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亡国古都アルカドア、黒き守護者の動乱編
約束したけど勘弁してくれ2
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巨大な姿を「人より少し背が高い程度」の姿に縮めて、より広くなった部屋で大勢の獣人達と共に宴を始める。
それは“金獅子のゼル”とその妻や部下たちにとっては日常の光景らしく、たくさんいる奥様……ではない、どこぞの馬の骨がその長の胡坐の上に座っている異様な状態すらも、日常茶飯事とばかりに気にしていなかった。
……どうもこのゼルという、外面は二十代のイケメン褐色おじさんは、ドービエル爺ちゃん並に女……メス好きなようで、一夜のメスとやらがこんな風に扱われているのを見ても、周囲は「当たり前」だと言わんばかりに何も言って来ない。
それどころか、こちらの事など気にせず談笑までしていた。
ってことは……こういうのって、奥さん達からしても珍しくないってコトなんだよな。
いつも妻じゃないメスを胡坐の上に乗せてるし、過去にそういう事をしても滅多な事はしないと理解しているから、彼女たちは気にしてないってワケで……。
…………いや、スケベだな。
こいつ、紛うことなきスケベ野郎だ。絶対そうに違いない。
だってこんなのが「いつものこと」なんて、絶対おかしいじゃん!
女好きのドービエル爺ちゃんですら、王妃と側妃さん達で満足してラブラブしてるってのに、なんでこんなのが普通になるくらいサカッてんだ。
つーか奥さん! 十人以上いる奥さんを大事にしろ!!
……しかし、俺の叫び(口に出す時はだいぶマイルドになっているが)は、金獅子のゼルの“群れ”の人達には届かない。
場違いすぎる俺がこのでっかいライオン獣人の胡坐の上にいても、群れの人達は寧ろニコニコしているくらいで……もう打つ手なしだった。
うう……なんだってこんなことになっちまったんだか。
「ふむ、やはり男にしてはオス好きのする柔らかい尻だな。既に“匂いづけ”は入念にされているようだが、この感じだと子は未だか? 安産型なのに勿体ない」
なんの話だ、なんの。
俺のケツを触りながら変な事を分析するんじゃない。
アンタのでっかい手が撫で回してくるせいで、こっちは気が気じゃないんだよ!
なんせ、殺気をだだもれさせてるオッサンがこっち見てるんだからなあ!!
く、くそう、なんだってこんな顔見知り程度のヤツの胡坐の上に座らにゃイカンのだ。しかも、普通に座るんじゃなくて、ケツを触りやすいように横っ面を相手の胸にビタッと密着させて体を預けるような、横座りをさせられているのが屈辱だ。
こんなん、しなだれかかる女の子のポーズじゃん。
俺がするポーズじゃないじゃん絶対!!
恥ずかしいやら逃げたいやらで顔が赤くなってしまうのがまた恥ずかしい。こんな姿を知らない人達に見られるっていうのもだけど……ブラックやクロウ、あと怒りんぼ殿下に見られてるのが一番居た堪れないかも知れない。
お、俺だってこんなの望んでやってるワケじゃないってのに、たまにチラッと下座の方を見ると、ブラックが射殺しそうな目でこっちを見て来るんだもの。いや、その目は俺に対してじゃないんだけど、でもその余波がガンガンぶつかって来るもんだから、俺は気が気じゃない。っていうかもう早く帰りたい。
なのに、まだ宴は始まったばかりなんだもんな……。
はぁあ……こんな事になるんなら、よく考えて約束するんだった……。
おかげで俺の可愛いロクショウもバッグに隠れたまんまになっちゃったし……後でご飯食べさせてあげないと……本当に踏んだり蹴ったりだ。
「うーん、お前案外不感症か? こんなに撫でて可愛い声一つも出さねえとは」
「別にそんなに反応する事でもないですんで!」
つまらなそうに声を漏らしながら酒を煽るゼルさんだが、飽きちゃって早く捨てて貰った方がこちらとしても都合がいい。というか、新たな争いが起きずに済む。
それに……ホントに別に気持ち良くとか無いんだから、声なんて出るわきゃねえっての。尻を撫で回されるのはゾワゾワするけど、それだけだし。
それに……この人の触り方って、その……言い方は悪いけれど、ブラックみたいにスケベ心がこもった執拗な手つきとは全然違う、なんかあっけらかんとした触り方と言うか……ともかく、やらしさが微塵もないし。
だから、俺も変に意識せずに済んでいるのかも知れない。
まあ、でも、やっぱり急所の近くだから他人に触られたらそりゃビクッとしてしまうんだけどな。そんなので喘ぐほど俺はメスには成ってないのだ。
やっぱり俺は立派な日本男児ってことだな。うむ。
「何を考えてるかよく分からんが……これじゃいくら触り心地が良くても酒のつまみとしては不十分だな。……ったく、しゃァねえ」
獅子のような金色の髪を掻き上げたゼルさんが、不意にそう言う。
相手の言葉に反応しようとした俺だったが、その前に肩を抑えつけられ、強引に体を胡坐に沿って寝転がされる。何をするのかと思ったら――――相手は唐突に、俺のズボンを器用に外すとそのまま下着ごと引き抜きやがった。
「ギャーッ!!」
「ツカサ君! おい何してんだテメェ!!」
ああ、ブラックの口調が凄く荒くなっている。ヤバい、俺が下半身すっぽんぽんになったの以上にヤバい。ブラックが怒ると後で被害を被るのは俺なんですって、頼むからズボン返して下さい獅子王さま。
「ずずずズボン! ズボンと下着返して下さい!」
「お前の襯衣は裾が長いから問題なかろう。うつ伏せならば尻しか見えん。そもそも、あんな分厚い生地の無粋な下穿きなどつけているから、尻の具合がわからんのだ。もっと俺様に美味い酒を飲ませろ」
「びゃあっ!」
し、ししし尻っ、シャツに手ぇつっこまれて尻揉まれたあぁあ!!
変と言うか情けない声を出してしまったが、これは仕方が無いだろう、っていうか、強引に生ケツを揉まれて驚かないヤツがいたらお目に掛かりたい。
「うーん、お前本当に男か? こりゃ安産型の尻だぞ。男メスでこんな尻はありえん。オス全員をたぶらかす気か? まったく、最近の人族の男メスは侮れんな」
「ひっ、うぁっ、ちょっ、ちょっとあの、し、しりを剛腕で揉むのはあのあのあの」
ちょ、だ、ダイレクトにでっかい手で尻をわしづかむのやめてっ。
そんなうどんを作る時レベルで揉みしだかんで下さい!!
頭の中にいくつも「ヤメテクダサイ」の言葉のパターンが思い浮かぶが、それを言う前に尻肉をグッと掴むように揉まれて声がうまく出て来なくなる。
幸い、劣情を催すような触り方ではなく、ホントに普通に「揉み心地のいい物を無心で揉んでいる」という感じなので、そこはありがたいんだが……でもやっぱブラックやクロウ以外のヤツに揉まれるのは変な感じで、凄くぞわぞわしてしまう。
……いや、あの、そもそも尻とか揉まれても別に気持ち良くないんだからな!?
俺が変な感じになるのは、その、ぶ、ブラックとか、クロウが、俺に対してスケベな気持ちを持ってるって知ってるし……ブラックは……こ、恋人、だから、変に感じちゃって……ってそんな話はどうでもいい、ともかくこれはゾワゾワしてるだけで絶対に感じてないんだからな、その証拠に俺の愚息は全く反応してないしな!?
この状況は恥ずかしいし、通常の状態で全く気にならないサイズという己の持ち物が恨めしいやら悲しいやらだが、しかし俺の潔白を証明できるのならばこの状況でも耐えるしかない。ブラックを思いっきり怒らせるのだけはダメだ。
今の状況は、ケツなんて揉まれてうわうわ言ってる場合じゃないのに。
本当なら第二の試練を行って貰って、さっさと王宮に帰らなきゃ行けないのに。
ううう……今から戦が起こるんじゃないかって時に、何で俺はこんな格好をして、尻を揉まれてるんだ……今更ながらに悲しくなってきた。
なにが悲しゅうて己の愚息を更に貶めながら、よくわからん状況で嫉妬深い恋人のオッサンに「反応してません」と見せつつ、よくわからん強いオッサンに丸出しのケツを揉まれにゃいかんのか……。
はあ……。
せめて揉まれてお仕置きされるなら美女にケツを揉まれたかった……っていうか俺の方がケツ揉みたいわ!!
なんでナチュラルにメス扱いなんだよ、いやもう仕方ないけどねそこは!
「うむうむ、こういう健康的なのに柔らかい尻は獣人では滅多に揉めんから良いな」
「あの……バーゼル様、どうか我々の試練までにはツカサをお返しください……」
「ん?」
ケツを揉まれて品評会をされるのに耐え切れず顔を突っ伏していると、何やら耳に怒りんぼ殿下の声が入って来た。ちょっと心配したような声だ。
もしかして、俺の事を心配してくれたのかな?
そんな殿下に、バーゼル――ゼルで良いと言われたので俺はさっきからゼルさんと呼ばされている――が、不思議そうな声で返す。
たぶん、普段は居丈高な殿下が俺を気遣うなんて思わなかったんだろう。
ですよね、この人は人族見下しまくってましたからね。
そんな返答をされた事は殿下も気付いていたのか、ちょっとバツが悪そうに片頬を掻いて、それから再びゼルさんを見上げた。
「…………ツカサは……俺の力を取り戻す、食事を……作ってます。なので、試練に挑むためにも……その……」
あまりこういう「理由」を言い慣れていないのか、殿下の言葉は弱い。
……そっか、今までは王様だったから何でも一言でハイと従う人が居たし、子供の頃は逆に「王様だから」と自分を抑え込んでいたから、「主張」じゃない普通の「お願い」を言い慣れてないのか。
クロウやブラックも、色んな理由が有って不器用だけど……やっぱり、誰にでも苦手な事や悲しい過去が有って、誰もが何かを抑え込んで生きてるんだな。
…………ずっと憎しみ合うような関係にならなくて、本当によかったよ。
そんな場合じゃないのに、つい素直にそう思ってしまった。
「ほう……それは、お前の願いか? 子供のようなおねだりか?」
ゼルさんも殿下の言葉の拙さを見透かしているのか、面白そうに問う。
目を細めて面白そうに相手を見つめる顔は、獲物を弄び喜んでいる意地の悪い猫の顔そのものだった。そんなゼルさんに、殿下は少し俯く。
だけど、横から心配そうに顔を覗いて来るクロウに気が付いたのか、しゃきっと背を伸ばして、掻いた胡坐に手を置きながら答えた。
「……情けない男の……ただの、懇願です」
――――その言葉に、今まで談笑していた金獅子の群れが一斉に静まり返る。
まるで、殿下の言葉を聞いて息を飲んだような唐突な静寂。
ブラックも、クロウでさえも、その殊勝な殿下の言葉に驚いているみたいで……今のこの部屋には、その余韻を遮ろうとする者は誰も居なかった。
そんな下座の人々を見て、ゼルさんは目を細めたまま大きく口を歪めると――
急に、アッハッハと声を上げて肩を震わせながら大笑いをし始めた。
「椅子から転げ落ちた誇り高き王が、そこまで言うか! ハハッ、ハハハハハ!」
「…………」
その言葉に、何故かゼルさんの奥さん達がギッとゼルさんを睨む。
「酷い言い方をするな」と言わんばかりの怒りの視線に、ゼルさんはしゃっくりをするように笑いを急にひっこめると、バツが悪そうに頭を掻いた。
「ああ、いや、すまん……酒場通いのせいで、つい悪い言葉が出ちまうな……。今のは、お前を貶めた発言じゃねえ。許してくれ」
「いえ……事実ですので……」
「……なるほど、お前は随分変わったようだな。怒りを表す事も大事だが、大概の王は、そういう冷静さを持たねばならない。“群れ”の長ではなく、王となるためには」
あれ……ゼルさんの口調が、なんだか急に真面目になった。
さっきまでは酒場の粗野なアンちゃんみたいな口調だったのに、今は……ヴァー爺やドービエル爺ちゃんみたいな、威厳のある口調というか……。
「……はい。そのお言葉、身に染みております」
「あの戦を振り返ればなおさら……か。噂で聞くお前は、戦の後から苛烈さが増したと言われていたが……そう言えるまでになったのだな」
怒りんぼ殿下は答えない。だけど、少し俯いて陰が出来た表情には落ち込んだような表情が浮かんでいる。クロウと本音をぶつけあったことで、心に余裕が出来て、今までの自分の事を振り返っているのだろうか。
戦、が、怒りんぼ殿下の王権を保留にさせた前回のものなのか、以前の物なのかは俺達じゃ分からないけど、ゼルさんの言葉は核心を突いているみたいだった。
もし前回の「決定的な失敗」を言っているのなら、受け答えさせるのは酷な事なんじゃないのかな。俺達は別に負けたって生きていれば平気だけど、怒りんぼ殿下や獣人達は基本的にプライドが高いし……なにより、この世界じゃ負けて勝者に食われる事が最後の名誉って世界なのだ。
……俺も今まで全然考えたこと無かったけど……もしかして殿下は、今までずっとそんな不名誉な「負け」が悔しかったのかな。
だから、あんな風に焦ったように暗殺を仕掛けたんだろうか。
このままじゃ見捨てられて、クロウに成り変わられてしまうって思って……――
「…………」
別に、気持ちが分かるなんて軽い事は言えないけどさ。
でも……今まで自分を認めてくれていた色んな人が、自分を見放して別の誰かを手放しに褒め始める光景なんて……そりゃ、気持ちの良いもんじゃないよな。
重大な失敗をして失望された後なら、いつも以上に傷ついただろう。
…………俺は、クロウの強さをみんなに認めて貰えて嬉しかったけど……その姿を見て、殿下は辛い気持ちを吐き出せずにいたのかもしれない。
誰にも甘えられなかった殿下の本音を知ると、今更心が痛くなってしまった。
だけど、そんな俺の感傷なんて跳ね返すように、殿下は再び顔を上げて。
「希望を……見つけました。今は、その希望に縋っています。……今までの私は、竜のような誇り高い獣になりたいと思っていました。それが王たるものだと、絶対的な力こそが王なのだと思っていました。……だが、そうじゃない……違う道が有るのかも知れない。それを見極めるために、私は……まず私自身の望みを叶えたい。それから……今一度、王とは何かを考えたいのです」
「ふむ……」
「そのためには、一刻も早く私は試練に挑まねばなりません。ツカサが必要です」
「お前の望みにはツカサが必要なのか? 私利私欲を満足させる、と?」
顎を指の横腹で擦りながら、ゼルさんは眉を上げる。
どこか値踏みしているようなその視線に、殿下は不機嫌顔をぎゅっと真面目な顔に引き締めながら――――顔を下げずに、しっかりと頷いた。
「私が王たるものを真に理解するには、私自身が満たされねばならない。……不満を心に押し込めて無言で玉座に座るのは……誇り高い獣人とは言えませんから」
……や、ヤバイ。
殿下が、素直に「私利私欲だ」と言ってしまった。
怒りんぼ殿下の言葉に思わず顔から血の気が引くが、ゼルさんは黙ったままだ。
どうしよう。これ私利私欲の内容聞かれたら絶対困る事になるぞ。
だって、殿下の望みって「甘えたい」じゃないのさ。
殿下もクロウと同じで、真面目になると正直になってしまう性格だったとは……でも、今はそれじゃダメなんだってば。腹黒モードじゃなきゃダメなんだってば!
「甘えたい」をまず叶えたい王様とか、完全にトップとしてヤバいじゃん。
誇り高い王様のやることじゃないじゃん。
なのになんで真っ正直に私利私欲ありますって言っちゃうの!!
ああもう何で兄弟そろって変な所で素直なんだっ。
詳しい内容を問われないように、俺が話の腰を折るべきか。そこまで考えて、焦りながらゼルさんの顔を見上げようとした、と、同時。
また、頭の上から部屋の空気を震わすような大きな笑い声が降って来た。
ぐ、ぐううっ、煩いっ、鼓膜が死ぬぅうっ。
「良いッ! よいぞカウルノス!」
「え……」
「ど、どういうこと?」
思っても見ない、返答。
一気に場の空気が和らいだのを感じて呆ける俺とブラックとクロウに、ゼルさんは肩を機嫌よく揺らしながら続けた。
「王は奉仕するもの、民を守るもの、己を殺すもの……為政者ヅラした一般人がよく囀る文句だ。……だがな、王はヒト。どこまで行こうと人は人だ。心は有るし狡賢い事を考える悪意を持つ。良き王であろうが、それらは決して消せぬ人のさがなのだ」
「良き、王……でも……?」
目を丸くする殿下に、ゼルさんは片眉を上げておどけた顔をして見せる。
だけど、決して殿下の言葉を見下したりはしなかった。
「ああ。表の顔は威厳あるオス……なんてものは、民草だろうが大臣だろうが、誰もが被る皮だろう? お主の父親など、典型例ではないか。愛するメスどもの尻に敷かれて喜ぶ有様だろう」
「…………」
ああ、二人とも黙ってしまった。
確かにドービエル爺ちゃんは愛妻家で子煩悩だからな……。
そんな二人を見て「それみろ」とゼルさんは快活に笑い、酒を一口飲んだ。
「だがそれは忌むべき物ではない。誰もが表の顔で王を演じ、私利私欲を許す者や場所でだけは本当の気持ちを見せるのだ。……人に迷惑をかけるものでなければ、その望みはむしろ叶えた方が良い。己を殺すな。そうでなければ、ならん」
「何故ですか」
クロウの問いかけに、ゼルさんは笑みを収めて――――
静かに答えた。
「狂うからだ。良き王になろうとすればするほど、人の言葉を聞こうとすればするほど王は疲弊する。ただの泥人形になっていく。良きものであればあるほど、様々な決断を迫られ続け心は壊れるだろう。だが……そんな事は、あってはならぬのだ。苦しむ人心を理解する王こそが、真の良き王なのだからな……」
言葉に、何故か少しだけ怒りが籠る。
この場に居ない誰かに怒っているような、抑えた怒りだ。
声を発するのも躊躇われる様な雰囲気だったが、それでも殿下は応えた。
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「ああ。だからこそ、王は欲深くなければならん。良き王であり民を幸せにしようと思う気持ちが有る者なら、尚更欲望を持ち続けねばならんのだ。……その欲望を糧に、己の意思を持って――――民を守る道を歩むため」
語る口は、王の口だ。
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「私は……」
「カウルノス、お前は最早かつての愚かなお前ではない。それは、この“磊命神獅王”バーゼル・ダルストラが認めてやろう。だから、己を恥じるな。良き王となるために、欲に励むがいい」
「……ッ! は……っ、ははぁっ……!」
頭を下げる殿下。
そんな殿下に、気が付けばゼルさんの“群れ”の人達が拍手を贈っていた。
クロウの力が色んな人に認められたように、殿下も今、素直に吐き出した気持ちを認められている。それで良いんだと、この場の誰もが頷いてくれているんだ。
どんな恥ずかしい望みであっても、今のお前ならば望んでいいのだと。
そんな風に、祝福されて――――殿下は、いつの間にか涙を零していた。
「……兄上」
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「よーし、お前達が王たる資格を持ってきたのはよく分かった。では……この宴の後に、第二の“三王の試練”を始めようじゃねェか」
「……!」
ついに来た。
思わず硬直する俺達を見渡して、ゼルさんは口角を上げる。
何を言い渡されるのだろうかと緊張した俺達に、相手は告げた。
「第二の試練は……至極単純だ。
【海鳴りの街】に迫る悪党どもの軍団を、見事お前達で“おさえて”見せろ」
――ニヤリと笑った金獅子のゼルの顔は、老獪な笑みに満ちていた。
→
※ツイッターで言っていた通り遅くなりました…(;´Д`)スンマセン
熱さでちょっとバテ気味なのもあるかも_| ̄|○
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