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兄は横暴①
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世の中には、優しくて頼りになって、尊敬できる兄は存在するかもしれない。そんな兄がいたら、弟にとって尊敬と信頼と親愛の対象に為りえるだろう。もちろんマイナスの感情を抱く可能性もあるが、むしろ兄の事を評価している証拠だ。
しかし。
だが。
ところがどっこい。
中には弟を奴隷としか思っておらず、常に自分にとって都合の良い存在として扱おうとするクソ兄貴も存在する。何を隠そう、それが俺の兄貴だ。そのくせ成績優秀、スポーツ万能、外面は良い、まぁまぁイケメンでモテる、と弟が劣等感しか抱かないオプションを付けに付けまくっている。外では爽やかな好青年を演じているが、家では一変、俺を扱き使って使い倒している。
料理や洗濯などの家事は俺に押し付けるし、外出先で雨が降ったら傘を持ってこさせるし、暇だからと何かの格闘技の練習台にもされた。親が仕事で夏の間家を空けていることを良い事に、最近は本当に遠慮が無くなってきている。なんで一人暮らししないんだよ。あほ兄貴。
年が離れていることもあるが、兄は俺より多くの事を先に体験しては俺に自慢してきた。大学生活や危険な遊びのこと、そしてもちろん恋愛関係の話もだ。さきほど言ったように、兄はまぁまぁ(本当にまぁまぁ)イケメンなので、女にモテる。しかもトレーニングは高校生の頃から欠かしていないことから、体つきもしっかりしているので、余計注目を浴びた。正直、男の俺から見ても魅力的な青年であることは認める。外ではな。
対して俺は成績は平凡、スポーツも長続きせず、面もノーマル。兄が卒業したしばらく後に大学に進学したが、引っ込み思案な性格が災いして、サークルも碌に入らず友人も少ない。兄から聞いていたような華やかな大学生活を送れているとは言えないだろう。少ない友人も、夏休みに実家に帰省するらしく、今はメールでやり取りするだけだ。なので、俺は所謂「暇な夏の大学生」を体現していた。暇そうにしている俺を見た兄が、これは好機とばかりに色々してくるので、どうにかしなければと考えている。
ちなみに今も、俺は兄貴に扱き使われている。夜中にも関わらずリビングで待機して親愛なるお兄様のお帰りを待っているのだ。親がいないので、兄が仕事と付き合いから帰ってくる夜には、俺も寝る準備に入って家の灯りを落としていることがある。しかし、先日兄は帰ってくるなり寝ている俺をたたき起こして文句をつけあそばされたのだ。俺が帰ってくるまでに風呂や食事の準備をしていろ。そして俺が帰ってきたら迎えろ。との事。なんで?
なので、今俺は夏休みのつぶし方を模索しながら、面白くない夜中のテレビを垂れ流して兄を待っているのだ。ちなみに風呂の準備はしてあるが、食事は大したものを用意していない。インスタントもあるし、適当に喰うだろう。というか、ここまで兄に尽くす意味が分からないからやる気が起きない。
時計の短針がほとんど真上を指す頃、玄関の鍵が開けられ、扉が開く音が聞こえる。お兄様のお帰りだ。お迎え、というのがどういうものか分からないが、取り合えず玄関に足を向ける。
「弟よ、帰ったぞー」
少し低い兄の声が玄関から聞こえる。応えないと何をされるか分からないので、玄関に付くなり俺は応える。
「お帰り、兄貴」
「おう」
満足そうな顔の兄は、スーツを着てネクタイを締めた犬獣人だった。夜中に仕事先から帰ってくるという、典型的社畜のような事をしているのに、全くその雰囲気を感じさせない。まぁまぁ(大事なこと)ハンサムな顔と、がっしりとした体形から疲れを感じさせないのが大きな要因だろう。きっちりと揃えられた毛並みと整った容姿が、兄が出来るビジネスマンだと物語っていた。本当にむかつくぜ。
「しっかり待っていたな?感心感心」
革靴脱ぎ、ネクタイを緩めながら兄が言う。「そうしないと暴力ふるうでしょ」と言いたくなるのを抑えて、俺は違う言葉を発する。
「風呂、沸いてるよ」
「そうか、でも先にメシだな。今日は何だ?兄貴は腹ペコだぞ?」
言いながら兄は廊下を進みリビングへ向かう。それを追いかけながら俺はぶっきらぼうに言った。
「昨日の残りの炒め物があるからそれで。あとはインスタントがあるから適当に食べてよ」
「あ?」
兄の足がピタリと止まる。その反応を見て、俺はしまったと思う。面倒くさいという感情が先行して、事実をそのまま言ってしまった。もうちょっとオブラートに包んで言った方が良いいいい痛い痛い!!!
「痛いから足を踏まないでくださいお兄様ッッ!!」
兄は俺の足を踏みつけながら笑顔で迫ってくる。怒りを滲ませたその笑顔は、俺の反応を楽しんでいる喜色も混じっていた。
「お兄様は仕事で疲れているんだぞ?その兄のために食事くらい作るのが弟の愛ってもんじゃねぇのか?うん?」
「すみません!!分かりました作ります作りますから!!足をどかしてくださいお願いしますぅッッ!!」
「分かればよろしい。待っててやるから早く作れ」
クソ兄貴が。
俺の作ったチャーハンを食べて満足そうな顔の兄貴が、シャツ姿でリビングのソファーで寛いでいる。兄に料理を作らされることが多かったので、俺の料理の腕は自然と上がっていた。もっとも、兄の好みの味になるように調教されているような気がしないでも無いが。俺はお前の専属料理人か?少しは自分でやったらどうなんだよ。でも兄が作ったら絶対美味しい料理が出来上がるんだよな本当にこいつ...。
「弟よ、お前バイト探してるのか?」
兄への恨み言が支配していた俺の頭にその兄の声が割り込んでくる。さっきまでテレビを聞きながら見ていた冊子が兄の手の中にあった。駅などで貰えるバイト情報誌だ。夏の暇な時間を勉強で埋めるつもりなんて毛頭なかった俺は、バイトでもして時間を潰そうと考えていたのだ。
「うん、暇だからバイトでもしようと思って。てか勝手に見るなよ..あ、すいませんリモコン投げようとしないでくださいっ」
「付箋なんか貼って丁寧な事だな。こういうのはこれだ!って思ったところに取り合えず応募すればいいんだよ」
リモコンをテーブルの戻しながら兄貴はパラパラと情報誌を流し見する。そして俺が付箋を貼ったページを見て、少し顔をしかめた。
「お前、派遣バイトしようとしてんの?」
「なんか、どこにしようか悩んじゃって。色んなとこで働ける派遣が良いかなって思ったから」
「やめとけ」
兄の鋭い声にいつもと違う雰囲気を感じて、俺は洗い物から目を離して兄を見る。付箋の貼ってある箇所を読みながら、兄は言葉を続けた。
「こういうのは条件の良さそうな現場の情報だけ載せてんだよ応募したら派遣会社に登録されて、想像してなかったような現場にも行かされるぞ。ある程度バイト経験があるならまだしも、初めてならやめとけ」
怒っているんだかなんだか分からない口調の兄貴にちょっとあっけに取られたが、取り合えず反抗してみる。
「でも、さっき兄貴も取り合えず応募するんだよって言ったじゃん」
「何も調べずに応募するなんて馬鹿がすることだ。正当な条件で働ける場所って前提があるに決まってるだろ」
馬鹿という単語に少しムッとしたが、兄貴の言う事も一理ある。こういう時に正しそうな事を言う所もむかつくぜ。そして、きっと正しいのだろう。兄は聡明だ。
「お前、バイトの応募先候補が出来たら、俺に教えろ。調べてやるから」
雑誌をテーブルに戻し、水を飲みながら兄貴が言った。水を嚥下する喉の動きをぼんやり見ながら、俺は応える。
「え、なんでそんな事まで相談しなくちゃならないのぉぉおあ痛い痛いれすっっ!!!」
コップを片手に持ちながら、兄は俺の側に来て俺の頬を抓っていた。
「分.か.っ.た.か?」
「はひ」
暴力兄貴。
「弟よ、風呂に入るぞ!」
洗い物も終わり、兄の言葉を受けて情報誌を見直していた俺は、そろそろ寝ようかと思っていた。その矢先に響くお兄様の声。何故俺のやろうとすることの前に滑り込んでくるのか、この人は。肌着になった兄は、二階へ通じる階段の前に仁王立ちしていた。
「いや、もう入ったし、寝ようと思ってたんだけど。というか、何で一緒に入るの?」
「お前も大学生になって数か月経っただろ?少しは大人になったか兄が見てやろうと思ってな。経験豊富な俺が見てやるんだから感謝しろ。あと俺の体を洗え」
「何それブラコン?気持ち悪いんだけど何を確かめようとぉおおお分かりました入ります!入りますっ!!」
耳を引っ張られた。
「で、お前彼女とかできたのか?」
背中を洗われながら、兄が唐突に聞く。もちろん俺に聞いているんだろうが、バイトで暇潰そうとしていたんだから答えは分かりきっているだろ。でもそう答えたらどうなるか、俺には分かっていた。
「いないよ」
だから、兄の背中をゴシゴシ洗いながら、短く答えた。こんな夜中まで仕事をしていてもトレーニングを欠かさない兄の背中は、筋肉が盛り上がり立派なものだった。その背中を洗う自分の、貧相な体を思うと情けなくなってくる。筋トレしようかな。
「じゃあお前まだ童貞か。せっかく大学生になったんだから、女遊びの一つでもしとかないといかんぞ、お前」
「余計なお世話だ」と怒鳴りたいところだが、グッと抑える。実際、兄は数人の女性と関係を結んだことがあり、経験は豊富だからだ。こんなやつに言い返しても自分が空しくなる。
「大学生になったから、何となくそういう関係も結べるだろう...て考えじゃいかんぞ。大学生こそ、自分から行動しないと何も始まらない身分だからな」
そんな事、分かってる。背中を擦る手から力が抜けるのを感じながら、俺は下を向く。俺は大学生になってから、それを痛感していた。友達も自分から話しかけないと作れないし、サークルも自分から働きかけないと入ることはできない。授業も自分で登録して、昼食を食べる場所も自分で探して、教室も自分で探す。それでも何とか友人を作ることもできたし、この生活にも慣れてきたんだ。今の状態で彼女云々言ってる余裕はない。
ゴシ...と背中を洗う手が止まったのを感じた兄は、何かを言おうとこちらを振り向いた。しかし、俺の顔を見て言葉を飲み込んだらしい。代わりにクルリと体ごとこちらを向いて、俺の体を眺める。
「な、なに...?」
男から見ても魅力的な兄の裸体を真正面から見せつけられて俺は戸惑う。よく考えたら、男二人が全裸で向き合っているこの状況、何なんだよ?いくら実の兄弟でも恥という感情はありますことよ?もう背中流さなくてもいいなら、さっさと湯船に浸かって出よう。そう考えていると、兄がおもむろに口を開く。
「お前、剥けたか?」
...はい?
「剥けたかって聞いてんだよ」
「ナンデそんなコトきくノ」
思わず片言になる俺を気にせず、兄貴は俺の下腹部に視線を移す。
「そりゃお前。いざ女とヤるときになって、被ってますーなんて情けないだろうが。剥けているのが男のステータスなんだぞ」
その意見は色んな方面から抗議が出てくるよ兄貴!!俺からもっ!!焦る俺を気にせず、兄貴は俺の股間に手を伸ばしてきた。そして...。
ムニッ
「ぅあっ!」
「フム...」
俺のナニを掴んだ。今まで他人に触らせたの事のない、俺の聖域が侵されていく。しかも、一番身近で一番触らせたくない奴に。ジーザス。
「小さくは無いな、流石は俺の弟だ。だがやはり被っていたか。起ったら剥けるか?」
とか宣いながら、フニフニと俺のナニを揉みだす兄貴。
あ、ちょっ、ヤバいヤバいヤバい!!何してのこれ何してんのこれっ!!!いや、ナニしてんだろ?ってうるさいわボケ!!!!何でこんなことになってんの!!?俺何で兄貴に股間弄られているの!?兄貴も何で抵抗なく弄れるの!!?ダメだって兄弟だよ?しかも男同士でこんなこと許されないよっ!!ふぁッ!ち、ちょ...っとぉ!ま、ずいってぇ...っ!
「う...あ、あ...んんッ!!」
兄貴のやわやわと握ったり、亀頭を擦るテクにあっさり俺は絆されてしまい、起たせまいとしていた俺の意思なんて関係なしに、それは屹立していた。
「やはり仮性だったか。これならまぁ恥ずかしくはないな」
と言う満足そうな兄貴の言葉なんて耳に入らず、俺は肩で息をしていた。①実の兄に勃起させられた。②仮性包茎であると面と向かって言われた。③兄に触られて感じている自分。等々、色んな事が原因で正常な思考なんてできない状態になっていた。
「寒ぃな」と言って立ち上がり湯船に浸かった兄の動きを目で追い、少し息を落ち着かせる。さっきまで自分がされていたことは理解できない。できないが、それについて考えていると、兄の体や股間に意識が向いてしまうのは無理からぬことだった。...だよね?
鍛えられた体が立派なことはもう分かっていたが、股間にぶら下がっているモノも、俺のより遥かに大きかった。こんな所でも劣等感を抱かせるのかバカ兄貴と思ったが、なんだか気になってしまって素直に兄貴の方を見れない。俺の中心はまだ熱を保ったままで、変な気を起こさないように、鎮めることに注力するのに精一杯だった。だがここで許してくださるお兄様ではありませぬよ、お客様。お兄様はこうおっしゃったのです。
「おい、お前も入れ」
「絶対にイヤだぶへっやだぶほっ入りますっ!!」
お湯をかけないで。
兄貴と向かい合うように湯船に浸かる。少し脇にどいてくれた兄貴の横に足を伸ばす。兄貴の足も、同じように俺の横に伸びている。だが、まだ自分が起ちっぱなしな事に気が付いて慌てて足を畳んだ。そんな事を気に介さず、兄貴はくつろぎながら言う。
「股間は大丈夫そうだし、お前顔も悪くないんだから相手の一人や二人すぐ見つかるぞ。あー、あとは体だな。そのひょろいのどうにかしろ」
好き勝手言ってくれるぜ、と思うが確かに体は一般的な大学生と比べても細いと自覚している。顔は分からないが、体は犬獣人の血のおかげで作りやすいものではあるだろう。本当に、筋トレしようかな。
「うん、そうだ..んぁっ!?」
肯定の言葉を返そうとした俺の脇腹を、兄貴の爪の鋭い足がつつく。
「脇腹とかちゃんと鍛えないと見栄え良くないからな?触ってみたらプニプニでした、なんて情けないことこの上ないからなぁ」
「それは分かったので、脇腹を弄るのを止めてくれませんかねお兄様っ」
足を抱えて、俺は真っ赤になりながら叫んだ。俺の言葉を聞いた兄貴は少し驚いた顔をした後、合点がいったようにニヤリと笑った。嫌な予感。俺の予感は的中して、兄貴は余計に俺の脇腹を足で弄ってきた。俺が反応してしまう箇所に爪を押し付けたり、スルスルと撫でたりしている。
「なんだ?お前脇腹弱いのか?やっぱり鍛えねぇとダメだな。ほら、ここで鍛えてやるよ」
「あっ...んんッ...ちょっと、あ...にき、やめ...はぁッ」
さっき鎮めようとしていた熱がまた中心に集まっているのを感じる。あの兄貴に好き勝手弄られるのはとても腹立たしかったが、それ以上に兄貴の動きに反応してしまう自分がいた。兄貴に目を向けると、ニヤニヤと笑うクソムカつく顔が目に入った。視線を下げると兄貴のデカい逸物が目に入ったが、全く反応していないようだった。こっちはこんなに翻弄されているのに、余裕そうにしているこの態度はとてもとても気に食わない。
こうなったら俺も兄貴を弄ってやろうかと思ったが、弱い所を攻められている状態で体は言う事を聞かず、なによりどうやって弄ればいいのか検討がつかなかった。こんなところでも経験の差が...。本当にムカつく。
ムカつくムカつくクソ兄貴がんぁっ気持ちいイヤ、良くない!!なんで俺ばっかりこんなことされて..ふぁっ...るんだよ!ああああもうぅ…ッあ、も、もう無理。無理無理無理っ。って何が!?俺もう決壊寸前なの!?脇腹撫でられた程度で!!?ああくそこれも全部全部...!
ザバァッ!!と俺は湯を飛ばしながら湯船で立ち上がる。突然の行動で虚を突かれた様子の兄貴を見下ろす形になる。俺のモノはギンギンに張りつめて、雫を零していた。構わず涙目で俺は叫ぶ。
「この馬鹿エロクソ変態兄貴っ!!!!!いい加減にしやがれッアホ野郎がぁ!!!」
殴られた。
続け。
しかし。
だが。
ところがどっこい。
中には弟を奴隷としか思っておらず、常に自分にとって都合の良い存在として扱おうとするクソ兄貴も存在する。何を隠そう、それが俺の兄貴だ。そのくせ成績優秀、スポーツ万能、外面は良い、まぁまぁイケメンでモテる、と弟が劣等感しか抱かないオプションを付けに付けまくっている。外では爽やかな好青年を演じているが、家では一変、俺を扱き使って使い倒している。
料理や洗濯などの家事は俺に押し付けるし、外出先で雨が降ったら傘を持ってこさせるし、暇だからと何かの格闘技の練習台にもされた。親が仕事で夏の間家を空けていることを良い事に、最近は本当に遠慮が無くなってきている。なんで一人暮らししないんだよ。あほ兄貴。
年が離れていることもあるが、兄は俺より多くの事を先に体験しては俺に自慢してきた。大学生活や危険な遊びのこと、そしてもちろん恋愛関係の話もだ。さきほど言ったように、兄はまぁまぁ(本当にまぁまぁ)イケメンなので、女にモテる。しかもトレーニングは高校生の頃から欠かしていないことから、体つきもしっかりしているので、余計注目を浴びた。正直、男の俺から見ても魅力的な青年であることは認める。外ではな。
対して俺は成績は平凡、スポーツも長続きせず、面もノーマル。兄が卒業したしばらく後に大学に進学したが、引っ込み思案な性格が災いして、サークルも碌に入らず友人も少ない。兄から聞いていたような華やかな大学生活を送れているとは言えないだろう。少ない友人も、夏休みに実家に帰省するらしく、今はメールでやり取りするだけだ。なので、俺は所謂「暇な夏の大学生」を体現していた。暇そうにしている俺を見た兄が、これは好機とばかりに色々してくるので、どうにかしなければと考えている。
ちなみに今も、俺は兄貴に扱き使われている。夜中にも関わらずリビングで待機して親愛なるお兄様のお帰りを待っているのだ。親がいないので、兄が仕事と付き合いから帰ってくる夜には、俺も寝る準備に入って家の灯りを落としていることがある。しかし、先日兄は帰ってくるなり寝ている俺をたたき起こして文句をつけあそばされたのだ。俺が帰ってくるまでに風呂や食事の準備をしていろ。そして俺が帰ってきたら迎えろ。との事。なんで?
なので、今俺は夏休みのつぶし方を模索しながら、面白くない夜中のテレビを垂れ流して兄を待っているのだ。ちなみに風呂の準備はしてあるが、食事は大したものを用意していない。インスタントもあるし、適当に喰うだろう。というか、ここまで兄に尽くす意味が分からないからやる気が起きない。
時計の短針がほとんど真上を指す頃、玄関の鍵が開けられ、扉が開く音が聞こえる。お兄様のお帰りだ。お迎え、というのがどういうものか分からないが、取り合えず玄関に足を向ける。
「弟よ、帰ったぞー」
少し低い兄の声が玄関から聞こえる。応えないと何をされるか分からないので、玄関に付くなり俺は応える。
「お帰り、兄貴」
「おう」
満足そうな顔の兄は、スーツを着てネクタイを締めた犬獣人だった。夜中に仕事先から帰ってくるという、典型的社畜のような事をしているのに、全くその雰囲気を感じさせない。まぁまぁ(大事なこと)ハンサムな顔と、がっしりとした体形から疲れを感じさせないのが大きな要因だろう。きっちりと揃えられた毛並みと整った容姿が、兄が出来るビジネスマンだと物語っていた。本当にむかつくぜ。
「しっかり待っていたな?感心感心」
革靴脱ぎ、ネクタイを緩めながら兄が言う。「そうしないと暴力ふるうでしょ」と言いたくなるのを抑えて、俺は違う言葉を発する。
「風呂、沸いてるよ」
「そうか、でも先にメシだな。今日は何だ?兄貴は腹ペコだぞ?」
言いながら兄は廊下を進みリビングへ向かう。それを追いかけながら俺はぶっきらぼうに言った。
「昨日の残りの炒め物があるからそれで。あとはインスタントがあるから適当に食べてよ」
「あ?」
兄の足がピタリと止まる。その反応を見て、俺はしまったと思う。面倒くさいという感情が先行して、事実をそのまま言ってしまった。もうちょっとオブラートに包んで言った方が良いいいい痛い痛い!!!
「痛いから足を踏まないでくださいお兄様ッッ!!」
兄は俺の足を踏みつけながら笑顔で迫ってくる。怒りを滲ませたその笑顔は、俺の反応を楽しんでいる喜色も混じっていた。
「お兄様は仕事で疲れているんだぞ?その兄のために食事くらい作るのが弟の愛ってもんじゃねぇのか?うん?」
「すみません!!分かりました作ります作りますから!!足をどかしてくださいお願いしますぅッッ!!」
「分かればよろしい。待っててやるから早く作れ」
クソ兄貴が。
俺の作ったチャーハンを食べて満足そうな顔の兄貴が、シャツ姿でリビングのソファーで寛いでいる。兄に料理を作らされることが多かったので、俺の料理の腕は自然と上がっていた。もっとも、兄の好みの味になるように調教されているような気がしないでも無いが。俺はお前の専属料理人か?少しは自分でやったらどうなんだよ。でも兄が作ったら絶対美味しい料理が出来上がるんだよな本当にこいつ...。
「弟よ、お前バイト探してるのか?」
兄への恨み言が支配していた俺の頭にその兄の声が割り込んでくる。さっきまでテレビを聞きながら見ていた冊子が兄の手の中にあった。駅などで貰えるバイト情報誌だ。夏の暇な時間を勉強で埋めるつもりなんて毛頭なかった俺は、バイトでもして時間を潰そうと考えていたのだ。
「うん、暇だからバイトでもしようと思って。てか勝手に見るなよ..あ、すいませんリモコン投げようとしないでくださいっ」
「付箋なんか貼って丁寧な事だな。こういうのはこれだ!って思ったところに取り合えず応募すればいいんだよ」
リモコンをテーブルの戻しながら兄貴はパラパラと情報誌を流し見する。そして俺が付箋を貼ったページを見て、少し顔をしかめた。
「お前、派遣バイトしようとしてんの?」
「なんか、どこにしようか悩んじゃって。色んなとこで働ける派遣が良いかなって思ったから」
「やめとけ」
兄の鋭い声にいつもと違う雰囲気を感じて、俺は洗い物から目を離して兄を見る。付箋の貼ってある箇所を読みながら、兄は言葉を続けた。
「こういうのは条件の良さそうな現場の情報だけ載せてんだよ応募したら派遣会社に登録されて、想像してなかったような現場にも行かされるぞ。ある程度バイト経験があるならまだしも、初めてならやめとけ」
怒っているんだかなんだか分からない口調の兄貴にちょっとあっけに取られたが、取り合えず反抗してみる。
「でも、さっき兄貴も取り合えず応募するんだよって言ったじゃん」
「何も調べずに応募するなんて馬鹿がすることだ。正当な条件で働ける場所って前提があるに決まってるだろ」
馬鹿という単語に少しムッとしたが、兄貴の言う事も一理ある。こういう時に正しそうな事を言う所もむかつくぜ。そして、きっと正しいのだろう。兄は聡明だ。
「お前、バイトの応募先候補が出来たら、俺に教えろ。調べてやるから」
雑誌をテーブルに戻し、水を飲みながら兄貴が言った。水を嚥下する喉の動きをぼんやり見ながら、俺は応える。
「え、なんでそんな事まで相談しなくちゃならないのぉぉおあ痛い痛いれすっっ!!!」
コップを片手に持ちながら、兄は俺の側に来て俺の頬を抓っていた。
「分.か.っ.た.か?」
「はひ」
暴力兄貴。
「弟よ、風呂に入るぞ!」
洗い物も終わり、兄の言葉を受けて情報誌を見直していた俺は、そろそろ寝ようかと思っていた。その矢先に響くお兄様の声。何故俺のやろうとすることの前に滑り込んでくるのか、この人は。肌着になった兄は、二階へ通じる階段の前に仁王立ちしていた。
「いや、もう入ったし、寝ようと思ってたんだけど。というか、何で一緒に入るの?」
「お前も大学生になって数か月経っただろ?少しは大人になったか兄が見てやろうと思ってな。経験豊富な俺が見てやるんだから感謝しろ。あと俺の体を洗え」
「何それブラコン?気持ち悪いんだけど何を確かめようとぉおおお分かりました入ります!入りますっ!!」
耳を引っ張られた。
「で、お前彼女とかできたのか?」
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「いないよ」
だから、兄の背中をゴシゴシ洗いながら、短く答えた。こんな夜中まで仕事をしていてもトレーニングを欠かさない兄の背中は、筋肉が盛り上がり立派なものだった。その背中を洗う自分の、貧相な体を思うと情けなくなってくる。筋トレしようかな。
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「余計なお世話だ」と怒鳴りたいところだが、グッと抑える。実際、兄は数人の女性と関係を結んだことがあり、経験は豊富だからだ。こんなやつに言い返しても自分が空しくなる。
「大学生になったから、何となくそういう関係も結べるだろう...て考えじゃいかんぞ。大学生こそ、自分から行動しないと何も始まらない身分だからな」
そんな事、分かってる。背中を擦る手から力が抜けるのを感じながら、俺は下を向く。俺は大学生になってから、それを痛感していた。友達も自分から話しかけないと作れないし、サークルも自分から働きかけないと入ることはできない。授業も自分で登録して、昼食を食べる場所も自分で探して、教室も自分で探す。それでも何とか友人を作ることもできたし、この生活にも慣れてきたんだ。今の状態で彼女云々言ってる余裕はない。
ゴシ...と背中を洗う手が止まったのを感じた兄は、何かを言おうとこちらを振り向いた。しかし、俺の顔を見て言葉を飲み込んだらしい。代わりにクルリと体ごとこちらを向いて、俺の体を眺める。
「な、なに...?」
男から見ても魅力的な兄の裸体を真正面から見せつけられて俺は戸惑う。よく考えたら、男二人が全裸で向き合っているこの状況、何なんだよ?いくら実の兄弟でも恥という感情はありますことよ?もう背中流さなくてもいいなら、さっさと湯船に浸かって出よう。そう考えていると、兄がおもむろに口を開く。
「お前、剥けたか?」
...はい?
「剥けたかって聞いてんだよ」
「ナンデそんなコトきくノ」
思わず片言になる俺を気にせず、兄貴は俺の下腹部に視線を移す。
「そりゃお前。いざ女とヤるときになって、被ってますーなんて情けないだろうが。剥けているのが男のステータスなんだぞ」
その意見は色んな方面から抗議が出てくるよ兄貴!!俺からもっ!!焦る俺を気にせず、兄貴は俺の股間に手を伸ばしてきた。そして...。
ムニッ
「ぅあっ!」
「フム...」
俺のナニを掴んだ。今まで他人に触らせたの事のない、俺の聖域が侵されていく。しかも、一番身近で一番触らせたくない奴に。ジーザス。
「小さくは無いな、流石は俺の弟だ。だがやはり被っていたか。起ったら剥けるか?」
とか宣いながら、フニフニと俺のナニを揉みだす兄貴。
あ、ちょっ、ヤバいヤバいヤバい!!何してのこれ何してんのこれっ!!!いや、ナニしてんだろ?ってうるさいわボケ!!!!何でこんなことになってんの!!?俺何で兄貴に股間弄られているの!?兄貴も何で抵抗なく弄れるの!!?ダメだって兄弟だよ?しかも男同士でこんなこと許されないよっ!!ふぁッ!ち、ちょ...っとぉ!ま、ずいってぇ...っ!
「う...あ、あ...んんッ!!」
兄貴のやわやわと握ったり、亀頭を擦るテクにあっさり俺は絆されてしまい、起たせまいとしていた俺の意思なんて関係なしに、それは屹立していた。
「やはり仮性だったか。これならまぁ恥ずかしくはないな」
と言う満足そうな兄貴の言葉なんて耳に入らず、俺は肩で息をしていた。①実の兄に勃起させられた。②仮性包茎であると面と向かって言われた。③兄に触られて感じている自分。等々、色んな事が原因で正常な思考なんてできない状態になっていた。
「寒ぃな」と言って立ち上がり湯船に浸かった兄の動きを目で追い、少し息を落ち着かせる。さっきまで自分がされていたことは理解できない。できないが、それについて考えていると、兄の体や股間に意識が向いてしまうのは無理からぬことだった。...だよね?
鍛えられた体が立派なことはもう分かっていたが、股間にぶら下がっているモノも、俺のより遥かに大きかった。こんな所でも劣等感を抱かせるのかバカ兄貴と思ったが、なんだか気になってしまって素直に兄貴の方を見れない。俺の中心はまだ熱を保ったままで、変な気を起こさないように、鎮めることに注力するのに精一杯だった。だがここで許してくださるお兄様ではありませぬよ、お客様。お兄様はこうおっしゃったのです。
「おい、お前も入れ」
「絶対にイヤだぶへっやだぶほっ入りますっ!!」
お湯をかけないで。
兄貴と向かい合うように湯船に浸かる。少し脇にどいてくれた兄貴の横に足を伸ばす。兄貴の足も、同じように俺の横に伸びている。だが、まだ自分が起ちっぱなしな事に気が付いて慌てて足を畳んだ。そんな事を気に介さず、兄貴はくつろぎながら言う。
「股間は大丈夫そうだし、お前顔も悪くないんだから相手の一人や二人すぐ見つかるぞ。あー、あとは体だな。そのひょろいのどうにかしろ」
好き勝手言ってくれるぜ、と思うが確かに体は一般的な大学生と比べても細いと自覚している。顔は分からないが、体は犬獣人の血のおかげで作りやすいものではあるだろう。本当に、筋トレしようかな。
「うん、そうだ..んぁっ!?」
肯定の言葉を返そうとした俺の脇腹を、兄貴の爪の鋭い足がつつく。
「脇腹とかちゃんと鍛えないと見栄え良くないからな?触ってみたらプニプニでした、なんて情けないことこの上ないからなぁ」
「それは分かったので、脇腹を弄るのを止めてくれませんかねお兄様っ」
足を抱えて、俺は真っ赤になりながら叫んだ。俺の言葉を聞いた兄貴は少し驚いた顔をした後、合点がいったようにニヤリと笑った。嫌な予感。俺の予感は的中して、兄貴は余計に俺の脇腹を足で弄ってきた。俺が反応してしまう箇所に爪を押し付けたり、スルスルと撫でたりしている。
「なんだ?お前脇腹弱いのか?やっぱり鍛えねぇとダメだな。ほら、ここで鍛えてやるよ」
「あっ...んんッ...ちょっと、あ...にき、やめ...はぁッ」
さっき鎮めようとしていた熱がまた中心に集まっているのを感じる。あの兄貴に好き勝手弄られるのはとても腹立たしかったが、それ以上に兄貴の動きに反応してしまう自分がいた。兄貴に目を向けると、ニヤニヤと笑うクソムカつく顔が目に入った。視線を下げると兄貴のデカい逸物が目に入ったが、全く反応していないようだった。こっちはこんなに翻弄されているのに、余裕そうにしているこの態度はとてもとても気に食わない。
こうなったら俺も兄貴を弄ってやろうかと思ったが、弱い所を攻められている状態で体は言う事を聞かず、なによりどうやって弄ればいいのか検討がつかなかった。こんなところでも経験の差が...。本当にムカつく。
ムカつくムカつくクソ兄貴がんぁっ気持ちいイヤ、良くない!!なんで俺ばっかりこんなことされて..ふぁっ...るんだよ!ああああもうぅ…ッあ、も、もう無理。無理無理無理っ。って何が!?俺もう決壊寸前なの!?脇腹撫でられた程度で!!?ああくそこれも全部全部...!
ザバァッ!!と俺は湯を飛ばしながら湯船で立ち上がる。突然の行動で虚を突かれた様子の兄貴を見下ろす形になる。俺のモノはギンギンに張りつめて、雫を零していた。構わず涙目で俺は叫ぶ。
「この馬鹿エロクソ変態兄貴っ!!!!!いい加減にしやがれッアホ野郎がぁ!!!」
殴られた。
続け。
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