の奴らはアイツの姿を見てもいない。なら、それが【アルスノートリア】であると言えばそれ以上の事実は無いという事だな。嘘もついてないし、必要な情報は既に出ているワケだし」

 ま、待って待って、それ良いの。
 セレストが【アルスノートリア】だってちゃんと報告しなくていいの?

 つい混乱してしまうが、しかしブラック達の言う「ズル」は、何もルール違反ではない。それどころか、必用な情報は確かに全て伝えている。
 この件において重要なのは「水の【アルスノートリア】が始めて出現し、襲撃した」ことで、セレストのオッサンがどうのという話ではない。

 【世界協定】にとって重要な情報をピックアップしただけ、と言えば相手は何も言えないし、そもそも目撃者全員が結託すれば真相は分からないのだ。

 た……たしかに……これなら、シアンさんの立場は悪くならないけど……。

「……ほ、ほんとにそれでいいの……?」

 恐る恐る問いかけると、カップを持ったブラックとエネさんは、俺を見てにっこりと笑う。

 まるで、慈悲深く美しい聖職者のように。

「ツカサ君、こういうのはバレなきゃいいんだよ。バレなきゃね」
「ご安心を。ツカサさん以外の下等な人族どもに情報をくれてやる時点で、ありがたい事と感謝されるべき話であり、悪いのは私以外の伝達者を寄越さない愚か者どもですから」

 わ……わぁ……っ! 綺麗な笑顔なのにこわぁい……!

 怖さに思わず涙腺が崩壊しそうになってしまったが、しかし二人の怒りも御尤もだ。
 今まで【世界協定】は、エネさんをメッセンジャーにするくらいでその他の連絡手段で俺達に接触することは無かったし、報告だってエネさんがやっているようだ。

 それなのに、神族全体を【世界協定】から離脱させかねない事案でゴタゴタしている状態なのだから、迂闊にエネさんを寄越した時点で「もうそうなっても、協定側も悪い」という論法に持ち込まれてしまうだろう。

 こういう舌戦に置いて、ブラックやエネさんのようなタイプが負けるハズがない。

 とはいえ、騙すのは俺達なワケで……ほ、本当に大丈夫なんだろうか。
 ……でも……少しでもシアンさんの危機を回避できるなら……俺も腹をくくって、言える事と言えない事の取捨選択をしただけですって言うべき……だよな……!

 …………よ、よし。
 仲の悪い二人がこんなに結託してまでシアンさんを守ろうとしているんだ。
 なら、俺だって覚悟を決めるぞ。ズルい大人になって、シアンさんの為に盾になるのだ。

 悪人と呼ばれようが大好きな人を守るのもまた「オトコ」ってもんだからな……!

「わ……分かった……。俺も【アルスノートリア】ってことにする。ラスコーさんやモグさんにも、そう言っておこう!」

 アドニスは、もちろん俺達の側に付いてくれるはずだ。
 以前対面した時、シアンさんとの関係性は何だか微妙そうだったけど、それでも俺達の事を影からサポートしてくれている存在を貶めたりはしないはず。

 それに、アイツはドS鬼畜眼鏡だけど、心根は優しい薬師だからな!

 きっとみんな、協力してくれる。
 だから……どうか、せめてあのセレストを捕まえて説き伏せるまでは、シアンさんが悲しむような事態になりませんように。

 ――――もう既に「どう報告するか」の算段で賑やかに会話を繰り広げているブラック達を横目に、俺はそう祈らずにはいられなかった。









※朝方になっちゃいましたが前回ほど遅くならなくて良かった
 (;´Д`)

 今年も残りわずかになりましたね…!
 2025年も「異世界日帰り漫遊記」を読んで頂き
 本当にありがとうございました!
 ご支援、応援のおかげで私は日々更新できております…!
 応援の声を下さる読者さんのおかげです!。゚(゚´ω`゚)゚。 

 来年も楽しく、無理せず、萌えのママに書いて行きますので
 一緒に楽しんで頂けると嬉しいです!
 ではでは皆様、よいお年を!

 
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