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古代要塞アルカドビア、古からの慟哭編
58.次を見据えて
◆
――――結果だけ言うと、ルードルドーナは見事に呪いから解放された。
もちろん、俺の術と血液のおかげだ。
まず【アクア・ドロウ】で“呪い”と言われた何らかの悪いものを取り除き、俺の血液を少し多めにルードルドーナに飲ませた。
何の因果か【黒曜の使者】の血肉は“大地の気”たっぷりで、ヒトが摂取すれば自己治癒能力がとんでもなく向上するし良いこと尽くめらしいが、それが血肉を主食とする獣人には効果覿面らしい。
……普通は、他人の血液を飲むってのは心理的なモノ以外にも色々とよくない事があるし、そもそも飲み過ぎて吐き出してしまう物なのだそうだが……まあ、俺の体は異世界に来る時に色々と弄られたっぽいからなあ……。
閑話休題。
ともかく、俺の血液は万人にヨシってものらしい。
なので、ドービエル爺ちゃん達やブラック達に手伝ってもらい、駄々っ子……というより暴徒と化していたルードルドーナを押さえつけ、術を施し血を飲ませたのだ。
いやあ……本当に大変だったぜ。
なんせ「駄々っ子になった」と聞いていたルードルドーナは、ダダなんてレベルではなく、岩壁の部屋を爪痕だらけにするわ蹴りでへこませてるわ、なんなら天井も床も壁もヒビが入ってるというとんでもない有様だったのだ。
コレを父一人母二人で抑えてたというんだから、ルードルドーナも本来ならちゃんと強かったんだな……。
まあ、暴れてたのは“呪い”のせいだから仕方ないとしても……正気に戻ったルードルドーナの意気消沈ぷりったら、被害を受けた俺ですら見ていられなかった。
呪いをかけられていたとはいえ、自分がしてしまった事は覚えているのか、今までの暴走を思い出して居た堪れないどころの話じゃなかったらしい。
さもありなん。俺だって、自分があんなことをしたらと思うと恐ろしくなるもの。
……だってさ、感情剥き出しにして他人を殺そうとしたり、毛嫌いしている人族まで使ってクロウを殺そうとしたり、仲間だったカウルノスに腹を立てて自らグワッと襲い掛かるなんて、冷静になってみたらかなりヤバい事してるって思うだろ。
ルードルドーナも、まさにそんな状態だったんだろうなあ……。
――ってことは、本来の彼は、やっぱりああまで感情をむき出しにして暴走するような人じゃなかったってコトか。
そのことには少しホッとしたけど、それでも罪を犯したことは確かだ。
正気に戻り、三人の親に抱きしめられたルードルドーナは、戸惑ってはいたものの涙をポロポロと流しながらドービエル爺ちゃん達に長い間抱き着いていた。
きっと、今までそんなことをした事が無かったんだろう。
そう思えてしまうくらい、長い長い抱擁だった。
――――そんな姿を俺達が黙って見ていると、ようやく落ち着いたのかルードルドーナは俺達の方を見やる。
まずは深く謝罪してから、俺に礼を言ってきた。
ルードルドーナ曰く、今までの行動は確かに自分の意志ではあるが、何故か感情を上手くコントロールが出来ず、抑えたいと思っても自分の意志で行動を決定するより先にどうしても体が動いてしまい、自分が怒っているにも関わらず“その怒りは自分のものではない”とも思えていたそうだ。
だから、自分が犯した罪は否定できない、と潔く彼は語った。
……それが本当なら、やっぱりルードルドーナは操られていたんだと思う。
俺達は以前から、そんな状態になった人達を見てきた。
【菫望】に感情を操られて姉を殺してしまった人や、感情の制御が効かず巨人の姿に変わってしまった人……そして、強制的に蘇らされたうえに、不要な憎しみを植え付けられた……元は善良な領主だった【皓珠】のアルスノートリア。
彼らは全員、感情の制御が出来ない状態だった。
自分でも抑えようとしても、彼らは操られていて出来なかったんだよ。
だから……そんな人達を見ていたせいか、俺はあまり怒る気になれなかった。
そりゃ、酷い事はされたけどさ。
でも俺は実質無事だし、そもそもチートを貰ってるんだから、痛かったけど過ぎたら「それくらいの肩代わりは必要だろ」って思えて、恨む気にもならないし。
もちろん、その他の事は許せないけどさ、でもそれは俺が怒る事じゃないもの。
獣人の国に働いた罪は、獣人の国の人達が裁くべきだ。
だから、俺への謝罪は素直に受け入れた。
ルードルドーナのソレが【菫望】の術と同じなのかは分からないけど、それでも俺が【アクア・ドロウ】を発動した時に浄化されたモノは、確かに悪いモノだったはずだ。
手ごたえもあったので、それは間違いない。
となると、ルードルドーナの体の中には、本当に“呪い”が潜んでいたのだろう。
……こう言っちゃなんだけど、これでヨグトさんやジャルバさんが言っていた事は、あらかた真実であると証明されたワケだな。
まあともかく、これで【武神獣王国・アルクーダ】に立ち込めていた暗雲は祓われたというワケだ。俺達がやるべき事は、本当に終わった……――――
「っていや終わって無いじゃん!! 【銹地の書】を貰ってくるハズだったのにクロウの中に吸収されちゃってどーすんのよ!?」
所変わって、ここはいつもの俺達の客間。
そこに戻るなり、俺はつい叫んでしまったが……でも仕方ないよな、これは?
「な、なにツカサ君。どしたの急に……ハッ、もしや欲求不満……?!」
「部屋に戻るまでその叫びを保留してたのか。奥ゆかしいなツカサは」
ええいだまらっしゃい。
ルードルドーナとの話も終わって戻ってきた途端、この重要な事実に気が付き思わず虚空にツッコミを入れてしまったが、しかしこれは由々しき事態だろう。
そもそも俺達はシアンさんに頼まれて、この獣人大陸ベーマスにやって来たんだ。それを任務失敗で帰るなんて、どのツラさげて報告すればいいんだろう。
いやでも、あの時はクロウに【銹地の書】を受け取って貰わなきゃ【礪國】の残した術に耐えられなかっただろうし、それを考えると難しい。
……というか、そもそもクロウは本当に【銹地の書】を受け継いだんだろうか。
俺はクロウに「貰った」という話しか聞いてないし、ブラックもそれに大した「確かな事だろう」と言ってたし、なによりあの時発動した術はブラックが【紫月の書】の力で術を発動した時と同じ雰囲気だったから、間違いないことだとは思うんだけど……。
でも、俺達は未だに玉座の下の【銹地の書】を確かめてないよな。
ホントにアレは【グリモア】の力だったんだろうか?
つーか本物だったとしたら、やっぱりヤバいんじゃないのか。
クロウはピンピンしてるけど、【グリモア】の魔導書って世界の頂点に並び立つ力を手に入れることが出来るチートアイテムだろ。
そんなものを、元々管理してた【世界協定】に黙って渡してよかったのか……。
――というような懸念が一気に襲ってきて、思わず頭を抱えてしまったが、オッサンどもは何を考えているのか、まったく動じずにクッションの山ゾーンに腰をおろし、何気なくまた酒を煽り始める。
お前ら数時間前まで宴の席にいたのにまだ飲むのかよ!
酒豪どころかザルじゃんかザル!!
ちゃんと俺の真面目な話を聞けと肩をポコポコ叩くと、ブラックは片眉を上げて面倒臭そうに口を曲げる。
「ツカサ君それ今更? 簡単に話したじゃない。元々の【七つのグリモア】は【黒曜の使者】が創ったものだから、適合者が現れれば使者を通してソイツの前に現れるんじゃないかって。だったら、玉座の下から消えてても不思議はないでしょ? それに、コイツの気配は【グリモア】そのものだよ。シアン達と一緒だ。……僕が言うんだから間違いのはずないじゃないか」
まあ、そりゃ、グリモア仲間のブラックが言うならそうなんだけどさ。
でも俺は実物を見てないワケですし……。
「ウム。ツカサがそうやって心配すると思ったから、宴の前に父上に話して玉座の下を確かめさせてもらったぞ。だがそこに既に本は無かった。他者が知るはずもない物だから、盗られたとは思えないし第一盗めないように特殊な構造になっている。……それに、【銹地】はオレに名を名乗り語りかけてきた。間違いはないはずだ」
「クロウいつの間にそんな有能な……。でも本人がそう言うなら間違いないか……」
俺が疑問に思う事を先回りしてしまうのが、この有能なオッサン二人なのだ。
たまにイラッとくるけど、今回はグウの音も出ないので仕方がない。
コレに関しては、もう俺に判断できることではないのだ。
ブラックは【グリモア】だから、相手が同じ存在だと理解できる。それを俺が理解する事は不可能だ。でも、ブラックは長い間【紫月】の使役者として働いてきたワケだし、他の仲間と接触して「この気配は同じ仲間だ」という感覚を知っているのだろう。
だから、断定できる。
「感覚があるから」っていう理由は、普通だと相手にされない場合が多いけど、熟練の人が感じるモノは馬鹿に出来ないからな。
なにより、こういうことでブラックが曖昧な判断をするわけがない。
だから……俺は、信じるしかないのだ。
「とはいえ……シアンさんにどう報告しよう……」
そもそも【銹地の書】を取りに行くのは【アルスノートリア】に悪さをされないためで、使役者を選ぶだのなんだのという話では無かった。
なのに、こんな過ぎたことをしたら新たな問題になるのではないか。
何よりシアンさんの立場を危うくしたらどうしよう。
あの時はこうするしかなかったんだけど、今更ながらに胃が痛くなってきた。
こ、こうなったら、選ばせた俺がすべて責任を取るしかないのでは。
クロウは悪くないし、シアンさんにも非は無いはずだし、誰かに責められるのなら俺が罪を被るしか……っ。
「もー、ツカサ君たらまた一人で明後日の方向に妄想走らせるんだから。【銹地の書】の事なら大丈夫だよ。……グリモアってのはね、今は厳重に保管されているけど……己を使うに値する適合者が現れたら、自然とソイツの所に現れるものなんだ」
「え……こ、今回みたいに……?」
酒が甘いと文句を言いながらもガバガバ飲むブラックに向き直ると、相手は少し顔を赤くしながらニヤリと笑った。
「そう。……別にそんな力を求めてなくても、向こうからやってくるのさ。でも、そんな曜術師は滅多に生まれてこないから、この世界でソレを知っている奴は少ない。それだけ、適合者ってのは珍しいんだ。……本来はっ、ツカサ君のっ、こんな近くにいるっはずは無いくらいになっ!!」
「うぐうぐぅ」
「こらブラック! 足でクロウを蹴るなっ!」
ブラックがお行儀悪く足でクロウの脇腹をゲシゲシするたびに、クロウがうぐうぐ言うじゃないの。ちょっと可愛く見えなくもないが、それは熊耳が齎す幻影だ。
俺はケモミミに惑わされないよう頭を振ると、ブラックとクロウの間に割り込み何とかブラックを抑え込んだ。
ったくもう、このオッサンは常にクロウに対して攻撃的なんだから。
……でも、なんか……今のはちょっと、誤魔化してるようにも見えたんだよな。
なんていうか、今説明したことを、俺に深く考えさせたくなかったみたいな。
でも何を誤魔化したかったんだろうか。横顔を覗いてみるけど、相変わらず不満げに口を尖らせて酒を啜る表情しか見えない。
その不満な顔は、クロウの対して浮かべているように見えるけど、実際はそうじゃ無いような気もした。……だって、どこか寂しそうな感じがしたから。
多分、グリモアに関して思う所があるんだろう。
でもそれを今聞くのは、ブラックにとってはつらい事かも知れないよな。
だから俺は……まあ、その……ちょっとくらい、気がまぎれないかなって思って、目の前に置かれている酒瓶を持つと、ブラックの空になった酒杯の前に突き出した。
案の定相手は少しビックリしていたが、俺の意図を軽く察してしまったのか、露骨に嬉しそうな顔をして酒をせがむように酒杯を揺らす。
ぐ……気を利かせたつもりだったのに、悟られるのってなんか恥ずかしいんだが。
でも今更下げるのも格好悪かったので、俺は渋々酒を注いだ。
まあブラックが喜んでくれたら、それでいいんだけど……。
「ふへへ……ツカサ君優しい~」
「うわこらっ酒飲みながら寄りかかってくんな!」
「ム……ずるいぞブラックばっかり」
「うるせー新参横恋慕熊!! テメェは一人さびしく酒飲んでろ! ツカサくぅ~んっ、もっともっとお酌して~」
だーもーまた調子に乗る。
でも、機嫌がよくなってさっきの暗さは薄れたみたいだ。
これなら話を続けても問題ないかな?
……なんせ、まだまだ問題は山積みだ。
【銹地の書】の事だけじゃなく、大陸に戻ったという“仮面の男達”の行方も気になるし、それにヨグトさんの話も改めて話し合っておきたい。
だって、それだけヨグトさんの話や行動は心に重いものだったから。
――――あの夜、ヨグトさんは俺に「ジャルバさんが裏帳簿を隠している場所」と、男達が生きていることを教えてくれた。そして……――
『せめてもの罪滅ぼしに、私は彼らの後を追います。分かりましたら、必ずなんらかの手段を使ってツカサさんにお伝えしましょう』
……そう俺に宣言してきた。
俺がヨグトさんの謝罪を受け入れ、気にしていない事を告げたら、相手は申し訳がないというような顔をして、深刻そうな顔で言ってきたんだよな。
そうして頭を下げると、またすぐに部屋からいなくなってしまったんだ。
きっと、自分の罪を恥じていたんだろう。
でも正直、ヨグトさんがやったことは少ない。
話を詳しく聞いてみると、彼がやっていたのはジャルバさんと男達を繋ぐ連絡係と、積み荷の運搬における警護くらいなものだった。後は、かつて自分達の種族を救い出そうとしてくれたアクティーに対して恩義を感じ、ずっと彼女のそばにいただけ。
あの時、彼女のそばにいなかったのも、自分には何もできない事を悟って仮面の男達にせめて一矢報いたいと思い、戦闘から離脱していたからだ。
だから罰を与えるとしても、ジャルバさんより軽くなっただろう。
それでも彼が【教導】に加担したことは許されないんだけど……俺は、ヨグトさんの贖罪を受け入れたいと思った。
だって、ヨグトさんはヨグトさんなりに、ずっと苦しみ続けてきたから。
そう。反省していないなら別だが、ヨグトさんはずっと罪悪感に苛まれている。
俺と話しているときでさえ少しやつれた顔をしていて、思わず麦茶や残ったお菓子なんかを勧めるくらい、憔悴していたんだ。
心の底から自分の罪を恥じて、どうにか償おうとしている。
それくらい、ヨグトさんは自分の行動を深刻に見ていた。
――――そんな人に……俺が、何を言えたというんだろう。
微罪も罪とはいえ、そこまで追い込まれている大人を見て、俺みたいなガキが糾弾するなんて出来ない。というか……したくなかった。
ヨグトさんに最終的な罰を下すのは、アルクーダの人達だ。
だから俺は、何も言わなかった。
そうして、起きた俺の様子を見に来たブラック達にヨグトさんの事を話し、カウルノスを交えて彼が語った事を改めて伝えると、三人とも「そうか」と小さく呟いて、それ以上ヨグトさんに対することは何も言わなかった。
ただ、話し終えて最後にカウルノスはこう言ったんだ。
『……あの男が“根無し草”の頭領である自分を忘れない限り、あの男の罰は永遠に終わらないだろう。義によって悪に回った己の行動も、何もできず仕舞いだった自分も、アイツは永遠に許すことなど出来まい。ならば、それがあの男への罰だ。俺達に下せる刑は無かろう』
…………王様としてその判断をするは、間違っているのかもしれない。
でも、正直な話、なんとなくわかる気がした。
根が善人な人は、いつまでもいつまでも人を傷付けたことを思い出して、自分の事まで傷付けてしまう。そうして、どんどん自己嫌悪の沼に嵌っていくんだ。
それが子供ならまだ救う道もあるのかもしれないけど、大人になってしまったら余計に自分の心を殺して、ずっとずっと相手の事を考えてしまう。
大人だからって自分を抑え込んで、そうして……。
いつか、砕けてしまう事もあるかも知れない。
…………。
ナルラトさんは、そんなヨグトさんのことをずっと心配していた。
だけど、ヨグトさんはきっと永遠に自分を許せないんだろう。あの人はずっと、自分の感情に蓋をして、誰かのために死ぬほどの贖罪をし続けていく。
見ていて、とてもつらい……善人にとっては一番の、罰だった。
……それに、獣人は誇りを大事にする種族だ。
ヨグトさんはこれから、獣人として戦って死んだり家畜のように扱われることもなく、ただ誇りを失って誰に怒りを向けることも出来ずに生きていく事になる。
それは、もしかしたら……
俺達人間が考えるよりも、もっとずっと酷い罰なのかも知れない。
善人として苦しむよりも、ずっと。
「…………ハッピーエンドって、難しいなぁ」
「ん? なにツカサ君。パッピーエンド?」
「何だか頭がおめでたくなりそうな単語だな。ブラックにぴったりだ」
「あ゛? 殺すぞ脳内花畑熊。花全部引きちぎって更地にしてやろうか」
ああもうまた変な言い合いを始めるこのオッサンどもはー。
……でも、今だけは少しありがたい。
おかげで、気持ちを切り替える余裕が出来た。
深呼吸をして……――よし。
ヨグトさんへの気持ちは整理しきれないけど、でも今やるべきことは別の事だ。
彼が“仮面の男達”を追跡してくれると言うのなら、俺達は当初の目的通り【銹地の書】のことをシアンさんに伝えて、それから【アルスノートリア】の事を考えよう。
それに……俺の中に収まった、【礪國】と【皓珠】の書。
何がどうなってるのか分からないことだらけだけど、一つずつ聞いてみよう。
前から神様をやっているキュウマなら、何か知っているかも。【アルスノートリア】の存在自体は知らなくても、似たような話を覚えている可能性もある。
それに、今回の事とサービニア号での事も【世界協定】に報告して……。
…………なんだか、のんびり旅をしているように思えなくなってきたけど。
でも、こうなってしまっては、冒険者をのほほんとやってもいられないだろう。
――――もうそろそろ、覚悟を決めないといけないのかもしれないな。
【アルスノートリア】がこの世界に放たれている限り、こんな悲しい事件がずっと繰り返され続ける。そして、アイツらは俺達を巻き込むためなら、なんだってやるんだ。
そんなことを許していてはいけない。
……戦うための準備するために、やるべきことを見つけないと。
→
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