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6巻
6-3
しおりを挟む◇◆◇
シュウは、ラドムやエベルバッヒを束ねる各代表者をラドムに集めた。
ラルスやカトヤといった為政者の立場の者には、例えば商工業はエベルバッヒで育て、ラドムは農業や畜産を主力に都市を育てるよう伝える。
そして、決断に困ることがあったら翼竜を使いシュウたちに知らせるように、と指示を出した。
冒険者ギルドや元海賊の海運業者兼海軍、銀行、エルフの里、獣人族の里に対しては、それぞれ上位であるカトヤやラルスに任せ、相談や問題があれば連絡を取り合うようにする。
そして最後の問題は、やはり念話でシュウと連絡が取れる人材をどう確保するか、ということになった。
「実は、翼竜隊の隊長を、アリシアに任せたいと思う」
カトヤとラルス、獣人族の若き長ゼクとアリシアを残して一同を解散させた後、シュウはそう切り出した。
アリシアは体を強張らせる。
「あたしは、シュウと一緒に行けないのか?」
率直なアリシアの言葉に、サラやクリステルは表情をゆがめた。
シュウはにこりと微笑んだが、もちろん内心では苦渋の選択だった。
「いつか……アリシアに代わってカトヤやユキやアンネリ……他のハイエルフやゼク。誰かが念話をマスターできれば、またアンネリも一緒に旅ができる。でも今は、もし君さえ良ければ、僕たちの旅を支えて欲しい。そしてラドムやエベルバッヒや、ネクアーエルツを守って欲しいんだ」
「守る?」
アリシアの表情が変わった。
「これから僕たちのギルドは、世界中に支店を作ると思う。そのやりとりは全部翼竜隊に任される。今まで通りにね。それに、ないと信じたいけど……何か争いが起きたとき、翼竜隊は、最強の護り手になるんだ」
シュウの言葉にはアリシアもうなずかざるを得なかった。
「アリシアが抜けるのは、僕たちにとっても痛いよ……戦力としてだけじゃない。友として、家族として得がたいから」
シュウは自分の後ろに控えるサラに、ザフィアに、クリステルに、そしてジルベルに視線で尋ねた。
全員、力強くうなずく。
「だから今は、翼竜隊を育て、この地を守って欲しいんだ。それで、念話を使いこなせる後継者が現れたら、絶対にまた一緒に冒険したい。お願いできるかな?」
「……わかった」
アリシアは本心から納得することができないのか、背中を丸めて、たった一言だけ答えた。
その夜。
アリシアの下に珍しい来客があった。
「猫。久しぶりじゃの」
「!」
ジルベルだった。
天敵、は言いすぎだが、アリシアにとってはどうにも苦手意識が勝る相手である。
「猫、お前はシュウに置いていかれたと思って拗ねているのか?」
反対にジルベルは、アリシア相手だと相変わらず遠慮がなかった。
だが今のアリシアには、図星を突かれても反発する気力は残っていない。自慢の尻尾も、元気のなさを象徴するようにうなだれている。
「お前に託された仕事は、生半可なものではないであろ?」
ジルベルは構わずそう続けた。
「翼竜共の訓練、日々の管理だけでもたいそうな仕事であろ? だがおそらく、それだけではない。シュウは、アンネリとユキも置いていくつもりだ。あれらを育てるのは、猫、お前しかおらん」
「そ、そんな!」
アリシアは驚いた。獣人族の自分が、聖獣であるあの二人……白竜のユキと不死鳥のアンネリを教育するなど、あまりに荷が重い。
そもそも、何故あの二人を連れていかないのだろう。まだまだ幼い二人ではあっても、能力はすでに人智を超えた存在なのに。
アリシアの疑問にジルベルは答える。
「ユキは力不足であろうな。年が若すぎる。ドラゴンゾンビとの戦いで、あれは回復が遅れた。シュウはどうしてもユキを見ると、仲間ではなく保護者になってしまう」
アリシアはそう言われて、なるほど、とうなずいた。
「アンネリは姉の元に置いて、今しばらく人の世で過ごさせるつもりであろう。いずれにせよ、あの二人は引き離さず、共に過ごさせるのが良かろうな」
「……うん」
「だが、ただ無為に過ごさせるのも惜しい。あれらを鍛えられるのは、竜の巣に残る者の中では、お前しかおらぬ。アリシア」
「……」
「お前は、獣人族、エルフ、人間に加え、白竜と不死鳥、そして翼竜の世話をせねばならぬ。置いていかれて悔しいだの悲しいだの、言っている暇などあるまいよ」
アリシアはジルベルの指摘に、改めて青くなる。
確かに彼女の言う通りだった。
「ではの」
ジルベルは振り返りもせずに、アンネリの部屋の前から立ち去っていく。
残されたアンネリは、ジルベルの姿が廊下の角に消えるまで、呆然と見送るほかなかった。
ジルベルがアンネリに語ったように、翌日からユキとアンネリは、アデラの下で人間として暮らす訓練、アリシアの下で聖獣として戦う訓練をすることになった。
年若い二人は、シュウたちと離れることをひどく悲しんだが、シュウもサラも決して甘やかさなかった。
「とにかく、二人とももうちょっと成長してくれないと、心配で一緒に旅ができないんだ」
シュウははっきりと言い切った。
これほど厳しいシュウは初めてだったので、幼い二人はぽろぽろと涙を流した。
「二人の面倒はアデラに任せるね。いい? アデラ」
「は、はい!」
「修業はアリシアにお願いする。とにかくこの二人には、念話を使えるようになって欲しいんだ」
その言葉は、拗ねて泣いているユキたちには届かないようだった。シュウは仕方なく、後事をアリシアに任せることにした。
場所を変え、旅に出る前の最後の課題を、シュウはラルスに依頼する。
「ラルス。冒険者ギルドと商業ギルドだけど、名前を変えて欲しいんだ」
「は。どのようにでしょうか?」
「うーん、『自由都市ギルド』とかはどうかな?」
「自由都市、でございますか?」
「うん。ラドムにしろエベルバッヒにしろ、基本は自由都市でしょ?」
ラルスはうなずいた。
現在、大陸政治の中心だった神聖ネカスタイネルでは帝政が倒れ、ユガリス教もその影響力を失った。
一方、王国連合としてノイスバイン、ヒルゼルブルツ、ネッカーブンゲルの三ヶ国を柱にして、貴族封建制は維持されている。
そうした中で、一地方とはいえラドムとエベルバッヒ、加えるなら竜の巣やネクアーエルツ大森林、獣人族の里までを含めた一帯は、自由都市連合と呼べる状態だった。
「今の僕らのギルド名は『黒竜殺しと舞姫』だけど、何年かかってもいいから、僕たちの匂いを消していきたいんだ」
「匂いを、ですか……」
「僕たちは『世界樹の守護者』とか、精霊王の加護を受ける者という立場上、まあいろいろ、特別な力があったりするでしょ?」
「ええ」
「まだ僕には実感がないんだけど、どうもね、寿命も長いらしいんだ」
「そうでございましょうな」
それはラルスも薄々察していた。
伝説に語られるそういった存在は一様に長生きだし、実際ラルスも、グイードという実例を承知している。
ハイエルフという種族的特徴を考慮しても、グイードは桁の違う長寿だという。
「僕らはそのうち、『年を取らない』気持ち悪い存在になるかもしれない。だったらあらかじめ、存在感を消す準備をしておいたほうがいいと思うんだ」
「なるほど」
シュウの語る理由は、ラルスの個人的感傷を別にすれば、良く理解できる話だった。
「幸い、今なら王国連合の力で、ホルベール……今はツィルメンか。それにタルデルヴォルフとネカーゲムント、それに旧ネカスタイネル――」
シュウは指折り、国を数える。
「うちがまだギルド支部を出していない国にも、新しく進出できるでしょ?」
「はい。問題ないかと……」
「とにかく、人材が確保でき次第、冒険者ギルドと商業ギルドを急いで進出させて欲しいんだ」
「承知しました」
「そして、新ギルドの名前は『自由都市ギルド』として、今のギルドも名前を変える」
「それは、王国連合のみなさまにも内々にお伝えしてもよろしいのでしょうか?」
「うん。三王にはきちんと伝えないと、余計な心配をかけそうだしね」
同じ懸念をシュウも共有しているようなので、ラルスは安心してうなずいた。
「僕たちは準備が出来たらツィルメンに向かう。滞在中にギルドの話も進めたいけど、さすがにそこまで早くは無理かもね。ただ前から言ってるように、ギルドの存在意義は冒険者に仕事を与えるだけじゃない。情報収集も大事な役割なんだ」
シュウは相変わらずシュネの家族を探しているし、ダークエルフ――オルティウスの所在も掴みたかった。
「とにかく、僕はこまめにアリシアに連絡をするんで、どんな些細なことでも、動きがあったら知らせて」
「心得ました」
シュウは、ここまで伝えれば大丈夫だろう、と安心してラルスと握手を交わした。
◇◆◇
シュウとともにラドムを旅立ったメンバーは、サラ、ジルベル、クリステル、ザフィアとシュネの五名だった。
一行は早朝にシュネの背に乗って出発し、夕方前にはツィルメン辺境伯国の首都、ホルベリンゲンにたどり着いた。
とりあえず、シュウたちはまず市内の名宿を聞き込んで、その宿のスイートを三部屋押さえた。
男女で三組に分かれ、それぞれがツインで過ごす。
貴族向けのノーブルスイートに泊まるくらいの財力は充分あるのだが、一般の冒険者がそのグレードの部屋を取ると、悪目立ちが過ぎる。
一段階下のスイートルームは、豪商や一定の活躍を見せる冒険者なら押さえてもおかしくはない。シュウたちもその体を装ったのだ。
久々の冒険――今回の目的である「シュネの父竜探し」は始まったばかりだ。
大陸各地――ノイスバイン、ネッカーブンゲル、ヒルゼルブルツの各ギルドに所属する商人や冒険者には、すでに情報収集の命を出した。
もちろん、シュウたちの本拠地であるラドムやエベルバッヒのギルドでも調査している。
さらに数週間のうちには、翼竜を駆使してネカーゲムント、タルデルヴォルフ、そしてここツィルメンの主要都市にも、『自由都市ギルド』が開設されるだろう。
シュウが一度拠点を失った聖都レオナレルでも、王国連合の計らいで、ギルドを再度開設することになっている。
レオナレルは戦後数ヶ月が経った今になって、一時難民化した元の住民が、ようやく戻り出していた。
仮に王国連合が首都と定めなければ、あの政治都市は、そのまま廃墟になっていたかもしれない。
三王家と土地持ちの大貴族。その家臣、従者、家族。
彼らが一つの都市に集って政治を行うのだ。
非生産層の彼らを物資面で養うためには、当たり前だが商人が必要となる。職人や農家、そして物資を運ぶ行商人や、治安を守る冒険者もだ。
こうして、レオナレルには再び人が集まり始めた。
同時に、様々な情報も。
王家の伝手もあるし、今のレオナレルでシュウたちが情報を集めるのは、さほど難しくはない。それを利用すれば、大陸各地での活動はさらに順調に回る。
情報を得るためのもっとも有効的な方法は、こちらも情報を提供することである。そして、各地の貴族は本能的に中央の情報を欲しがる。
戦勝三国にはすでにシュウのギルドが根付いているので、放っておけばギルドの商人や冒険者が、貴族や市井の人々から情報を集められるだろう。
故にシュウは、最初の目的地として敗戦国を選んだのだった。
「ずいぶん寂れているね」
ホルベリンゲンに降り立ったシュウの第一印象は、都市の規模に比べて人が少ない、というものだった。
「敗戦国、だからかな?」
サラも、シュウと同じように感じて言葉を返す。
「敗戦国だと、どうして街から人が消えるのですか?」
クリステルが不思議そうに首をかしげた。
サラはちらりと一同を見渡す。
ザフィアも姉と同じように、疑問に思っているようだ。ジルベルやシュネに至っては、そもそも都市のありように関心などあるはずがない。
「エルフ社会には、貴族が存在しないからね」
「あ、そっか……」
シュウの指摘にサラが納得する。
「どういうことだ?」
ザフィアが怪訝そうに問い返すと、答えたのは意外にもジルベルだった。
「群れの長同士の戦に負けたわけだからの。手下は皆、勝者に奪われるのが定めであろう」
「……」
言い得て妙である。
考えてみれば、狼の群れもまた、組織性を持つ野生の狩人の集団だった。
「そうだね。これまで長い間、せっせとこの街や城に通い詰めた近郊の貴族も、この城の主が王族から辺境伯にまで落ちぶれた途端、足を運ばなくなる。それだけで、あっという間にこんな状態になっちゃうんだよ」
「……なるほどな」
シュウの補足に、ザフィアは納得したようにうなずいた。
クリステルも瞳を輝かせて、尊敬するようにジルベルを見つめる。
「ジル、すごい!」
サラはもっとも大きく反応し、驚きに顔をほころばせてジルベルの首に抱きついた。
一瞬サラの腕で首が絞まったのか、「ぐえっ」とジルベルが悲鳴を漏らす。
「え、ええいっ、やめんか!」
食い込む腕を必死に持ち上げると、ジルベルはサラの体を押しのける。
それを見守っていた一同は、顔を見合わせて笑った。
翌日。
シュウたちは繁華街で聞き込みを開始したが、残念ながら黒竜もダークエルフも、その姿を見た者はいなかった。
情報収集は、同業者が集まるところで行うのが基本だ。酒場、冒険者ギルド、宿屋を徹底的につぶしていく。
さらに情報に懸賞を付け、あやふやな噂を持ち込む者にも、酒代程度の小遣いを渡すことにした。
それでも、結局有力なネタは一つも掴めなかったのである。
「これは外れだね……」
シュウは、昼間から半分酔っているような中年の冒険者に小銭を渡して送り返した後、一緒にいたシュネに向かって肩をすくめた。
ここで粘っても、有力な目撃情報は得られない、シュウはそう判断した。
『みんな、お昼にしよう!』
シュウは区切りをつける意味も込めて、念話で全員を集める。
ツィルメンの名物は海産物――とくに大型魚の料理が人気だ。
『有名なマグロ料理にしようか!』
呼びかけてからほんの数瞬で、ジルベルが恐ろしい速度で駆けてきたのは言うまでもない。
シュウやサラにとっては残念だが、レジナレスには基本、魚を生食する風習はなかった。
しっかりと脂身を抱いたマグロは、ここツィルメンでは打ち粉をまぶして揚げられた熱々のフライになることが多い。
魚醤と野菜でしっかり取られた出汁と、ビネガーで調えられた餡をかけられたマグロのフライは、シュネとジルベルの食欲を強く刺激した。
シュウは店員を呼びつけて耳打ちをする。
「あの、マグロってどのくらい残ってるんですか?」
「はい、本日は大物が一本用意してあります」
「一本かあ。足りないなあ」
シュウの反応を無知によるものと考えた店員は、微笑んでこう言った。
「お客様。当店の仕入れるマグロは百キロ以上のものばかりです。この人数ではとても食べきれません」
「あ、そうなんだ。悪いけど丸ごと一本買うから、料理長さんにそう伝えてください」
「……お客様」
呆れたように店員はたしなめようとする。
「まあまあ」
シュウは店員にチップを握らせ、とにかく言う通りにしてよ、と頼んだ。
「ちゃんと残さずに食べるから、お願いします」
「ほ、本当に、たった六人で丸一本食べた……」
店員と料理長が放心するなか、主にシュネとジルベルの二人が、至福の笑顔で立ち去っていく。
相変わらず、テーブルから漂う油の香りだけで美しい顔をゆがませるエルフ姉弟とは対照的だ。
シュウとサラはそんな彼女らの幸福感をお裾分けしてもらっていた。
「シュウ君。やっぱりこれはネカーゲムントにも行って、魔鳥料理を食べないとダメそうね」
クスクスと忍び笑いしながらサラが言う。
「まあね。あの顔を見せられちゃ……でもその前に」
「ん?」
「ここの迷宮、潜ろうか?」
偶然かどうかはわからないが、実際に何度か、シュウたちは地下迷宮でダークエルフのオルティウスと遭遇している。
ツィルメンの迷宮は首都ホルベリンゲンの南にそびえる山脈の中腹にある。
冒険者ギルドで話を聞くと、ここの迷宮は六階層あたりまで攻略されているが、底はまだ知られていないということだった。
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