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麗憶高原イデラゴエリ、賢者が遺すは虚像の糸編
22.隔てられた世界を感じて1*
◆
「そ……それで……こんなところでナニすんだよ……」
ブラックに押し切られた手前、もう逃げ出すことも出来なくてただ立ちすくむ。
お寺っぽい謎の建物の前に立ったものの、何をされるのか分からなくて、俺はただブラックを見返すしかなかった。
しかし、当の本人は食事直後のあのニヤついた感じもすっかり落ち着いて、今は俺と背後の寺っぽい建物を見比べ「フーム」と唸っている。
……えっちな事をする気なんだろうけど、何をしたがってるのかマジでわからん。
ブラックって、こういう時の方が怖いんだよな……。
「これがツカサ君の世界の建物、ねぇ……。そう言えば……制服、だっけ? 初めてコッチに来た時は着てたんだよね」
「え? う、うん……」
「ツカサ君の世界って、もしかしてキッチリした服が多いの? 今着てるシャツとかは普段着にならないのかな」
なんか色々と質問してくるな。
……まあでも、別に普通の事を聞いてるワケだし、そこまで警戒する必要もないのかな? というか、もしかしたら性欲が収まったとか!?
だったら安心だ。質問に答え続けてたらそのうち飽きてくれるよな。
よしよし、だったら異世界のことを教えてやろうじゃないか。
すっかり気分が晴れた俺は、ブラックに説明してやることにした。
「うーん、普段着用のシャツはあっちにもあるけど、こういうのじゃないよ。えっと……Tシャツって言って、襟が無いこういう感じで……」
森から小枝を拾ってきて、寺へ続く石畳の脇の土にシャツの絵を描く。
ブラックはそれにホウホウと頷きながら、俺の体を見て「着たらどんな風なのか」を想像しているようだった。……異世界での俺の適当なファッションを見透かされてるみたいでちょっと恥ずかしいが、まあ、俺は一般的な方だろう。
ともかく、ズボンも似たような感じだがもう少し柔らかい素材で、ブーツとかでなくてカッコいいスニーカーってもんを履くのだと教えてあげたら、ずいぶん軽装なんだねと驚いていた。まあ確かに……冒険者のブラックからしてみればそうか。
でも、大人だったらブラックが宿に泊まった時にたまに着てるワイシャツっぽい服とか、柔らかめのスラックスとかを身に着けてるぞって教えたら、顎に手を添えながら「なるほど」と深く感じ入っていたようだった。
……なんだろう。今日は服装質問デイか?
どうして急にこんなことを聞くのか不思議だったけど、いま目の前には俺の世界にあるお寺っぽい建物があるし……そういえば、今日のご飯は醤油もどきをふんだんに使って作った料理だしで、俺の世界への関心が高まっていたのかも知れない。
ブラックも、やっぱり異世界の情報にワクワクするんだろうか?
俺と一緒で、向こう側の世界を知るのが楽しいって思ってくれてるのかな。
…………そういうとこは……同じだったら、いいな……。
……………………。
い、いや、別にお揃いが嬉しいとかじゃなくて。
ブラックも俺の世界に興味を持ってくれてるのかなぁーって思ったら、何か日本人として嬉しいって言うか、そういうのあるじゃん!?
だからつまり、俺は、ただそういうのが嬉しいっていうか……!
「なるほど……じゃあ、つまりはツカサ君が今着てる服を脱いで、僕が軽装になれば良いってことだね!」
「ん? なんて?」
「よし、じゃあツカサ君、ブーツ……は仕方ないから、とにかくブーツ以外全部脱いじゃおうか!」
「はあ!? な、何言ってんのアンタ!?」
いきなり服を脱げって……意味不明すぎて全然理解できない。
っていうかなんだよ、なんで今のほのぼの話で急にそんな事になるワケ!?
お前の思考回路が久しぶりに理解できないと目を剥くと、ブラックは不思議そうな顔をしながら、テキパキとマントや上着を脱いでいく。
「えっ、だって今からセックスするでしょ? だから、ツカサ君は全部脱いでくれた方が雰囲気出るからいいな~って」
「なんの雰囲気だよ! 変態のにおいしか感じられねえんだけど!?」
しかも俺だけ全裸ブーツって、どう考えても俺が逮捕されるヤツじゃねえか!!
ここは誰もいないけど、お寺の前で全裸ってバチあたるだろうが!
しかもお前だけ普通の服装でってふざけんなよ……ってもうシャツとスラックス姿になってやがるチクショウこのおたんこなす。
どういうことだふざけるなよ。ちゃんと説明しろ。
いや説明しても絶対ロクでもない話だろうけど、とにかく説明!!
「まあそう怒らないで。だって、僕ツカサ君の服もってないんだもん。折角ツカサ君の世界の建物があるんだから、アッチの世界の服があればそれを着て貰って、異世界のデートっぽいことしながらセックスしたいなぁ~って思ったんだけど……でも……服が無いんじゃあ、ねえ?」
仕方ないよね、と、ニッコリ笑顔で言う腐れ外道。
何が仕方ないだこのチクチクヒゲ男め。
例え服があったとしても、絶対にこんなことをするつもりだったに違いない。
前もそうだったけど、ブラックのこんちくしょうは、人がいる場所だって言うのに俺の服をわざわざ脱がして恥ずかしい恰好にさせてズコバコやりやがるんだ。
毎回俺がなんだどうだと言ってくるけど、大抵それはブラックが俺に恥ずかしい思いをさせたいからで、結局のところコイツの数多いシュミの一つでしかない。
つまり、ブラックは俺をいじめたいのだ。……え、えっちなことで……。
だから、コイツは完全に故意で、俺を辱めようとしているんだ。
それを知ってるから、余計に全裸で寺一周なんてやりたくないんだよ!
ブラックは俺が恥ずかしがってグズグズになるのに興奮してんだから!!
これまでも色んなところで何度も何度も……うう……。
……って、良く考えたら色んな所で裸にさせられてるな……。
そう考えたら、誰もいない場所で全裸になるくらいなんだよって気にもなって来るが、しかしここで簡単に頷いたら、ブラックが難癖をつけてくるに決まっている。
ブラックはこういう時、とことんまで俺を虐めようとするんだ。
俺は身をもって体験しているから詳しいんだ。
何とか回避しないと……。
「か……代わりの服、とか……」
「誰もいないんだし、良いんじゃないかな? 僕は生まれたままの姿のツカサ君だけで充分だと思うんだけど」
「お前も全裸になってからその台詞を言え」
「んもー頑ななんだから……。じゃあ、このお寺の周りを一緒に一周したら、僕も全裸になるから……それであとはセックスしよう!」
「根本的な解決になってないしもう手段と目的がごっちゃごちゃ!!」
んで結局するのかよえっち!!
忘れてなかったのかと内心青ざめるが、しかしブラックは譲歩する気など全然ないみたいで、俺に全裸になる事を急かしてくる。
ぐ、ぐぬぬ……確かに人目は無い。可愛いロクもお昼寝させてるから無理に下へと来るようなことはないだろう。人に見られはしない。
けど……正直……俺の世界の建物みたいなのがある所で、裸になるのは……。
「……ツカサ君、可愛い……。アッチの世界のこと、思い出してるんだ?」
「っ、ぁ……!」
背後から、抱きしめられる。
思わずビクリと体を震わせる俺の耳に、ブラックは顔を近づけてきた。
視界の端に、鮮やかにうねった赤い髪が見える。
だけど、それ以上にブラックの熱や吐息を感じてしまって、体が強張る。
イヤとかじゃ絶対ないけど、でも、たぶん、耳んとこにブラックの顔があるって、そう思ったら……また、変に体が熱くなってきて。
「ねえ……ツカサ君の世界では、この場所ってどう使うの? 教会みたいな場所なんだよね……? 常に人が居たりするの?」
腕ごと抱きしめられているせいで、ふりほどけない。
そんな俺の体に腕を巻きつけたまま、ブラックはその手を下に降ろしはじめた。
「ちょっ……!」
「ほらほら、暴れると脱げにくくなっちゃうよ? 大人しくして……っと」
「わぁあっ!!」
何とか阻止しようと腕の中で必死にもがいたのだが、ブラックは片手で難なく俺のズボンの留め具を外すと、そのままストンと下へ降ろしてしまった。
うう……手馴れすぎてて、なんの抵抗も出来ない……!
慌てて戻そうとするが、その前にブラックは俺の下着に強引に手を入れ、そのまま下着もずり下げてしまった。
しかも、俺がもたもたしている間に片足を強引に上げて、俺の足からズボンと下着を抜き取って……それだけでも、恥ずかしいのに……その片足を上げた状態のままで、ブラックは俺の耳に唇をぴたりと押し当ててくる。
「あ~……ツカサ君、下がすっぽんぽんになっちゃったねえ……」
「お前が脱がしたんだろ!?」
「そうだよ? でも、下半身丸出しのまま片足を上げて、大股開きしてるのはツカサ君なんだよな~。……ねえ、今どう思う?」
「っぅ……なに、いって……」
唇が動くのが、笑うような息が、くすぐったい。
無意識に息を呑むと腹が動いて、下半身の感覚が変に強くなった。
……涼しい空気が、熱くなってる内腿や股間に触れてひんやりする。
だけど、それ以上に自分の体がどんなに熱を持っていたかに気付いてしまい、俺は言葉に詰まり黙り込んでしまった。
だ……だって……ブラックに、変なマッサージされてからずっと、下半身が熱っぽくておかしかったんだ。俺が興奮してるせいじゃない。
ブラックのせいで、こんな……。
「足、ビクビクしてるよ? でもこの震え方って、片足で立つのがつらいからじゃないよねぇ……。まるで、恥ずかしい場所を丸出しにされて感じてるみたい」
「っ……!? そ、そんなわけっ……!」
「ない? じゃあこのままの格好でもいいよねえ。だってツカサ君恥ずかしくないんだもんね。ほらほら、もう片方も脱いで」
「やっ、こらっ、やめろばかあ!」
足を急に降ろされて、体勢が崩れる。
その隙にブラックはズボンがわだかまっていたもう片方の俺の足を強引につかんで内側に曲げると、いとも簡単にその足からズボンと下着を取り去ってしまった。
そうして、まとめたソレを器用に寺のお堂へ投げ込んでしまう。
「ああー!! なんてことすんだお前!!」
「恥ずかしくないなら平気平気っ。ツカサ君は、こういうので子供おちんちんをひくひくさせちゃうような変態じゃないんでしょ? だったら……おちんちんを丸出しにしても、平気でいなきゃ。ねっ」
「なに言ってっ……やっ、やだって、やだシャツめくるなっ……っ、あぁ……!」
股間を覆ってくれるほど裾が長いシャツまで、ブラックは奪い去ろうと手を伸ばす。
そんなことされたら、本当にすっぽんぽんになっちまうじゃないか。
それは嫌だと必死に抵抗したのだが……腕ごと抱きしめられている俺には何にもできず、シャツを……へその上までまくり上げられ、ベルトで固定されてしまった。
「あはっ……ツカサ君のぷにぷにのお腹と、ちっちゃくて可愛いつるつる子供おちんちんが丸出しだ! ふっ、ふふふっ……可愛い……ねえねえツカサ君……普段は人がいる場所で、こんなふうにおちんちん丸出しにするの、どんな気持ち……?」
う……うぅ……唇で、耳を食むな。
やだ、耳舐めながら喋るな、体がぞわぞわするんだってば。
それにそんな、恥ずかしい事ばっかり言いやがって。
人に「恥ずかしくないんでしょ?」って煽ったくせに、なんてアンタは毎度毎度そんな言葉責めみたいなエグい言葉をぶつけてくるんだよ。
誰だって、お、おちんちんとか、耳元で言われて、唇や舌でにちゃにちゃ耳んとこを弄り回されたら、恥ずかしくなって当然だろう。
なのになんでこんな……ぅ……ぐ……こんな……わざと、曝された部分を意識してしまうようなことを、言って……。
……ぐううっ、や、やめろ、考えるな俺!
意識するからヘンな感じになるんだ。ブラックのスケベ攻撃に負けてたまるか。
なんとしてでも冷静さを保って、コイツを萎えさせてやるんだから……っ!!
そう決心し、俺は毅然とした態度でブラックに反論することにした。
「いっ……イヤな気持ちに決まってるだろ!?」
そう。俺はイヤがっているんだ。
こんな変態プレイなんて、俺はちっともしたくないんだぞ。
それなのにアンタが強引に事を進めるから、恥ずかしくなってるだけなんだ。
決して俺が興奮してるから熱っぽいわけじゃない。だから、イヤでしかないんだ。
お前もそろそろ俺をイヤがらせる行為をやめたらどうなんだ。
そんな毅然とした態度……をとったつもりで言葉を返すと、ブラックは――――
いきなり、俺の耳の穴に舌を突っ込んできた。
「ひやぁあ!? ひっ、いやっ、耳舐めなっ、で、やっあぁっ、それだめえっ!!」
「なんで? イヤな気持ちって、どういうこと?」
「ぅあぁっ、だっ、だからっ! おっ、おてら、で……こんな、えっちなこと、するの……っ、バチあたりだ、から……っ、ぅ、ひっ、ぃいい……!!」
ねちゃねちゃと、大きな舌がわざとらしい水音を立てて俺の耳の起伏をなぞる。
舌が耳穴を突いてくることだけでもツライのに、ブラックの舌は細かい舌遣いで耳の穴の周りや耳たぶまで食んできて。
「バチあたりかぁ……。でも、それだけじゃないでしょ? ツカサ君、さっきここには人が普段から居るって話してたけど……アッチの世界じゃ観光する人もいるの?」
「そっ……そうだよ! 観光地とかだと……その……っ」
……そうだ……。
観光地のお寺とかだと……人がひっきりなしに来てたんだ。
みんなお寺の周りを回ったり、周囲の山林を散策したりして、静謐な雰囲気ってのを楽しんだりしてて……だ、だから……こんな……。
こんな、風に……えっちな格好して、参道に立つなんて……っ。
「ふふっ……」
「なっ、なに!? なんだよ、何がおかしい!」
急に笑われて、唾液で濡れた耳に熱い吐息が吹きかかる。
その感触にすら耐え切れず、つい足を擦り合わせようとしてしまった俺の耳に……ブラックは、再びぴたりと唇を寄せて……低くい声で、囁いた。
「ツカサ君、こんなに耳を熱くしちゃうってことは……このオテラっていう場所は、ホントに普段から人がいっぱい居る所なんだねぇ」
「……っ!」
「そっかぁ……観光地なら、人が普段からい~っぱい居るよねえ。ツカサ君は、その光景を考えながら恥ずかしがってたんだ? その人達に、子供おちんちんを丸出しにした自分を見られてるような感じがして……」
「~~~~~っ……!」
声が、出ない。
そんな想像はしていないと言いたいのに、ねっとりした声のせいでそういう場面を想像してしまい、言おうとした台詞が吹っ飛んでしまう。
なまじ、本当のお寺の姿を知ってしまっているせいで、その記憶が今の状況と重なってしまい、無人の寺……もどきのはずなのに、何だか人の気配を感じるみたいで、勝手に体が恥ずかしさに熱くなってしまって……。
「あはっ……ツカサ君、どんどんいやらしい体になっていくね……。見られてるように思って、感じてるの? ほら……ツカサ君の可愛いおちんちんがヒクヒクしてるよ? ふっ、ふははっ、ツカサ君たら、ホントに恥ずかしいの大好きだよねぇ!」
「違うっ、そういうんじゃないってば……!」
だから、ビクビクしてるのはアンタが耳元で喋るからなんだってば。
それがくすぐったくて、体がまた恥ずかしさやくすぐったさを間違った解釈で快楽だと思って、体が勝手に動いてるんだ。
想像して興奮したからじゃない。恥ずかしいのが気持ちいいからじゃない!
これは……これは、ただの、アンタが近いせいで起こる反射行動で……!
「違くないでしょ。違ってたら……こんな場所で恥ずかしい場所を丸出しにしたまま、耳を舐められて……おちんちんを扱かれても、平気なはずだよね?」
「ひっ!? っあっ、や、っ、だめっ触るなばかっ、いやっぁっ動かさない、ぇっ、ひぁっあっあぁあ!」
「ほら、もう喘ぎ声が出ちゃった。足も震えてるよ……?」
だからそれはアンタが触るから……!
ああ、もう、声が上手く出てこない。ブラックにやめろと言いたいのに、二本の指で作られた輪が根元から先端へ動くと、腰が勝手に動いてしまう。
我慢しようと腰を引いても、逃げ場がないんだ。逃れようとする俺の急所をブラックの指は決して離さず、腰を左右に動かしても執拗に扱いてきて逃げられない。
「ふふっ、腰が揺れてる……ツカサ君たら、ここに人がいっぱいいる妄想をしてたのに、おちんちんもっと扱いてほしくて腰を動かしちゃうんだ?」
「違うっ、ちがっぁ、あぁあ! ひがっ、ぅ、ぃ……もっ、ぃい、いいから゛っぁ、お、おちん、ちっ……い、いじるのぉ……も……やめてぇ……っ!」
泣きそうな自分の声が情けなくて、そのせいで余計に涙が出そうになる。
これじゃまるで俺がブラックの言う事を肯定しているみたいじゃないか。
絶対にそんな事はないのに、それなのにブラックは解ってくれない。
「イヤ? どうして?」
本気か冗談かもわからない笑いを含んだ声を、また耳に吹きかけてくる。
もう、それだけでもお腹の奥がきゅうっとなってしまう。
そうなっちゃいけないのに、そんな事になったら、また反応して扱かれるのが気持ち良く思えるようになってしまうのに……耐える術もない。
「ねえ……ツカサ君、何がイヤなの……? 答えてくれたら、ツカサ君のおちんちん虐めるの、やめてあげてもいいよ?」
ぅ……本当、だろうか。
けれど……もう、これ以上どうしようもないし……。
…………でも、は、恥ずかしいからイヤなんて、言えない。
自分の世界のお寺と重ね合わせて、神聖な場所だからヤりたくないとか、普段は観光地だからとか言っても、きっと納得して貰えないだろう。
だってコイツ、神聖な場所の教会でも俺を襲ったんだぞ。
神聖な場だからやめる……なんて事には絶対ならないだろう。
しかし今はブラックの言葉に縋るしかないのだ。
だから俺は……熱で浮かされ始めた頭を必死に捻って、こう答えることにした。
「だって、ここ……だ、誰かが大事に建てた、建物かもしれない……し……」
教会だから……という理由とあまり変わらない気もするけど、しかしこれ以上の答えを探せる気がしない。
人が居る場所を思い出してしまうから、なんて言えば、ブラックに白旗を上げたようなものだし、単に「野外で露出するのが恥ずかしい」じゃ、もう今まで何度もムリヤリに脱がされてきたせいで言い訳として通用しない。
だから、この短い時間で何とか答えを絞り出したつもり……だったんだけど。
「ふふっ……大事な建物……?」
「…………」
ブラックが、笑う。
……どう考えても、納得したような声音じゃない。
思わず顔から血の気が引いたが、そんな俺を間近で見つめているブラックは……俺が視線を寄越すと同時に、悪魔のような笑みで微笑んだ。
「それを言うなら……ツカサ君が今まで僕にペニスを入れられて絶頂してきた場所、み~んな誰かが丹精込めて造った建物だよ……?」
「ひっ、ぅ……!」
ま、またっ、指が動いて……っ!
しかも今度は先端のくびれのとこで浅く、こ……小刻みに動かしてる。
それやだ、なんかヘンになる、そんな触り方しないで……!
「僕らが転々とした宿もそうだし、ああ、街の中でも倉庫の隅でも馬小屋でもセックスしたよね。ふふっ……ツカサ君も、僕の極太ペニスをメス穴で美味しそうに銜え込んで、いっぱい恥ずかしい喘ぎ声だしてたじゃない」
「っや……ぁ゛っ、あ、ぅっ、あ、あ゛ぁあ……!!」
「ツカサ君はぁ、人様の建物の中でいっぱいセックスして、このおちんちんから何度も精液まき散らして喜んでたんだよ? ほらっ、こんな風にさぁ!」
~~~~~~ッ!!
いっ、いやっ、先端ぐりぐりしながら動かすのやだああ!!
イ゛けないっ、お、おかしくなるっ、根元からくびれんとこまでいっぱい擦られてるのに、先端グリグリされるとお腹の中の熱が逃げてくれない。
イけなくて、つらくて、イきたくてパンパンなのに出せなくて痛くなる。
こんなのやだ、気持ちいいばっかりでおかしくなる……!
「あ゛っあぅう゛やぁぁっ、ひぐっ、ぃ、いやっ、いまそれぇっ、いやっ、やだぁ!」
「それ、じゃないでしょ。おちんちん扱きでしょ? ほら、イヤなら『子供おちんちんをちゅこちゅこするのやめてください』ってちゃんと言わないと」
「ぃ、いやぁあ゛っ、やぁああ……!」
そんな恥ずかしいこと言えるわけがないじゃないか。
必死に首を振るけど、ブラックは許してくれない。
それどころか……――――
「ふーん。でも、これぐらい……“コウミョウシンゴン”っていう呪文と比べたら簡単なのになぁ……。ツカサ君が、教師ナシでちゃんと覚えていられるくらいのさ」
「なっ……な、に……なん、ぇっ、そんっ、ぁ、あぁあ゛っ!」
何故そんな話を今持ち出すんだ。
訳が分からなくて思わずブラックを見ると、水で滲んだ視界の中、ブラックはどこか危うげな真顔で俺の事を凝視していた。
…………何故か、鳥肌が立つ。
嫌な予感がするのに、逃げられない。
抱きしめられたまま腕も動かせず、ただ急所への刺激に悶えるしかないのだ。
でも、このまま話を進めて行ったら絶対にヤバい気がする。
どうにかして話をそらさなきゃ。
無意識にそう思って焦るけど、でも、お、おちんちん、を、弄り回されてて、頭の中が頻繁にスパークする。喋りたいのに、ちゃんと喋れない。
ブラックの指が強く先端をぐりぐりすると、もう、考えが飛んでしまう。
違う。ちがうのに。
逃げなきゃいけないのに。でも、何を。
なに、なんだっけ。なにから……ブラックの、ブラックの指から?
気持ちいいのから逃げないと……?
「ずぅ~っと気になってたんだけどさぁ……。あの呪文、どう考えてもツカサ君が一人で覚えられるようなモノじゃないと思うんだよねえ。……だってツカサ君はさ、興味のある物以外は全然覚えられないじゃない。……ねえ?」
「ひっ、ぐっ…っあ゛っ、あぁああ……っ!」
青ざめたいのに、ブラックの指がそうさせてくれない。
視線を逃そうとしても、今の俺には首を動かす事しかできないのだ。
それをいいことに、俺を尋問する言葉は、凄みを増して。
「…………あの呪文、誰かに教わったんでしょ? 誰かなぁ。知りたいなぁ僕」
優しげな声なのに、鬼がすぐそばにいるような気がする。
体には耐え切れないほどの熱がこもっているのに、何故か寒気が止まらなかった。
→
※前戯どころかじゃれあいが長くなってしもた…
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