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古代要塞アルカドビア、古からの慟哭編
34.持つ者と持たざる者
しおりを挟む俺達が乗っているにも関わらず、アンノーネさんがルードルドーナへ突進する。
ドスドスと音を立てて近付こうとしたが、ルードルドーナはこちらを向くなり、人の姿のまま凄まじい声量で咆哮すると、白い煙を纏った。
「おいクソ象止まれ!! 来るぞ!!」
ブラックがアンノーネさんの背中を強く叩く。
だが象の皮膚は案外分厚いのか、それともアンノーネさんが戦い慣れているからか、多少の刺激程度では止まってくれない。
アンノーネさんは、長い鼻を振り上げ進んでしまう。そんな姿に、白煙から大きな姿の“何か”が飛び出してきた。
白い煙を抜けてこちらの方へ飛び降りてきたそれは――――
「翡翠の角の、白熊……!?」
カウルノスと同じ、雄山羊のツノのように捻じ曲がった二つの角。
だがその色はツノ特有の艶やかで重い飴色ではなく、ルードルドーナの角の色は装飾品と見紛うほどの淡緑色だ。透明度が無いその色は、翡翠にしかみえないが、白い熊の“二角神熊族”は、ああいうツノを持っているのだろうか。
考えて、今はそんなことに気を取られている場合ではないと気を取り直す。
ルードルドーナが向かってくる。
しかも、どう考えても……話し合いをする雰囲気じゃない。
興奮した熊そのままに、涎をまき散らしながら口を開けて牙を見せている。元々が理知的な人の姿だったとは思えないほど、相手は敵意を見せているんだ。
そんな姿を見て、アンノーネさんとクロウはその場に急停止する。
加速を緩められず数メートル足を引きずって止まったが、しかしその間にルードルドーナは一気に距離を詰め、また威嚇するように唸り声を放ってきた。
明らかに、こちらに敵意を抱いている。
アンノーネさんもようやくそのことを認めたのか、頭を低くして前に伸びた牙を相手に向けながら目を細めた。
「……殿下、部下たちはどうしたんですか」
速度を軽く緩め、俺達と違って楽に停止する白熊。
だが、こちらを威嚇するのは止めない。
……クロウが嬉しさで喉を鳴らすのとは違う、禍々しい唸り声。
最早ここまで来ると、対話など不可能だと思い知る。
ルードルドーナは語ってくれない。だけど、相手が獣として威嚇している姿は、言葉よりも強く敵愾心があることを示しているのだ。
まるで「こちらの方が手っ取り早い」とでも言わんばかりだった。
「この姿のどこが賢竜だよ……」
俺の考えと同じような事をブラックも思っていたのか、実に嫌そうに愚痴る。
その声が届いたのかどうか、距離を取っていた相手が唸り声を少し緩めた。
だけど、その代わりに。
「うるさい……お前らに何が分かる……」
唸り声に重なって聞こえて来たのは、紛れもないヒトの声。
これは、ルードルドーナの声だ。
あからさまに憎々しげな声に、アンノーネさんが鼻を上げて口を開く。
「殿下、どうしたんですか! 部下はどうしたんです、ビジ族は、狼どもは!? 何故あなたが、あのような場所に……!」
まだルードルドーナのことを信じているのか、アンノーネさんは問う。
だけど、もう、説得で収まるような状況じゃないことは、俺達も察していた。
「私が、あのような場所に居たら悪いか?」
「あの岩は敵のものでしょう!! それなのに部下達に撤退を指示せず、あのような事を……どうしてですか、間に合わなかったんですか!?」
「間に合うかどうか? ……知るかそんなもの」
「ッ!?」
アンノーネさんの象皮がうねる。
明らかに動揺した彼に、ルードルドーナは眉間に皺を刻み牙を見せて続けた。
「なぜ私が、脆弱な者どもに心を砕かねばならない? 強者ゆえの苦悩を理解しようともしなかった奴らを、何故私が救わなければならないんだ」
「殿下、なにを……」
「お前もそうだったなあアンノーネ!! お前も……ッ、お前も、父上に心酔するあまり何もかもが父上ならこうする、父上は立派だ、父上父上父上!! 私に対してお前はただ“強者である”と思うのみで、私が何を考え何を望んだのか考えもしなかった! お前も……お前もそうだ、クロウクルワッハ!!」
「――ッ!?」
突然噴き上がったルードルドーナに名前を呼ばれ、クロウは毛を膨らませる。
驚きつつもその様子を見せないクロウに、相手は歯噛みをしながら続けた。
「我が一族の面汚しで、未だに“みすぼらしい獣の姿”しか見せられない駄作の王子が……お前より強いはずの私を差し置いて……!!」
饒舌に喋っていたルードルドーナの口が、わななく。
アンノーネさんに向けた八つ当たりのような暴言よりも、クロウに向けた言葉の方が、なんだか……よっぽど、感情が入っているような感覚がする。
だけど、クロウの事を常に見下していたはずのルードルドーナが、何故そんな風に激昂するのか分からない。
アンタは王子で、誰からも尊敬されてて、信頼も厚かったじゃないか。
それなのに冷遇されてるクロウをそこまで憎む理由はなんなんだよ。
ルードルドーナのお母さんであるエスレーンさんと関係があるのか?
それとも……ああもう、よくわからない。
考えてみれば、俺達はルードルドーナと長く行動したことが無いんだ。
だから何も知らないし、何を考えて何に怒っているのかすら理解できない。
もしかしたら、深い理由があるのかもしれないとは思っているし、分かり合えるかもしれないとは思ってるけど……でも……今のルードルドーナとは、冷静に話し合える気がしない。
相手は、激昂している。
俺達がエスレーンさんの事を話してルードルドーナを動揺させた時とは違う、なんだか、本当に本能で怒っているみたいな……妙な、感じ……というか……。
「ルードルドーナ、それは……っ」
「うるさい、うるさいうるさいうるさい家畜以下の脱落者!! お前が……お前達親子が、そうやって惰弱に胡坐をかいているせいで……!!」
ルードルドーナの毛が、ぶわっと膨らむ。
興奮したが故ではないその動きに身構えると、相手はこちらが危険を察知したのをあざ笑うかのように……毛を逆立てて、その場で大きく上体を起こすと、その体重を乗せて思い切り前足で地面を叩いた。
「なっ……!?」
「賢竜殿下!!」
アンノーネさんが叫ぶと同時に、ルードルドーナの前足から目に見える衝撃波が土と空気を震わせてその場に散る。刹那。
ルードルドーナを中心にして――――
刃のようにとがった岩が無数に出現し、こちらへとそのまま向かってきた。
「土の曜術!?」
なにこれ、なんだよ。格闘ゲームで見る、地面を伝う衝撃波みたいな技だ。
サメの背びれみたいに地面から突き出て、こっちに向かってくる。ゲームとは違って実体があるけど、それでもヤバい技には違いない。
だけどなんで。土の曜術はクロウ以外は使えないんじゃ……っ。
「くっ……!」
「ツカサ、こっちに来い!!」
「クソッ……!」
クロウはともかく、アンノーネさんの巨体では、その凄まじい速度でやってくる岩を避けることが出来ない。
一瞬でそれを理解したのか、俺達の周囲にまた軽い爆発音と白い煙が舞う。
それを感じたと同時、俺はまたもや背後のブラックに抱えられて体を浮かせた。
斜めに落ちるような感覚にゾクッとして、今まで抱えていたクラウディアちゃんを下に落とさないように強く抱きしめる。
小さな手が俺にしがみつくのを感じていると、体がふかふかの毛並みに落ちた。
同時――――何かが、俺達の真横をごりごりと嫌な音を立てながら通過する。
クロウが咆哮で空気を振動させ白い煙を散らすと――そこには、寸でのところで人の姿に戻り回避したアンノーネさんと、苛立ちを隠しもせず片足の爪で地面をガリガリと引っ掻いている白熊のルードルドーナが見えてくる。
双方とも、まったくダメージを受けていない。
ルードルドーナは、絶対に次も岩を放ってくるだろう。
「な、何が何だかわからないけど、止めさせないと……でも、どうしてルードルドーナが土の曜術を……?」
答えを求めてクロウを見やると、何故かクロウは少し目を伏せた。
「……アレは、曜術ではない。ルードルドーナの【特殊技能】だ。任意で無数の尖岩を地面に這わせることが出来る【土蛇】という名前の……」
「…………クロウ……?」
なんで、それを説明してそんな落ち込むような雰囲気を漂わせるのだろう。
……クロウは隠しているつもりなのかもしれないが、ずっと一緒に居たからなのか、俺には何となく分かってしまう。でも、理由が判然としなかった。
聞きたい気もするけど、でも今は悠長にしていられない。
俺は再びルードルドーナの方を見ると、どうすべきかと眉間に皺を寄せた。
「どうしよう……あの岩の下に兵士達がいるなら、どうにかしてアイツを避けるか止めて、向こう側に行かないと……」
「いや、ツカサ君待ってよ。それは僕らの仕事じゃないでしょ? 僕達は、その子を黒犬に会わせるのが第一目標だったはずだ。……なら、この場からすぐに離れるのが先決だよ。……もしかしたら、アッチを放っておく方が、より酷い状況を招くことになるかも知れないし……ね」
「…………」
確かに、そうだ。
あの岩の下……砂煙で覆われて見えない場所で、たくさんの人達が苦しんでいるか……もしくは……殺されている可能性があるかもしれない。
でも、それを救うのは俺達の“やるべきこと”ではないのだ。
俺達がすべきことは、この戦の要だろう【礪國】の黒い犬……いや、アクティーを、何とかして止めて、ゴーレムや他の術を無効化すること。
それは、俺達にしかできない事だ。
クラウディアちゃんを連れてきた俺が、やらなければならないことなのだ。
…………でも、見殺しにしていいんだろうか。
本当に、ここでさっさと踵を返したほうが良いんだろうか?
そもそも俺達は、アンノーネさんから“聞かせる”と言われた話を聞いてもいない。
そんな状態で、時間を浪費するからって逃げるべきなのか?
迷っていると、俺の心を読んだかのように、ルードルドーナと睨み合っている人の姿をしたアンノーネさんが呼びかけてきた。
「この場には、いずれ五候の方々が到着します! ですから貴方がたは、早く“骨食みの谷”に向かってください! 我々の多くが、そちらへ向かっていく夕陽色の強い光を視ました……きっとアレは、貴方がたの言う【礪國】です!!」
「ッ――――!!」
なら、やっぱり……アクティーはあの場で土に還ったんじゃないのか……!
瞠目する俺に、アンノーネさんはちらりと視線を向けて薄ら笑う。
「文官であれ、私は誇り高き獣人です。……ぐずるお坊ちゃまを短時間いなすくらい、ワケもありません。……さあ、お早く……!」
「……行くよ、ツカサ君」
背後から、肩を叩かれる。
俺は、その大きな手の感触に息をゆっくりと飲み込んで……頷いた。
「お願い、します……アンノーネさん……!」
絞り出すような声に、相手は「任せなさい」と言わんばかりに大きな象の耳をぱたりと動かす。感情的になるのを防ぐためにつけられた、鈴付きのイヤーカフが揺れたが、その音色は不快なものではなかった。
「……少し離れる。そこから飛べるか、ロクショウ」
クロウが後ずさり、俺の懐にしがみついていたロクに問う。
少し緊張に強張った声だったが、ロクはそんなクロウの声に力強く返した。
「キュウッ」
「……よし、オレ達は早急にここを離脱する……!」
――――クロウだって、きっと弟をどうにかして止めたかったんだろう。
でも、俺達がすべきことは別のことだ。
この戦を強制的に終わらせられるかも知れない、唯一の手段。それを任されたからこそ、俺達は今ここに居る。
カウルノスが緑狼を引き受けて送り出してくれた意味や、アンノーネさんが必死になって足止めしようとしてくれている行為を、無にするわけにはいかない。
それはきっと……クロウが一番分かっていて悔しい事だろう。
だが、弟を止めたいという衝動を、必死に抑え込んでいる。
抑え込んで、そうして一旦別方向に走り出したクロウの気持ちを思うと、俺は反射的に兵士を助けたいと考えてしまった自分が恥ずかしくなった。
……人を思う気持ちも、考えなしに出せば迷惑になることがある。
クロウは誰よりも優しいから、きっと色んな人の気持ちを思って、自分を必死に抑え込んだんだ。……みんなが自分を認めてくれたからこそ、なおさら。
「……クロウ、絶対……絶対に、アクティーを速攻で見つけ出そう……!」
気の利いた言葉が言えなくて、走り続けるクロウにそう伝える。
「ウム。あと少し……あと少し離れたら、早く谷へ向かおう」
努めて冷静な声に少し切なさを感じながら、俺は自分のその独りよがりな悲しさに溺れないように、息を吸って平常心を心がけた。
まだ、何も始まっちゃいないんだ。
アクティーにもう一度会って、なんとかしてクラウディアちゃんと話をさせる。
彼女と会話をするには、まずそうするしかない。
そのためにも、光を追いかけないと。
「おい熊公、ロクショウ君に乗る前に服を着ろよ。汚いモンをひっつけたら承知しないからな」
「グ……わ、わかっている……」
ブラックの注意は、軽口か本気かいつも分からないな。
でも、ちょっと気が抜けたみたいで俺は息を吐いた。
あと少ししたら、またロクに飛んでもらわないとな。
本当、いつになく重労働をさせて申し訳ないんだけど……。
そんな申し訳なさで、ついロクの頭を撫でて、俺はふとクロウの頭をみやった。
……そういえば……どうして、熊の姿のクロウにはツノがないんだろう。
たしか前は、角が生えてたよな。
それに、俺はクロウが人の姿のまま二つの角を生やしている姿を見た。
でもそれも数えるほどで……考えてみれば、クロウは今も普通の熊のままだ。
――――今まで、いろんな“二角神熊族”を見て来たけど……ツノを隠しているのは、クロウだけだった気がする。
クロウはツノを隠すことが出来たし、最近はずっと出してなかったから、てっきり俺は“いつもはツノを隠すのが普通”だと思ってたけど……そうではないらしい。
熊達を見る限りでは、ツノを生やした姿が本来の力を発揮できる姿のようだ。
なのに、クロウはずっと……あの魔王のような姿ですら、頑なに隠している。
あれがきっと、クロウの本来の姿で本来の力に違いない。
なのにどうして……こんな時になっても、クロウはあの力を発揮しようとしないのだろうか。……俺の体を傷つけなかったことを考えても、きっと制御できない力ってワケじゃないだろうに……なのに、どうして。
…………なにか、理由があるのかな……。
だとすると、それはどういう理由なのか。
それが解決すれば、あの圧倒的な力を持つ姿を見せてくれるのだろうか。
でも、今は聞けない。
無理矢理に過去を問う事は、ブラックだけじゃなくクロウにとっても非情に辛い事のはずだ。ブラックが一生懸命切り出そうとしてもできなかったように、きっとクロウの中にも消えない深い傷があるに違いない。
その傷を抉り出してまで人を救えだなんて、俺には言えそうになかった。
問えば、奮い立つか崩れるか。
きっとその二択になるだろうと強く感じていたから。
「――――よし、もうこのくらい離れればいいだろう。ロクショウ君、頼むよ!」
「キューッ!」
俺の懐から、可愛いロクが飛び立つ。
その光景を四人で一緒に仰ぎ見て、俺は何故か胸が苦しくなった。
→
※ツ……Xで言ってた通り遅くなりました…_| ̄|○モウシワケナイ
単純に疲れて寝落ちです…はやく体質改善したい……
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