魔法使い、双子の悪魔を飼う

よんど

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第三部 魔法使い、双子の悪魔の変化

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『起きて、リュシー。もう朝だよ』

聞き慣れたセルの声が遠くから聞こえてくる。同時に『リュシー、また昨日も夜遅く迄魔導書を読んでいただろ』と呆れた様なヨルの声も聞こえてくる。あぁ、床に散らばった本を片付けるヨルの姿迄想像出来た。分かっている、起きるよ。今起きるから──










「リュシー」
「.....」

目が覚めて、先程の声は全て夢の中のものだったと気付かされる。
僕の顔を覗き込む様にして顔を近付けていたセル。勿論だが僕の部屋は片付いているし、目の前のセルは夢の中の様に幼くない。溜息を一つ吐いた後、ブランケットを剥いで起き上がる。

「セル。入る時はノックだって言ったでしょう。後、顔が近い」
「あぁ、悪かった。何処かの寝坊助さんがノックしても起きる気配が無かったもんだから。というか以前は許してくれていたじゃないか」
「あの時はまだ幼かったから」

「今と何が違うんだ」とケラケラ笑いながら僕から退いたセルは、退けたばかりのブランケットを綺麗に畳みながら言い返してくる。昔は別に部屋に勝手に入られても気にならなかった。気にならなかったのに.....

「.....セル。また背が伸びたね」

本棚を眺める彼の大きくなった背中にポツリと声を掛ける。振り返ったセルは「あぁ」と大人びた笑顔を浮かべて返す。いつかの時みたいに隣に並んだ僕に、彼はニコニコとご満悦そうに手を掲げる。

「もうとっくに追い越したよ」
「.....僕はいいんだよ、必要ないから」

拗ねたみたいな言い方になってしまいそう返す僕に、セルは嬉しそうに笑った。







出会って二年──二人は立派に成長していた。悪魔族の成長スピードは尋常じゃない程早く、気が付いたら身長はあっという間に抜かれて彼等の体格もがっちりしていた。僕が両腕に抱き抱える程小さかったのに.....幼い姿から知っている僕からすると、どうしても一瞬だけまるで知らない人がいるみたいに錯覚してしまう。

「セル、またお前はリュシーの部屋に勝手に入ったな。やめろと言っているだろう」

一階へ行くと怒った様子で朝食の準備をするヨルがいた。
セルとヨル、双子なのもあって顔は瓜二つなのだが表情や仕草で見分けをつけている。セルは僕にだけは更に笑顔を見せる様になった反面、ヨルにはツンとした態度を取る様になり、ヨルは一見笑顔なのだがより冷たさを感じる様になり本心が見え辛くなった。

「うるさいな。ちゃんとノックはした。リュシーが起きないから直接起こしに行っただけだ」
「だとしても、主が休んでいる時に許可なく入るなんて──」
「ふ、二人とも喧嘩は駄目だよ。ほらっ、ご飯も冷めてしまうし頂こう」

僕の声掛けに二人は争っていた口論をピタッと止めて席に着く。僕が何か言ったら事態は収まるっちゃ収まるのだが.....何だか、以前より二人の事が分からなくなってきている気がする。
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