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ダルマータ国
13. 秘密
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古くからある教会は時折、地下室がある。エメラルド家を訪れた時、ひっそりとかくれるような形状で作られていたあの地下室をエドワードはずっと気になっていた。
あの地下室に意味はあるのだろうか、と。
だから、思わず確認せずにはいられなかった。
パルクルトの街で1番古いこの教会にも地下聖堂があるかを。
エドワードは礼拝堂や裏口に隠し通路がないか確認していたが、それらしき隠し扉はなかった。
当てが外れたか、そう諦めの気持ちで、礼拝堂に腰掛けた時、床に映るステンドグラスの光を見つめた。
どうやら2階のステンドグラスが、陽の光を反射させ、それが礼拝堂の廊下に映し出されたのだ。ステンドグラスの右横にはタペストリーがあり、パルクルトの街が刺繍で縫い上げられていた。
ステンドグラスの壁とは異なる西側の壁にある窓から漏れる光は、もっと明るく、一階へ陽の光を差し込んでおり、エドワードは、違和感を感じた。
この教会の周囲には背の高い建造物はない。
今はまだ昼より前だから、太陽がちょうど真上に位置する。それにしてはステンドグラスから差し込む光が少ない。
その証拠に、ステンドグラスより西側に位置する壁のはめ殺しの窓からは、もっと光が差し込んでいるのだ。
(盲点だった)
エドワードは二階へと続く階段を上がり、ステンドグラスの右隣のタペストリーを触ると、明らかに壁だけではない違和感を感じた。
タペストリーを捲ると、そこにはエドワードの予測通り、扉があった。だが、鍵がかかっていて入れない。
「壊して入るか……」
エドワードが呟くと、背後から声が聞こえた。
「やめとけば?」
リルルが一階の礼拝堂に立っていた。若干、埃やら砂がついているが、そこには触れないでおく。
「開けられるのか?」
「無理矢理こじ開けて、壊れたりしたら意味がない」
リルルは答えなかった。
2階の階段を登り終えると、タペストリーに触れた。
「お前、そんな能力あったか?」
「ないけど?」
「時々、無性に腹立たしくなるよな」
「それはお互い様だろ?」
リルルは一通りタペストリーを調べ終えると、特に仕掛けがないことを確認した。
そのあと、スカートをめくり上げたのでエドワードが「男の足を睨める趣味はないぞ?」と淡々と言ったので、リルルは「違う」と否定し、露わになった太もものストッキングに隠した鍵をエドワードへ差し出す。
「これが欲しかったから、掃除させたんだよね?」
「見つかったのか、良かった」
エドワードは鍵を受け取ると、鍵穴に入れる。ガチャという音共に、木製の扉が開き、下の階段が現れた。
エドワードはエメラルド邸を訪れた時のように、光の球を作ると、宙に浮かばせた。
エドワードの力は物体を移動させることが可能だ。
それは光であったり、船であったり、様々だが、エドワードは主として太陽の光を集めて、その一部を移動させることを得意とした。
船等の重さがあるものは、筋肉で持ち上げるようなイメージだと言っていたから、本当に苦手なのだろう。
どうやら、この教会の少なくともこのステンドグラスは二重の壁となっていた。人一人が通れるほどの隙間の階段を降りると地下の大聖堂が広がっていた。
それはあまりにも美しく、煌びやかだった。
正確には壁の一部が二重となっていた。外観と内観が著しく異なると怪しまれる。それ故に、外観と内観を同じ作りとしているが、壁の一部に仕掛けを作っていたようだ。
誰にも見つからず、ひっそりと息を潜めるために。
「地下聖堂があるとわかっていたの?」
「いや、確信はない。だが、エメラルド邸のあの地下室、何かを模したのでは? という疑問があっただけだ」
リルルは階段を降り終えると、地べたに這いつくばって、その形状やどこに位置しているかなどを調べ始めた。
「なんだ?」
エドワードの問いに、リルルは口元に人差し指を立てて、静かにするよう示唆した。
リルルがエドワードの手に指で文字を書き、エドワードもやっとその意味を理解する。
(どこに繋がっているかわからないから、慎重に)
エドワードは魔法で髪を黒くすると、リルルが調べ終えるまで、地下聖堂の壁や天井に描かれている絵や宝飾品を見ることにした。
ダルマータ創世記を模しているのだろう。
青、赤、黄、緑、黒、白の壁があった。
(ダルマータ創世記を持ってくると、読み方が変わるのだろうか。そうならば、精霊国のことも書いて欲しいくらいだ)
エドワードがリルルを見るとリルルは確認を終えたのか、上体を戻していた。
「地下水路が近くを走っているような音がしたけれど、人の動きは感じられなかった。話しても問題ないだろうね」
リルルは、服の汚れを落としながらそう言ったが、汚れは逆に広がり、ドレスをさらに黒くしたようだとエドワードは思った。
「何のためにこんなところつくったのだか……」
「教会の地下聖堂というのは亡くなった人を埋葬するためにあるらしい」
「その割には、随分と特徴的な壁だこと」
リルルは壁を見ながらそう言った。
「そうだな。ここに棺桶だったり、死者を葬ったような形跡があれば、本来の地下聖堂と同じだろう」
「そうでなければ、別の意図があったと言いたいの?」
「そういうことだ」
エドワードは胸ポケットから、その名の通り、懐中時計を取り出した。
時刻は13時になろうとしている。
「この地下の探索は明日以降だ。クリスタに会いに行くぞ」
地下から戻ってきた際、リルルの服は汚れが悪化していたので、リルルは着替えることにしたので、エドワードは手持ち無沙汰から、再度、地下聖堂へ戻り、なんか仕掛けがあるだろうと、探していた。
リルルは急いで着替えに向かい、戻ってきた。遅いとエドワードがイラっとするだろう、そう思って、リルルのだせる最速で対応した。
エドワードはなんとなく地下聖堂なは違和感を感じたが、これといって、確信に変わることがなく、思い過ごしだと考え、地下聖堂から地上へ戻る。
そして、顔を真っ赤にして新しいドレス姿のリルルを見て「行くか」と告げて、後にする。
きっとまた、部屋いっぱいに服が散らばっているのだろうな。
リルルがどうせ片付けるのだが。
エドワードとリルルは教会を後にし、クリスタの家へ向かう。
あの地下室に意味はあるのだろうか、と。
だから、思わず確認せずにはいられなかった。
パルクルトの街で1番古いこの教会にも地下聖堂があるかを。
エドワードは礼拝堂や裏口に隠し通路がないか確認していたが、それらしき隠し扉はなかった。
当てが外れたか、そう諦めの気持ちで、礼拝堂に腰掛けた時、床に映るステンドグラスの光を見つめた。
どうやら2階のステンドグラスが、陽の光を反射させ、それが礼拝堂の廊下に映し出されたのだ。ステンドグラスの右横にはタペストリーがあり、パルクルトの街が刺繍で縫い上げられていた。
ステンドグラスの壁とは異なる西側の壁にある窓から漏れる光は、もっと明るく、一階へ陽の光を差し込んでおり、エドワードは、違和感を感じた。
この教会の周囲には背の高い建造物はない。
今はまだ昼より前だから、太陽がちょうど真上に位置する。それにしてはステンドグラスから差し込む光が少ない。
その証拠に、ステンドグラスより西側に位置する壁のはめ殺しの窓からは、もっと光が差し込んでいるのだ。
(盲点だった)
エドワードは二階へと続く階段を上がり、ステンドグラスの右隣のタペストリーを触ると、明らかに壁だけではない違和感を感じた。
タペストリーを捲ると、そこにはエドワードの予測通り、扉があった。だが、鍵がかかっていて入れない。
「壊して入るか……」
エドワードが呟くと、背後から声が聞こえた。
「やめとけば?」
リルルが一階の礼拝堂に立っていた。若干、埃やら砂がついているが、そこには触れないでおく。
「開けられるのか?」
「無理矢理こじ開けて、壊れたりしたら意味がない」
リルルは答えなかった。
2階の階段を登り終えると、タペストリーに触れた。
「お前、そんな能力あったか?」
「ないけど?」
「時々、無性に腹立たしくなるよな」
「それはお互い様だろ?」
リルルは一通りタペストリーを調べ終えると、特に仕掛けがないことを確認した。
そのあと、スカートをめくり上げたのでエドワードが「男の足を睨める趣味はないぞ?」と淡々と言ったので、リルルは「違う」と否定し、露わになった太もものストッキングに隠した鍵をエドワードへ差し出す。
「これが欲しかったから、掃除させたんだよね?」
「見つかったのか、良かった」
エドワードは鍵を受け取ると、鍵穴に入れる。ガチャという音共に、木製の扉が開き、下の階段が現れた。
エドワードはエメラルド邸を訪れた時のように、光の球を作ると、宙に浮かばせた。
エドワードの力は物体を移動させることが可能だ。
それは光であったり、船であったり、様々だが、エドワードは主として太陽の光を集めて、その一部を移動させることを得意とした。
船等の重さがあるものは、筋肉で持ち上げるようなイメージだと言っていたから、本当に苦手なのだろう。
どうやら、この教会の少なくともこのステンドグラスは二重の壁となっていた。人一人が通れるほどの隙間の階段を降りると地下の大聖堂が広がっていた。
それはあまりにも美しく、煌びやかだった。
正確には壁の一部が二重となっていた。外観と内観が著しく異なると怪しまれる。それ故に、外観と内観を同じ作りとしているが、壁の一部に仕掛けを作っていたようだ。
誰にも見つからず、ひっそりと息を潜めるために。
「地下聖堂があるとわかっていたの?」
「いや、確信はない。だが、エメラルド邸のあの地下室、何かを模したのでは? という疑問があっただけだ」
リルルは階段を降り終えると、地べたに這いつくばって、その形状やどこに位置しているかなどを調べ始めた。
「なんだ?」
エドワードの問いに、リルルは口元に人差し指を立てて、静かにするよう示唆した。
リルルがエドワードの手に指で文字を書き、エドワードもやっとその意味を理解する。
(どこに繋がっているかわからないから、慎重に)
エドワードは魔法で髪を黒くすると、リルルが調べ終えるまで、地下聖堂の壁や天井に描かれている絵や宝飾品を見ることにした。
ダルマータ創世記を模しているのだろう。
青、赤、黄、緑、黒、白の壁があった。
(ダルマータ創世記を持ってくると、読み方が変わるのだろうか。そうならば、精霊国のことも書いて欲しいくらいだ)
エドワードがリルルを見るとリルルは確認を終えたのか、上体を戻していた。
「地下水路が近くを走っているような音がしたけれど、人の動きは感じられなかった。話しても問題ないだろうね」
リルルは、服の汚れを落としながらそう言ったが、汚れは逆に広がり、ドレスをさらに黒くしたようだとエドワードは思った。
「何のためにこんなところつくったのだか……」
「教会の地下聖堂というのは亡くなった人を埋葬するためにあるらしい」
「その割には、随分と特徴的な壁だこと」
リルルは壁を見ながらそう言った。
「そうだな。ここに棺桶だったり、死者を葬ったような形跡があれば、本来の地下聖堂と同じだろう」
「そうでなければ、別の意図があったと言いたいの?」
「そういうことだ」
エドワードは胸ポケットから、その名の通り、懐中時計を取り出した。
時刻は13時になろうとしている。
「この地下の探索は明日以降だ。クリスタに会いに行くぞ」
地下から戻ってきた際、リルルの服は汚れが悪化していたので、リルルは着替えることにしたので、エドワードは手持ち無沙汰から、再度、地下聖堂へ戻り、なんか仕掛けがあるだろうと、探していた。
リルルは急いで着替えに向かい、戻ってきた。遅いとエドワードがイラっとするだろう、そう思って、リルルのだせる最速で対応した。
エドワードはなんとなく地下聖堂なは違和感を感じたが、これといって、確信に変わることがなく、思い過ごしだと考え、地下聖堂から地上へ戻る。
そして、顔を真っ赤にして新しいドレス姿のリルルを見て「行くか」と告げて、後にする。
きっとまた、部屋いっぱいに服が散らばっているのだろうな。
リルルがどうせ片付けるのだが。
エドワードとリルルは教会を後にし、クリスタの家へ向かう。
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