兄妹の話。

少女××

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【承】何があっても兄妹。

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今日も兄が尊い。

間違えた、いや間違いではないのだけど。

突然失礼、私は今パンを作っている。
 
パンが焼き上がるまで暇なので、
尊い兄の話をしよう。

何度もいうが、私の兄は顔がいい。

さらりとした黒髪。
キリッとした瞳はうっすらと赤茶みがかっていて
光の加減でキラキラ輝いて見える。
素敵。
180はある長身は股下で猫を積み上げても
五匹は飼えるほどで、足がめちゃくちゃに長い。

兄と猫、、うん、可愛い。
今度猫カフェ行こうかな。

そんでまた凄いことに兄は県内屈指の進学校に
あっさり入学し、三年間不動の首席を継続中。
私は兄の後を追って入学したけど
すごく頑張って中くらいの成績。
たまに兄に勉強を見てもらうけど
びっくりするくらいわかりやすい。

ちなみに年は二つ離れていて、
兄は高三、私は高一だ。

兄の溺愛は昔からで、
物心ついた時から常に兄が隣にいた。

小、中と兄への仲介や妬み僻みで苦労したけど
私はその程度で兄を嫌悪したことはなかった。
むしろ私に突っかかってきた人は
兄への接触危険リストとしてふるいにかけられたし
単純おバカちゃんでむしろありがたかったくらいだ。

何が言いたいかというと
私は兄を嫌いになったことがない。

兄に恋する女どものいじめだとか、
兄に劣等感を抱く男どもの嫌味だとか、
その全てをこの身に受けても兄を慕う心を
忘れたことはない。

それはきっと
兄が優しくしてくれていたこともあるけれど、
一番の理由は、兄妹だからだと思う。

まぁ出来すぎる兄のお陰で友人が少ないのは
少し悲しいけど、
これは私の努力不足もあるよな、、うん。

お、パンが焼けたようだ。
焼き上がりも文句なし。
上出来じゃないか?

「おはよう俺の可愛い妹。」

いいタイミングで兄が起きてきた。
寝起きの兄、最高だな??
この時間至高過ぎない??

「おはようお兄。
ご飯、何食べる?」

「妹が食べたい。」

ふむ、腕とかでいいかな?
とりあえず切り落としてバターで、、
いやまて、
妹というくらいだから
私とわかる部分じゃないとだよね。
首?首なの??
いいよ?落とす??

ふむ、兄の好きな部位にしよう。

「どこがいい?」

顔でも腕でも足でもいいよ?

「え、、いいの?」

「いいけど。」

「じゃあベッドで、、。」

あぁ、なんだ、寝ぼけてるのか。
可愛い。

「私はベッドじゃないし、
ベッドは食べられないよ。
寝ぼけてるなら顔洗ってきて。」

「ですよねぇ、、。
やっぱり伝わってないかぁ。」

「なに?」

「いや、なんでも。
朝食は妹の作ったものなら
なんでもいいよ。
なんてったって世界一可愛い妹の作る料理が
美味しくなかったことがないからね。」

私の料理を美味しいだって!!
兄が作った方が断然美味しいけど
褒められた!!嬉しい!!

「なんでもいいのね。」

兄に食べて欲しくてパンを焼きました!
レタスとトマトは庭で育てたやつで、
挟んだハムは私が燻製にしたやつです!

世界が作った神々しき天使の如き兄の為に
無添加無農薬を心がけた安心安全の
サンドウィッチ!!
我ながら渾身の出来である。
このサンドウィッチのために朝三時から
パンを作り始めたけど全然苦じゃなかった。

「ん。」

お皿に乗せて出したけど兄を前にしたら
サンドウィッチが霞むなぁ。

どうでもいい補足だけど兄は結構良く食べる。
自家製食パン二枚で作ったサンドウィッチを半分にしたやつが計六個。
八枚切りのパンを六枚ペロリと食べてしまう。
そんな男らしい一面もかっこよくて好き。

「ありがとう、美味しそうだ。」

「パンに具材を挟んだだけだよ。」

兄を前にすれば具を挟んだだけのパンとか
お粗末だな、、。

やっぱりエッグベネディクトだとか
フレンチトーストだとかにすればよかったな。

次はもう少し早く起きて
兄に見合うオシャンな朝食を作ろう。

「いただきます。」

いただきますができるの偉いぃ、、、。

はぁ、おはようとかありがとうとか
いただきますとかご馳走様が言える兄が
最高に尊い。

挨拶忘れないの素敵過ぎてつらい。

「うん、やっぱり美味しい。
今日のはまた一段と美味しいな。
いつもありがとう、俺の妹は最高だ。
大好きだよ、また作って欲しいな?」

「は?」

は? はぁーー?はぁっーー??
はうーーーあーーだぁわわ、、、。

あにうえをかきくけそたしすせそたちくてと、、、。

2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、、、。

やばい落ち着け私。
五十音間違えてるし素数とか数えてる場合じゃない。

やばいやばいまじで落ち着け。

もはや顔面凶器と言って差し支えない
バチくそイケメ可愛い兄が言う大好きの
破壊力ぱねぇ。

あー、兄がかっこかわい素敵イケメンですきぃ。

ご飯の感想くれるのも優しいし
いつもより少し手間かかってるのも気づいてくれるし
ちょっとしたことにありがとう言えるの可愛いし
大好きって、、大好きって、、、。

そんなにサンドウィッチ好きなら
またいつでも作るよぉ、、、、。

「ふぅん、
そんなにサンドウィッチ好きなの知らなかった。
まぁ気が向いたらまた作るよ。」

兄の気が向いたらいつでも言ってね!
今度は小麦粉から作るから!!
今から小麦の育て方調べておこう!!

「ん、俺が大好きなのは
妹の方なんだけど、、。」

え、なんて?ごめん。
小麦粉の作り方調べてた。
兄の言葉を聞き逃すなんて神からの言伝を
不意にするようなものだな。
切腹しよう。

「ご馳走様でした。
妹の作るご飯が世界で一番美味しいよ。
妹のいない世界とか考えられないなぁ。」

切腹中止ーーー!!!

兄の為なら食事係りでも靴磨きでも
なんなら椅子にだってなってみせます!

私も兄のいない世界とか考えられないっ!

兄を失うとか世界の損失だし絶対無理。
兄がいない世界とか私が滅ぼす。
そして私も死ぬ。

、、、兄妹でこれは重いよなって
自分でも自覚はある。

けど、そのくらい兄のこと愛してるのは事実なので。

他の人がどう思うとか興味はなくて、
本当に兄の為ならなんでもできる。

それはまぁなんでかって、
何があっても私たちは最後まで兄妹だからなんですよ。

切っても切れない縁があって
人生を生きている間ずーーっと、
私たちは血を分けた兄妹であって。

つまりは友達だとか知人だとかなんかより
近い位置で共にいるなら
その人の為になんでもしたいって思うんです。

まぁ口に出して距離を置かれたりしたら
悲しいので心に留めてますよ。

それくらいの分別はあるつもり。

要するに。
私は血の繋がった兄を愛してる、ってわけです。

だって何があっても兄妹なので。
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