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港地区ディナテイル、情けは人のためならず編
唐突な波乱2
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「ごめんなヒロ、送ってもらっちゃって……」
夕暮れも近くなりそうな時間、車が頻繁に行き交う大通りの歩道を歩きながら、俺は隣で歩くヒロに謝る。だが相手は「気にしなくて良いよ」と首を振って微笑んだ。
当然と言わんばかりに返してくれるが、しかしやっぱり申し訳ない。
やはりヒロも、俺を一人で帰すのは危険かも知れないと思ったんだろう。
だから、ホントは道の途中で別れを告げるつもりだったんだけど、結局送って貰う事になってしまったんだよなあ。
……まあ、ほんとつい最近までマスコミとか学校の奴らとかに変に騒がれてたし、俺の変な写真が出回ってたとかいうから仕方ないけどさ。でも、そんな心配をさせたうえに、わざわざ送って貰っちゃうなんて……なんとも不甲斐ない。
俺だって男なんだから、困りごとなんて一人で対処できるはずなんだけど。
でも、それが出来ないから迷惑をかけているんだよなぁ……。
人に心配させた上に頼る事になるなんて、男としてのプライドが許さない。だけど、それで振り切ってヘンな事に巻き込まれたら余計にヒロ達を傷付ける。だから、自分のプライドが許さなくても、今は厚意に甘えるしかなかった。
ヒロもなんだかんだで高身長のガタイ良いタイプだからな……ヒロが一人で帰るのと、俺が一人で帰るのでは安全レベルが段違いだ。
悲しいけど、俺は見上げる程度の身長しかないので、こうやってご迷惑を掛けつつ人の好意に縋るしかないのである。もう格闘技でも習おうかな……尾井川の柔道の乱取り相手をやらされることもあるし。でも全然上達しないので無駄かな……。
ああ何で俺は運動音痴なんだ。短距離走と木登りが得意なだけじゃ、逃げるのが関の山だってのに……いや、もう、その脚力を伸ばすべきなのか?
逃げ足が早ければなんとかなるかもな……あとはスタミナの問題だな。
「つーちゃん、どしたの?」
「ああいや、俺ってば逃げ足を早くした方がいいのかなって……」
帰り道の途中で足を止めて説明すると、ヒロは何故か難色を示した。
「うーん? つーちゃんは、つーちゃんのままが良いと思うけどな、ぼく……」
「でも、こうやって送って貰うのも申し訳ないし……」
「ぜっ、全然イヤじゃないよ!? だ、だってつーちゃんといっぱい話しできるもん! そ、それに……ぼく……い、今の、つーちゃんが……好き、だし……」
照れ臭いのか、ヒロは猫背気味の大きな背中を丸めて、目が隠れそうなほど長い前髪で顔を隠す。俺の悔しさを思って嬉しい事を言ってくれるのだろうが、好きという言葉に照れちゃってるのがなんだか可愛いなあ。
俺も昔は友達にスキって言う事すら恥ずかしい時期があったっけな……。
しかし今は、素直に自分の気持ちを伝えるって事の大事さを知ったから、尾井川達にも素直に「大事なヤツだ」って言えるように成長したのだ。
それを考えると、ヒロの照れは非常にウブで可愛い。
まあ男友達を捕まえて可愛いって気が狂ってるなと我ながら思うが、ヒロは小さい頃は女の子みたいに小さくて可愛かったので許して欲しい。
なんつーか、昔の感覚ってやっぱ抜けにくいんだよなあ。
どんだけデカくなったって、ヒロは俺にとってはヒロなんだよ。ずっと守ってたから、俺がずっと守ってやらなくちゃって気持ちになってしまうのだ。
だから、ついついヒロには甘くなってしまうわけで。
「へへ……ありがとな、ヒロ。でも……やっぱ守られっぱなしってのも申し訳ないから俺も逃げ足だけは磨いておくわ」
「そ、そ、そっか。で、でも、つーちゃんは、今のままで充分、その……かっこいいよ」
「ヒロはホント俺に優しいなぁ~」
こういう優しい事を言ってくれるのも守護欲をそそると言うか、守護欲ってなんだよと言いたくなってしまうが、まあそんな感じなのだ。
しかし、守るって言っても今の俺はヒロより弱いだろうからなぁ……。運動音痴でも出来る格闘技はない物だろうか。はあ。
内心自分の運動能力に悲しくなりつつも、俺はそれを悟らせないように明るく振る舞いながら、帰り道を着実に進んだ。
と……――――。
「…………ん?」
前方に、なにやら複数の人がたむろっているのが見える。
歩道で固まっているのは迷惑だなと思っていると、彼らがこちらを振り向いた。
あれって、俺達と同じ制服じゃないのか。いやでもなんか胸ポケットに縫い付けてる校章の色が違う。あれは確か……三年生の校章だ。
嫌な予感がしてヒロと一緒に立ち止ると――――何かを話し合った彼らは、俺達の方へと小走りする感じで近寄って来た。どんどん距離が近くなる。
その詳細が分かるような距離になって、俺は青ざめた。
「あ、あの時の先輩……っ!!」
「えっ、な、なに? どしたのつーちゃん」
「に、逃げろヒロ!」
ヒロの腕を掴んで、俺は急いで踵を返そうとする。
だがヒロは何が何だか分からないままだったせいで、俺が引っ張っても数秒動く事が出来なかった。やっと一緒に走り出したが、その頃にはもう距離が縮まっていて。
「おい逃げるな! 話があんだよ!」
「先輩に背ぇ向けんな、お前ら後輩だろ!」
「止まれ!」
そう言われて止まる奴がいるわけがない。
とにかく逃げ切らなきゃと思ってヒロの腕を掴んだまま、逃げようと今来た道の角を曲がろうとする。が。
「わあっ!」
「ヒロ!?」
俺が腕を掴んでいたせいで、ヒロが姿勢を崩してこける。
そのまま地面に転がったヒロに慌てて近寄るが、手当をするヒマはなかった。
「おいおいおい、クグルギくん、センパイが頼んでんだからちょっと待とうぜ」
「逃げてんじゃねえよクソチビが!」
先輩達が駆け寄って来て、左右に散る。
車通りの多い道には逃げられなくなってしまった。
「っ……!!」
「つ、つーちゃん、ぼく大丈夫だから……っ」
「あっ、ヒロ……っ」
一瞬動きを止めた俺を、今度はヒロが引っ張って走る。
昔は転んでもすぐに立ち上がれなかったのに、今は大きな体を驚くほど素早く立て直して、俺を易々と引っ張っていた。
「おいコラ!!」
「待てっつってんだろおいおい!」
怒鳴るような声なのに、彼らの声はどこか楽しんでいるようにも聞こえる。
まさか、俺達を追い詰めることを楽しんでいるのか。俺達をすぐに捕まえないのも、狩りを楽しんでいるような物だというのだろうか。
だとしたら、悪趣味極まりない。絶対に捕まりたくなかった。
けれど、俺達はいつの間にか巧みに先輩達に誘導されていたようで。
気が付くと――――ビルの谷間の路地のような場所に、追い詰められていた。
「よーし、うまいこと行き止まりっ」
機嫌が良さそうに語尾を上げる、リーダーっぽい「今時のイケメン」感がある先輩。もう先輩とも呼びたくないくらい怖いのだが、でも俺は四人の名前を知らないんだ。
だから、どんなに危険だと思っていても先輩としか言いようが無かった。
そんなどうでもいい事を気にする俺に、チャラついた四人の先輩達は、ニヤニヤと笑いながらゆっくり近付いて来る
明らかに、俺達が警戒しているのを面白がっているような態度だった。
「つ、つーちゃ……」
「ヒロ……だ、大丈夫だからな……」
怖がるヒロを背中で庇いながら、俺は必死に先輩達から逃げる術を探す。
だが狭い路地で四人に囲まれると、どうにも逃げ出す隙が無い。俺だけなら彼らの隙間を縫って逃げられるかも知れないが、おっとりしたヒロには無理だろう。大体、体もデカいし……なにより、ヒロは優しいからこういう喧嘩みたいな状況に向いてないんだよ。人から威圧されたら、こうやって怯えてしまう。
なんとか、俺がなんとかしないと。
だって、先輩達は間違いなく俺だけをターゲットにしてるんだから。
「え、なになにそのデカい奴。デカいのにちっちゃなクグルギくんに守られてんの?」
「うわっは、きっしょ! ボクちゃんいくちゅでちゅか~?」
「尾井川みてーな奴かと思ったけど、これじゃ警戒してたのがバカみてえだな」
「マジそれ」
そう言ってひとしきり笑う先輩達に、俺は冷や汗を流す。
油断、しているのだろうか。だがそうとも思えない。
脅されるにしろボコられるにしろ、どうにかしてヒロだけでも逃がさなくちゃ。
俺一人逃げるわけにもいかないし、仮にそうしたとしてもこの先輩達は絶対にヒロに危害を加える。こういうヤツらは人を人とも思ってないんだ。
あの男子トイレでの態度でも、それはなんとなく理解出来ていた。
だから……なんとか、ヒロだけでも逃がさないと……。
「つ、つ、つーちゃ……」
「大丈夫、大丈夫だからなヒロ……。お前だけは、絶対に逃がしてやる……!」
先輩達に聞こえないように、ボソボソと喋る。
だが、俺が「逃がしてやる」と言うと、俺の肩を掴んでいるヒロの大きな手に強い力が入ったようだった。なんだか、肩が痛い。でも痛いくらいの方が正気を保てる。
こんなにヒロが怖がってるんだから、なんとかして逃げないと。
そう思いながら先輩達を睨んだ俺に、彼らはぎゃはぎゃはと笑いながらまたゆっくり近付いてきた。まるで、怯えた獲物の様子を楽しむかのように。
「そんなに怖がらないでいーじゃん。な? 俺達も別にクグルギくんに痛いことしたいワケじゃないのよ」
「そそ、ちょーっと話し合いしたいだけ。聞きたいこと聞いたら解放すっから」
「…………ほ、本当、ですか」
声が、震えているような気がする。
冷静に返したつもりなのに、自分が怯えた声を出したような気がすると、急に恐れが襲って来たみたいで体が震えそうになった。
だけど、背後で怖がっているヒロの事を思ってなんとか堪える。
そんな俺に、リーダーらしき先輩がニッコリと笑って小首を傾げて見せた。
「約束は守るよ? だって俺達クグルギくんと仲良くなりたいんだもん。あ、今度一緒にBBQでも行く? 俺いい河原知ってんだよねー」
「河原通? マジウケるわ」
なにが面白いんだかわからない。この状況で笑えることが有るのか。
冷や汗が止まらなくなってきた俺に対して、笑みを収めた彼らは眉を上げた。
「で、本題なんだけどさ……クグルギくんって、奉祈師部の弱点知ってるよね?」
「え……?」
意味が分からず目を丸くする俺に、先輩達は再び一歩近付いて来る。
渇いて痛み出した喉にごくりと唾を飲み込むと、リーダーらしき相手は目を細めて意地悪な猫のように微笑んだ。
「仲、いいもんなあ君達。だから、一個ぐらいしってるよなあ弱点。そうでもなけりゃ、底辺のお前らにお恵み下さるみたいに“あの”奉祈師部がずっと引っ付いてるワケが無いんだから」
あの、と何度も言っているが、何が何だかわからない。
でも運が悪い事に俺達はシベの弱点に一つ心当たりが有った。
…………俺達と同じ、オタクとしての性癖。
だけどそれを彼らに言えば、シベに何をされるか解らない。なにより、友達のことを売る気など最初からなかった。彼らにだけは絶対にあのことは教えられない。
シベは大事な友達なんだ。
いつも俺達に大して申し訳ないほど良くしてくれる、優し過ぎるヤツなんだよ。
それに、病院のこととか勉強のこととか、まだ恩返しも出来てないのに、こんな奴らにハイハイと従う訳にはいかない。なんとかしないと。
「……弱点なんて知って、どうするつもりなんですか」
相手を刺激しないように。なるべく、バカにされて油断させるように、敬語を使う。
二度目は逃げられないかも知れない。でも、俺より体格が良い彼らは今も俺の事をザコだって思ってるハズだ。こういう奴らは何度だって侮るものだ。
だから、その余裕を付いて今度も逃げ出してやる。
そうでなければ、なんとかしてヒロだけでも。
腹の中で必死に逃げる算段を考えつつ冷静に問うた俺に、相手は答えた。
「知りたい? だったら……俺達とパーティーしようよ。クグルギくん、クラブとか行った事ないっしょ。楽しいぜ~? だからさっ、な? クグルギくんなら、俺もちょっと楽しくなりそうだし……パーティー、しようよ。なあ」
暗い路地裏で、ニタリと笑う。
「パーティー」が何の意味であれ、絶対に良い物ではないだろう。
逃げ道を探して必死に視線を泳がせるが、横一列で逃げ道を塞いだ四人の先輩は俺達を自然と追い込み囲おうとしている。
まるであの男子トイレでの失態に学んだかのような動きだ。
このままだと、逃げられない。
「つーか、もう連れてったほうがよくね? ここで膠着状態とかダルいし、そっちの方が喋って貰うパターンいくつか用意できるし」
「それもそうだな。ちょっとブスッとやりゃあな。そっちのが楽しめるし」
「じゃあ拉致っか。車呼んで~」
「あいあーい」
車。
……車を呼ぶ?!
拉致ってブスって、どう考えてもヤバいよな。ナイフだろうがお注射だろうが、どっちにしろ恐ろしい結果しか生まない。それはさすがに嫌だ。
こうなるともう体当たりするしかないのか。こうなるんなら鈍器か暗器か何かを鞄に忍ばせておけばよかった、どうしよう、どうしよう……っ。
「つ、つーちゃん……っ」
「大丈夫、だ、だいじょうぶ、だから……っ」
先輩達が近付いて来る。もう、距離が無い。
決断しなければと震える息を吸う俺の肩を、震えるヒロの手が掴んでいた。
→
※ちょっと遅くなりましたスミマセン(;´Д`)
第一部でのアンケ(昔やった)により、モブは強姦未遂までしかしない
挿入もしませんのでご安心ください。本編は一棒一穴です。
今回は強姦とかではないですが。
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