魔法使い、双子の悪魔を飼う

yondo

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第六部 魔法使い、双子の悪魔との別れ

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「リュシー、朝ご飯だよ」

毎朝、聞き慣れた彼等の声で目を覚ます。
沢山寝て体がぐったりと重い。魔法を使う気力も無く、そのままベッドの上で寝返りを打っているとガチャリと扉が開く。呆れた様に溜息を吐いたヨルがつかつかと僕のベッド迄近付き抱き抱える。

「リュシー、朝ご飯冷めるから運ぶよ」
「んぅ.....」

彼の腕の中で寝ぼけ眼を擦りながら返事をする。階段を降りて視界に飛び込んできたのは、本日の朝食当番のセルの姿だった。出来たばかりのフレンチトーストを並べながら「おはよう、リュシー」と微笑む。

「さぁ。早くいただきますをしよう」
「ん.....する.....」

席に下ろして貰った僕の両サイドに着いた彼等も同じ様に手を合わせる。

「「「いただきます」」」

柔らかい日差しと小鳥の囀りの中、今日も一日が始まろうとしていた。

(穏やかだなぁ)

精霊達が楽しそうに外で踊る様に跳ねている姿をボーッと眺めながらトーストに齧り付く。そういえば.....最近は全然外に出ていなかったな.....前はもっと活発に出ていた気がする。魔法を外で使って実践してみたり街に行ったり.....街.....?

(街なんて行った事が無いのに何で.....)
「リュシー」

セルが僕の名前を呼ぶ。
「ん.....?」とポヤポヤした返事をすると、困った様に笑いながら僕の口元に手を伸ばす。

「ちゃんと手元見て食べないと。口に蜂蜜ソースが付いてる」
「うむっ」

唇をなぞる様に指で左から右へ撫でられる。ぺろっとセルが僕の口に付いていたものを舐める姿を見て無意識に昨夜の事を思い出す。昨日も沢山あの指で色んな事をされたな.....。

「リュシー、顔赤い。熱でもあるのか」
「.....!だ、大丈夫.....ちょっとボーッとしてるだけ」

少しだけ眉を八の字にしてヨルが僕の額に手を当てる。夜以外は基本的に優しいヨル.....あんなに僕の事を抱いていた人物と同一とは思えないくらいに普段とのギャップが凄い。

「もう、髪の毛もボサボサのままで.....俺がといてあげるから」

僕の後ろに立ち、魔法で取り出した櫛を髪に通していく。僕に触れる手は優しくてあったかくて.....髪の毛をといて貰っているだけなのに気持ち良くて、また眠くなってくる。

「今日はやけに眠たそうだな、リュシー」
「お前がリュシーの中に沢山出したからだろ」
「それを言ったら後半はお前の方が.....」

あぁ──眠たいなぁ。
彼等の声が少しずつ遠ざかっていく中、再びうとうとし始める。遠くから小さな影が二つ、此方に向かってくる。僕に手を伸ばして幸せそうに笑っている。顔はハッキリ見えないけれど.....セルとヨルかな。

彼等と出会って、この家で過ごしてもう三年と少しか.....こんな未来が待っていたなんて思ってもみなかったな。

(三年か.....あれ.....?)

何か.....忘れている様な気が.....
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