魔法使い、双子の悪魔を飼う

よんど

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第二部 魔法使い、双子の悪魔との日々

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(びっ.....くりした)

悪魔族とはいえ相手の見た目は子供なのに、子供相手にドキドキしてしまうなんて。二人は百年以上生きた僕からするとまだまだ子供だ。僕も若いエルフだけれど.....。ただ単に、僕が誰かと一緒にいる事に慣れていないからだろうか。彼等の距離感──特にセルを変に意識している自覚がある。

(可愛い子供なのに、たまに変に大人びているからなぁ。肉体の成長が早い分、これからの先が思いやられる.....あ)

先──といっても、その頃にはこの二人はいないのだった。

チラリとローブ越しに振り返ると、軽く言い合いをしているセルとヨルがいる。僕の休暇は三年.....三年が経つと、僕は強制的にあの王宮に帰らなければいけなくなる。二人が話していた通り結界の向こうに行くのなら、僕は特に気にする事なく休暇を終えられるのだが──。

(もし、二人がこのままずっと此処に居るのだとしたら.....)

.....いや、そんなあり得ない事を考えるのはやめておこう。力が戻ったら此処に用なんて無くなる。彼等は僕の善意に頼ってくれている、それだけなんだから。

「──よし。それじゃあ今から街へワープするからしっかり捕まって」

セルとヨルの背中に腕を回し、ギュッとローブで包み込む様にして抱擁する。顔を赤くしてしがみつくセルとそれを困った様に眺めるヨル。二人の手が僕の服をギュッと握り締めたのを合図に、僕は魔法陣を発動した。











キラキラと光る魔法陣がとある店の路地裏に張り巡らせ、僕達は互いを抱く形で現れる。「良かった、ちゃんと発動してくれて」と辺りを見渡すと、見慣れた商店街の近くに自分達はワープしていた。

「移動魔法は結構魔力使うからたまに変な所に飛ばされたりするんだよね。二人とも、目眩や吐き気はない?」
「あ.....別にない」
「特にない」

僕から名残惜しそうに離れて告げるセルとすぱっと笑顔で言い切るヨルを交互に見て頷く。普通の人間だったら体調が悪くなったりするのだろうけど流石悪魔族だ。

「行こう」

二人の手を無理矢理引き、表へ向かっていく。動揺する二人が何かを言おうとした直後、楽しそうな音楽が流れ出し、沢山の人々が手を叩きながら踊る姿が真っ先に視界に入ってくる。見慣れない光景に思わず口を噤んで僕の背後に隠れるセルとポカンとその光景を眺めるヨルに「たまにこうして踊っているんだよ」と呟く。

僕が以前街へ訪れた時聞いたのだが、この踊りは平和を象徴するものらしい。魔王が勇者によって討ち取られ、平和な世界が訪れつつある今、今だけではなく未来永劫この平和が続きます様にと願う踊りだという。二人にとって魔王の存在がどういうものなのか分からないから、踊りの意味迄は教えられないが.....。
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