9 / 111
契約者と巫女と
09.期待に胸躍るのは誰も同じ
しおりを挟む
マリが寝屋で気を失ってから、ハイデルは自身が名乗っていないことに気付き、自嘲気味にふっと笑い、ベッドの淵に軽く腰掛ける。
彼女を本気の責め苦で満たし、ドロドロに溶けるほど淫らに仕上げ、最後に縋ってくるであろう彼女を愛そうーーーそんな思いを抱く自分に、そしてそれに気付いたことに、心底驚いた。
28年生きてきて、ここまで強く、一瞬で気持ちを持っていかれたことなどなかった。もちろん自身の立場が脅かされることを考えて、あえて心を開かなかったこともある。それがどうだ、巫女という存在だからなのか、彼女だからなのか、欲望も感情もそのままに曝け出すことになろうとは…答えは自ずと出てくることだろう。
眠りにつく彼女とは裏腹にハイデルの体は疼き、いまだ熱く、満たされていない。それなのに、心は晴れやかで、明日からの生活がどうなるのか、期待に胸が躍る。
さっと立ち上がると、自分自身の服装を軽く整えて、彼女のまわりを浄化魔法でさっさと清める。
日常生活を楽に送るくらいの魔法なら造作なく使える。だからこそ、治癒はあえてかけないと決めた。
明日の朝、彼女が目覚めた時、じわじわと体に広がる痛みと微かな快感を、そしてその辛さからマリを解放できるのは神殿の守護者だけだと、彼女の脳にしっかりと刻みつけるため。
段々と息遣いがゆっくりになったのを確認したハイデルは、ベッドサイドの水差からグラスに水を注ぎ、口移しでマリに水を与える。
今まで自分に言い寄ってきた商売女たちには、こんなことをしてやろうという気にもならなかったが、いまはまるで雛鳥に餌をやる親鳥のように全く自然に、水を与えてやらねばと思ったのだった。
「んぅ…ん…っむ…」と、何を言っているのかからない声を出しながらも、マリは与えられた水をきちんと口にしていた。というよりも、舌を絡め取られ、半ば強引に水を与えられた。
水がコップの半分ほどになったところで、彼は一気に残りを口に含み、ベッドの周りの天蓋を全て下ろし、ジャケットとマントを腕に抱えて寝屋を後にした。
日付は12月24日、そろそろ日が変わる頃だ。召使いの異動は明日にしよう。
皇帝陛下に今日の話をして、予算を組み直していただく必要があるが、一旦は私の側仕えの1人を送って様子を見るか…。いやそもそも彼女は朝から動けるのだろうか、謁見するともなれば巫女衣装も調達せねば、などと考えながら歩けば、私室がある塔までは一瞬で到着してしまうのだった。
彼女を本気の責め苦で満たし、ドロドロに溶けるほど淫らに仕上げ、最後に縋ってくるであろう彼女を愛そうーーーそんな思いを抱く自分に、そしてそれに気付いたことに、心底驚いた。
28年生きてきて、ここまで強く、一瞬で気持ちを持っていかれたことなどなかった。もちろん自身の立場が脅かされることを考えて、あえて心を開かなかったこともある。それがどうだ、巫女という存在だからなのか、彼女だからなのか、欲望も感情もそのままに曝け出すことになろうとは…答えは自ずと出てくることだろう。
眠りにつく彼女とは裏腹にハイデルの体は疼き、いまだ熱く、満たされていない。それなのに、心は晴れやかで、明日からの生活がどうなるのか、期待に胸が躍る。
さっと立ち上がると、自分自身の服装を軽く整えて、彼女のまわりを浄化魔法でさっさと清める。
日常生活を楽に送るくらいの魔法なら造作なく使える。だからこそ、治癒はあえてかけないと決めた。
明日の朝、彼女が目覚めた時、じわじわと体に広がる痛みと微かな快感を、そしてその辛さからマリを解放できるのは神殿の守護者だけだと、彼女の脳にしっかりと刻みつけるため。
段々と息遣いがゆっくりになったのを確認したハイデルは、ベッドサイドの水差からグラスに水を注ぎ、口移しでマリに水を与える。
今まで自分に言い寄ってきた商売女たちには、こんなことをしてやろうという気にもならなかったが、いまはまるで雛鳥に餌をやる親鳥のように全く自然に、水を与えてやらねばと思ったのだった。
「んぅ…ん…っむ…」と、何を言っているのかからない声を出しながらも、マリは与えられた水をきちんと口にしていた。というよりも、舌を絡め取られ、半ば強引に水を与えられた。
水がコップの半分ほどになったところで、彼は一気に残りを口に含み、ベッドの周りの天蓋を全て下ろし、ジャケットとマントを腕に抱えて寝屋を後にした。
日付は12月24日、そろそろ日が変わる頃だ。召使いの異動は明日にしよう。
皇帝陛下に今日の話をして、予算を組み直していただく必要があるが、一旦は私の側仕えの1人を送って様子を見るか…。いやそもそも彼女は朝から動けるのだろうか、謁見するともなれば巫女衣装も調達せねば、などと考えながら歩けば、私室がある塔までは一瞬で到着してしまうのだった。
10
あなたにおすすめの小説
英雄魔術師様とのシークレットベビーが天才で隠し通すのが大変です
氷雨そら
恋愛
――この魔石の意味がわからないほど子どもじゃない。
英雄魔術師カナンが遠征する直前、フィアーナと交わした一夜で授かった愛娘シェリア。フィアーナは、シェリアがカナンの娘であることを隠し、守るために王都を離れ遠い北の地で魔石を鑑定しながら暮らしていた。けれど、シェリアが三歳を迎えた日、彼女を取り囲む全ての属性の魔石が光る。彼女は父と同じ、全属性の魔力持ちだったのだ。これは、シークレットベビーを育てながら、健気に逞しく生きてきたヒロインが、天才魔術師様と天才愛娘に翻弄されながらも溺愛される幸せいっぱいハートフルストーリー。小説家になろうにも投稿しています。
肩越しの青空
蒲公英
恋愛
「結婚しない? 絶対気が合うし、楽しいと思うよ」つきあってもいない男に、そんなこと言われましても。
身長差38センチ、体重はほぼ倍。食えない熊との攻防戦、あたしの明日はどっちだ。
結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。
しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。
友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。
『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。
取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。
彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。
殿下、今回も遠慮申し上げます
cyaru
恋愛
結婚目前で婚約を解消されてしまった侯爵令嬢ヴィオレッタ。
相手は平民で既に子もいると言われ、その上「側妃となって公務をしてくれ」と微笑まれる。
静かに怒り沈黙をするヴィオレッタ。反対に日を追うごとに窮地に追い込まれる王子レオン。
側近も去り、資金も尽き、事も有ろうか恋人の教育をヴィオレッタに命令をするのだった。
前半は一度目の人生です。
※作品の都合上、うわぁと思うようなシーンがございます。
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
義兄様と庭の秘密
結城鹿島
恋愛
もうすぐ親の決めた相手と結婚しなければならない千代子。けれど、心を占めるのは美しい義理の兄のこと。ある日、「いっそ、どこかへ逃げてしまいたい……」と零した千代子に対し、返ってきた言葉は「……そうしたいなら、そうする?」だった。
思い込みの恋
秋月朔夕
恋愛
サッカー部のエースである葉山くんに告白された。けれどこれは罰ゲームでしょう。だって彼の友達二人が植え込みでコッチをニヤニヤしながら見ているのだから。
ムーンライトノベル にも掲載中。
おかげさまでムーンライトノベル では
2020年3月14日、2020年3月15日、日間ランキング1位。
2020年3月18日、週間ランキング1位。
2020年3月19日、週間ランキング1位。
5分前契約した没落令嬢は、辺境伯の花嫁暮らしを楽しむうちに大国の皇帝の妻になる
西野歌夏
恋愛
ロザーラ・アリーシャ・エヴルーは、美しい顔と妖艶な体を誇る没落令嬢であった。お家の窮状は深刻だ。そこに半年前に陛下から連絡があってー
私の本当の人生は大陸を横断して、辺境の伯爵家に嫁ぐところから始まる。ただ、その前に最初の契約について語らなければならない。没落令嬢のロザーラには、秘密があった。陛下との契約の背景には、秘密の契約が存在した。やがて、ロザーラは花嫁となりながらも、大国ジークベインリードハルトの皇帝選抜に巻き込まれ、陰謀と暗号にまみれた旅路を駆け抜けることになる。
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる