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第1章:Eランク
16.贈り物
そんなある日——。
炊き出しの列に並びながら、俺は相変わらずミーナのバックの中に隠されていた。
一郎「なぁ、もうちょっと丁寧に扱えよ」
ミーナ「えー? でも、外に出すとみんな気持ち悪がるし……」
一郎「言い方ァ!!!」
ミーナ「あ、順番きた!」
目の前に並ぶ修道女たちが、温かいスープとパンを配給していた。
ミーナが受け取り、礼を言いながら雑に俺を押し込む。
一郎「おい、パンが潰れる!!」
しかし、ミーナは俺の文句などまるで聞いていない。
配給を受け取った後、ミーナは他の修道女たちと世間話を始めた。
修道女「そういえば、サラ様がわざわざ冒険者の支援をしているという話、修道院でも有名なんですよ」
ミーナ「えっ、そうなの?」
修道女「ええ。修道院のエースでありながら、わざわざ危険な冒険者活動をしているのが、皆さん不思議に思っているようで……」
その話を聞いて、俺もバックの中で「確かにな」と思った。
あの優雅で完璧な修道女が、なんで俺たちみたいな底辺冒険者の支援を続けているのか。
確かに、不思議だ。
修道女「でも、サラ様には本当に感謝すべきですよ。修道院ではエースと呼ばれるほど優秀で、人望も厚く、誰からも慕われていますからね」
ミーナ「へぇ~、やっぱりすごい人なんだね!」
修道女「ええ、それにサラ様のお誕生日も近いですし」
ミーナ「えっ!? サラさんの誕生日近いの!? 知らなかった!!」
修道女「もうすぐですよ。きっと修道院では盛大なお祝いがあるでしょうね」
修道女たちと話し終えたミーナは、配給のスープとパンを片手に、俺をバックから取り出した。
一郎「おい、外で急に出すなよ!」
ミーナ「いいじゃんいいじゃん、……で、話聞いた?」
一郎「ああ、聞こえてた。サラさんの誕生日が近いんだろ?」
ミーナ「そう! だから、私たちも何かプレゼントを用意しようよ!」
一郎「……お前、意外と気が利くな」
ミーナ「えへへ、だってサラさんにはすっごくお世話になってるし! 何か感謝を伝えたいなって!」
一郎「それは確かにな……サラさんのおかげで、俺たち何回も死なずに済んでるしな」
ミーナ「でしょ! じゃあ、一郎くんも賛成ってことで!」
一郎「まぁ、そうだな。感謝の気持ちはちゃんと伝えたいしな」
シエラ『ちょっと!? プレゼント!? はぁ!? あの女に!? まだ騙されてるの!?』
一郎(出た……またこいつかよ)
シエラ『忘れたの!? あんた、何度踏まれて何度炎に包まれて、そのたびに回復されて笑われてたと思ってんの!?』
一郎(うるせぇ……恩は恩だろ……)
シエラ『恩って、あの人絶対楽しんでるだけでしょ!? 背中で笑ってるの気づいてないの!?』
まくしたてるようにテレパシーで言葉を浴びせかけてくるシエラに、俺は思わず頭を抱えた。どうやら俺の中のバカ女神は、いまだにサラの“裏の顔”に対する疑念を捨てきれていないらしい。
(まぁ、言いたいことがないわけじゃないけどな……)
サラが時々浮かべるあの笑み、回復魔法のタイミングの妙、支援のさじ加減がやけに絶妙すぎること——すべてが意図的だったとしたら、確かに背筋が寒くなる。
でも、それでも。
(それでも、助けられてるのは事実なんだよ。俺たちは生き延びてる。サラがいなかったら、あのツインウルフにやられてた)
シエラが何を言おうと、今の俺には“今、生きていること”の方が重かった。
ミーナ「よーし! じゃあ何をプレゼントするか考えよう!」
そうして俺たちは、「サラへのおすすめ贈り物」について調べ回る羽目になった。
炊き出しの列に並びながら、俺は相変わらずミーナのバックの中に隠されていた。
一郎「なぁ、もうちょっと丁寧に扱えよ」
ミーナ「えー? でも、外に出すとみんな気持ち悪がるし……」
一郎「言い方ァ!!!」
ミーナ「あ、順番きた!」
目の前に並ぶ修道女たちが、温かいスープとパンを配給していた。
ミーナが受け取り、礼を言いながら雑に俺を押し込む。
一郎「おい、パンが潰れる!!」
しかし、ミーナは俺の文句などまるで聞いていない。
配給を受け取った後、ミーナは他の修道女たちと世間話を始めた。
修道女「そういえば、サラ様がわざわざ冒険者の支援をしているという話、修道院でも有名なんですよ」
ミーナ「えっ、そうなの?」
修道女「ええ。修道院のエースでありながら、わざわざ危険な冒険者活動をしているのが、皆さん不思議に思っているようで……」
その話を聞いて、俺もバックの中で「確かにな」と思った。
あの優雅で完璧な修道女が、なんで俺たちみたいな底辺冒険者の支援を続けているのか。
確かに、不思議だ。
修道女「でも、サラ様には本当に感謝すべきですよ。修道院ではエースと呼ばれるほど優秀で、人望も厚く、誰からも慕われていますからね」
ミーナ「へぇ~、やっぱりすごい人なんだね!」
修道女「ええ、それにサラ様のお誕生日も近いですし」
ミーナ「えっ!? サラさんの誕生日近いの!? 知らなかった!!」
修道女「もうすぐですよ。きっと修道院では盛大なお祝いがあるでしょうね」
修道女たちと話し終えたミーナは、配給のスープとパンを片手に、俺をバックから取り出した。
一郎「おい、外で急に出すなよ!」
ミーナ「いいじゃんいいじゃん、……で、話聞いた?」
一郎「ああ、聞こえてた。サラさんの誕生日が近いんだろ?」
ミーナ「そう! だから、私たちも何かプレゼントを用意しようよ!」
一郎「……お前、意外と気が利くな」
ミーナ「えへへ、だってサラさんにはすっごくお世話になってるし! 何か感謝を伝えたいなって!」
一郎「それは確かにな……サラさんのおかげで、俺たち何回も死なずに済んでるしな」
ミーナ「でしょ! じゃあ、一郎くんも賛成ってことで!」
一郎「まぁ、そうだな。感謝の気持ちはちゃんと伝えたいしな」
シエラ『ちょっと!? プレゼント!? はぁ!? あの女に!? まだ騙されてるの!?』
一郎(出た……またこいつかよ)
シエラ『忘れたの!? あんた、何度踏まれて何度炎に包まれて、そのたびに回復されて笑われてたと思ってんの!?』
一郎(うるせぇ……恩は恩だろ……)
シエラ『恩って、あの人絶対楽しんでるだけでしょ!? 背中で笑ってるの気づいてないの!?』
まくしたてるようにテレパシーで言葉を浴びせかけてくるシエラに、俺は思わず頭を抱えた。どうやら俺の中のバカ女神は、いまだにサラの“裏の顔”に対する疑念を捨てきれていないらしい。
(まぁ、言いたいことがないわけじゃないけどな……)
サラが時々浮かべるあの笑み、回復魔法のタイミングの妙、支援のさじ加減がやけに絶妙すぎること——すべてが意図的だったとしたら、確かに背筋が寒くなる。
でも、それでも。
(それでも、助けられてるのは事実なんだよ。俺たちは生き延びてる。サラがいなかったら、あのツインウルフにやられてた)
シエラが何を言おうと、今の俺には“今、生きていること”の方が重かった。
ミーナ「よーし! じゃあ何をプレゼントするか考えよう!」
そうして俺たちは、「サラへのおすすめ贈り物」について調べ回る羽目になった。
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